あの人と再会する話。楽しんでいただけたら幸いです。
本日は晴天なり。青空が綺麗な昼、私はフォンテーヌ廷をぶらついていた。目立たない様に
「といっても、この時期だとあまりそそられないんですよね」
フォンテーヌ廷の名物と言えば、なんといっても最上層に位置するフォンテーヌの行政府パレ・メルモニアだろう。フリーナやヌヴィレットの住居でもあるそこは、フォンテーヌ廷の象徴と言ってもいい。まあでも中は基本的に用がある人しか入れないので外から見るぐらいしかできないから別にいいや。
次にスチームバード新聞社。シャルロットが所属しているところだが、10年前だから多分いないはず。てかいないのは、新店舗である往生堂フォンテーヌ支店に取材に来たのが別の人間だったから確定してる。シャルロットなら絶対来るって確信あるし。たしか取材してきたガラノポロスという記者は「草原の記者」の異名を持つ有名人らしいが……そんなキャラいたっけ?*1
次にホテル・ドゥボール。エスコフィエが料理長を務めていた、芸術を愛する支配人が頻繁に公演を主催している高級レストランだ。原作だとリネとリネットが普段そこで公演してたんだとか。なんか若い天才シェフが現れたとか噂を聞いたので多分エスコフィエはいるだろうけど、「科学料理」の提唱者であり「分析」「抽出」「調合」を隙の無い理論で展開する彼女にはうちは良く思われてなさそうだから正直会いたくない。*2
個人的に外せないのは、アパレルショップ千織屋。稲妻出身の新進気鋭のアパレルデザイナー・千織が運営し、フォンテーヌの流行の発信源となっている服屋である。しかし原作であったと思われる場所には別の店があったので、10年前なこともあり残念ながらまだ開店もしてないらしい。たしか目狩り令の時期にフォンテーヌに来たとか聞いた気がする。私は悲しい。
ゆっくりするならオープンカフェのカフェ・リュテスがいいかもしれない。ゲームだとフォンテーヌ廷で唯一だった気がする料理できる場所だ。デイリークエストでもたまにお世話になる。うん、そこがいいな。たまにはゆっくりコーヒーでも味わおう。
「んなぁーん。あ、白亜さんだ!こんにちは!」
「こんにちは、ご苦労様です。綺良々さん」
向かう道中で、宅配箱を被ったネコ箱急便形態になっている顔見知りと出くわしたので挨拶する。稲妻の配達会社である
「よく私だとわかりましたね?」
「格好は違うけど白亜さんは、なんて言うんだろう?爽やかな匂いだからすぐわかるよ!それにしても、大盛況だね!往生堂フォンテーヌ支店!今後とも狛荷屋をご贔屓に!高評価、お願いします!」
「もちろんですよ。元気いっぱいで仕事も完璧、大変よろしい!」
「えへへ、照れるなあ……あ、そうだ。白亜さんから頼まれた贈り物、往生堂にちゃんと届けました!最初迷っちゃったけど。飲食店じゃないとは思わなくて二度見したよ……」
「あ、それはなんか、申し訳ありません?」
「私は気にしないんですけど!往生堂の娘さん?から言伝を預かってます!えーっと、「フォンテーヌからのお客さんがみんながっかりするんだけど!白亜姉さん帰ってきたら覚えててよね!」とのことです!妹さんです?」
「
一応雇い主である胡堂主の娘さんなので、さすがにフルネームである
「じゃあ言伝も伝えられたので、仕事に戻ります!」
「気を付けてくださいねー」
ぼふんと煙と共に、宅配箱を被ったネコ箱急便形態となり、とてとてと歩いていく綺良々。はあ、本当に可愛い。いやー、推しと出会えるとは素晴らしい休日だ。こんな日のコーヒーは実に美味しいに違いない。そんなことを思いながらカフェ・リュテスまでやってきてコーヒーと適当な茶菓子を注文。席について待っていると、影が差す。なんだろ、雲でもあるのかな?と上を向く。じっとこちらを見下ろすヌヴィレットと視線が合う。私はそっと目線を逸らして、メニューで顔を隠した。
「さーて、なにを選びましょうかねー!」
「残念ながら、先ほど注文していたところは見ていた」
「いたんですか!?」
たまらずメニューから顔を出してツッコむ。やめてほしい。周りがざわついている、そりゃそうだ。
「相席、よろしいかな?」
「どうぞ。最高裁判官様。なんでこんなところに?」
「公務の息抜きをして来いとメリュジーヌ*3たちに追い出されてしまった。一週間ぶりかな。ヘウ……いや、この名で呼ぶのはよそう。たしか、はk」
「えへん!おほん!この格好の時はザルツとお呼びください」
この格好で白亜と呼ばれるのは不味い。さっきの綺良々の時は世間話だからよかったのだが、この人と一緒にいるとどこにパパラッチがいてもおかしくない。警戒しといて損はない。
「失礼した、ザルツさん。子供たちは元気だろうか」
