塩の魔神のしょっぱい備忘録   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。前回の変更でプロットにちょっと、いやちょっとどころではない変更が出てしまったけど仕方ないね。何事もアドリブだ。

今回はペルクリ救おうの回。楽しんでいただけたら幸いです。


あの、先代召使さん思ったより強いんですが、あの

「スネージナヤの夜空には虹色のオーロラが出るんだって……大きくなったら一緒に見よう?」

 

 

 壁炉の家(ハウス・オブ・ハース)で幼少期から共に過ごしたペルヴェーレと、夢を語り合う仲にまでなった時にそう約束したのを、覚えている。だけど、私の中にはどうしても消せない実の親(お母様)という呪いがあって。「育ちの悪い花」と見下され、他の子どもたちと同じく自身のカリスマを飾る駒としか見ていなくて、幾度となく反抗や脱走を試みては失敗して激しい体罰に留まり全身キズだらけにされても、それでも母親だった。何時しか逃げ出すことを諦めて。

 

 ある日、お母様から後継者を決める旨を伝えられ、不安を拭うべく窓から外を眺めていると、海岸に人影が倒れているのを見つけて。本当は抜け出したらダメなのだけど、見過ごすことができずにペルヴェーレと共に助けて白亜と名乗った彼女を納屋に連れて行き、なんとか見つからずに戻って一息ついていた時。告げられた、お母様の後継者である「王」を決めるべく強いられた殺し合いの開始。

 

 数人しか残っていない年長組での殺し合い。剣を渡され、生き残るべく鬼気迫った表情で斬りかかってくる家族を斬り捨てることしかできない。ペルヴェーレも同じようで、自然に私たち二人が生き残る。ペルヴェーレも私も、本気を出せず幾度か刃をぶつけ合うことしかできない。だけど、このまま続けてもしびれを切らしたお母様に二人とも殺される。ならばせめてペルヴェーレが「王」になればと、この身を捧げるつもりで私はその刃を受け入れる、はずだった。

 

 

「はい、そこまで」

 

「…え?」

 

「あなた、は……」

 

 

 苦々しい顔でペルヴェーレが剣を振るう瞬間、剣を下ろして受け入れる体勢だった私の前に降り立つ白い人影。ペルヴェーレの剣先が、右手で受け止められる。海岸で倒れていた、白亜と名乗っていたあの人だった。

 

 

「他の子どもたちは救えませんでしたか……戸締り厳重すぎましたね。とりあえず、危ないので没収です」

 

 

 私とペルヴェーレから剣を奪い取り、白く輝く素手で剣身を握りしめて粉々に砕いてしまう白亜さん。なんで、と尋ねる間もなく、その場に怒りで顔を歪ませたお母様が現れた。幼少期から刻まれた「体罰される」という恐怖で怯える私を守る様に前に立つ白亜さん。

 

 

「何者だ?部外者は邪魔しないでもらおうか」

 

「ああ、失礼。恩人二人が刃物を振り回していたので止めさせていただきました。保護者の方ですか?」

 

「白々しい……私がファトゥス「召使」クルセビナだと知っての狼藉か?」

 

「この一ヶ月で「博士」と「公子」と戦ったんです。今更怯みませんよ。それに、助けてもらった恩もありますが………未来ある子供に、なにをさせた?」

 

 

 瞬間、白亜さんは目の前から消えていて。気づいたら、お母様が咄嗟に取り出した剣の刃と、キラキラ輝く何かを纏った白亜さんの拳が激突していた。見えなかった……そう唖然としていると、ペルヴェーレが手を握ってきた。驚いて見てみれば、決意に宿った目をこちらに向けていて。

 

 

「クリーヴ……もう、二度としないで」

 

「…ごめん、ペルヴェーレ」

 

 

 私達が視線を向けた先で、壁が砕け散り外に飛び出す白亜さんとお母様。一瞬だけこちらに視線を向けた白亜さんは安心させるような笑みを浮かべていて。ああ、もしかして。希望を抱いていいのだろうか。

 

 

「……頑張って、白亜さんっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ああもう、まだ出会ったばかりの私を信じてくれた!推しに「頑張って」と言われて頑張らないわけがないよなあ!召使……クルセビナとかいう名前だったはずの女を、塩を纏った拳で渾身の力でぶん殴る。

 

 

「はああっ!」

 

「なかなかやるな…!もしや、璃月でドットーレを倒したのは貴様か?」

 

「ノーコメントで」

 

「それは肯定に等しいぞ!」

 

 

 渾身の力でぶん殴ったのだが、受け身を取ってすかさず踏み込んでくるクルセビナの攻撃を咄嗟に形成した塩の剣で受け止める。やばい、なんか普通に強い。剣で受け止めてなかったら串刺しにされてた。さすがは原神でもトップクラスに強い一人であるアルレッキーノを育てた人物と言うべきか。いや、それもあるが身体の調子が悪い。もしかして体内に水が残ってて重心が変わってたりする?

