塩の魔神のしょっぱい備忘録   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。なんかいつの間にかお気に入り1000人超えてました。本当にありがとうございます。これからも頑張らせていただきます。

今回は恐らく待望のあの人物が登場。正直口調でめちゃくちゃ苦戦した。楽しんでいただけたら幸いです。


グロシをかかげよ!を生で聞きたい第二の人生でした……

 翌日。カーレスと話し合いして、棘薔薇の会(スピナディロースラ)のメンバーが手がかりを集めてくれているのでいったん帰ることにした私は、往生堂フォンテーヌ支店の厨房で今日も今日とて料理していた。いやしかし、「まさかあのヘウリアなのか…!?」「なんで二大武神のヘウリアがここに!?」とカーレスに質問攻めされた時はどうしようかと。むしろヘウリアだと名乗っておいた方が未来視える云々も直ぐ信じてもらえたかもしれない。私そんなに璃月の外でも有名なんですかね…?

 

 

「ペルヴェーレ、ハンバーガーできたので五番席に持って行って……ん?」

 

「了解した。…どうした?」

 

「いや、なんか人だかりができてるなあ、と」

 

 

 私からハンバーガーを受け取ったペルヴェーレが首を傾げる向こう、店先が異様な人だかりができている。なんだあれ。うちのお客さんじゃないみたいだし。すると、店先で呼び込みしていたクリーヴが「大変大変!」と飛び込んできた。

 

 

「どうかしましたか?クリーヴ」

 

「白亜さん大変!あの、あの、水神様が……」

 

「水神?」

 

 

 え、嫌な予感しかしないのだが。と、歓声の声援を受けながら扉を開ける少女が一人。一挙手一投足がまるで演技の様な洗練された動き。どこを切り取っても絵になるその姿は、生粋の大スター。前世においても原神キャラトップクラスの人気を誇る、正義の国フォンテーヌに君臨する俗世の七執政が一柱、水神フォカロルスその人。フリーナ・ドゥ・フォンテーヌが、来店した。

 

 

「やあやあやあ!コホンッ!なにを、ボーっと突っ立っているんだい?嬉しさのあまり、言葉も出なくなったのかな?そう、この僕こそが、フォンテーヌで知らぬ者はいない大スター、フリーナだ。最近できたばかりのここが人気だと聞いてね!この僕が、フォンテーヌで知らないことなどあってはならないだろう?な、の、で!僕直々に来てあげた、というわけさ!」

 

「ははあ。それはそれは、ぜひお食事していってくださいフリーナ様。クリーヴ、奥の席に案内して。ペルヴェーレは、お食事なさらない方々にはお帰りを」

 

「は、はい!」

 

「承知した」

 

 

 クリーヴが案内し、ペルヴェーレが民衆を帰らせるのを横目に見ながら、冷蔵庫から取り出したパティを焼いていく。ついに会ってしまったか。フォンテーヌにいる以上、何時か遠目で見ることはあるんだろうなあとは思っていたがまさかあっちから来るとは。しかし、私の魔神の気配を感じ取ってすぐにきた雷電将軍と違って、間近にいるのにも関わらず、気付いた様子が見えない。演技している可能性もあるが、私がヘウリアだと気付いてないってことはやっぱり、そうなのだろう。たしか苦手なものは創作料理、だった気がするけど、ハンバーガーって大丈夫なんだろうか?塩だけなら自信あるんだけど。この子にはできるだけ悲しい思いしてほしくはないからなあ。なんなら愛でたいまである。餌付けできたりしないかな?

