塩の魔神のしょっぱい備忘録   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。原神で使いたい情報が間違ってないか調べるので一日使ってる気がします。正直バイオとかも書きたいのだけど今作を書く筆が止まらないから仕方ないね。特にフォンテーヌは地理が難解。

 今回はついに参戦、あの男。楽しんでいただけたら幸いです。


待った!異議あり!異議ありったら異議あり!

 リネットたちにもみくちゃにされる中、塩漬けになった部屋が地上についたようなので、このままじゃ出られないのでとりあえず足元から塩を吸収していく。私の体が塩ゴーレムだからできる荒業だ。質量が増えてしまうのが若干嫌だが。この量を吸いこんだら、まあ間違いなく太ったように見えるだろうなあ。なんか嫌だから、胸とかに集中させとこ。塩が全て私に吸収されていく様を見て、目をキラキラ輝かせる子供達。

 

 

「おねえさん、めがみさま?」

 

「そんな大したものじゃないですよ。こいつどうしましょうかね?」

 

 

 吸い込む過程で塩の流れに乗って落ちてきたお貴族様を見下ろす。原作通りにするなら、アルレッキーノの様に始末するべきだ。マシナリーの燃料にされて身の回りの世話をされてたとは聞いたが、それ以上のこともしている可能性もある。だけど、なあ。できることなら、人殺しはもうしたくないのだ。見れば、マシナリーの残骸に子供達を縛っていたワイヤーがあるのを見つけた。

 

 

「とりあえず、ワイヤーで縛って、と。皆さん、外に出ましょうか」

 

 

 ワイヤーでグルグル巻きにして、俵担ぎする。ついでに作業台の引き出しを漁って巨大クロックワーク・マシナリーの設計図を見つけて回収しておいて子供たちを引き連れ、出口らしき密閉扉を蹴破って外に出る。ここは……地図で言うフォンテーヌ廷の左上辺りだろうか。緑の草地を押し上げてシェルターみたいになってる。よくもまあこんな大仕掛けを。そう感心していると、無線に着信。どうやらあのボス部屋は通信が遮断されてたみたいだ。

 

 

《「ヘウ、ザルツ!やっと繋がった!無事か!?」》

 

「あ、カーレスさん?私は無事です。巨大クロックワーク・マシナリーが相手でしたが何とかしました。全部で四人、子供を保護しました。場所わかります?わかりませんよね、えっと……多分、パレ・メルモニアの裏側の郊外に当たる場所です。子供たちの回収をお願いします。私はこのまま、もう一人をしばきに行きます」

 

《「待て、少し問題が起きている。一度戻って……」ツー、ツー、ツー……》

 

 

 とりあえず伝えるべきことは伝えて通信を切り、子供達に向き直る。リネット含め四人とも不安げだ。まあたしかにここに置いていくのは正直、思うところはあるがリネの方も問題なのだ。どうしたものかと悩んでいると、リネットがおずおずと私の服のすそを掴んできた。

 

 

「あの……私、お兄ちゃんがいて……そのっ」

 

「うん。実はね、お姉さん貴方達双子の兄妹を前に見たことがあってね?マジックショーのファンだったんだよ?」

 

「そうなの…?」

 

「そう。最近見かけないから心配で、ボスに言って探してたんだ。お兄ちゃんも悪い人のところにいる、違う?」

 

「うん……お願い、お兄ちゃんも助けて…っ」

 

「お姉さんにまっかせなさい。それでね、みんな。ここで待っていたら私と同じ服を着た仲間が来てくれるはずだから、その人たちが来るまでこの悪いおじさんを見張っててくれる?君達にしかできないの」

 

 

 そう精一杯笑顔を演じながら問いかけると、四人とも力強く頷いてくれた。強い子達だ。リネット含めて孤児だったっぽいかなこれは。うーん、ペルヴェーレとクリーヴ以外もうちの店に入れるといいんだけど。ワンチャン孤児院作る?

