今回は、そんなスネージナヤの四幕を超えて「あ、これ早めに置いとかないと手遅れになる奴だ」と思った裏話となります。グレメリーの原点のお話。楽しんでいただけたら幸いです。
平和な世でヘウリアが生き返る、そう信じて眠りについたあてしは夢を見る。場所は、トゥラン大火山の火口。私が生まれた溶岩を布団にして丸まって眠りにつく。静寂に響くコポコポと泡立つ音と、熱気が心地よい。外でのアビスとの戦乱も収まっている時期らしく、この静寂が昔は一番心地よいと思っていたのだけど。……璃月での友人たちとの日常を思いだすと、寂しく感じる。
そんなことを思いながら眠りについたからか。ヘウリアが王に刺される瞬間が何度も何度も脳裏にフラッシュバックして。あの瞬間を何度も何度も繰り返す悪夢にうなされた。いつもならば、その記憶を焼けばいいと断じるのだが、ヘウリアの全ては私……あてしにとって大事な大事な記憶だ。この苦しみと共に眠りにつくしかない、と。
そんな中。知らない記憶が浮上する。遥か過去の記憶だ。
かつての私は原初の炎元素生物。他種族で言えばスライムやヴィシャップに近い生物だった。龍が生きた時代を眺めながら、物を考えることもなくぼんやりと生きていた。龍王たちと外敵の争いの騒がしさに苛立ちと言う感情を覚えて、その少し後に争いが収まり訪れた静寂に満足してさらに長い時間が過ぎ去った頃。私を拾い上げるものがいた。
「シュバランケとの取引も終えて帰ろうとして見れば。キミ、面白いな。鉱物と生物の狭間にある者。死を超越していると言ってもいい」
そう言って灼熱の溶岩の塊なはずの私を、さも当然とばかりに片手で拾い上げたのは陶器の様に美しく生を感じさせないほどに色白の肌と純白の長髪、かと思えば肩から指先にかけて黒く染まっていて赤い眼の様な不気味な文様が刻まれている異形の両腕を有する長身の黒衣に身を包んだ女。七枚の花弁を思わせる異様な金色の瞳を私に向けて、いいことを思いついたとばかりにその整った顔を綻ばせる。
「あの、“死”を嘲笑う様なふざけた存在の女をどう始末したものかと思っていたんだ。私の権能を使っても死ぬ気配すら見せないし、呪いも効かない。万が一死なれた場合は私も危うい。キミを尖兵にしよう。私の権能を少し与えて魔神にすれば、使えるかもしれない。私の眷属が勝手にあの女を殺せば、誓約にも触れないだろう。うん、いい考えだ」
そう言って私の中の
「敗者は戦火の灰に、勝者は再び燃え盛る…。うん、死の象徴としてこれ以上ふさわしいものはない。キミは今日から“灰の魔神”だ。キミは、私の権能を扱うことを許可しない。代わりに、制御できない“死”が君の眼に映る万物を死なせる。名前は……そうだな。白でも黒でもない、そして
そうして私は、彼女と配色が全く同じ女の姿の魔神へと生まれ変わり、名を与えられた。だけども、その女にとって想定外だったのは。
「……おや?なぜ、私はこんなところに……?」
その「死」が、創造主である彼女にも、その主にも無差別に発動してしまったことだろう。しかし本家ほどの効果はなく「死」と言っても相手の命を奪うことはできなくとも、私と視線を交わした相手の認識から「私」の存在そのものが死ぬ。
そうして私は自分が生まれた意味も知らず。創造主すら私の存在を忘れて。ただのグレメリーとして生き、そしてヘウリアと出会った。そうしてヘウリアは死に、私は彼女の復活を信じて眠る。それでいい。今は、それでいい。この夢もどうせ燃えて無くなる。ならせめて、幸せな夢を………。
「グレメリー!見てくださいよ!璃月の民も、帰終も、マルコシアスも、仙人たちも!誰一人死なせることなく、この時代まで来れました。……私、この景色を見ても……いいんですかね?」
私はヘウリアの親友だから、彼女が絶望の未来を予見していたことを知っている。誰も死なせたくないと言っていたヘウリアの願いを知っている。それが叶った景色こそ、ヘウリアが見るべきものなのだ。だから。こんな結末を強いる天理を私は許さない。必ず焼き尽くしてみせる。あてしが、ヘウリアをよりよい未来へ導く
ロノヴァ関連の話を明言されたら出しようがなかったからこのタイミングで挟むこととなりました。偶然にも炎元素なのが一致していたのはビビった。
そんなわけで、カラーリングから示唆されていたのですが、グレメリーはロノヴァの眷属でした。シュバランケと同じナタの出身ってのも伏線だった。認識を燃やす能力も、広い定義で見た「死」の形の一つというわけで。
しかも「“死”を嘲笑う様なふざけた存在の女」を殺すために生まれた存在だとも発覚。直接殺すのはアウトだから、じゃあ間接的に直接殺せばいいじゃないという考えから、原初の炎元素生物から生まれたのがグレメリーでした。それが巡り巡って天理の敵になってるのだから大ポカじゃすまないけど認識できないのだから仕方ないね!グレメリーの方は自分の親がロノヴァだとは気づいてません。
以下定型文になりますが、割と真面目に感想に飢えているのでどしどしいただけると本当に嬉しいです。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
グレメリーがロノヴァの「娘」なのは……
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