※追記
アンケートの「その他」を選んだ場合、今日の分の活動報告「しょっぱい備忘録更新その105」にコメントで好きな組み合わせを書いていただいてもいいです。
今回は最後の仙人、留雲借風真君こと閑雲視点。楽しんでいただけたら幸いです。
「歌塵の!」
「おお、閑雲や。ここではピンばあやと呼んでおくれ」
留雲借風真君の人間の姿である閑雲が璃月港に駆け付けると、千岩軍が慌ただしく動く中でピンばあやが様子を窺っているところだった。いつもは飄々としている彼女も気を張り詰めている。というよりも、今の璃月港は空気がピリピリしていて居心地が悪かった。そのことにより半ば確信しつつも、閑雲は訪ねた。
「帝君がヘウリアにやられたとは本当か?」
「……一見はそうだねえ。ほれこの通り、帝君の遺体も流れ着いたのをつい先刻、発見された」
そう示す先、港にて千岩軍が複数名、龍と麒麟が合体したような生物の遺体を運んでいる光景が見下ろせる。その姿にショックを受けて崩れ落ちる閑雲。
「本当、だったのか……帝君の、死は」
「ああ、確かにこの目で見たよ。かつてないほど生き生きとした二人をね」
「……なんだと?」
ヘウリアの偽物による襲撃だと考えていた閑雲。まさかの証言に頭を悩ませる。間違いなく、ヘウリアとモラクスの戦いで混乱する璃月港の中で唯一落ち着いて見られたであろうピンばあやの言葉。その真意は。
「楽しんでいた、と?それは……帝君は相手が偽物だと気付かず、に?」
「それに関して明言はできないね。だけど、あることだけは確かだ。何も言わずに洞天に入ってくれないかい」
「洞天に、だと?」
そう言って取り出したるは、ピンばあやが作成・管理をしている一見何の変哲もない壺。しかしてそれは、仙人である彼女の秘術で作られた複数の小島程度のサイズの小さな世界「洞天」が収められた代物。閑雲は訝しみながらも旧友を信じて暗闇の穴に手を触れて中に入ると、青空の広がる孤島の様な場所に飛ばされる。その、中心に聳える屋敷の前にて。
「えっこらよっこら。霓裳花がなかなか育ちませんね……前もって準備していたのになあ」
鍬を手に畑を耕している、真白空我真君の衣装の上からオーバーオールと麦わら帽子を身に着け白いタオルを肩にかけた純白の女がいて。思わず呆けた閑雲の存在に気づいたその人物、白亜は閑雲に手を振る。
「おや、誰か来るかなと思ってましたが貴女でしたか。閑雲、お久しぶりで―――」
「ちょあああぁあああああっ!!!!!」
「ぐはあああああっ!?」
いつぞやの、甘雨を泣かせたモラクスに浴びせた様に。助走して天高く跳躍した閑雲のドロップキックが突き刺さり、錐揉み回転して屋敷の外壁に叩きつけられる白亜。屋敷の入り口でお茶を飲んでいた茶色と橙色のフィンチ*1の様な精霊が慌てて駆けつける。
「無事なのじゃヘウリア様!?」
「ああ、ウルさんお気になさらず……いきなりご挨拶ですね。私が今の私じゃなかったらへし折れてましたよ」
ウルというらしい精霊に助け起こされ、腰を押さえながら立ち上がるヘウリアに、閑雲はカンカンに怒りながら詰め寄った。
「ええい、黙れ!昔からよく知るお前が帝君を殺したと聞かされ!旅人が白亜と共にいたというから偽物だと判断し!真実を探るためにはるばる璃月港まで来てみれば!歌塵はなにか訳知り顔でヘウリアと帝君は生き生きとしていたというし!!洞天に入ってくれと言われたから入ってみれば!のんびり農作業とはどういうことだあ!!!!」
「キャラ崩壊してますって。落ち着いてくださいよ。私だって好きでここにいるんじゃないんですってば」
そう言って、頬に触れるヘウリア。蓋の様になっている肌を外せば、陶器の様に割れた下からどす黒い液体が零れそうになり、慌てて元に戻す。それを見て落ち着きを取り戻し、メガネの位置を直す閑雲。
「なんだ、それは。……お前の中身、は。まるで、業障……」
「業障に似てるでしょうけど違いますのでご安心を。実は貴方の弟子に偽物判定されて殺されかけまして。こうして傷を負ってしまったので、傷が塞ぐまで隠れざるを得なくて。旅人は合流しなくても大丈夫だとはわかるので、とりあえず歌塵浪市真君に助けを求めて匿ってもらってたんです」
「弟子……?申鶴か。あやつめ、璃月港で過ごすようになって幾数年と経つが、実力は衰えてないようだな。お前に勝るとは」
「こちらからは本気で攻撃できないのにひどいことです。これでも私もちゃんとヘウリアなのに」
すっかり拗ねた様子の白亜。まるで落ち着く様に自分のお腹を撫でていた。その行動に首を傾げつつ、閑雲は尋ねる。
「ここはなんだ。歌塵の洞天にしては趣が違う」
「ああ、これは材料を集めて私が作ってもらったものでして。翠珏石を探すのは大変でした。主な用途は、秘密の特訓場です。大技の開発に用いるため、建築も必要最低限にしてもらってます。たまに適当なのを作って的に使ってますが。あとついでに前々から送仙儀式に必要な霓裳花や瑠璃百合の栽培をしていたので、その仕上げを……」
