コロンビーナ(一凸餅武器)も茲白(無凸餅無)も無事確保できまして。鐘離先生だけ引けなかったのマジで悔やまれる。
わかりやすくするために脚注もつけてみました。ではどうぞ。
フリーズ状態から立ち直った*1モラクスが、私の住むところを用意してくれるというので、お言葉に甘えて待っている間に、かつての私の都市を訪ねることにした。璃月辺境、地中の塩である。この体でもある程度は使える権能を用いて海の上を歩いて*2辿り着いたそこは、原作での封印された
「……なんでぇ?」
地中の塩へ続く大穴がある島を囲む様に点在する小さな島を基盤にして板や石で足場が広がっている港町みたいな集落になっていた。しかも、地中の塩へ続く大穴はご丁寧に石段が作られて原作の様に飛び降りることなく行き来できるようになっている。しかも、集落跡地とかそんな寂れた感じでもなく、なんか立派な港もあって賑わっている。なんか観光地っぽい扱いをされてるらしく、璃月以外の国の服装がちらほら見える。なんなら原作ではうろついていた魔物の姿もまったく見えず、千岩軍*3が十数人配置され警備していた。なんで???
「おや、お客さんかい?これはこれは、すっごく別嬪さんじゃないか!」
「なんだって?おや、本当だ。塩華女帝が絵から飛び出してきたかのようだ!」
「ここの名物……といっても璃月中にあるが、揚げ切り芋はいるかい?」
「あんたも、
「失礼。なんて言いました?」
目立たない様に海上から陸地に移動した私を見咎めた人々に囲まれる。今の私は生前の私と大差ない見た目のはずだから、平々凡々なはず*4なのだがなにがこんなに目立っているのか。ちゃんと服は往生堂のもの*5を借りたのに。かつての私が広めた
「おや、知らないのかい?ここは塩ヶ宮。塩華女帝が統べた都市の跡地にして、お隠れになられた場所さ。その都市の最後の王に殺害されてなお、璃月中の人間の信仰は残り続け、その意を汲んだ岩王帝君の一声で塩華女帝を祀る場所として建造されたのさ。なにせここは塩華女帝の加護が残り続ける聖なる土地。魔物は近づくことすらできないから、第二の璃月港と言っても過言ではない場所なんだよ」
「へ、へえ……」
なにそれ知らない。モラクスから何も聞いてないぞ。それに、私を刺した*7王たちは塩像になることはなかったようだが、結局土地に私の力が残ってるってこと?魔除けの塩、なんて嘯きながらベビーヴィシャップ*8を追い払ったりしてたけど、そんな効果ないと思うんだけど……。
「ちょっと失礼……」
愛想笑いを浮かべながら、物陰に隠れる。どうしよう。まだモラクスが回収してないっぽい聖遺物を回収しに来たのにこんなに人がいたら目立ってしまう。さすがに復活したと知られたら「なんで岩王帝君と同格のつもりでいるんだ、ああん?」とか「こんな貧弱な女がオセルを倒したとか嘘八百じゃねえか!」とか責められてしまう……*9。
「……あ、そうだ」
元々大したことない権能は全然ないけど、ここに歩いて来た時のように
「おい、アレを見ろ!」
「なんだ?水の上に人影?」
「さっきの彼女に似ているような……?」
「いや、あの子は黒い服を着ていたが、あの人影が着ているのは純白の衣だ…!」
「あの純白の絶世の美女はまさしく……!」
「もしや、塩華女帝……!?」
「まさか、お隠れになったはずでは!?」
「海上を歩くだなんて、伝説は本当だったんだ!」
「なぜここに!?」
「奇跡だ、奇跡が起きたんだ……」
「ありがたや……」
「なんて美しい……」
海上に私の形をした塩人形を浮かばせただけなのに、なにこれぇ…?ま、まあいいや。気が逸れている間にそそくさと、階段を使わせてもらいましょう。
かつての都市、地中の塩……と呼ばれるはずだった場所に訪れる。「器」と「定規」は死ぬ直前の私が鎮座したその姿のまま残っていた。いずれ旅人とその相棒とモラクスと私の民の末裔とファデュイ*10の小物の一行が回収すると思って残したのに、またこの手に渡ることになるとはなあ。
「保存状態は……よし。思ったより古びてないですね」
