塩の魔神のしょっぱい備忘録   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごでございます。いやまさかアンケートでネタ枠として用意した「往生堂フォンテーヌ支店」がダントツで人気になるとは思わないやん。臨機応変に対応させていただきましたが。

フォンテーヌ入ってから感想減った気がしてなんかだめなところあるのかな?と悶々してたりする。今回はフォンテーヌ廷での白亜たち。楽しんでいただけたら幸いです。


ようこそ、こちら往生堂フォンテーヌ支店です

 召使撃破から一週間後。フォンテーヌ廷のそこそこ一等地の建物を一括払いで購入し、住居兼店を構えることにした。その名も鍾離の案にあやかり往生堂フォンテーヌ支店……とは名ばかりで、往生堂つまりは葬儀屋が儲かるはずがないので、手紙で胡堂主に許可を取った上で飲食店にすることにした。具体的に言うとジャンクフード屋である。キャッチフレーズは「往生するほどおいしい!」である。塩ならいくらでもあるんだ。使わないと損だ。ちなみに葬儀屋の方はむしろもういらないらしい。まあそうだよな、策謀とかマフィアが当たり前にある国だもの。

 

 なんでジャンクフード屋にしたのかというと。原神の国と文化にはそれぞれモデルがある。例えば璃月は古代~中世の中国。モンドはドイツを中心とした中近世西ヨーロッパ。稲妻は江戸時代の我らが日本。で、フォンテーヌはフランス・イギリス・イタリアを中心とした19世紀後期の西ヨーロッパだ。で、イギリスは郷土料理が不味いと有名であり、ジャンクフードが好まれている。

 

このフォンテーヌ廷はレストランはいくつかあるのだが、ほとんどが上流階級が嗜む「美食」である。格安の地下の食堂とかもあるけど。なので、基本薄味しか食べてないらしい庶民用にジャンクフード専門店を用意して見たのだ。これが思ったより大盛況。なんなら見下そうとしてきた上流階級の方々まで食べたことのない罪な味にぐうの音も出なくなる。わかる、ジャンクフード美味しいよね……あまりに恋しくてフライドポテト作ったもん私。こうしてみると、ファンタジー世界に現代知識持ってくると無双なのは道理なんだなあ。

 

 

「いらっしゃいませ!往生するほどおいしい!往生堂フォンテーヌ支店へようこそ!」

 

「お待たせしました……チーズバーガーセットです。ご堪能あれ」

 

 

 大盛況の理由はそれだけではない。なんと、行く当てもなかったので連れてくことにしたペルヴェーレとクリーヴがW看板娘をしているのだ。もちろん衣装は壁炉の家(ハウス・オブ・ハース)のものではなく、一応往生堂ということで胡桃と同じ服である。正直、眼福です。

 

 クールな美形のペルヴェーレと、天真爛漫な笑顔が可愛いクリーヴ、正反対の二人だが仲がいい親友。クリーヴの方は料理が下手なのが玉に瑕だがむしろ私が料理に集中できるし、たまにペルヴェーレも厨房に入った時にそつなく一人で接客をこなせるので普通にありがたい。あと、たまに出る暴漢も私が出るまでもなくすぐさま制圧してしまうのもポイント高い。お給料弾むからね!たまに私目当てで来るもの好きがいるのはちょっと予想外だが。

 

 

「二人とも、材料がなくなったので店じまいにしましょう」

 

「はーい!」

 

「わかりました」

 

 

 で、毎日材料はちゃんと仕入れているのだが、夕方になるかどうかぐらいで完売するのが常で。そこから先は自由時間だ。クリーヴは最近はまっている七聖召喚*1を、ペルヴェーレは思うところがあるのか料理の研究に精を出している。クルセビナのところでは自由を奪われてたらしいから楽しいならとことんやらせてあげたい。資金ならいくらでもあるし豪遊させたい。そんな二人を家に残し、私は夜になるたび真夜中のフォンテーヌ廷に繰り出していた。

 

 

「路地裏……地下街……ううむ、リネとリネットはいずこ……」

 