「待て。何故、送仙儀式用の花を前々から栽培している?送仙儀式とは仙人の葬式だ。まるで、帝君がお亡くなりになると前々から知って………まさか」
「………送仙儀式用のといつ言いました?これは趣味ですよ、ええ」
「ヘウリア様、それは無理があるのじゃ……」
そっぽを向く白亜に、ウルも頭を抱える。生き生きと殺し合うなんて聞かされて混乱していたが、ここまで情報も揃うとわかってくることもある。つまりは。
「………神二人による自作自演か。帝君は、生きておられるのだな?」
「モラクスなら私が殺しましたよ!」
「嘘を言うでない。お前が「殺し」を最も忌避する性格だと、妾たちが知らないとでも?よく考えればすぐにわかることだ。お前は半殺しにすることはあっても進んで殺しはしない。それが親しい仲ならば猶更だ。まだわからないことも多いが、その反応ならば帝君は本当に生きておられるのだな、よかった。すぐにあやつらに伝えねば……」
「待ってください!!」
洞天から出て行こうとする閑雲を引き留める白亜。ものすごく気まずそうに何かを言おうとしては口をつぐむ姿に、本気で悩んでいるのが目に見える。友人の珍しい姿に閑雲が気を取られていると、深呼吸して気を引き締め口を開いた。
「わかりました。認めます。私とモラクスは共犯です。ですが、それを知る人は少ない方がいいんです」
「なぜだ。璃月の民には帝君が必要だ。それがお隠れになったなどといくら振りでも……そしてお前は帝君の殺害犯とされているのだぞ?」
「それです。モラクスは憂いていたのです。もし自分がいなくなっても、璃月はやっていけるのかと。だがもしその時が訪れて、手遅れになってからでは遅い。だから……」
「殺されたと偽装して、確認したかった、と?我等仙人も謀るつもりだったというのか!」
「仙人も私達にとっては友である前に民なんです!だけど、貴方達は人間と相容れようなどとしないでしょう!甘雨や歌塵浪市真君、申鶴や煙緋は違います。立場の差を超えて、手を取り合い危機に立ち向かってくれる様を私達は見たかったんです!」
「だから妾以外にもう知られたくないと、そういうことか。それで、ヘウリアが帝君を手にかけた様に演出したと。……たしかに、帝君を殺せる者などお前以外に考えられない。故にお前が悪名を背負うことにしたと」
「私が本当にモラクスを殺せるという冗談は置いといて……それに関しては一応策がありまして……私、璃月はともかくフォンテーヌだと立場があるのでさすがに対策はします……モラクスも凡人として余生を送りたかったらしいので、ちょうどよかったとも」
「はあああぁ……」
しゃがみこんで膝を抱え、クソデカ溜め息を吐く閑雲。オロオロする白亜を蹴りたい衝動に駆られたが、それを抑え込んでただ声を張り上げることにした。
「この………大たわけが!!!!!!!!!!!!!」
「ひゃい!?」
暴風伴う叫びに、背筋を伸ばす白亜。怒髪天な閑雲はそんな白亜に詰め寄り、胸ぐらをつかみ上げる。
「たわけ*2たわけだと前々から思っておったが!!お前はもとより!帝君も大たわけめ!!!!」
「そ、それはひどくありませんか!?私も私なりに頑張って……」
「お前と帝君の決断で、妾たちが!璃月の民が!!どれほど絶望し、どれほど悲しみに暮れたと思っている!!」
「わ、わたしなんかが……」
「何度言えばわかる!お前は「なんか」ではない!!帝君と並び立って「二大武神」と呼ばれる理由を考えればわかるだろう!!お前がどう思おうと、我等にとってお前は帝君と並ぶ我等が神なのだ!誰も比肩することができない帝君に唯一並び立ち、共に歩めると認められた存在だ!そんなお前が、帝君に手をかけたのだ!民にとってどれほど信じられないことなのかわかっているのか!」
「!」
眼前で真正面から怒鳴られる。今までも散々言われたこと。誰もがそれが当たり前だと思い、しかしヘウリアだけが受け入れられなかった事実を、真正面から告げられて。ヘウリアは、白亜は。考えていた反論が消えてしまっていた。
「そんなことは……」
「帝君がなぜこんな愚考したのかもわかるぞ。お前と本気で戦いたかったのだろう、あの方は武神だからな。その機会は甘美なものなのだろう。凡人にもなりなかったのだろう。神と共に在る国を憂いていたのだろう。それは理解した、だがしかし!責任から逃げようなどと、見損なったぞ!帝君がいなくなって璃月が滅びるというのならば、我等璃月の民全て!受け入れる覚悟を持っておるわ!!」
「え、ええ…?モラクスの、岩王帝君の決定なんですよ……?」
「帝君の決定ならば妄信するとでも?断言するぞ、ヘウリア。我等璃月の民。この真実を知れば、その全てが妾と同じく怒り狂うぞ。甘雨に知られれば氷に封印、だけですめばよいな?」
「勘弁してください……」
「お前と帝君は我等をこうしたのだ。二人の主君を愛させたのだ………逃げられると、思うな?」
目を真っ直ぐ見られてそう言われれば、白亜も観念するしかなかった。