 

 

「正義感から邪魔をしたというのなら、素敵な品格だ。だが、何の役にも立たない!」

 

「ぐうっ!?」

 

 

 塩の剣を弾き飛ばされ、目にも留まらぬ刺突の連撃が叩き込まれ、避けた先の岩を粉々に粉砕する。距離を取ろうとすれば一瞬で踏み込んできて一刀両断にしようとしてきて、咄嗟に軽く跳躍して足を縮めて回避。下を凄まじい勢いで斬り裂いたと思えば、私の胸ぐらを掴み地面に叩きつけてきて。咄嗟に叩きつけられた瞬間に地面に手をついて、カウンターの蹴りをお見舞いする。腹部を蹴りつけられたクルセビナは自分から後退することで衝撃を殺してあっさりと着地していた。

 

 

「凄まじい力だな。「博士」と「公子」を相手にして五体満足なのも頷ける。だが私を研究者風情と新入りと同等に見られても困るな」

 

 

 五体満足ではなかったのだけど、とは黙っておく。しかし実際、あの二人より手ごわいまである。「博士」よりパワフルで、「公子」より経験に裏打ちされた巧みさを感じさせる。怯んでいる暇があったらどんどん攻めてけ、みたいなスタンスが苦手すぎる。言いながら剣を振るのやめてくれませんかね。自動防御無かったら死んでるってマジで。

 

 

「……優先配分を致命の一撃に対して八、それ以外に対して二に修正……」

 

「何をぶつぶつ言っている!」

 

 

 言いながら、多分神の目由来であろう水の刃を形成して、突き出した瞬間刀身を伸ばして貫こうとしてきたのを、一瞬だけ塩の花弁で防いだ瞬間に身を捩って回避しつつ、距離を詰める。隠し玉まであったか、気が抜けない。だけど、今即席で塩の花弁のプログラミングを致命の一撃に対して優先するように調整した。体勢を崩すことが目的なのだろう連撃はあえて受け、本命の一撃だけ自動防御で確実にしのぐ。本命の一撃は、よほどのことがない限り全霊を込める一撃だ。それが防がれた瞬間は、必ず隙が生まれる。

 

 

「なっ……!?」

 

「そこ、だあ!」

 

 

 本命であろう渾身の一突きが、塩の花弁にぶち当たって弾かれたことで生じた隙を突き、右手に生成した槍を手に取って胸部に向けて突き出す。チェックメイトのはずだったそれは。

 

 

「があっ……!?」

 

 

 まるで蜘蛛を思わせる八つ目の仮面を付け、背中から金属の蜘蛛足を四本生やして礼装の様な刺々しい衣装に変わったクルセビナの放った、蜘蛛足の先端から射出された水流で槍ごと右手を撃ち抜かれたことで失敗に終わった。邪眼*1、かぁ……!?失念、していたぁあ……。

 

 

「まさか邪眼(これ)を使うことになるとは。今のは死を覚悟したぞ」

 

「ぐっ…!?」

 

 

 そのまま、宙に浮かび上がり次々と蜘蛛足から水流レーザーを放ってくるクルセビナ。その姿は未来のアルレッキーノの邪眼形態とよく似ているのは皮肉だろうか。あっちは炎だけど。例えるなら、前世で読んだ呪術廻戦の「穿血」が近い。それが四本の蜘蛛足から放たれつつ、さらに距離を詰めて剣を振るってくるのがやばい。

 

 

「どうした?踊れ踊れ!」

 

 

 原作のペルヴェーレは、これを使わせずに勝ってたと言う事なのかな。モラクスならこんな無様晒さなかったのに!やっぱり私二大武神じゃないと思うなあ!明らかに致命な一撃であるそれらを何とか避けていくが、水流を避けて居たら剣先が首に迫り、咄嗟に歯で噛んで受け止めなんとか斬り弾く。しかし、嘲笑を浮かべながら零距離で蜘蛛足が全て突きつけられる。終わったかもしれない。

 

 

「器用なことだが、死ぬのが少し伸びただけだぞ?」

 

「くっ……」

 

 

 もうこうなったらやられる瞬間力を暴走させてこいつ塩漬けにして二人だけでも守るか、と覚悟を決めていると。背後から、二人分の足音が。振り返ることなく、誰が駆け付けたのかを察する。ああ、やっぱり。部外者の私なんかではなく、二人の手で。呪いは断ち切るべきだ。

 

 

「受け取ってください!」

 

 

 謎空間からわざと落とした「器」から溢れた塩を使ってクルセビナとの間に大きな塩の壁を形作り、クルセビナがそれを壊そうとしている間に両手に作った片手剣二本を振り返りながら投げつける。回転するそれを、走りながらしっかり手にした二人が、それぞれ左右に分かれてクルセビナに迫る。

 

 