 

 

「じゃあ、行ってくるね!」

 

 

 目の前に聳え立つフォンテーヌ廷を取り囲む壁を見上げ、跳躍する。これぐらいの高さならひとっ飛びできる。太陽が落ちて夜になっててよかった、さすがに昼間だと目立つし。なんか下から「おおー!」と歓声が上がってた。可愛いなあ、胡桃や昔の甘雨を思い出すや。でもリネットには不安が見える。すぐ安心させてあげるからね。

 

 

「たしか、ここ!」

 

 

 壁の上を走ってショートカット。件の貴族がいる建物を見つける。周囲に棘薔薇の会(スピナディロースラ)の制服を着た人たちが上から見えた。ああして見張ってるなら、派手に行ってもいいかな?その建物の上にお洒落な天窓を確認。助走をつけて跳躍し、放物線を描いてホールインワンで天窓に飛び込む。

 

 

「ダイナミックお邪魔します!」

 

「え!?」

 

「なんだあ!?」

 

 

 窓ガラスが飛び散り、ちょっと幻想的な光景が広がる。天窓の下は広間だったらしく、天窓からちょっと離れたところに頭を抱えて蹲るリネットと瓜二つな金髪の少年と、乗馬鞭らしきものを手にして振りかぶっている小綺麗な格好の男がいて。リネに言う事を聞かせるために打とうとしていた?許せん。

 

 

「な、なんだ、貴様!棘薔薇の会(スピナディロースラ)か!?」

 

「ごきげんよう。わたくし、棘薔薇の会(スピナディロースラ)のザルツと申します。こうしてお邪魔させていただいたのは、その少年を買い取ろうと思ってのことでして」

 

「ふざけるな!」

 

「モラなら用意してきましたよ?」

 

 

 そう言ってモラの入った小袋を取り出してじゃらじゃらさせると、目の色を変える男。わかりやすい。この男は原作からして金稼ぎが目的なのは目に見えてたから一応用意してきたものだ。放り投げると、男はあっさりそちらに気を取られて。その一瞬を突いて肉薄。リネに危害が及ばない様に襟を掴んで持ち上げ、慌てて乗馬鞭を振るおうとする男の腹部にミドルキックが突き刺さり、壁まで蹴り飛ばす。

 

 

「がはあっ!?」

 

「え?え?」

 

 

 耐え切れず、泡を吹いて白目をむき気絶した男を見て目を白黒させるリネを下ろす。恐らくリネットを捜しに行こうとして、そうはさせないとばかりに甚振られたのだろう。服がボロボロで傷が痛々しい。

 

 

「リネット……貴方の妹さんの頼みで助けに参りました。彼女は無事です、今は私の仲間が保護してます」

 

「リネットが……そうか、よかった……本当に……」

 

「すぐに合流しましょう。おや?カーレスから?」

 

 

 安堵して胸をなでおろしたリネを連れて去ろうとすると、また通信が入ったので、報告も兼ねて出る。外に待機している人員から聞いたのだろうか。

 

 

「はい、こちらザルツ。リネを助けま―――」

 

《「すぐそこから逃げるんだ!彼が来る!」》

 

「え?」

 

 

 その言葉と共に、凄まじい重厚感のプレッシャーが襲い掛かる。リネを庇う様に、天窓に向けて構える。いつの間にか、人影が差していたそこから、ゆっくりと舞い降りてくる人物。……いやいや、それはダメでしょ。

 

 

「不躾ながら一つ訪ねたい。ここで、なにをしている?」

 

「最高裁判官様こそ、このようなところでなにをなさっているのでしょうか?」

 

 

 その人物……フリーナに次ぐ地位に立つ最高裁判官、ヌヴィレットは杖で床を突いて無表情を向けてきた。

 

 

「不審者の、取り締まりだ。ガラスの割れる音を聞いてきたわけだが。見たところ……器物損壊罪、住居不法侵入罪、暴行罪、子供の誘拐未遂……といったところか。棘薔薇の会(スピナディロースラ)の者らしいが、……言い逃れはあるかね?」

 

「異議あり!誘拐はしてません!」

 

「それ以外の罪は認めると?」

 

「えー……あー……はい……」

 

 

 だめだ、ヘウリアの性分が正しくあろうとしてこんな時に限って嘘を付けない!だって私自身これが犯罪ではあるって思ってるもの!それに今の不自然な間。これ正体ばれてるなこれ。

 

 

「リネくん、出口はわかる?」

 

「え、あ、はい…!」

 

「ごめんだけど、1人で行ってくれるかな?私と同じ服を着た人たちがいるはずだから、その人に言えば妹と会えるはず」

 

「お姉さんは?」

 

「全力で、お姉さんを執行する!行って!」

 

 

 渋っていたリネの背中を押し、外に向かわせる。部屋の外に出たのを確認し、私は謎空間から落とした仮面を手に取り、サングラス越しに顔に被る。真白空我真君である。まだ私の素顔は割れてない、往生堂フォンテーヌ支店との関与さえ疑われなければ、なんとか…!

