塩の魔神のしょっぱい備忘録   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。次回で終わると言ったな、アレは嘘だ。……いややっぱり人数が人数なだけにめっちゃ文章食うね。

アトラスVS連合軍第一戦。楽しんでいただけたら幸いです。


二大武神が、いざここに

「バカな!馬鹿な馬鹿な馬鹿なぁ!」

 

 

 大賢者アザールは絶叫していた。相も変わらず秘密の部屋に引きこもり、現実逃避から半ば精神崩壊を起こしているアザール。最後の希望だったデミ・マハールッカデヴァータはアトラスになり、スメールどころかテイワットの危機。さらにクラクサナリデビが結果的に逃走し、何故かいた塩の魔神を「一人目の賢者」と称して味方につけて支持者を集めつつ、アトラスの配下を討伐して信者を増やしていき、逆に自身は立案した対策が軒並みアトラスには意味がないどころか、クラクサナリデビを捕えることに生徒や他の賢者たちに疑問視までされ始め、立つ瀬がなくなって逃げるしかない始末。

 

 そんな中、ドットーレと共にアーカーシャを通じて外を見守っている教令院の人間の視点を映し出しているモニターに映っているのは、神話の光景。増殖した蟲の魔神という絶望に対し、クラクサナリデビと仲間を逃がし、たった一人で立ち向かう塩の魔神ヘウリア。圧倒的な戦力差でも諦めず、持てる力のすべてを尽くして、ついにはたった一人でアトラスの一体を倒してしまう。それだけならまだいい。まだアトラスは残っている。出来損ないのクラクサナリデビの賢者の末路としてはお似合いだった。そう、アザールは思っていた。

 

 

「何故だ!?こんなこと、ありえない……!」

 

「ファトゥスは私が呼んだが、俗世の七執政がここまで揃うとはな。よかったな、アザール。テイワットどころかスメールも救われるかもしれないぞ」

 

「そうなれば、クラクサナリデビが主導してスメールを救ったことになるではないか!?そうなれば、私は破滅だ!?」

 

 

 頭を抱えるアザールに、何をいまさら言ってるんだこいつ、とでも言いたげな視線を向けるドットーレ。そうこうしているうちにもう一つの太陽が落とされ、アトラスがまた一人倒れていき、場が動く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「弱小魔神共が、揃いも揃って我を殺せるつもりでいるのか?片腹痛いわ…!」

 

 

 空中でアトラスの姿がぶれて、再び二人から四人、四人から八人、八人から十六人と増えていき、その瞬間。雷電将軍の振るった「夢想の一太刀」が大きく空を薙ぎ払った。

 

 

「なにい!?」

 

 

 アトラスが纏めて紫電で焼かれ斬られていき、ギリギリ一番外側にいたアトラス二体が逃れ、驚愕する。木端魔神が集まっただけ、そう思っていたのに規格外の破壊力を見せられて困惑していた。それもそのはず。アトラスは、魔神戦争時代の魔神の力しか知らない。その当時は誰もが自らに敵わなかった。しかし今は違う。二代目であるナヒーダやフリーナはいざ知らず、数多の強敵と渡り合い、生き残った魔神たちの実力は、そんな生半可なものでは決してないのである。

 

 

「おのれえ!」

 

 

 しかしアトラスとて馬鹿ではない。強者は強者で物量で圧し潰せばいいのは知っている。故に、自傷して溢れた血肉から配下の蟲の魔物たちを生み出して向かわせる。雷電将軍が最も強いと判断し、防御力や回避力に秀でた蟲を向かわせ、それ以外の制圧力に長けた蟲を他の者たちにも向かわせ、自らも百足鞭を手に、排除に向かう。だがしかし。約一名(フリーナ)を除いて、この場には誰一人として弱者はいない。

 

 

「ふん……!」

 

「輝いて…!」

 

「貴女ボケっとしてるんだから、気を付けなさい、コロンビーナ!」

 

 

 丸まって突進してきたダンゴムシ型の魔物をただの剣の一薙ぎで真っ二つに叩き斬る【隊長】カピターノ。周囲から襲い掛かるカブトムシの群れを、【少女】コロンビーナが歌うことで現れた光がレーザーとなって撃ち抜いていき、そんなコロンビーナの隙を、愛機たるロボット「プロンニア」に乗った【傀儡】サンドローネがミサイルを放ってカバーする。

 

 

「一緒に遊ぼうよ」

 

「邪魔よ!どきなさい、風神…!」

 

 

 周囲を蠍の軍勢に囲まれたバルバトスはその場で竜巻を起こして巻き上げて高所から落下させて頭部を潰し、ふわりと舞い降りたバルバトスごと焼き払う勢いで【淑女】シニョーラが業火を放ち、真後ろから迫ってきていた巨大な芋虫の様な魔物を焼き払った。

 

 

「さあ、戦いだ!愉しもうか!新人ちゃん…!」

 

「私の方が年上だ、公子」

 

「ペルヴェーレ殿、手を貸そう」

 

「わあ、僕から離れるなヌヴィレット…!」

 

 