「こんな壁一枚!終わりだ!」

 

 

 水流で壁を崩したクルセビナが、投げつけた体勢からなんとか立て直していた私目掛けて剣を振り下ろそうとするが、その右から迫ったペルヴェーレの一閃が右腕に炸裂し、剣を取りこぼさせる。

 

 

「ぐああっ!?なんだ、痛い…?ペルヴェーレ、貴様!」

 

「その人は殺させない」

 

 

 薙ぎ払う様に振り回される蜘蛛足の攻撃を、塩の剣でなんとか耐え凌ぐペルヴェーレ。ペルヴェーレに集中しているクルセビナの背後から、クリーヴが塩の剣で背中を斬りつける。

 

 

「つう!?クリーヴ……この、出来損ないめ……よくも!」

 

「お母様。私は、貴女を倒してペルヴェーレと一緒に外に出るわ!」

 

「私も、クリーヴと一緒に生きたい…!」

 

 

 クリーヴと、ペルヴェーレの連撃が両方向から襲い掛かり、蜘蛛足を駆使して防ぎつつ剣を拾い実の娘に手をかけようとするクルセビナ。そんなこと、許さない。足元に転がっている「器」から溢れた塩溜まりを凝固させ、剣山にして足を貫き、体勢を崩させる。

 

 

「なあっ!?この私が……!?こんなことなら、娘など生まなければ……!」

 

「っ……」

 

「許さない…!」

 

 

 クルセビナの心ない言葉に涙を流すクリーヴの姿に、怒りを燃やしたペルヴェーレの塩の剣にどす黒い赤の炎が宿り、大鎌の形をとる。原作ではクリーヴの死で目覚めた力が覚醒しないか心配だったが、杞憂の様だ。

 

 

「クリーヴ、合わせてください!」

 

「うん…!お願い、ペルヴェーレ!」

 

 

 その圧倒的な力に放心するクルセビナに、チャンスと見て塩の剣を手にした私とクリーヴが蜘蛛足を斬り捨てると、私はクリーヴを抱えて後退する。遠慮なくぶちかまして、どうぞ!

 

 

「貫く…!」

 

 

 私達が背後に移動したのを確認して笑みを浮かべたペルヴェーレの、振り下ろした巨大な一撃が、絶望した表情のクルセビナを背後の壁炉の家(ハウス・オブ・ハース)諸共吹き飛ばしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後。壁炉の家(ハウス・オブ・ハース)跡地から残ってた物資をかき集めて定期船に乗り、フォンテーヌ廷に向かう私たち。ペルヴェーレとクリーヴにどうするのか聞いたら、行く当てもないしついてくると言って聞かないので、連れてきてしまった。ペルヴェーレがなるはずだったアルレッキーノはともかく、このあとにアルレッキーノに保護されるであろうリネリネ兄妹どうしよう……この二人みたいに私が保護するしかないか?

 

 

「執行官を殺したんです、お尋ね者になっちゃいますね」

 

「それでも、ペルヴェーレと一緒なら」

 

「クリーヴと一緒なら、大丈夫さ」

 

 

 手を繋いで笑い合う少女たち、てえてえ。その笑顔だけでプライスレスです。

 

 

「白亜さん」

 

「ん?なんですか?」

 

「私達を助けてくれて、ありがとう」

 

「……貴女がいなければ、私はクリーヴを殺してしまっていた。本当に、ありがとう」

 

 

 そう笑って告げた二人の笑顔が眩しくて。思わず目を背けてしまう。ああ、本当に偶然だったけど。救えて本当に良かった。

 

 

「……とりあえず、拠点をどうにかしないとですね」

 

 

 見えてきた。璃月港とは比べ物にならない大都市、フォンテーヌ廷だ。モラならあるからいい物件があればいいのだけど。

*1
ファデュイが生み出す誰でも使える神の目の様なもの。使用者の体力を著しく消耗させるなどのデメリットが存在する




最初は魔王武装にしようかと思って調べたら魔王武装はタルタリヤがスカークから教わった技と知って驚いた話をするとしよう。邪眼はともかく、神の目は動画「【原神】ショートアニメ「燼中歌」(フルver.)」にて、ペルヴェーレと戦ってる際に水の刃出してるシーンがあるから持ってると仮定してます。邪眼ってことにしてもいいかも?

白亜が全部やってもよかったのだけど、この二人の手で呪いを断ち切るべきだよなってことで、前回溺れたのを理由に弱体化。実は自分が戦うよりフォローに回る方が強かったりする。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

フォンテーヌを拠点にするヘウリア。役職は?(あくまで参考)

  • 往生堂フォンテーヌ支店
  • 特巡隊
  • スチームバード新聞社
  • 裁判官
  • 決闘代理人
  • ホテル・ドゥボールのシェフ
  • ルキナの泉の清掃員
  • メロピデ要塞の囚人
  • メロピデ要塞の看守
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