塩の魔神のしょっぱい備忘録   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。昨日腰をやって毎日投稿を途切れさせただけでも申し訳ないのに、今日は腹を壊してろくに執筆できずこんな時間……体調管理度下手くそで誠に申し訳ない。

今回のタイトルは某ボカロ曲から。ファルザン先輩の音MADいいよね。そして今回は、これまでにまして捏造要素があります。なぜってファルザンが閉じ込められてた遺跡情報がいくら調べてもなかったから僕の考察を持ってくるしかなかったのだ。楽しんでいただけたら幸いです。


アルティメットファルザンパイセン

 無事千尋の砂漠入りはしたのだが、当初の目的地だったアアル村はこのままいけば不味いかもしれない。なにせあそこはキャラバン宿駅に一番近く、そして狂学者(グラマパラ)*1が送られる場所でもある。つまり、教令院のお膝元だ。自分たちから捕まりにいくようなものである。まだ行くわけにはいかない。ので。

 

 

「うう、足が砂に取られて歩きにくいわ……」

 

「何度かフィールドワークに来ているとはいえ、同感だナヒーダ」

 

「そうですの?わたくしは、むぅしぃろぉ!慣れていますがぁ?」

 

「はいそこ、自分より背の高い年下にマウントとらない。急ぎますよ」

 

 

 目指すは北の大きな盆地になっているエリアだ。昔、ファルザン先輩が閉じ込められていたというキングデシェレトの遺跡がどこなのか、と考察したことがある。原作時間軸に置いてまだ解放されてなかったスメール砂漠の遺跡は本当に多い。その中でも、キングデシェレトの文明が地上に残されていて、最初は流砂みたいになっていたエリア「砂ノ目」がある。目指すは聖顕殿……がまだ現れてないあのエリアだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「暇じゃー、暇じゃのう……外ではどれぐらい経ったじゃろうか……こぉーんなに目立つ場所にある遺跡に誰も気づかないなんて、節穴じゃのぉー!……はあ」

 

 

 ここに閉じ込められてから何十年経過したのか。キングデシェレトの遺跡を見つけたからと迂闊に踏み込んだせいで流砂に飲み込まれ、地下深くに眠る遺跡に落ちてしまうとはなんたる不幸なのか。散々探索したが出口は一切存在しない。恐らく、外で何かしらの仕掛けを解いたら封印から解かれる遺跡が、経年劣化かなにかでできたひずみに落ちてしまった、のだとは思うが。

 

 救いは食料も水も取らなくても腹が減らず喉も乾かず生きていける謎の空間なこと。この体の髪や身長が一切伸びないところから考えると時間が止まっていると考えるのが自然か。今思うと時の執政なる存在が関わってるかもしれぬか?ああ、研究したいができることには限度がある。

 

 

「……もしも願いが届くなら、クラクサナリデビでも他の国の神でもよい……独りは嫌じゃ……誰か、助けて……」

 

 

 そんな弱音が出るぐらいには孤独がつらくなっていた。そんな時だった。

 

 

 

 

 

 ミシミシミシ!と、これまで不変だった天井がきしむ。同時に襲い掛かる、巨大な何かが、押しつぶしているかのような衝撃。

 

 

「な、なんじゃ!?」

 

 

 何事か、と慌てて退避して奥に続く通路の角から顔だけ出して見守る。閉じ込められてからこれまで、こんなことは起きなかったのに…!

 

 

 

 

 

 そして、次の瞬間。天井が崩落し、巨大な影と人影が落ちてきた。

 

 

「うおあああああああああ!?」

 

「ギシャァアアアアアアアアッ?!」

 

 

「……え?は!?」

 

 

 人影の方は黒髪で浅黒い肌の美女。しかし巨大な影の方は、人ですらなかった。巨大な緑を基調とした蛇型の魔物。たしかあれは、ダマーヴァンド山で地中から通りがかりの生物を襲う、縄張り意識の高い魔物「風蝕ウェネト」か!?なんでここに!?*2いや、それよりも…!

 

 

「嫌がらせに塩を撒いたからってしつこすぎんですよ!おらあん!」

 

「ギワシャッ!?」

 

 

 神殿内を蹂躙しのたうち回る風蝕ウェネトに、女性の華奢な拳が叩き込まれると、その巨体が跳ねて天井に顔面が叩きつけられた。あの華奢の体のどこからそんなパワーが出ているのか*3。女性は一息つくと、こちらに振り向いてその顔を輝かせる。なんじゃ!?