 

 目的は、ペルヴェーレを救い出してしまったがためにアルレッキーノが誕生せず、最悪野垂れ死ぬ可能性が出てきた双子、リネとリネットの捜索である。幼くして両親を亡くし路頭に迷っているという生い立ちで、マジシャンの手口を観察することでその技を盗み、路上でショーをすることで生計を立てていたらしい。

 

 で、私が危惧しているのはそのあとの出来事だ。マジシャンの腕を買われてある貴族の養子になることになったのだが、その貴族というのがリネのことをマジシャンの腕を利用し社交界でコネを広げるための駒としか思っておらず、その上リネットを他の貴族へ売り飛ばしており、その事を聞いたリネはリネットのいる貴族の邸宅へ侵入すると、貴族は既に"召使"アルレッキーノ……つまりペルヴェーレの手で始末されていた。

 

 アルレッキーノはリネットや他の監禁されていた少女らを解放し、リネの養父も始末すると、兄妹をお互いの利害のためとして、自分が「お父様」となり再編した壁炉の家(ハウス・オブ・ハース)に迎え入れた……というのが、彼等の過去。そして、それはこれから起こりえる出来事のはずだった。しかし私の介入でアルレッキーノが誕生せず、このままではリネは使い潰され、リネットは最悪貴族の慰み者にされてしまう。そんなこと許せるはずもなく。今日も今日とて捜索中、というわけだ。

 

 

「誰も孤児のことなんか気にしないというか、手掛かりがなさすぎるんですよね……」

 

 

 ここフォンテーヌは、正直言って私個人としては嫌いな国である。正義という理念を掲げるだけに、他の六国より発達した法制度と司法の下で厳格な統治が敷かれる法治国家ではあるのだが。最大の特徴は罪を裁く行為である「裁判」がエンターテインメントとして大衆化されていることであり、「裁判という舞台」が見世物になっているのだ。その観客の民意も最悪の一言であり、まともな人間なら嫌悪感を抱いて当然と言える。

 

 まあ、裁判を見せものにすることで「正義への信仰心」を“律償混合エネルギー”という資源に変換する機関“諭示裁定カーディナル”によって繁栄を享受している国だから仕方ないと言えばそうなのだが。しかし見栄えだけは七国トップクラスに美しく、絵画のようであるのだが綺麗なのは表だけであり住民間の格差も二極化しており、中心都市フォンテーヌ廷は華やかな街並みとなっているが、薄暗い地下水道や郊外などには貧民街が形成されている、一言でいえば「ディストピア一歩手前」の国なのだ。「第三者という対岸から、強者の失態を笑い、弱者の惨状を哀れむ」という、前世のマスメディア社会の負の側面を感じさせる民意は、プレイヤー視点からしても最悪だった。いい人もいるのだけどね?

 

 そんな国の孤児の扱いは、言うまでもないだろう。誰も気に留めない、その程度の存在なのだ。まあそんな国だから往生堂フォンテーヌ支店は繁盛してるのだから皮肉なのだが。リネットは確か食いしん坊だったと記憶してたから、美味しそうなもの売ってればそのうち顔を出すだろうと思ってたのだがなあ。

 

 

「ここにもいないとなると、不味いですね……」

 

 

 地下水道にある「サーンドル河」というスラム街まで足を運んで捜したのだが、双子の目撃情報は一切出ない。どうしよう。私のせいであの二人がひどい目に遭うとか後悔してもしきれないんですけど……いやでも、あそこでペルヴェーレとクリーヴを見捨てる選択肢なんか取れるわけないしなあ!そう悶々としていると、背後に気配。

 

 

「へへへっ……なにかお困りかい?お嬢さん」

 

「小綺麗なアンタみたいな人がこんなところに来るもんじゃないぜえ?」

 

「俺達が手取り足取り教えてやるよぉ?」

 

「うわっ。絵に書いたような悪人ですね」

 

 

