塩の魔神のしょっぱい備忘録   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。朝起きて、日課のUA確認を寝ぼけ眼でしてたら、なんかえげつない数が見えて慌ててランキング確認。10位に見覚えのあるタイトルあって眠気が吹っ飛んだ話をするとしよう。

今回はヘウリアとナヒーダとドリーのお話。一応「崩壊:スターレイル」未履修の方にはネタバレがあるのでご注意をば。楽しんでいただけたら幸いです。


あの、お隣さんの宇宙から来てません?

 ナヒーダを背中に紐で固定しておんぶしたまま目の前の巨大百足からドリーを庇いつつ、私を形成している塩から一部を抽出して大剣にして構える。今までの敵と違って、前情報が一切ない。ついでに言うと、今まで「器」とか海とかを利用してた外部からの塩がここには一切ないので、この身に詰まっている見た目の三倍以上の量の塩でどうにかするしかない。いやん、ハードモード。

 

 

「お願い、戦って…!わたくしの、1人目の賢者…!」

 

「待って、それは10年後まで取っといて!?」

 

 

 背中のナヒーダの言葉に思わず気を取られながらも、突進を受け止める。あの、その称号は10年後の旅人にとっておいてほしいんですが!あれ私がスメール編で一番好きなまである名シーンなんですが!ええい、鬱陶しいな百足の分際で!大剣を振り回し、節足の甲殻に弾かれる。見た目通りの堅さだ。ならばと、節々を狙って巨大百足の頭部を斬り落とす。しかし、ずるんと翠の……緑じゃなくて、宝石みたいな煌めきがあるエメラルド色というべきか……体液と共に、新たな頭部が生えてきた。

 

 

「面倒な…!」

 

 

 斬っても斬っても切断面から頭が生えてくるとかどうすりゃいいんだこれ。百足は確かにしぶとさはGと並んで一級品だけどさ!

 

 

「ヘウリア!その怪物に草元素を付与するわ!炎か水か雷……なにかないかしら!?」

 

「あ、それは助かります!」

 

 

 すると私におんぶ紐で背中に括りつけられてるナヒーダが指フレームを向けて、元素スキル【所聞遍計】を使用。付与された【蘊種印】が可視化される。ナヒーダは何と言ってもこれが強い。雑に使って交代して草元素と反応できる元素を叩き込むだけでいい。そして私の「塩」は、草元素を弱体化させる。

 

 

「蔓延りなさい」

 

塩撫(しおなで)!」

 

「ギギッ…!?」

 

 

 【蘊種印】が付与され草元素付着状態になった巨大百足に、大剣を右斜めに叩き込んでぶった斬る。今度は甲殻まで脆くなって防がれなかったそれは、斜め一文字に巨大百足をぶった斬り、沈黙させる。なるほど、頭だけ再生できるだけだったか。原作に出てないだけあって弱いな。キノコンの方が厄介まであるぞ。……その茸を操れる茸の魔神【キノコの賢主】ビフロンスの方がアトラスとかいう蟲の魔神よりヤバいって結論でいいな、よし!

 

 

「すごいわ……炎でも水でも雷でもない……岩元素に近いけど、これは……塩かしら?」

 

「派手じゃなくて申し訳ないですが、これが私の精一杯となります」

 

「あわ、あわわわわわわわわあああぁわああぁあわわわわっ!?」

 

「「!?」」

 

 

 塩の大剣を体内に取り込みつつ、興味深そうに考えるナヒーダに笑顔を向けていると、背後から妙に耳に残る金切り声。あ、忘れてた。振り返れば、腰を抜かした様子の、10年後の胡散臭さは少なくなり逆にあどけなさの残るドリーが、目を白黒させていた。

 

 

「ももももぉしかぁしてぇ!岩神モぉラクスぅ様と並ぶ二大武神にして、無限の富を生み出すとされる塩ん華女ぉ帝でぇはないでしょうぉおおおぉか!?」

 

「人違いです」

 

「違うわ。この人はヘウリアと言って、わたくしの1人目の賢者よ」

 

「それも違いますナヒーダ」

 