 

 

「ううん、実に(かぐわ)しい香りだ。肉に乗った脂が弾けて焼ける音もまるで僕を歓迎する喝采の様だ!店の雰囲気もいい、素晴らしいよ!店主!」

 

 

 なんか、待ち時間が居た堪れなくなったのか褒めれるところを見つけて褒めてきてくれるフリーナ。まあ実際肉の焼ける音は前世でもASMR*1になってたからな。わかる。細切りにしたポテトをさっと上げて、前もって「器」から出したものを小分けにして瓶に入れておいた塩を振りかける。少々雑だが、まあ問題ないはずだ。水神様が相手なので、いつも通りクリーヴかペルヴェーレに任せることなく私自ら皿に乗せお洒落な串を刺したそれを持っていく。

 

 

「お待たせいたしました。本店自慢の看板商品。ハンバーガー&フライドポテトのセットとなります。サービスで搾りたてのバブルオレンジジュースもどうぞ」

 

「これは……カリッカリに焼いたパンでハンバーグやトマト、レタスを挟んでいるのかい?色合いも綺麗で美しいね!だけど見た目だけ取り繕うのは誰にでもできる。問題は味さ。500年ありとあらゆる美食を味わってきたこの神の舌を、満足させられるかな?」

 

 

 そう言いながらハンバーガーを小さな口で一口、頑張って頬張るフリーナ。リスみたいでかわいい。見た目だけなら取り繕うのは誰にでもできる、ね。自虐に聞こえるのは気のせいかなあ。

 

 

「もぐもぐもぐ……ごっくん。むっ!これは……」

 

「如何でしょうか水神様」

 

「お、美味しい……繊細な味わいというわけじゃない、むしろ雑な……しかし食材の味そのものを、塩が引き立てている…!」

 

 

 なんか放心している様子のフリーナに、安堵する。スイーツ好きの舌に合うかなって心配してたけど、やはりジャンクフードは偉大。凄い勢いでパクパクとハンバーガーを完食したフリーナは、ポテトにも手を出して至福の表情を浮かべている。よし、胃袋勝ち取ったり。内心ガッツポーズをしていると、ブンブンと頭を振って体裁を取り戻すフリーナ。もう遅いと思うけど黙っておくね。

 

 

「うむ……コホンッ!納得したよ。これは確かに人気が出るのも頷ける味だった。それに店員全員が僕に匹敵するとは言わないけど、それでも美女揃いというのもいい!どうかな、店主。三人揃って演劇に出てみる気はないかい?」

 

「従業員二人は美人ですけど、私なんかとてもとても。大変光栄なのですが、お断りさせてください」

 

「そんなことないよ!白亜さんも綺麗なんだから!」

 

「クリーヴの言う通りだ。自覚を持ってほしい」

 

 

 クリーヴとペルヴェーレはあんまり目立つとファデュイに見つかる危険性もあるからやんわりと断っておくと、なぜかクリーヴとペルヴェーレが反論してきた。しかも、フリーナ以外のお客さんまで頷いている。よく見たら棘薔薇の会(スピナディロースラ)の制服を着てる人もいるね?

 

 

「ははっ!仲がいいのはよきことだね!満足したよ店主。また来るよ、ぜひ君の名前を聞かせてほしい」

 

「光栄です水神様。私は白亜と申します」

 

「ハクア!響きがいい!気に入った!えへん、コホンッ!僕のことはフリーナと呼んでくれたまえハクア!では親愛なる諸君、また会おう!水神は、クールに去るのさ」

 

 

 そう言いながら多い気がするモラを置いてフリーナは去っていった。チップだと思ってありがたく受け取っておこう。さて、と。フリーナの皿の後片付けをしていたら棘薔薇の会(スピナディロースラ)の人がこちらに目配せして出て行ったのを確認し、私はエプロンを外した。

 

 

「クリーヴ、ペルヴェーレ。作り方はわかりますよね?あとは任せます」

 

「白亜さん?それはいいですけど……」

 

「どこに?」

 

「ちょっと、依頼の品を受け取りに?」

 

 

 そう告げて裏口から外に出て、路地裏に移動してきた棘薔薇の会(スピナディロースラ)の人と合流すると、そこで気付く。この人、若いけどシルヴァだ。未来におけるナヴィアの側近の一人だ。

 

 

「白亜さんですね?ボスからの伝言です。“61番地の屋敷に依頼の品を確認。先日の場所にて合流次第、突入する”とのことです」

 

「こんな白昼にですか?いえ、急いだほうがいいですしね。わかりました」

 

 