「すっごく元気ですよ。あの時のリネとその妹は店で預かってます。手伝ってもらってますが、労働基準法には当てはまらないはずなのでご安心を」
「それはよかった。私も君を裁きたくはない。そうだ、裁きといえば最近、以前裁いたことのある少年が爵位を得てメロピデ要塞の管理人となった話は知っているだろうか」
「いえ、聞いたことありませんが……それがなにか?」
「その少年も元孤児で、人身売買を行っていた貴族の夫婦に引き取られて、耐え兼ねて計画的に殺害したという居た堪れないものだったと記憶している」
それで思い出した。ヌヴィレットが言っているのは、メロピデ要塞の公爵ことリオセスリのことだ。そうか、管理人になったのはこの時期なのか。
「……聴取をしたところ、リネ君を引き取った例の貴族も金儲けに利用するために孤児を引き取り、リネ君の妹は実際に別の貴族に売られたと確認が取れた。その別の貴族は匿名のタレコミで捕縛された状態で見つかり、アルケーを利用した兵器に転用していると判明した。君があの場で踏み込んでなければ最悪、リネ君が第二の少年になっていたかもしれない、とそう思ってね。私のしたことはむしろ、個人的な敵意による余計なことでしかなかった。そのことを謝罪したかった」
そう言って頭を下げるヌヴィレット。どよめく周囲。コーヒーを運んできたマスターも何事かと驚いている。貴方の頭はそんな軽々しく下げていいものじゃないでしょうに!あーもう、本気で悔いて悲しんでいるのか雨が降ってきた!*4
「頭を上げてください!?悪評が広まったらどうするんですか!?」
「しかし、あのまま踏みとどまらなければ私は君達にもリネ君にも決して消えない傷を……」
「気にしてませんから!あれは私の方にも非がありましたし、私は貴方の正体もなんとなくですが*5察しがついているので理解もします!あのままやられていても文句は言いませんでした!なので、頭を上げてください!」
「ザルツさん、貴方は……評判に違わず優しい人のようだ。私は、なおのこと、面目ない……」
「ああもう!水龍!水龍!泣かないで!だれかー!メリュジーヌの方ぁ!」
その後、豪雨で野次馬が退避する中、巡回していたメリュジーヌが慌ててやってきてヌヴィレットを慰めた。落ち着いたらスン……って綺麗に晴れるのはさすがに面白すぎて笑った。それを見てヌヴィレットも何を勘違いしたのか満足そうにしてたからまあいいとして、これ以上めんどくさいことになる前にコーヒーだけいただいて茶菓子は持ち帰り、その場で私達は解散した。
帰宅中にびしょ濡れになってしょんぼりしてた綺良々を見かけて慌てて一緒に店に連れてってペルヴェーレとクリーヴの即席ドライヤーで乾かしてもらった一幕があったのはいいとして。翌日、スチームバード新聞社にしっかり私に頭を下げるヌヴィレットを激写されていた。おのれマスコミ。ゆるさん。
メリュジーヌには知られてるみたいだけど、伝説任務見た感じ昔から見た目変わってないみたいだけどヌヴィレットって民衆からはどういう扱いされてるんだろう。
シャルロット、エスコフィエ、千織、綺良々、リオセスリについて言及させていただきました。今やってるアンケートだとタルタリヤとシュヴルーズ以外は20ぐらいで一定数人気あるみたいだし一個一個書いていくのありかもしれないと思い始めてる。需要あるのかな。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
怒涛のフォンテーヌ編。誰視点を見たい?
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フリーナ
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ヌヴィレット
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ナヴィア(15歳)
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クロリンデ(16歳)
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タルタリヤ(14歳)
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シュヴルーズ(17歳)
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エスコフィエ(16歳)
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リオセスリ(18歳)