「またまたぁ。ヘウリアというのは塩華女帝の別名でぇすわ!最近復活なされたと聞・い・て!何時ぅかその恩恵をぉっ!いただぁきたいっと!つぅねづねぇっ(常々)思っておりました~のっ!」

 

「そうなの?ヘウリア」

 

「待って、本当に待って」

 

「そ・れ・に!そんな塩華女帝と対等、いやそれ以上の間柄の様に接する貴女様はもしかしてもしかしなくてももしかすると、クラクサナリデビ様ですわ!?わたくし、あなたの宮殿を気に入りましたわ!いくらなら売ってくださりますの?いずれわたくしの住まいとして、適正価格で買い取らせて……」

 

 

 興味津々なナヒーダと、欲に(まみ)れたドリーに板挟みにされてしまう。確かによく考えてみたら換金できる塩を無限に生み出せる私とか、ドリーからしたらモラクスの次に信仰されてもおかしくないや。いや貴女スメールの民ですよね?……うん?スメールの、民?嫌な予感がして、ドリーの耳に注目。緑色に輝く光。あっ。

 

 

「失礼!」

 

「わきゃー!?塩華女帝に襲われますの~!」

 

「いきなりどうしたの、ヘウリア!?」

 

「ええい、艶やかな声を出すな!大人しくしなさい!」

 

「あっ、あっ、優しくしてくださいましぃ……」

 

「だから、勘違いされそうな声出すのやめなさい!?」

 

「勘違いってどういう事かしら?」

 

 

 何故か顔を赤らめているドリーと取っ組み合いになりながらそれを奪おうと暴れる私。ナヒーダは純粋なままでいてね!ようやく取れた、耳にかけられた木の葉型の小さな機械「アーカーシャ」。失念していた。原作でもセノが無自覚にスパイにされてたように、これを付けて得た情報は教令院に筒抜けになってしまう。最悪だ。「失踪したクラクサナリデビ=ナヒーダの居場所」「私こと塩の魔神ヘウリアがナヒーダと共にいること」が多分バレた。原作のナヒーダなら逆にこれを介して使用者を乗っ取ることもできるが、今のナヒーダにそれができる確証はない。厄介すぎる。

 

 

「ふんっ!」

 

「ああっ!わたくしのアーカーシャ……計算にすっごく便利でしたのにぃ……」

 

 

 私が握りつぶしたアーカーシャの残骸にすすり泣くドリー。便利だろうけど、マジでこれだけはやめといたほうがいい。これつけてたら、知らず知らずのうちに夢を搾取され脳を酷使されるとかいうクソアイテムだ。

 

 

「どうせ無料でしょう、ただほど怖いものはないんですよ!」

 

「塩華女帝の金言っっ!目から鱗ですの!真理でして~よ!家訓に致しまぁすわ!」

 

「こうなったらドリーも共犯です!一緒にクラクサナリデビ誘拐犯として、逃げましょう!」

 

「え?……え?申し訳ございませんわ、耳にゴミでも詰まってぇいるのか、よぉく聞こえませんでしたのぉ……」

 

 

 さすがに、スメールで指名手配されろと言われてドリーも困惑している様だ。仕方ない、手段を選んでいる暇はない。

 

 

「モラなら払うので私達の共犯になりなさい」

 

「なぁりますっ!ならせてぇ、いただきます~の!」

 

 

 今回は長丁場になると思って、結構な額のモラと、もしもの時用の換金用の塩袋は何個か持ってきてるんだ。それ全部使ってでも、ドリーを雇うのは割に合う。滅茶苦茶騒がしいし胡散臭いが、払ったモラ通りの仕事はしっかりこなす女だ。たまにケチるけど。

 

 

「ヘウリア?何をそんなに焦っているの…?」

 

「今壊したアーカーシャは、教令院に情報を送るんです。貴女の居場所がバレたに等しい。すぐにでも追手が来ます。ここから離れて、安全な場所を探しましょう。……また、幽閉されていいのなら別ですが」

 

「それは嫌……わたくしはもう、籠の鳥でいたくない……」

 

 

 私の問いかけに、悲痛な顔でそう答えるナヒーダ。ごめん、さすがにノンデリ*1だった。

 

