今回は炎のヘウリアの初陣。黒きヘウリアの正体に迫ります。楽しんでいただけたら幸いです。
「へえ?、追い風が君を祝福してるみたいだ」
その日、風神は隣国から立ち上る決意の火柱を見た。
「……ほう?ヘウリアでしょうか」
その日、雷神は海の彼方から雷雲を吹き飛ばす想いを見た。
「あれは……シオン、ねえ!来てちょうだい!」
その日、草神は信念の熱さを見た。
「ひえっ!?なんだいあれ…?ヌヴィレット、来てくれヌヴィレットー!?」
「あの正義は、フォンテーヌには熱すぎるね」
その日、水神は燃え上がる正義を見た。
「ハハッ!いい
その日、炎神は彼方で轟く希望を見た。
「帰終、お前がヘウリアを開放したのか……」
その日、岩神は隣に立つべき友の真の力を見る。
「……まるでマーヴィカになった気分です」
炎神マーヴィカ。登場直後に当時環境トップを独走していたヌヴィレットをアクセル全開で置き去りにした原神最強。かくいう私も凸こそしなかったがシトラリと一緒に引いてからはずっと使いまわしていた。その力に近い灼熱が、今この身体に宿っている。イメージのままに作り上げた十字架の大剣の一振りで、璃月港を飲み込む規模だった津波を蒸発させるとは。だが代償も大きい。本来は武器に元素を流して用いる神の目を、無機物とはいえ自分のボディに使用したことで、全身を灼熱の業火で焼かれる激痛が走っている。ゲーム的に言えば常にスリップダメージとリジェネが発生している、かな。自傷ダメージがリジェネを上回ってるから短期決戦するしかないね。
「はあああ!」
こちらに向けて首を伸ばしてきたオセルの頭部を斬り捨て、そのまま足裏から炎を出して加速。オセルのボディに沿って空を駆って、灼熱に焼ける刃をその身に刺し込み、斬りつけながらオセルの別の頭部まで上昇していきその首を真っ二つに二枚卸にする。斬撃を受けた傷は灼熱し、海水を補充して再生しようとしても蒸発させて再生阻害する。私なんかでもオセル相手に……いや、もうやめよう。私一人でもオセルは何とかなるんだ、それに加えて炎の神の目だ。負ける気がしねえ!
「
脳裏に浮かんだ台詞*1から連想して、私の背から灼熱によりマグマの様にドロドロとなった半液体を放出、それを八岐大蛇の様な形状に変えて分離。私を囲う様に空を駆り、同時に拳を握って飛び出し、炎を凝縮した拳を炎の八岐大蛇と一緒にオセルの顔面にパンチ。水流を発射して迎撃されそうになるが熱風も発生して押し返し、巨大な頭部を消し飛ばして背後に移動する。
「ヘウリアダイナマイト!!」
今度は某光の国の6番目の弟*2の如く全身に炎を纏い、特に小細工もなく突進。こちらを飲み込もうと口を開いて迫っていた跋掣の口に自分から飛び込み、全身に滾らせた炎元素を放出して大爆発。跋掣の大部分が消し飛んだ。ううむ、さすがは願いに呼応して人それぞれで与える力の形が変わる神の目だ。私の場合は「憧れの模倣」だろうか。私が想像すれば、それが形になる。ああ、私がなりたかった憧れは。
「グウオオオアアアアッ!!」
「オセル。以前はすみませんでした。貴方が怒るのも無理もない。倒せるからと加減して、手玉に取られた挙句に私ではなくモラクスにより封印されて。ですが、やっぱり。私たちの璃月港を滅ぼそうとする奴に手心なんていりませんよね?」
「グ、オア……?」
にっこり笑顔を向ければ、私に噛みつこうとした寸前で固まるオセル。気のせいだろうか、その巨体を震わせているようにも見える。はて、最大限怒りを抑えたつもりでしたが、ああ。そういえば獣同然の魔神でした、そういう機微に敏感なのだろうか。
「グオオー!」
「グアッ!?」
「おおー、ヴィー。ナイスです」
海底に沈んで逃げようとしていたオセルを横からがっつりと掴んで引き止めたのは白と紫のゴジラ姿のヴィーだった。ドゥリン・ダスタリオに習ってヴぃー・ゴジラとでも呼ぶか。それ幸いにと右腕に灼熱を収束させていき、爆発的な熱を有して煌々と光り輝く右腕。肘から下が爆炎を纏い加速、拳を握ってヴィー・ゴジラが押さえてるオセルの頭部めがけて叩き込む。ゴジラの形をしているそれの前で、別の怪獣の技を使うのはどうかと思うけど……私、こっちの方が「守護神」って感じで好きなんだよね!*3