 振り返ると、もうなんかいかにもな黒服を着た男たちがいて。浮浪者ではない、小綺麗だし。でも親切心で声かけたわけじゃないのはわかる。だってあまりにも下卑てるし。フォンテーヌ廷に複数あるマフィアの一つの構成員とかなんだろうな。

 

 

「ひどいなあ。俺達は棘薔薇の会(スピナディロースラ)のもんだ。悪人じゃないんだぜ?」

 

「な、な。悪いこと言わないからついて来いよ。ロシっていう気持ちよくなれるクスリがあるから、さ?」

 

 

 棘薔薇の会(スピナディロースラ)。ロシ。気になる単語が聞こえた。双子の方が優先だがそれも放っておけない。絶対こいつら棘薔薇の会(スピナディロースラ)の人間ではないけど、とりあえずついていってロシを確保した上でボコるか?めんどくさくなってそう思い始めた時だった。

 

 

「やめなさい。どこの者かは知らないが、淑女を相手に三人がかりとは、みっともない」

 

「なんだぁ?おい、おっさん!俺達を棘薔薇の会(スピナディロースラ)の者と知って……」

 

「お、おい!こいつは、棘薔薇の会(スピナディロースラ)の……」

 

 

 そこに現れたのは、整った身形の赤いシャツに黒いベストを着込んだ眼帯の男。後ろに同じような服を着たメガネをかけた壮年の男と、赤っぽい髭を蓄えた男がいて。この二人、若いけどマルシラックとフローレントだ。ってことは、その二人を従えているこの人は……。

 

 

「私はカーレス・カスパールだ。棘薔薇の会(スピナディロースラ)にこのような下賤な者たちがいたか?マルシラック」

 

「いいえ?ボス。末端まで全て記憶していますが、存じておりません」

 

「フローレント。我々がここに赴いた理由は何だったかな?」

 

棘薔薇の会(スピナディロースラ)の名を騙り密売している連中を見つけるためです、ボス」

 

「そのとおりだ。さて。弁明はあるかな?」

 

「く、くそっ!捕まってたまるか!」

 

 

 そう眉をよせて尋ねるカーレス・カスパール……ナヴィアのお父さんに、拳銃を手にするチンピラたち。私は咄嗟に一番近くにいた男に塩をまぶした裏拳を頬に叩き込んで殴り飛ばすが、残り二人までには届かない。

 

 

「遅い!」

 

 

 しかし、カーレスは片手剣を取り出すと、顔の前でまっすぐ構えてから目にも留まらぬ刺突を叩き込み、男一人を武装解除。それに怯んで慌てて逃げ出した最後の一人は、マルシラックとフローレンスに道を阻まれ、降参した。さすがは武闘派お嬢様のお父さんだ。クロリンデみたいな動きだった。

 

 

「失礼。淑女(レディ)の手を借りてしまうとは。貴女はたしか、最近できた往生堂フォンテーヌ支店の店長さんですね?しかし、このような所に何故?」

 

「……訳あって、孤児の双子を探しておりまして。手を貸していただけたり、します?」

 

「事情を聴いても?」

 

 

 まさか、ここで接触できるとは思わなかったけど渡りに船だ。一刻を争う。リネとリネットを見つけられるといいのだが。

*1
スメール発祥のカードゲームで、世間では新機軸の札遊びとして広まっている。ぶっちゃけると原神版遊○王




往生堂(ジャンクフード店)。看板娘がペルクリなのもあるけど、絶対人気出るよね。

原作突入前の超重要人物、カーレス・カスパール登場。ナヴィアのお父さんです。正直この人に会うためにフォンテーヌに来たと言っても過言じゃない。

フリーナとヌヴィレットも早く出したいけど、まずリネリネが本当に急務。時限爆弾みたいなものである。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

怒涛のフォンテーヌ編。誰視点を見たい?

  • フリーナ
  • ヌヴィレット
  • ナヴィア(15歳)
  • クロリンデ(16歳)
  • タルタリヤ(14歳)
  • シュヴルーズ(17歳)
  • エスコフィエ(16歳)
  • リオセスリ(18歳)
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