今回はお偉いさんにお呼ばれした白亜の話。平和回です。⋯⋯ホントダヨ?楽しんでいただけたら幸いです。
あのあと我が家で着替えていると改めてやってきた甘雨の要請を受け、彼女の案内で璃月港の緋雲の丘にある総務司に行くことになった。甘雨と会うの久々とはいえ、忘れられてるみたいで若干悲しい。挨拶してないから当然ではあるけど。挨拶してない理由はシンプルにお偉いさんの秘書だからではあるが。あんなに小さかった甘雨がこんな、主にお胸が立派になって……お母さん(じゃないけど)嬉しい、となんだか感慨深いし淡々と仕事をこなすのが寂しい。なんか見られてる感じはするけど。
「ところで、白亜様。一つよろしいでしょうか」
「はい。なんでしょう?」
「白亜様はあんな格好で夜に出歩いていたのは……そういうご趣味が?」
「貴方に言われたくないです」
「はい?」
私からしたら半裸よりそのぴっちりタイツの方が恥ずかしい。以前閑雲から「白いお前には映えるからおすすめだ」と渡されたけど、丁寧にお断りさせてもらった。私なんかが着ても似合わないから変態でしかないんだ。これでも魔神なのだから、民に顔向けできない格好できるわけがなかった。
「あの格好は、ですね。決して趣味ではなく。間が悪かったというか。えーと、墓参りに出かけたら、襲われまして?」
「襲われた……というのはヒルチャールか、宝盗団……もしくは遺跡守衛とか?」
「その中なら……遺跡守衛が一番近いですかね?」
雷電将軍はたしか、からくり人形だったはずだし。まあ私が死んだ後に滅亡したはずのカーンルイアの遺物である遺跡守衛とは一回も戦ったことないんだけど。強いのだろうか。ゲーム的には弱点の目を狙ってれば嵌めれるからそこまでって感じだったけど。
「そうなんですか……無事ならばよかったです」
「ご心配ありがとうございます。相変わらず、優しいですね」
そう言って目の前を歩いている甘雨の麒麟の角が生えた頭をポンポンと撫でる。ふむ、相変わらずふわふわだ。撫で心地がよい。昔は私を手伝ってくれるたびに撫でてねぎらっていたなあ。
「あわわ、な、撫でないでくださいっ!……あれ?「相変わらず」?私達、以前にもどこかで……?いえ、あれ?たしかに、あの方に似ているというより瓜二つなような……それに「白亜」という名前も帰終さまがそう呼んでいたような?でもあの方は死んでいて、送仙儀式もしたのに……いえでも、先日復活なされたという噂も……」
「おや、失礼。つい癖で」
「………あの、もしかして白亜様。あなたは、もしかして、ヘウリア様……ですか?」
信じられないとばかりにプルプル震えながら、縋る様な目でそう尋ねてくる甘雨。否定するのは簡単だ。なんなら、およそ十年後に起きるこの国の成長を考えれば、否定するのが正解だ。だけど、だけど。……愛娘のように可愛がっていた子の問いかけに、どうして嘘を吐くことができようか。一応深夜で周りに人がいないことを確認してから、頷いた。
「……はい。そうです。塩の魔神なのに、小さかった貴方より弱かった、ふがいないヘウリアですよ。っと、うわっ!?」
するとダバーッ!と滝のような涙を流して、抱き着いてくる甘雨を受け止める。軽いけど、また清心とかしか食べてないんじゃなかろうなこの娘は。またフライドポテトで餌付けしてくれようか。
「ヘウリア様!お久しぶりです!私、私……貴女があの王に刺されたと聞いた時、本当に信じられなくて……本当に悲しくて……!おかえりなさい!」
「お別れも言えなかったのは、本当にごめんなさい。ただいま、甘雨」
その後泣きじゃくる甘雨が泣き止むまで撫でてあげた。私なんかのためにここまで泣いてくれるとは。これだけでも復活できたのは良かったかもしれない。
「なるほど、帝君が蘇らせてくれたのですね。さすがは帝君……!では、この間の国宝盗難はもしや?」
「国宝は知らないですけど、『器』と『定規』は持ち出しましたよ?」
「それです!!唯一残った貴女の遺産なんですよ!?間違いなく国宝です!!」
「こんな古びた、しかも塩しか出せない遺物がですか?」
いやまあ権能を失った私からしたら貴重なエネルギー源ではあるのだが。それ以外に価値はない……いや、一応塩は売れたから価値はあるのか。でも塩だよ?