モラクスの加護でもあったのだろうか。塩の魔神の私の聖遺物だから、なんか錆びてそうと思ってたのだが。とりあえず、この世界の人間誰でも使える謎空間にポイッと「定規」をしまう。ゲームでどこからともなく武器や璃月百法通則*11とかを取り出してたあれだ。これがすごく便利で重宝してる。四次元ポケットみたいなもんだからなあ。あとはこの「器」を使って、力の回復を……。
「さて、回収できましたし誰かに気付かれる前にお暇を……おや?」
すると、複数人の足音が聞こえた。外、この都市に繋がる洞窟からだ。ふむ?千岩軍がここまでやってくる理由はないはずだ。前世ばりにセンサーとか仕掛けているなら脱帽だけど、この世界の科学技術は……もとい、璃月の科学技術はそこまで発展してないはずだ。スメールとかフォンテーヌとかスネージナヤはワンチャンありそうだから怖い。そうでないとしたら、残りは……騒ぎに便乗して盗みを働きにきた不届きもの。これだろう。
「むっ?我ら以外に侵入者…!?何者だ!」
「ずっと見張っていたヘウリアの墓に隙ができた千載一遇のチャンスだと思ったのに…!」
「まあ、予想通りと言えば予想通りですね」
そこにいたのは、デットエージェントと呼ばれるフードを被った黒衣が特徴の顔全体を覆う仮面の男と、
……私の墓なんて荒らしたところで特に財産も何もないのだが。ファデュイは暇なのだろうか?*12
「何者だと、聞いている……!」
「動かないでよね。もう既に私達の
そう言われたので視線を横に向けると、雷蛍という紫電を纏った虫型の魔物が私を囲む様に飛び交っていた。さてどうしたものか。
「答えないつもりならまあいい。動けなくしたうえで、我々が荒らしたあとの下手人になってもらおう……!」
「オッケー!もっと派手にやろう?」
瞬間、雷蛍術師が手にした紫色に光るランタン(?)をかかげると、それを合図に一斉に襲い掛かる雷蛍。それを私は、手にした純白の片手剣を振るって切り刻んだ。おや一撃とは。こんなにもろかったっけ?
「え、はあ!?そんな武器、どこから……」
「お前は下がれ!そんな剣……!」
デットエージェントの振るった三日月の刃であっさり砕かれて白い欠片となって散る片手剣。そのまま返しの刃が私を狙うも、手にした槍の柄で刃を受け止める。今度は
「なんだ、お前は……なんなんだ!?」
「今の私は……うーん?往生堂の客卿ってことになるんですかね?そう言えば名前も新しく考えないとですか」
都市の入口に陣取った雷蛍術師が雷蛍を次々と嗾け、デットエージェントが連撃を叩き込んでくるも、槍を演舞の様に振り回して迎撃していく。何時の世も遠距離が面倒だな。どうしたものか。
「よっ、はっ、とっ」
ならばと、私は「器」を斜めに傾けるとそこから零れ落ちた塩を操り、三日月を模した私の身の丈はある大弓を形作ると、片手で端を持った槍を振るってデットエージェントを薙ぎ払う。
「ぐはっ!?」
「な、なによ……なんなのよお前ぇえ!?」
「ただの、最弱です」
そのまま槍を三日月弓に番えると、私は右足で地面を踏みしめたまま左脚を伸ばして三日月弓を支え、狙いをつけて発射。放たれた槍は空中で分解して変形し複数の矢となり、雷蛍術師は弾幕を受けて怯む。よし、あとはデットエージェントを……おや?
「気絶してる……当たり所が悪かったのかな?」
見れば、雷蛍術師も引っ繰り返っていて気を失っている様で。これでファデュイの精鋭だとか、心配になりますね。この騒ぎはさすがにバレると判断、私はそそくさと外に出て、「器」から出した塩の波に乗って空を舞う。これなら下からは私の姿も見えないし、バレないバレない。
「塩華女帝だ!塩華女帝が再臨なされた!」
「ありがたやありがたや……」
「おい、誰か倒れているぞ。それに、聖遺物がない…!」
「すぐに璃月七星に知らせを!」
なんか下が騒がしいけど、私なんかの聖遺物がなくなったぐらいで
「塩華女帝が現れた、国宝をファデュイに盗まれたと大騒ぎなのだが、何か知らないか?ヘウリア」
「国宝って何のことです?」
モラクスがめちゃくちゃ見てくる。いや私は塩華女帝でも何でもないし、国宝なんてマジで知らないんですけど。
これで最弱を名乗る魔神がいるらしい。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。