 そう告げると、シルヴァは一礼して去っていった。先日の場所とは、サーンドル河のあの部屋だろう。急ぐとしよう。あ、そうだ。謎空間から例のものを……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コンコン、とノックする。するとチェーンロックがかかったまま少しだけ開き、中の人物が私を視認すると一度閉めて、チェーンロックを外した音と共にまた開き、中に入る。さすが、徹底してるなあ。

 

 

「お待たせしました」

 

「いや、使いを出してから一時間も経ってない。さすがだ、白亜殿。……その恰好は?」

 

「ああ、一応これでも店主やってるので、目立たないように変装を。仮面もありますよ」

 

 

 中に入るとカーレスとマルシラック、フローレントがいて。怪訝そうに眉を顰めるので仮面を取り出して見せる。今の私の服は、真白空我真君の時のものの上からフォンテーヌ風の蒼い外套を羽織ったものである。端から見ると変態?それはそう。悲しいけどこれしか正体隠す服ないんだもの。

 

 

「それは真白空我真君…!まさかそれも、貴女だったと……?いや、貴女の正体を考えれば当然か」

 

「畏まらないで欲しいんですけど……」

 

「貴女ほどの人に敬意を払うなという方が無理な話だが……貴女が言うならそうしよう。だがその恰好はいささか不味い、璃月出身だと正体を明かしているようなものだ。世を忍ぶように服を用意しておいた、ぜひ着用して見てくれ」

 

 

 そう言って差し出されたのは、棘薔薇の会(スピナディロースラ)のスーツだった。え、いいんですか!?地味に憧れてたから感激である。カーレスに促された奥にあるカーテンで仕切られたところまで行き、遠慮なく着替える。なんか咳払いが聞こえたけどまあ気のせいか。

 

 

「まず、確認だ。君の秘密を共有しているのは私だけなのは変わらない。マルシラックもフローレントも承知の上で、私のパトロンとして君を認めている。だが今回はかなりの力を持つ貴族が関わっている。悪い噂も絶えない人物だ。故に私は棘薔薇の会(スピナディロースラ)の人員で既に屋敷を気付かれないように取り囲ませている」

 

「それは、両方ですか?」

 

「ああ。ガブリエール商会のマーセルが顧客だったらしくてね。そこから特定した。既にパーティーでマジシャンを披露した少年を養子として紹介していたらしいんだ。間違いない」

 

「では……!」

 

「少年を養子にした方の貴族は逃げられない様にしたうえで、先に少女を買い取った方に我々で攻め込む。用意させた写真機で証拠写真を取ったうえで制圧できればベストだ」

 

「了解です」

 

「だが、君にも立場があるだろう。故に君には棘薔薇の会(スピナディロースラ)の一員「ザルツ」と名乗り振る舞って欲しい」

 

「ザルツ、ですか」

 

 

 たしかドイツ語で塩だったかな。私にぴったりと言えばそうである。ちょっときつい黒服を身に着け、黒いズボンに革靴を履き、手袋をはめ、サングラスをつけて丸帽子をかぶり、胸を張る。あ、ボタンがとれた。付けなおさないと……よし。いつもと違う黒づくめで私がヘウリアだとは誰も気づくまい!

 

 

「ボス。これはこれで目立つのでは?」

 

「さっきの変質者な格好よりはマシだろう?」

 

「大変な方をパトロンにされましたね、ボス」

 

「何か言いました?」

 

 

 まあいいや。待っててリネとリネット。絶対不幸になんかさせてやらないんだからな!

*1
「Autonomous Sensory Meridian Response」の略称で日本語に直訳すると「自律感覚絶頂反応」つまり心地よい音を聴いて楽しむ行為のこと




ヘウリアは新衣装「棘薔薇の会(スピナディロースラ)のザルツ」を手に入れた!絵がないから変わっても何ともって感じですけど。絵心無くてすまない本当にすまない。でもちょうど執筆中にテレビ放送してたドラえもんの映画を見てちょっと勇気は出た。

フリーナ参戦!ハンバーガーは絶対喜ぶと思うんだ。むしろもっと太ってもいい。あまりにも華奢すぎる。幸せ太りして、どうぞ。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

怒涛のフォンテーヌ編。誰視点を見たい?

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