「混ぜ物のない純粋な塩は価値が高いんですよヘウリア様?……もしかして、その塩、売りました?」
「モラに困ってたので売りましたね。3億モラぐらいになりました」
でもこんなモラ、1人のキャラを武器ともどもレベル90にして天賦スキルマックスにして厳選した聖遺物をフル強化したら溶けるからはした金ですよねえ。すると、両手で顔を覆って天を仰ぐ甘雨。どうしたのそんな愉快なポーズ。
「ああ、帝君……ヘウリア様のこの
「笑えば、いいと思いますよ?」
「笑えません!!!!!」
うわあ。いきなり大きな声を上げないでください。耳がキーンとなるので。あと近所迷惑ですよ。
「よく来てくれたわ、白亜さん。質問があるの」
甘雨の案内で総務司内部の部屋までやってきた私にそう尋ねるのは、原作よりだいぶ若い
「貴女に来てもらったのは他でもない、今日……もう昨日の出来事ね。璃月港の各店舗で、大量の塩の入った袋を売り渡して大金を得ていると調書は取れているわ。その影響で市場は大混乱に陥っているの。ここまではわかるかしら」
「大変ですね?」
「よろしい。先日、璃月の国宝が盗み出されたことは知ってるわね?」
「鍾……友人に聞きました」
「あれは塩華女帝の遺物なの。伝承によれば、無限の塩を得られるというね。ところで本題なのだけど、あの大量の塩はどこで手に入れたのかしら?」
まあその質問されるだろうな。甘雨からは私がヘウリアだというのは黙っているようにと釘を刺されている。なんならせめてどちらかでいいから返して欲しいと言われ、頭が回る彼女が考えたあるシナリオをいただいた。私のなんだけどなあ、と不服に思いながら謎空間から『定規』を取り出すと、凝光は驚いたような表情を浮かべた。『器』はなんだかんだで使い勝手いいから残したいのと、何かに挿さないといけない『定規』使いにくくて仕方がないのだ。緊急時だとさっきみたいに自分に挿さないといけないし。あれ苦しいから苦手なんだよな。
「えっと。これを使いました?」
「なぜ疑問形なのかはともかく、やはり……それをどこで?」
「先日、帰離原に落ちていたのを拾いました。小銭が欲しくて、ちょっとだけなら……と魔が差しました。ごめんなさい」
「帰離原……確かにそこで、ファデュイ先遣隊が拠点を作っていたのは確認されてたわね……やはり彼等の仕業…?いえ、まずは……貴方はこれが「国宝」だとわかっていながら千岩軍にも黙っていたの?」
「私、こんな古びた定規がまさか国宝だとは露とも思わず……」
いやほんとうに。そんなもんを国宝にするのはやめなさいよ。他にも璃月にはいくらでもあるでしょ、ほら。……白馬の仙人の遺物とか!あれ?あれってまだ出土してないんだっけ?
「ところで、その近くで器を見なかったかしら?」
「見てないですね?」
「なんで疑問形なのかしら?まあいいわ。部下に行って調べさせる。とにかく、その定規は回収させてもらうわ。その塩で手に入れた三億モラは……盗まれた国宝を見つけてくれた報酬ってことにします。いいかしら?」
「天権様の仰せのままに」
「よろしい。帰ってもらって結構よ」
のちの璃月において最も権利を得る人物だ。印象悪くはしたくない。一礼して、部屋を出て外に向かう。ゲームでは入れなかったから内装見れるのは新鮮だなあ。
外で待っていた甘雨に首尾よく行ったと報告して別れて、帰路につく。いい月夜だ。ちょっとぶらぶら歩いてもいいかもしれないな。
「おん?」
すると、月夜を見上げながら緋雲の丘の階段を降りていたところで、突如足に力が入らなくなって転がり落ちる。雷電影から受けた傷を応急処置したまま放置してたのがまずかったのだろうか、と冷静に考えながら、眼前に岩が迫るのを認識することしかできない。体が動かないから受け身も取れない。まずいなこれ。
ぐしゃり、と。何かが潰れる音がした。
痛い死に方はしたくないけど、それでも自分に無頓着。夢想の一太刀を受けて無事ですむわけがなかった。
『定規』はさすがに返還です。煙の魔神に使った通り凶悪な性能をしてるから出禁。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
原作行く前にヘウリアに会ってほしい人物
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ドットーレェ!!(博士)
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判決を下す!(ディルック)
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吟遊野郎!(ウェンティ)
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荒瀧・唯我独尊・一斗(荒瀧一斗)
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俺が払うよ(タルタリヤ)
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グロシをかかげよ!(フリーナ)
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あらら~?(スカラマシュ)
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ハイドロポンプ(ヌヴィレット)