塩の魔神のしょっぱい備忘録   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。決着まで行きたかったけど。それぞれの事情を書いてたら4000字を軽く超えてしまったので分割して、こちらから投稿します。

スカラマシュ、モラクス、白亜、そして???sideでお送りします。楽しんでいただけたら幸いです。


番外編:スメール大決戦の裏側で

 これは、分身ヘウリアがアアル村を救い、蟲の魔神アトラス相手に奮闘していたおよそ数日の間の出来事。

 

 

 

 

 

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・【散兵】Side

 ああ、最悪だ。女皇の命令だとはいえ、なんでこの僕が害虫駆除なんかに駆り出されなきゃいけないんだ。それもこれもあの、【博士】の断片でもない本体が隠しもせずにいやらしい笑みを浮かべながら女皇に馬鹿正直に「自分が作ったデミ・マハールッカデヴァータから蟲の魔神アトラスが復活してスメールどころかテイワットが滅亡の危機です。女皇の“計画”に役立つはずが……」と正気を疑う報告なんかするからだ。

 

 女皇があそこまで憤怒に表情を歪ませたのを、このおよそ500年で初めて見た。【博士】本体は女皇自らの手で首から下を凍り漬けにされて拘束され、投獄された。なんでも頭部を残したのは、スメールに残した断片からなにか情報を得たらすぐ伝えるように、という意向らしい。すぐにファトゥスが招集され、僕はたまたまスネージナヤパレスに居合わせていたため、集まるのを待つ間に【博士】に文句を言いに行った。すると、まったく反省していない笑みを浮かべながら、こう言ったのだ。

 

 

「お前の気持ちはわかるぞ。人造魔神はお前にとっては同類に等しい。故に興味がある、そうだな?スカラマシュ」

 

「……七執政に作られた僕と、そんな木端の魔神の偽物を一緒にするな。そんなことより、なんであんなに女皇を怒らせたんだ」

 

「簡単だ。断片があの女の姿を見ることさえできれば今は他に何も欲しない。私は執行官としての責務を果たしただけのことだ」

 

「あの女…?」

 

 

 そういえば、【博士】は最近塩の魔神ヘウリアに負けたという話があったな。だがこれも妙な話だ。何故って塩の魔神は死んでいる。魔神はそう簡単に蘇っていいものじゃない。つまりそれは、僕のような……。

 

 

「ああそうだ。奴とお前は、ある意味同類だったな。ならば喜べ、スカラマシュ。スメールに行けば、お前にとって素晴らしいものが見えるぞ。クククッ……」

 

「ちっ……嘘だったら承知しないぞ」

 

 

 女皇の前に戻れば、相変らず姿を見せない十位と、蟲の魔神が万が一攻めてきた場合に備えて軍備を整えているらしい【雄鶏】と、その資金繰りを急いでいるらしい【富者】、そして捕らえられている【博士】を除いた面子が揃っていた。最近入ったばかりの新人である【公子】と【召使】もいた。

 

 

「カピターノ、大丈夫……?病み上がり、なんでしょう……?」

 

「心配ないコロンビーナ。そう軟にできていないからな俺の体は」

 

「せっかく新人を誘ってお茶会してたのに、台無しだわ……」

 

「いいじゃない、サンドローネ。アルレッキーノも慣れない作法で緊張してたみたいだし?」

 

「めんぼくない……しかし、こんな緊急招集はよくあるのだろうか?」

 

「俺の知る限り、俺が入ってから一度もないね!つまりそれぐらいヤバイ何かが起きたってことだろう?ワクワクするよ!」

 

 

 最近重傷を負ったらしい【隊長】を心配する【少女】、お茶会でもしていたのか文句を垂れる【傀儡】とそれを宥める【淑女】、一番の新人なためか委縮する【召使】に、聞かれてもないのに上機嫌に笑う最年少の【公子】と、全員女皇の前だというのにフリーダム過ぎる。馬鹿正直に突っ立っている僕が馬鹿みたいじゃないか。女皇が怒っているのを知っているのは僕だけだから仕方なくはあるが……。すると【道化】が咳払いし、引き締める面々。……いや、約一名(コロンビーナ)がぽやぽやしてて、約一名の新人(アルレッキーノ)が困惑していた。

 

 

「緊急招集に応じてくれて感謝する。女皇陛下の言葉を告げる。――――【博士】が復活させた蟲の魔神アトラスをスネージナヤの脅威とし、全力を以て駆除しろ―――――とのことだ。ファトゥスの失態はファトゥスが晴らすのだ。異論はあるか?」

 

 