 その下では、【公子】タルタリヤと【召使】アルレッキーノの新人ファトゥスコンビが蟷螂やら鍬形やらと渡り合っていて。倒しきれなかった鍬形から雷撃が放たれんとしていたところを、しがみついたフリーナを連れたヌヴィレットがハイドロポンプで圧し潰した。

 

 

「……夢想の一太刀を受け切るとは。雜兵でこれとは、厄介ですね」

 

「ふん、その程度なのかい?雷神の力は」

 

「貴方は……なぜ、ここにいるのですか?国崩(くにくずし)

 

「おや、覚えていたのかい?僕なんか忘れていたと思っていたよ!滑稽じゃないか!僕には目もくれなかった雷神様が、」

 

「キシャー!」

 

「……君ごときが、僕を直視する気か?」

 

 

 自らの斬撃を受け止めた黒いG型に手を焼いていた雷電将軍に助太刀するのは、【散兵】スカラマシュ。Gを蹴り飛ばし、さんざん馬鹿にしようとしていたところを蝶型の魔物が間に現れて爆発性の鱗粉を放とうとし、キレたスカラマシュの放った雷撃で消し炭となった。

 

 

「難攻不落!」

 

 

 一方、大群で迫りくる蟲の軍勢を障壁で受け止め、ただ歩くだけで押し返しながら、ナヒーダとヘウリアのもとまで歩むモラクス。上空ではマーヴィカの形の炎が放つ火炎弾を避けては攻撃を仕掛け、擦り抜けて困惑しているアトラスがいる。

 

 

「ヘウリア、無事か?……その生首はどうした」

 

「……これは生首じゃないわ。わたくしの、一人目の賢者よ。貴方たちが来てくれるまで、たった一人で奮闘してくれたの……英雄だわ」

 

「英雄なんて柄じゃないんですけどね……とりあえず、分身の私は吸収します。もう頭部しかないですが、その経験を得ればあのバケモノにもちょっとは対抗できるでしょう」

 

 

 そう言って物言わぬ分身へウリアの頭部に触れようとするヘウリアを、ナヒーダが止めた。

 

 

「待って!吸収したら、どうなるの…?」

 

「え?いや、1人に戻るだけですよ。元に戻るだけです、何も心配は……」

 

「わたくしのために戦ってくれた彼女は、消えてしまうの…?」

 

「いえ、消えるわけでは……いや、私と分かれて別の人生を歩んでいたわけなので、そのヘウリアは消える……ことになりますかね?」

 

 

 そう首を傾げるヘウリアに、悲しそうな顔をするナヒーダ。その様子から、かつての自分と同じだと気付いたモラクスは助言することにした。

 

 

「待てヘウリア。ここで戦力を減らすのは惜しいと思わないか」

 

「え?いや、むしろ過剰では?」

 

「それもそうだが……彼女を、草神を守る護衛は必要だろう。肉体を直すことはできないのか?」

 

「塩を補充すれば、とは思いますが必要ありますか…?」

 

 

 そう言って「器」を取り出すヘウリアに、相変らず他人の心がわからないやつだと微笑むモラクス。そんな三人の傍に、アトラスが一体降りてきた。影が三人を覆い尽くし、紅い瞳がモラクスを捉える。

 

 

「隙ありだ。見ていたぞ、貴様守っていてばかりだったな?」

 

「それで俺からか。存外利口なようだ。だが覚えておけ」

 

 

 しかし次の瞬間。モラクスの何気なく振るった裏拳が胴体に突き刺さり、瞬時に「器」から剣を引き抜いていたヘウリアが、その頭部を真っ二つに切り裂いていた。

 

 

「な、あに、が……?」

 

「お前の前にいるのは、璃月の二大武神だ。覚えておけ」

 

「思ったより脆いですね?まあこれなら、たしかにナヒーダを守らせてる間に総攻撃すれば勝てそうです」

 

 

 視界の端でついてきたクロリンデやナヴィア、クリーヴがアルレッキーノに合流して一緒に蟲軍団を薙ぎ払っている光景を見ながら、ヘウリアがぼやくと、「器」を逆さまにして塩を垂れ流しにする。

 

 

「治すまではしませんよ。自分で形作りなさい、私」

 

「……余計なお世話です、私。……お待たせしました、ナヒーダ」

 

 

 復活した分身へウリアに、ナヒーダが抱き着き、涙をぽろぽろ流す。

 

 

「ばか!もう、無茶をしないでちょうだい…!」

 

「肝に銘じます……」

 

「……なんですか?これ」

 

「お前と俺のような関係と言う事だろう」

 

「……つまり、師弟ですか?」

 

「その程度しか思われていなくて残念だぞ、俺は」

 

 

 そんな軽口を叩きながら、仮面をつけたままのヘウリアと崩れたフードを深く被り直したモラクスが、肩を並べて歩き出す。二大武神が、いざここに。




さらっとサンコロを入れていくスタイル。あとわざわざ因縁同士を絡ませていくスタイル。そしてヌヴィレットにしがみつくだけのフリーナ。

二大武神が揃い、分身へウリアも復活。アトラスもさすがに劣勢です。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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