なんかお気に入りが今日だけでえらい増えてるなと思ったら日刊24位にノミネートしてたようで。ありがとうございます、今後とも頑張らせていただきます。
今回はナヒーダとヘウリアの話。楽しんでいただけたら幸いです。
「っ……!」
突然出くわしたナヒーダに指フレームを向けられ、せめてものの抵抗と目を瞑って最悪の事態を想像して固まっていると。特になんも反応が無くて首を傾げながら目を開ける。そこには、指フレームをしながら唖然としているナヒーダがいた。
「え、なぜなの……?なんで、貴女の心が何も見えないのかしら…?まるで、淀んだ水たまりをかき混ぜたかのように濁っていて何も見えないわ……?」
「はて?」
私の心が読めない?あー、もしかしてあれかな。私があくまで本体から分離した端末みたいなもので魂の欠片しかないから、心がないのか。理屈じゃ語れない存在になってるっぽい?不幸中の幸いか、助かったぁ。
「そんな警戒しないでください。私は味方です。ナヒーダ……草の神クラクサナリデビですよね?」
「わたくしの名前を知っている人間がいるはずがないわ。わたくしはこれまで500年近くも幽閉されていたのよ?どうやって……」
「いやあ、それはぁ……」
どうしよう。完全に警戒されちゃってる。ナヒーダがサポートタイプじゃなかったら元素爆発飛んで来ててもおかしくないぐらい警戒されてる。と言うか多分、外に出たばかりで戦い方わかってない奴だなこれ。
「……わかりました、素直に話します。私は塩の魔神ヘウリアの分体です。心を読めないのは、多分本体がここにいないから……ですかね?」
「ヘウリア…?聞いたことないのだわ……」
「あ、その反応新鮮で嬉しいです。何故か無名のはずの私を知っている人が多くて多くて……で、私がナヒーダの名前を知っている理由ですか。えーと、んーと」
「……まあいいわ。不審点はいくつかあるけれど、貴女から敵意は感じないもの。あの蟲の魔神……アトラスの手の者じゃないのね」
「むしのまじんあとらす?」
なんだそれ。マジで初耳なんじゃが、原作にそんなのいたっけ。スメールの魔神は草神、花神、
「本当に何も知らないみたいね……私は彼女の手から逃れた時、心を読めたの。それによれば、かつて彼女は配下の蟲を操りスメールを不毛の土地に変え、
「ああー」
勘違い、するだろうなあ。マハールッカデヴァータとナヒーダは、なあ。しかしなんだそのバケモノ。そういやたしか、煙の魔神シトリウスがナタから隣国スメールじゃなくて璃月に来てたけど、もしかしてそいつがいたから逃げて来たんじゃ……。
「復活に関しては、私は知ってます。恐らく、ファトゥス第二位【博士】の仕業です。彼は魔神の残滓を利用して復活させ、人造魔神なる手駒にしています。既に二例、私は相対しました。恐らくそのアトラスも【博士】の仕業かと……」
「そんな恐ろしい人間がいるのね……どこの国の人間かしら」
「……多分、スメールなんですよねえ」
「え、わたくしの民なの!?」
ドットーレ……本名であるザンディクは少なくとも500年以上前の教令院の学生で、妙論派に所属して研究していたが、倫理観を無視した非人道的な研究内容ゆえに追放されて、そのままスカウトされファトゥス入りしたとかなんとか。よく考えて見なくても、第一位がカーンルイア人の生き残りで、第三位が月の女神なのに、第二位のドットーレだけ少なくとも出身はただの頭がいいだけの人間なんよな。なんなんだあいつ。
「それは……人造魔神の被害者に申し訳がないわ……」
「閉じ込められてたナヒーダは関係ありませんから気にすることないですよ。では、どうします?そのアトラスがいない……例えばフォンテーヌとかに貴女を逃がすこともできますよ。ナヒーダを閉じ込めようとする賢者のクソ共もいません。失敬、汚い言葉が出てしまいました」
「よそから来たのに、なんでそんなに賢者に刺々しいのかしら…?いえ、貴女の不思議は気にしない方がよさそうね。決まっているわ、私一人だけでも、アトラスを止める。スメールを滅ぼさせたりなんか、させない」
「……ああ、それでこそナヒーダです」
そうだ、このまだ幼い容姿の神はそう言う人だ。逃げてもいいのに。誰も非難する権利なんかないのに。「先代の死の証明」「先代の加護が未だこの地にある証」とされて人間に欲されず見捨てられ、終いには密室に500年も閉じ込められてただその力だけを搾取され続ける電池の様な扱いを受け、教令院の情報統制により彼女への信仰と希望は民の間からは見る間に風化していき現代の民のほとんどから「いるだけの神」扱いされてなお。そんな現実にも異論を唱えず、孤独の闇に胸を焼かれながらも、彼女は立ち止まること無く役割を全うし続ける……そんな、神様の鑑だ。思わず涙がこぼれる。
「どうしたのかしら?いきなり、泣き出して……」
「……いえ。貴女のその心に、感動したのです。ナヒーダ、微力ながら私が貴女の矛となります。その知恵で、私を導いてください」
「えっ……いいの?わたくしには、マハールッカデヴァータほどの知恵は存在しないわ……」
「私はマハールッカデヴァータの代わりではない、ナヒーダ……貴女自身に協力したいのです。私では頼りないでしょうが……」