 ああ、くそっ。【博士】……ドットーレ。これで本当にただの害虫駆除だったら許さないからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――最悪だ。ただファトゥスで蟲の魔神を排除する、それだけだったはずだろう。何故だ、なんでお前が……雷電将軍が、そこにいる?なんだ、なにを見ている?いや、僕のことを見られても怒りが先に出るからいいとして、僕よりも興味を持っているのは、アトラスか……いや、違う。あそこで、草の神の傍に立つ塩の魔神ヘウリアと思われる妙な仮面をつけた女…!あいつだ。あの女(雷電将軍)が見ているのは、あいつだ。それによく見れば生身じゃない。無機物で構成されている、人形……。ただの人形が魔神の一人だと認められているというのか?待て、何故。何故、何故何故何故!その僕以下のろくな機構すら存在しない人形に、そんな期待を向けているんだ……!?

 

 

「……ヘウリア。覚えておくぞ……!」

 

 

 ああドットーレ……たしかに素晴らしいものを見つけたよ。僕は必ず、神になる……そう誓わせてくれる屈辱をね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・モラクスside

 (タオ)嬢に付き添い、白亜が近々子供たちを連れて璃月に帰郷すると言うので、その準備の買い出しをしている。子供と聞かされた時はいろんな意味でショックを受けたが、なんでもフォンテーヌで何人か引き取ったらしく、最近の手紙では孫もできたとかなんとか。……深く考えるのはやめた方がいいかもしれない。まったく……本当に飽きさせないな、あいつは。

 

 

「ねえねえ鍾離さん!白亜姉さんの子供達、どんな子かなあ!?何を用意すれば喜んでくれるんだろ!?」

 

「ふむ、桃嬢。俺が思うに、璃月特有の茶菓子などどうだろう?」

 

「鍾離さん、じじくさーい」

 

「じじくさ……」

 

 

 桃嬢からの無邪気な言葉に固まっていると、傍の建物の影から気配。視線を向ければ、魈がいた。

 

 

「帝君。平時に失礼します。少し、お話が」

 

「ふむ。すまない、桃嬢。用事ができた。モラを渡すので、そこの万民堂でゆっくりしていてほしい」

 

「え?でも鍾離さん、モラはあるの?」

 

「ああ、もちろんだ。……む?モラが、ない……」

 

「買い出しどうする気だったの!?もう!私、往生堂まで戻ってもらってくるから!ここで待っててね!」

 

「あ、ああ……」

 

 

 少し想定外は起きたが、まあ桃嬢が去って行ったのでよしとしよう。魈についていって建物の裏手に入ってモラクスとしての服装に変わると、魈は傅いて報告してきた。

 

 

「スメールとの国境で妙な魔物を発見。始末しましたので報告を」

 

「スメールか。どんな魔物だ?」

 

「蟲……特に蜻蛉に酷似していました。並の魔物とは桁外れに速く、捉えるのに少々時間がかかってしまいました。面目ございません」

 

「蟲、だと?」

 

 

 スメールとの国境で蟲の魔物。……いや、いたな。魔神戦争にてスメールの覇者になってもおかしくないと数多の魔神から危険視されていた、蟲の魔神……アトラス。オロバシやエリゴルスに続いてやつまで復活したというのか。考えなしにやったというのならば、愚か者だな。

 

 

「魈。他の三眼五顕仙人にも伝えろ。俺は暫く留守にする。その間、璃月を守れ」

 

「御意」

 

「さて、桃嬢をどうするか……」

 

「あれえ?爺さんもやる気なんだあ」

 

 

 一つ返事した魈が一瞬で去っていき、このあと戻ってくるであろう桃嬢をどうするか考えようとしたところで、風が吹いた。振り向けば、海上に風に乗った、顔をフードで隠した白い装束のバルバトスがそこにいて。

 

 

「バルバトス。なんのつもりだ」

 

「いやあ?関わるつもりはなかったんだけどさ?うとうと眠っていたのに風に乗って蟲の鳴き声が届いてきてうるさいのなんの。エリゴルスの件もあったからさ、さすがに放置もできないし、だけど僕一人じゃ勝てそうにないから爺さんを誘いに来たんだあ」

 

「そうか。まあいい。俺も一人では手に余ると思っていたところだ」

 

「バアルも誘う?」

 

「いいや。あの女は「永遠」を妨げるものを嫌う。こんな不確定要素は確実に排除しにくるはずだ」

 

「よく知ってるんだね?」

 

「最近、ヘウリアのことで話したからな」

 

 