 

 

「あ、せんぱ……げふんごほん。よかった、会えました!追いかけてきた余計なものと取っ組み合いになりながら「砂ノ目」に落ちた時はどうしたものかと……貴女が90年前行方不明になったというファルザンさんですね!?」

 

「外では90年も経っておるのか!?如何にも、わしがファルザンじゃ!お主は誰じゃ!?よくここがわかったの!?」

 

「私はヘウ…ではなくシオンといいます。貴女の知恵をお借りしたく、捜してました!」

 

「おおっ!?つまり後輩じゃな!?わしのことは先輩と呼ぶがいい!」

 

「はい!ファルザン先輩!」

 

 

 シオンと名乗った女は、先輩と呼ぶように言ったら満面の笑みで承諾してきた。いい後輩じゃ。なんかわしより年上感があるが、そんなことあるわけないしの。すると、視界の端で風蝕ウェネトの巨体が動く。大きく身を捩って神殿内を旋回し、風蝕弾と呼ばれる風の塊を形成してきた。アレは確か、拡散反応を起こせる元素でないと壊せない代物!

 

 

「気を付けるんじゃ!」

 

「ああー、それ使われると岩元素の私はどうしようもないんですよねえ」

 

 

 そう言いながら壁を蹴り、風蝕ウェネトの頭上まで飛び掛かる跳躍するシオン。武器も何も持ってないようだが、どうするつもり……。

 

 

「まあ関係ないんですけど」

 

「ギッ!?」

 

 

 そして、握り込んだ拳を叩き込み、螺旋を描く角を叩き折って柱に叩きつけ、風蝕ウェネトをダウンさせた。なんという膂力じゃ……。そのまま飛び降りると、足がついた足場がズン…とめり込んだ。女性に対して失礼だが、そんなに重いのだろうか?

 

 

「よしよし、倒さないぐらいに弱らせることができました。封印を解かずにファルザン先輩をどうやって連れ出すかが問題だったんですが、なんとかなりそうです」

 

「おぬしは、一体……」

 

 

 そう、おずおずと尋ねると、シオンはこちらに振り返り、不敵な笑みを浮かべて手を差し出してきた。

 

 

「私はシオン。草の神クラクサナリデビの1人目の賢者です。出ましょう、ファルザン先輩。貴女の知らない未来に!」

 

 

 その言葉に、涙が浮かぶ。手を取ると、シオンはわしを片手で抱きかかえ、風蝕ウェネトをげしっと蹴りつけるとビクゥ!と反応して慌てて逃げ出そうとしたその鱗に手をかけて、舞い上がっていく。天井を抜け、砂を抜けて、辿り着いたのは……!

 

 

「ああ、青空じゃ…!」

 

「ええ、綺麗ですね」

 

「太陽じゃ…!」

 

「見つめすぎて目を潰さないようにしてくださいね?」

 

「雲なのじゃ?」

 

「はて、雲などなかったはずで………あっ」

 

 

 風蝕ウェネトに掴まり、上空に舞い上がった眼下に入ったのは綺麗な青空と煌々と照り付ける太陽、そして森林側から凄まじい勢いで近づいてくる暗雲の様なもの。よく見れば赤くきらめいていて、ただの雲じゃない様だ。シオンを見れば、冷や汗をだらだらと流している。

 

 

「ウェネト!痛い目に遭いたくなかったら言う事聞きなさい!」

 

「ギャー!ギィイイ!」

 

「よしよし、いい子です!このまま下に!」

 

 

 ウェネトをまた蹴りつけて、暴れていたその巨体が素直に下に落ちていく。そこには、赤髪の少女と銀髪の少年、桃色の髪の少女がこちらを見上げていて。

 

 

「アトラスの配下が来ました!掴まってください!」

 

 

 シオンの言葉に険しい表情を浮かべた三人は、少年が赤髪の少女を背に、桃色の髪の少女を小脇に抱えて、すれ違いざまにウェネトの鱗に掴まって共に舞い上がる。するとシオンはわしを投げつけてウェネトの上に落とし、少年に手を伸ばしてやはり上に投げつけ、シオン以外の三人とわしがウェネトの上に転がった。

 

 

「お、おぬしたちは!?」

 

「貴女がファルザンね!わたくしはナヒーダ!クラクサナリデビと名乗った方がいいかしら?」

 

「知論派のアルハイゼンだ」

 

「商人をしていますの!ドリー・サングマハベイでぇすわ!」

 

「クラクサナリデビじゃとぉ!?」

 

「しっかり掴まっててください!おら、急いで逃げなさい!」

 

「ぎぃいいい!」

 

 