「いえ、いえ。そんなことはないわ。マハールッカデヴァータみたいに、花神やキングデシェレトと協力はもうできないから、たった一人で立ち向かわなきゃいけないのだと、思っていたの。初めて知ったわ、ヘウリア。1人じゃないって、こんなに頼もしいのね」
ぎゅっとしていいだろうか。花の様な可憐な笑みを浮かべるナヒーダに、真顔でそんなことを考えていると。メキメキ、ズドン!と多分木が倒れる音が聞こえて。
「強盗ですの!助けてくださいまし!ええい、役に立たない護衛ですわね!安いからってケチるんじゃなかったですわ!モラは死守しますの!そもそもこんなバケモノがここらへんに出るとかそんな情報聞いてませんことよ!?だぁあああぁあぁぁぁれかぁああああ!たぁあああすけぇえええてぇええええええくぅうぅうだぁああさぁああいまあしぃいいいいいいっ!?」
もうなんか、聞き覚えしかない金切り声が鳴り響く。このアドリブ満載の妙に耳に残る声は…!
「ナヒーダ、しっかり掴まっててください」
「え?なにするつもりかし、らぁあああ!?」
ナヒーダをおんぶして、余ってた布でおんぶ紐の如く固定。ナヒーダが状況を把握する前に、走り出す。一気に速度出し過ぎた、ナヒーダ舌を噛んでないよね?と心配しながら駆け抜けると、河川の傍の道で、小柄な桃色の髪の少女が、大荷物を背負ってる状態で、もうなんか巨大な百足に見えないバケモノに追いかけられていた。なんだあれ!?テイワットに虫は何種類か*1いるにはいるけど、虫の魔物みたいなのはいなかったはずなんだけど!?
「あれがアトラス!?」
「いいえ、違うわ!あれは、アトラスの生み出した魔物よ!恐らく、わたくしを探すために……」
「それ便利だね!」
指フレームで巨大百足の心を読んだらしいナヒーダの言葉に返しながら、跳躍。飛び蹴りを巨大百足の横面に叩き込んで蹴り飛ばす。当社比三倍の塩を詰め込んだ特製の体の質量、なめないでくださいよ。
「ああ!神様、草神様、岩神様!!天の助け!感謝感激雨霰ですわ!モラならいくらでも払うから助けてくださいまし!……あ、やっぱりいくらでもはだめで、そこは要相談と言いますか、あのでも、助けてくれたらこのドリー・サングマハベイができるかぎりのお礼をいたしますの!「ちょっと気が散るから黙って」はいですの……」
やっぱりドリーか。10年前でも背丈そんな変わらんな。ここでこのモラ至上主義の商人に出会えたのは運がいいかもしれない。まあそんなの関係なく、人助けはするのだが。
「お願い、戦って…!わたくしの、1人目の賢者…!」
「待って、それは10年後まで取っといて!?」
少ししまらないながらも、スメールでの最初の戦いが始まった。
他のゲームだとわりかしいる虫型モンスターがボス含めて一匹もいないのは、なんか理由があるのかなと勘繰っていたり。今作では、蟲の魔神のせいで駆逐されたとかそんな感じの理由にしてます。
ヘウリア、ナヒーダに1人目の賢者認定されるガバをしてしまう。ナヒーダ視点からしたら孤独な闇に突如落ちてきた光だから仕方ないね。
ドットーレよく考えなくてもアイツだけ異常だと思うんだ。「雄鶏」「富者」は知らんけど他の執行官特殊な生い立ちばかりなのに一人だけ純人間だし。それで二位ってすごすぎないかあいつ。キャラとしては嫌いだけど悪役としてか設定は好きです。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
スメールにてヘウリアに関わって欲しい人(年齢は憶測含まれていて、また既に出会うことが決まってるキャラもいます)
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アルハイゼン(15歳)
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カーヴェ(17歳)
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セノ(16歳)
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ティナリ(15歳)
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ファルザン(110歳)
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ニィロウ(9歳)
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ディシア(18歳)
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キャンディス(18歳)
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ドリー(19歳)
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ドニアザード(12歳)