 

「ドリー、何処か信用できる宿か……いや、アーカーシャを使ってる可能性が高いのでそれはやめといたほうがいいか。人気(ひとけ)が少ない雨風凌げる場所、どこか知りませんか?」

 

「それならば!この近くに洞窟がありましてよ!そこなら、拠点にできると思いますわ!」

 

「よし、ではそこに……」

 

 

 無駄に重そうな荷物を背負いなおしたドリーの案内でその洞窟に向かおうとしたその時。雲一つなかったはずの青空に、影が差す。見上げれば、それはいた。五メートルはあろう巨体で、でかーい!説明不要!な豊満な肉体を覆う黒緑色を基調とした昆虫めいた甲殻鎧を身に纏い、額から巨大なカブトムシの角が生えた腰まで届く赤い長髪に白目が黒い緑色のツリ目の女。いやいやいや。なんだこの、同じ会社の別作品の未知なる宇宙の星々を巡る旅路に繰り出すスペースファンタジーRPG*2に出てくる【繁殖】の使令(スキャラカバズ)の擬人化としか言いようがない怪物は!?出るゲーム間違えてるでしょ!?あれの並行同位体みたいなものだったら、マジで勝ち目ないんだけど!?

 

 

「配下がやられたから何かと来てみれば……見つけたぞ、草の神……随分と探した!ああ、待ちきれない!お前のその柔肌が!我が牙で食いちぎられるその光景を!」

 

「蟲の魔神、アトラス……逃げてっ!ヘウリア、ドリー!」

 

「ひぇえええええっ!?お助けですのぉおおん!?」

 

「やっぱりこいつが…!ソルトスプラッシュ!」

 

 

 手加減無用と判断し、岩すらぶち抜く私の最高火力である散弾版ソルトスプラッシュを叩き込むも、その甲殻に弾かれビクともしない。うわ、マジかぁ。さすがに使える量に限りがあるとはいえ、それでも本気だったのだがマジかぁ。……誰か蛍!じゃない、ホタルを連れてきて!?いやホタルも幸せになって欲しいからやっぱり来ないでぇ!?

 

 

「なにかしたか?虫けら」

 

「逃げるんだよぉ!」

 

 

 苛立ちのままに、右手に握ったカマキリの鎌の様な武器を振り下ろすアトラス。ただの一振りで空気が裂かれ、その先に遭った森が真っ二つに切り裂かれてずり落ちていく。それを見るなり、ナヒーダをおんぶしつつ、ドリーを右手に、ドリーの荷物を左手に握って、全速力で駆け抜ける。こんなバケモノいるなんて、私聞いてない!本当に聞いてない!塩の軍勢使っても勝てるか微妙!助けて本体!

*1
デリカシーがない人

*2
もしかしなくても崩壊:スターレイル




崩壊:スターレイルのタグをつけるべきか滅茶苦茶悩んでる今日この頃。というわけで、前回当たり前のように配下を生み出してた蟲の魔神アトラス。その正体はスタレの週ボスの一人であるクローンの大元たる【繁殖】の使令スキャラカバズの並行同位体です。雷電将軍と黄泉みたいな関係です。
 つまり、ガ チ モ ン の 大 厄 災 。隊長すら命の危険を感じたショットガンソルトスプラッシュがまるで効かないチートっぷり。知能があるからまだ抑えているけど、その気になったらテイワットの危機。これを復活させた奴はマジで大戦犯なんですがどこの誰なんですかね(すっとぼけ

ドリー書くの楽しいけど同時にすっごく難しいっていう。アーカーシャ周りも含めてすぐ詰む要素多すぎなスメールよ。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

スメールにてヘウリアに関わって欲しい人(年齢は憶測含まれていて、また既に出会うことが決まってるキャラもいます)

  • アルハイゼン(15歳)
  • カーヴェ(17歳)
  • セノ(16歳)
  • ティナリ(15歳)
  • ファルザン(110歳)
  • ニィロウ(9歳)
  • ディシア(18歳)
  • キャンディス(18歳)
  • ドリー(19歳)
  • ドニアザード(12歳)
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