楽しんでいただけたら幸いです。
ナヒーダが就寝し、私もノルマを終えて夜風に当たるべく、スメールシティの郊外に来ていた。ここからはスメールシティが一望できる。ほぼほぼ更地だったスメールシティの街並みがすっかり戻ってきた。ゲーム内とはいえ、見慣れた光景があるのは嬉しいことである。
「よいしょっと。この立場になってから、中々一人になれませんでしたからね……」
川縁の手ごろな岩に座り、持参してきた璃月の銘酒の栓を開ける。いやあ、大賢者の身ともなると迂闊に酔えないですからねえ。とくとくとく、と少し濁った液体をグラスにそそぐ。モラクスからの「大賢者就任祝い」と称した餞別だ。モラは払ったのだろうか、と一瞬考えたが多分貢物かなにかなんだろうな。
「おお、いい酒ですね。酒盛りできる人がいればいいんですが、実年齢はともかく見た目がアウトなナヒーダとファルザン先輩にスカラマシュ……やっぱりいませんねえ。私は悲しい。ポロロロン*1……ぷはあ!美味い!もういっぱあい!」
「そのお酒、そんなに美味しいの?」
「ええ、なんと私のいた時代から残ってる年代物なんですよ。そこんじょそこらのものとは味の深みが……ん?」
少し酔って上機嫌に問いかけに応えて、首を傾げる。はて、私はいったい誰と会話しているのか。視線を向けると、川の上に儚げな人影があった。6枚羽の羽根飾りをつけた異様に長く綺麗な先端にかけて赤紫に変わる黒髪がふわりと夜風に揺れ、先端が三日月のようにくるんと回って天を向いている。身に着けるのは無垢を表す純白のもので、裸足なのも相まってとても北国の重鎮の格好とは思えない。そして私を見つめているその目は白い網状のアイマスクで遮られており、その下にうっすら見える目は閉じられている。こんな特徴的な人物は二人もいない。執行官第三位【少女】コロンビーナだ。
「こんばんは。月が綺麗だね」
「おや告白ですかあ?わたし恥ずかしくなっちゃいます……貴女にはサンドローネがいるのだからお姉さんを誘惑しないで下さいよお、えへへへへ………」
「告白……?酷い酔い方だね。お酒は控えた方がいいよ?」
「なんとでも言いんしゃい。私は呑むぞ!えへへーい!」
なんかコロンビーナがドン引きしている。珍しいものを見れた。酒の肴にちょうどいいや!わっははは。
「あれえ?ころんびーな?なんでまだすめーるにいるんですかぁ?」
「呂律が回らなくなってみたいだね?でもあれ?サンドローネもそうだけど、私、君にコロンビーナって名乗ったかな?」
「なのりましたよお?だってわたしがしるわけないじゃないですかあ!」
「そうかな?そうかも……私が何でここにいるのかだっけ。私は執行官だけど、女皇からは好きにしていいって言われてるの。だから好きにしてる。ここに来たのは、貴女のことが気になったから。でも……お邪魔だったみたい?」
「おじゃまだなんてとぉんでもない!あなたみたいなびしょーじょをまぁえにしたらさけがすす、すすむむってもんですよ!」
「すすんじゃだめなんじゃないかな?」
「ほらほら、げっしんさま!いちおーはいけるくちでしょう?いっぱいいっぱい!」
「いいの?気になってたし、いただこうかな?」
私が差し出したグラスを受け取り、私が注いだ酒を両手で持ってそっと一口飲み込むコロンビーナの顔が、ぼんッと真っ赤に染まる。くらくらしている、わーい、めずらしっ!
「あっはははは!虹月みたいですね!まっかっかあ!わっははははは!わっしょーい!」
「あはは、そうだね。たのしくなってきた、おいしいおさけだね」
「ほらほら、えんりょせずにもういっぱい!」
「いただこうかな、ヒクッ。あれ?わたしなんでここにきたんだっけ。まあいいや」
ワイワイと、コロンビーナと二人で酒盛りする。よくわからんけど楽しくなってきたぞー。今夜は盛り上がってこーい。
翌朝。起きたら、なんでかベッドでコロンビーナと一緒に寝ていた。しかもどっちも服を着ていなかった。ホワイ????え、お酒を飲んでからの記憶がまるでないんだけど。場所は一応スメールシティにある新しい我が家なのは間違いないけど。なにこれ。なんでコロンビーナいるの?なんで二人で同じベッドに寝てるの?サンドローネに殺されない?私。大賢者になって早々大スキャンダルとか笑えないぞ?
「おはよう、シオン。今日もいい朝ね!」
「あ、ナヒーダ待ってまだ入らないで!?」
慌てて制止するも、既にナヒーダは扉を開けた後で。またNowLoadingしているようでフリーズしていたが、彼女も知恵が結論を導き出したようで、顔を赤らめながらそっ閉じしてしまった。
「えっと、その……昨夜はお楽しみだったわね?」
「違うの!いや違うかはわからないけど違うんです!?って待ちなさいナヒーダ!そんな知識何処から仕入れたの!?」
「ど、どこってシオンの寝言よ?」
「私の馬鹿!!!いろんな意味で馬鹿!!!!!!」
「ねえ大賢者。昨夜貴方に会いに行ったコロンビーナの奴が宿に戻ってないんだけどなんか知らな………はあ!?はああああ!?」
「うわー!?サンドローネさんお待ちになって!プロンニア持ち出してくるのちょっと待って!ここ新造したばかりの……私のおうちがああああああああああ!?」
頭を抱えて居たらサンドローネまでやってきてどんちゃん騒ぎになってしまった。酒は飲んでも飲まれるな。肝に銘じよう。うん。
なお、普通に家で続きの酒盛りしてたら、ただ単に度数が高すぎて体が熱くなったから寝ぼけて脱いだだけだった模様。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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10年分成長、華奢な体の少女に
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夢郷世界でのみ大人の姿で見栄を張る