「……わかりました。ですが、明かすのはすべてが終わってからにしてほしい。勝手で申し訳ないが、モラクスを失っても前に進めることを、私達に証明してほしい」
「なぜ、それほどまでに憂う。帝君とお前は……何を知っている?」
「私は何も知りませんよ。ありえるとすれば、終焉……と呼ぶべきですかね。今の璃月に異変が起きているのも事実です。仙衆夜叉復活の噂は聞きました。もう一人の私が弟子たちを派遣しているはずなので、もし本当に起きていても被害は抑えられると思いますが……」
「そうだ。そのことについても聞きたい。あれはなんだ?何故、あやつらが復活を……」
「恐らく【博士】の仕業です。何が狙いかまではわかりませんが……もう一人の私もモラクスから事前に伝えられています。既に対策や調査は行っているはずです。ファデュイも一枚岩じゃないのが厄介ですが……」
「待て。もう一人の私と言うが、それは件の「偽物」か?何故そんなもの……」
「手が足りないので物理的に増やしました。10年前から結構やってますよ」
「そういうことを聞いてるのではないわ!!!お前、まさか……」
そこまで口に出して、口をつぐむ閑雲。その眼前で、白亜は人差し指を自分の口に当ててウィンクしていた。
「ヘウリア……」
「そういうことです。安心してください。今度は、失ったりしませんから」
「……たわけめ」
「あいたっ!?」
げしっと脛を蹴られて蹲るヘウリアに、閑雲はため息を吐く。ああ、やはり。自分では、この馬鹿者は止められないと。
原作を実況動画とかで見返すたびに思う事。絶対仙人たちぐらいには話していてよかったよね。最悪仙人によって璃月港滅んでたよあれ。
補足説明を入れると、ピンばあやこと歌塵浪市真君は他の仙人たちと異なり人間たちと関わってきたため、機微を感じやすい、ということで。原作はどうだったかわからないけど、今作ではモラクスとヘウリアの猿芝居は気づいていました。そんな楽しそうに殺し合いする襲撃があるか。そこに白亜が助けを求めてきたため何も言わずに洞天を提供したと。
申鶴に撃退された以降洞天に引きこもっていた白亜。以前、雷電将軍戦で披露した「無限の塩製」などの技を研究していた洞天です。ウルは原作でたまに塵歌壺に現れてショップを開いてくれるアイツですね。調べたらヤマガラじゃなくてフィンチらしい。
事情を知った閑雲、キレる。この役割は以前、甘雨を泣かせたからと帝君を蹴り飛ばす真似ができた彼女こそ適任。面を向かって白亜の認識を変えようとしましたが……?責任云々は、原作のあれはモラクス視点から見たらそうしてもしかたないな、とはなるけどそれ以外にとってはふざけんな!ってなるよねって。運命がどんどん変わっていく。
以下定型文になりますが、割と真面目に感想に飢えているのでどしどしいただけると本当に嬉しいです。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
R指定話書くとしてどれが見たい?(書くとなったらスピンオフって形になるかも)
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ヘウリア×モラクス(数百年前のIF)
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ヘウリア×ペルヴェーレ(10年前のIF)
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ヘウリア×ドットーレ(前回のIF)
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ヘウリア×雷電影(一年前のIF)
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ヘウリア×ダスタリオ(モンド編のIF)
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ヘウリア×グレメリー
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ヴィー×ローデシア
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シオン×ナヒーダ
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シオン×ダークナヒーダ
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シオン×コロンビーナ
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その他(メッセージ等で)
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