 ヘウリアを襲ったことについて、しっかり話した。彼女もまた、最初こそ「永遠」を(おびや)かすとして襲ったらしいが、自らの夢想の一太刀を受け止めてみせたヘウリアに興味を持ったらしく、今度稲妻に招きたいと話していた。あれは手合わせしたいのが本音なのだろうが……。

 

 

「あ、ヘウリアっていえば蟲の鳴き声に混じってヘウリアの声も聞こえた様な……」

 

「 そ う い う こ と は は や く い え 」

 

 

 なんでスメールにいるのか知らんが急ぐぞ。ええい、すまない卯師匠。桃嬢のことは任せた!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・ヘウリア本体side

 分身をスメールに送った後、どうやらあのあと教令院の手で箝口令が敷かれたらしく新しい情報が入ってこないので不安になりつつ数日を過ごしていると。バタン!といきなり扉を乱暴に開けて、1人の少年が入ってきた。なぜかボロボロだがまだ幼く、色黒で黒っぽい茶髪……おやもしかして。

 

 

「白亜さんはいらっしゃいますか…!」

 

「白亜は私ですが……いかがいたしました?」

 

「俺、セトスといいます……!シオンって人から届け物を…!これを渡せば、スメールは助かるかもしれないって…!」

 

「シオン?」

 

 

 そう言いながら、少年……セトスが荒い息で差し出してきた麻の小袋を受け取ると、セトスはばたりと倒れてしまった。荒い息に、明らかな疲労……もしかして、スメールからここまで巡水船とか使わず走ってきた感じですか!?いやたしかにセトスはスキルの関係上、足が速いけどなんでそんな無茶……それに「シオン」という名前は、さすがに憶えがある。私の神官だった女性の名前だ。だとすると、スメールの私の偽名か?

 

 

「クリーヴ。すみませんが、彼を客間に運んでいただけますか?リネとリネットはお客様にお帰りを」

 

 

 そう指示を出しながら、小袋を開けると出てきたのは少ないが塩の山。それを掌から吸収し、この塩が体験してきた記憶を同期する。そうか、そういうことか………厄介なことが起きていたようですね。蟲の魔神アトラス、知らない名前ですが情報だけでもファルザン先輩曰く三神が揃ってようやく勝てた時点でヤバイ要素しかない。ヘウリアとして活動するために、仮面を取り出しながら外に出る。

 

 

「白亜さん?」

 

「少し出かけます。留守をよろしく」

 

 

 目指すはフォンテーヌ廷。ヌヴィレットに頼んで、ありったけの戦力をかき集めるしかない。最悪、スメールの人々を助けるだけでも果たさねば。

 

 

 

 

 

 ヌヴィレットや特巡隊、マレショーセファントムはいいとして。フリーナがついてきたのは正直意外だったが、なんでも「友人であるヘウリアにかっこ悪いところを見せられないからね!」だそうだ。本当にやばいんだけど、大丈夫かな?とか思ってたら、駆け付けたと同時に七執政のほとんどと何故かファトゥスのほとんどが勢揃いしてる夢の光景に出くわした。前言撤回。フリーナ!来てくれてありがとう…!でも危ないから下がっててね!?ほら、分身の私とか顔だけになってナヒーダに抱えられて……………分身の私ぃいいいいいいいっ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・???side

 ナタまで逃げてきたスメールの民によれば、蟲の怪物たちによる前代未聞の危機、か。穏やかじゃないな。だが私は、ナタの地脈から離れることはできない……ならば民の手練れを送るべきなのだろうが、つい先日に帰火聖夜の巡礼*1を行ったばかりで、余裕な者が一人もいない。しかし無視はできない、さてどうするか。

 

 

 よし、炎で私を形作って分身として向かわせよう!初めてやるが、まあなんとかなるだろう。我々は一人で戦ったりはしない。それは例え他国であっても、決して見捨てない。

 

 

 炎神マーヴィカ、微力ながら助太刀に参るぞ。

*1
ナタにて行われる国を挙げての競技大会兼武闘大会




 というわけで前回参戦してたマーヴィカは本人ではなく、その形をした炎でした。彼女だけ台詞が赤くなってたり、雷撃ビームを放たれてるのに意を介してなかったり(炎なので突き抜けてる)がヒントでした。さすがに本人を動かせるわけがなかった。

・色んな人のヘウリアへの想い
ドットーレ→魅せてみろヘウリアァアアアアアアッ!!!!

スカラマシュ→同じ人形なのに、なんであいつだけ……!!!!(嫉妬)

雷電将軍→私の剣を受けられるなんてすばらしい。また手合わせしましょう(満面の笑み)

モラクス→まったくあの女は、手がかかる…(苦笑)

バルバトス→歌にできるぐらい面白い人生……神生だね!(喜悦)

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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