「バニシングフィスト!!」
バシュンッ!と。オセルの首が消し飛んで、あまりの火力に私の右腕が自壊し、すぐさま再生する。あ、この技右腕を失ってから使える技だった、イメージが反映されてしまうのか気を付けよう。
「まあ再生するんで関係ないんですが。試運転はできましたし、このままとどめ……」
「そんな、願いィ……この私が!!否定してやる!!失望したぞ、オセル!跋掣ィ!その程度でしかないのなら……私の糧となレぇエええェエ!!!」
首のほとんどを失って戦闘不能に近いオセルと跋掣に振り返った、その時だった。黒い私がモラクスたちと戦ってた場所から飛んできて、オセルに飛び込んだのだ。……願いを手にした私を否定する、か。いやな言い分である。
「……私が璃月を脅かす魔神と合体するとか悪い冗談ですね」
「ぐっ、がぁあああああっ!!私を見て絶望したのなら、そのまま腐っていればよかったんだァ!!知らない様だから教えてやぐるァッ!これがぁあッ!お前のオ!私のオ!!本性だァアアアアアッ!!!!」
波打っていたその海水の身体が瞬時に黒い塩へと変換されて跋掣もろともその巨体が黒い塩へと変えられ、一気に崩れると渦を巻いてその中心、黒き私に集束されていき現れたのは、白と黒で彩られた若陀龍王を思わせる怪物だった。しかもそのサイズは本物の二倍近く、もはや山が四本足で歩いているようなものである。璃月港の海に着水したことにより発生した大津波を炎でかき消し、向き合う。名づけるなら塩椎龍王だろうか。悪夢みたいなものだが……今の私ならば。
「よりにもよって私自身がオセルを取り込んで璃月を脅かすのは、ダメでしょうよ」
「グオオオオアアアアアッ!!」
瞬間。海の上で一歩踏み出した塩椎龍王の足元から剣山の様に塩の山が突き出て私に伸び、上空に回避。そのまま塩の剣山に乗り出して噛みつこうとしてきたので足裏から炎を噴射して宙返りして回避、両手に鎖を形成し炎を纏って口輪の様に縛り上げる。
「幽焔の鎖!」
炎のヒーローと言えばゴーストライダー。ゴーストライダーといえば、鎖だ。少なくとも私の世代はMCUよりは超能力ユニット*4とかゴーストライダーの方が馴染み深いのである。あ、よく考えれば今飛んでいるのはヒューマントーチみたいだな。いいなこれ。生前のオタク心が燃える。
「巫山戯るなぁぁぁ!!」
すると鎖を無理やり破壊して怒りの声を上げた塩椎龍王が背中の山岳の様な岩塩を隆起させて、3本の塩と水で構成されたオセルの首を形成。横に殴りかかってるVゴジラがいるからさながらキングギドラだ。翼生やしたらそれっぽいけど不格好でしかないんだよな。
「なんちゃって卍解、残火の太刀」
一筋の煙が燻るだけの、刀身が黒く焼け焦げた刀を形成して握る。刃先に熱を凝縮し、燃やすのではなく焼いて削る最強の斬魄刀。BLEACH好きなんだよね、アニメ最終回まで見たかったなあ!オセルの首を受け止め、オセルの頭部をごっそり削る。すぐさま海水から吸収した塩を増量させようとするも、蒸発してしまって元に戻せないことに困惑している塩椎龍王。ああ、やっぱり。わざわざ技名をちゃんと言ってるのに、これは。
「私ではありますけど、知識量が雲泥の差みたいですね?」
「マガイモノがぁ……“ヘウリア”を名乗るなあ!!」
「貴方もマガイモノでしょう。冷静になればわかります。あなたは、デミ・ヘウリアの失敗作だ」
熱を籠めすぎて一撃入れただけで自壊していくなんちゃって残火の太刀を投げ捨て、今度は持ちやすい小さめの棍棒二本を握り、先端に炎を集めて火球として飛ばす。当たった傍から爆裂していく火球を防ぐように塩の岩壁をせり出させる塩椎龍王だが、それが動きを制限してしまっていることには気づいてない。確信する。この私は、なにも学んでない私……つまり、「私」の記憶を取り戻す前のヘウリアだ。自分のことだから理解できる。
「優しい」「戦いを嫌っていた」は事実を都合良く言い換えただけで、以前の私をちゃんと例えるならば「守るべき民がいるのに戦いから逃げ続けた臆病者」である。優しさを理由に自分の財を敵に渡して許しを請いて、各地を転々と回ってはそれを繰り返し、自分の民共々地下に都市を作って引きこもり、王に刺されて殺され、その時溢れた力で周りを塩像に変えて都市諸共道連れにした、というあまりにも救いようがない神だ。まあ、事実から目を背けて逃げ続けたのは私も言えた義理じゃないんだけど……いや、それこそがヘウリアの本質なのだろう。