 鱗に捕まったまま、どこからともなく取り出した短剣をウェネトに突き刺すと、明らかに嫌がった反応を見せて速度を上げるウェネト*4。改めて背後の雲?に視線を向けて、その正体に気付いた。カブトムシを思わせるフォルムだが大の大人と同じくらいの大きさの赤い目のバケモノが無数に飛んできているのが正体だった。もうすぐそこまで迫っている。

 

 

「なんじゃあれは!?」

 

「蟲の魔神アトラスが復活したの。ファルザン、わたくしたちは貴女の研究内容とその知恵を頼りに来たの。お願い、力を貸してもらえないかしら」

 

「時間稼ぎはしますので、なんか打開策をお願いします!」

 

 

 いつの間にか背中まで来ていたシオンが、何処からともなく取り出した大剣を振るって、飛んできたバケモノを斬り捨てていく。アルハイゼンとドリーも剣を握り、シオンほどではないが対抗していた。

 

 

「しかしわしは、クラクサナリデビほどの知恵は……」

 

「わたくしは外に出たばかりでまだまだ知恵が足りないの。なんでもいいの、この場を切り抜けられる方法だけでも…!」

 

「う、うむ!」

 

 

 クラクサナリデビも、なにやら指でフレームを作って覗くことでなにかしら……見た感じ、草元素を敵に付与してサポートを始めた。わしも弓を取り出して迎撃に移るも、この大群をどうにかする方法といきなり言われても、のう……。視線を向ける。クラクサナリデビとアルハイゼンは草元素、ドリーは雷元素、シオンは……よくわからんが岩元素と言っていたか。炎辺りがあれば過負荷も狙えたか、激化ではそこまで効いている様には見えない。すると、炎を纏って体当たりしてくるバケモノ。シオンが斬り捨て、上空に打ち上がる。むっ、火の粉が周囲に……はっ!

 

 

「そこじゃ!」

 

 

 弓を引き絞り、風を纏った矢を放つ。それは火の粉を拡散して、炎を広げる。クラクサナリデビが草元素を付与したことで、燃焼していた……!これなら!

 

 

「ドリーといったか!?雷元素をぶち込むのじゃ!」

 

「承りましたの!」

 

 

 そこに、ドリーが取り出した巨大なランプの様なものから雷元素の塊が放たれ、過負荷を引き起こし、さらにそれをわしの矢で拡散させる。それを見たシオンは好戦的な笑みを浮かべ、跳躍。大剣から両手に片手剣を取り出して、回転して切り刻んでいき、蟲の魔物たちはバラバラに飛び散って風に流されていった。なんという…!

 

 

「さすが、ファルザン先輩!私、改めて感服しました!」

 

「あの危機的状況をただの一矢で打開してみせるなんて!すごいわ!」

 

「ふ、ふぅん!そうじゃろう、そうじゃろう!」

 

「天才と称されただけはあるな」

 

「ヘウリア様があんなに喜んでいるなんて羨ましいですわねえ!」

 

 

 え。今何と言った?ヘウリア?誰が?シオンが?お、おおう……なるほどのぉ?クラクサナリデビが外に出ていて、蟲の魔神アトラスが蘇って?璃月で昔滅びた塩の魔神ヘウリアがスメールにいて?わしを先輩と呼んでおる?

 

 

 

 

……………よし、考えるのはやめじゃ!!!!!!!!!!!!!!!

*1
マハマトラに捕らえられ、賢者の判断でアアル村に追放される狂った学者

*2
A.通りがかりに襲われたのでヘウリアが塩を撒いて追っ払おうとしたらキレて追いかけてきた

*3
A.見た目の三倍の質量

*4
塩の短剣。すごく沁みるよ!




本日のウェネト君「縄張り入ったから襲ったのに、ようわからんものかけられたので怒って追いかけたらボコボコにされて下僕にされてしまいました。ダレカタスケテ」

本日のヘウリア「トラブルも利用してこそ賢者ってものです!(ふんす)」

本日のアトラスさん「草神の気配が砂漠からするし、追っ手を出したろ」

カブトムシ型魔物は繁殖しない劣化版スウォームです。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

スメールにてヘウリアに関わって欲しい人(年齢は憶測含まれていて、また既に出会うことが決まってるキャラもいます)

  • アルハイゼン(15歳)
  • カーヴェ(17歳)
  • セノ(16歳)
  • ティナリ(15歳)
  • ファルザン(110歳)
  • ニィロウ(9歳)
  • ディシア(18歳)
  • キャンディス(18歳)
  • ドリー(19歳)
  • ドニアザード(12歳)
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