 

 

「正直、驚嘆した。私から逃れるために子供を盾にすると思っていたのだが」

 

「そんな外道はしませんよ。そもそもあの子を助けに来ただけですので。私が棘薔薇の会(スピナディロースラ)ではないって、よく気づきましたね?」

 

 

 これはハッタリだ。なんとか棘薔薇の会(スピナディロースラ)も無関係だったということにする。今この時点で私とカーレスの関係を知られるわけにはいかない。

 

 

「今更さらに顔を隠したところで、君の正体は分かっている。最近璃月で復活したとされる塩の魔神ヘウリアだろう。先日の孤児院倒壊の現場に塩の残骸が落ちていたのを特巡隊*1のシュヴルーズが発見した。関与を疑うのは当然だ」

 

「いいえ?私は真白空我真君ですよ?」

 

「下手な嘘だな。フォンテーヌにまで来て何のつもりだろうか。フリーナ殿から七執政の座を奪い取る腹つもりか?」

 

「そうだと言ったら?」

 

 

 ヘイトを私だけに向けさせるために挑発する。万が一にも飛び火してはならない。最悪、私だけが犠牲になるのも辞さない。もうリネリネ兄妹も助けたから、あとはマーセルのことぐらいしか心配事もないし。ペルヴェーレとクリーヴも私がいなくても元気に生きていけるだろう。最悪フォンテーヌ編の筋書きが崩れるかもだけど、まあなんとかなるはずだ。そう考えていると、わかりやすく眉間にしわを寄せ、右手を構えるヌヴィレット。その背後に水の未完成の後輪が現れ、じわじわと円を描いていく。あ、それは不味い。

 

 

「フリーナ殿の脅威は、私が排除する」

 

「待った!本当に待った!」

 

 

 さすがにそれは本気出し過ぎじゃなかろうかと全力で制止するも、有無も言わさずヌヴィレットの代名詞であるハイドロポンプと称される極太水流が放たれる。いつも撃つ方だったからわからなかったけど迫力が段違いである。私死ぬんだぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれ、私生きてる?なんで?恐る恐る視線を前に向けると、予想外の二人が立っていた。ヌヴィレットも予想外の様で、ハイドロポンプをいったん収めている。

 

 

「……何者だ」

 

「私は、ペr「私達は!通りすがりの……えっと、仮面騎士よ!覚えておいて!ね、ね!」……だそうだ」

 

「なんで、二人とも……?」

 

 

 壁炉の家(ハウス・オブ・ハース)の黒服を身に着け、それぞれ槍と剣を手にして、手作りと言うか急造品と思われる紅い三日月を模した仮面と青い太陽を模した仮面をつけた、ペルヴェーレとクリーヴがそこにいた。いや本当に何で!?

*1
フォンテーヌの行政府パレ・メルモニアにて警察業務を担う執律庭の実行部隊。警察隊と区別されており、凶悪犯への対処を主とする武力による鎮圧能力に秀でた少数精鋭の集まり




水龍、話を聞いて、怒らないで(字余り)~ヘウリア心の俳句~

リネを救出したのも束の間、ヌヴィレット参戦。どうやら孤児院崩壊の時点で目を付けられてた模様。

ピンチのヘウリアのもとに参戦、ペルクリ。なんで現れたのかは次回にて。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

怒涛のフォンテーヌ編。誰視点を見たい?

  • フリーナ
  • ヌヴィレット
  • ナヴィア(15歳)
  • クロリンデ(16歳)
  • タルタリヤ(14歳)
  • シュヴルーズ(17歳)
  • エスコフィエ(16歳)
  • リオセスリ(18歳)
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