そして、この塩椎龍王になっている“黒いヘウリア”は「私」の記憶を得なかった場合の……便宜上ではあるが「本物」のヘウリアが業障として負の側面の形として現れた存在なのだろう。多分私に言ってないだけで、モラクスが倒したのだろうか。まあそれはあとで問い詰めるとして英断だ。だって、王たちが結局死んだということを聞かされた不安定な精神状態で、黒いヘウリアが生まれて仙衆夜叉たちを業障で蝕む結果となった、とか聞かされたら全力で自殺しに行っていた自信あるもん。
で、ここからは想像だけど、多分ドットーレは黒いヘウリアの残骸が処理しきれずに埋められた場所かなんかを見つけてデミ・ヘウリアを作り出したのだろう。しかし生まれたのは、言っちゃ悪いが不完全な失敗作。断言するが、ドットーレがほしかったのは未来の知識を持つ私だ。だからその業障や各地で集めさせた遺物を使って仙衆夜叉を復活させて、私を誘き寄せる囮にした……とかだろうなあ。
「音撃打・一気火勢の型!!」
自分の塩壁で身動きが取れない塩椎龍王を太鼓に見立てて連撃を叩き込む*5。衝撃でたたらを踏んで吹き飛ぶ巨体。さらにVゴジラが追撃で尻尾を叩き込んでいる。さすが、人型に固定されているヴィーが水元素を取り込んで溢れた水スライムで肉体を構成しているだけあってかなりの質量だ。これなら……。
「ありゃ?」
待て。待て待て待て待て。いやいや、たしかに。さっき、冗談で翼があったらそれっぽいとは思いましたけど!?砕けた部位を翼として再構成してその重さを飛ばせるのは、さすがに不味いですって……!?
「潰れろお!!」
四枚の龍の翼を得た塩椎龍王の右前脚によるストンプが眼前に迫って。咄嗟に棍棒二本を合体させて変形させた大剣に炎熱を溜めて受け止めるも、質量を焼き尽くすより先に海に押し付けられ……あ、まずい。
「ぐうううううっ!?」
ドゥリン・ダスタリオの時もそうだったけど、泳げないって言う弱点はどうにかしないとなあ、と。近くの海水を蒸発させて塩椎龍王の足を両手で受け止めて苦笑するしかない。いや、この巨体の体重を全部受け止めるのはいくら神の目でパワーアップしていても無理……がふっ。
ぐしゃりと、潰れた音がした。
そんなわけで黒きヘウリアの正体は、原作へウリアの負の側面でした。どう考察してもこの結論に至って、それがこの小説の根幹と言うか、それが今のヘウリアのすぐ逃避したがる性格にも反映されてました。絶対現実逃避しまくるタイプだと思うのよね。自分の変化で起きた悲劇ばかり考えて、全部破壊してなかったことにしてしまおうとしているどうしようもない神である。
炎のヘウリアの能力は、記憶にある「炎」に関する技の再現。元々投影染みた構築能力が炎を得てさらにパワーアップしている感じ。その代わり、ヘウリアの塩像そのものを本来武器に通すものなのに元素を流す媒体にしているため、リジェネも少しずつ削れているレベルの常時スリップダメージが発生してます。ヘウリアじゃなかったら激痛で気が狂う奴。
以下定型文になりますが、割と真面目に感想に飢えているのでどしどしいただけると本当に嬉しいです。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
このヘウリアの考察は……
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あり
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なし
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別の見方にもよりそう
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めんどくさい神なのは間違いない
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鍾離先生、責任取って