今回はトワリンとの空中戦。この戦いだけで原神を誤解する人結構いるんと思うんです。楽しんでいただけたら幸いです。
「ここがモンド城。モンドの首都ですよ。城と言っても王はいませんが。アンバーを騎士団に預けましょう」
そう言いながらアンバーを横抱きにして城内に入る謎のホワイト。彼女を見るなり門番たちが敬礼していたので、もしかして地位が高い人なのだろうか。
「私なんかに敬礼してないで、急いで救護班を呼びなさい。重症です」
「はっ!ハクア様は如何されますか!?」
「私は魔龍の対処に当たります。ジンやガイアにも通達を」
「はっ!了解しました!」
「……ハクア?」
「あ、はいハクアです。ここでバレるなら隠した意味ありませんでしたね?」
そう言ってアンバーを駆けつけてきた騎士に預けた謎のホワイト、もといハクアは振り返る。
「改めまして。私は西風騎士団の臨時団員、汐風騎士のハクアです。所属は別なんですけど、騎士団長に無理矢理入れられまして。立ち寄った時は手伝ってるんですよ」
「じゃあなんで名前を隠したんだよ!なんだよ、なぞのかめんのびしょーじょひろいんほわいとってえ!長すぎるぞ!!!」
「わざわざフルネームで呼んでいただき感謝です。かっこいでしょ?フローム・マイ・コールド!デーッド・ハーンズ!*1とか叫んでみたかったんですけどね?」
「ふろむまいこーるど……?」
「また馬鹿言ってるわね……この恨み、覚えておくわ」
「あらエウルアじゃないですかこんにちは」
すると、奥から優雅な佇まいの水色の女騎士がやってきた。和やかに挨拶するハクアに対し、エウルアと呼ばれた彼女は恨みがましく睨みつけている。えっと、入りづらいなあ。
「あ、蛍さん。こちら、波花騎士のエウルアです。仲良くしてあげてくださいね?」
「余計なお世話はいらないわよ!それより、アンバーが傷を負ったと聞いたわ。なにがあったの?この異常な風と関係がある?」
「関係あるかは知りませんが、ヒルチャールが異常な数で徒党を組んでました。この旅人二人もそれに巻き込まれたようでして」
「ふぅん、貴女は?」
「蛍。旅人です」
「旅人のガイドのパイモンだぞ!」
「この時期に旅人が現れたってだけで怪しいと思うのだけど、白亜はどう思うかしら」
挨拶したら、いつの間にか大剣を手にしたエウルアに警戒されていた。確かにこの風、気になってはいた。あの二匹の龍が関係しているのだろうか。
「エウルアはこの二人が風魔龍を操ってるって?あはは、そんなまさか。私が助けなければヒルチャールに襲われて死ぬところだったんですよ?それに、私が来るまでアンバーを懸命に助けようとしていた。悪人なわけがないでしょう?」
「アンバーは、友達だから当然だよ」
「そうだぞ!」
「……ふん、いいわ。それよりもこれよ。今までの風より明らかに強力になっている。原因はわかる?」
「はい。十中八九、もう一匹の風魔龍が現れたからです」
「なんですって?」
すると、大きな咆哮が二つ聞こえた。それは風の勢いが強くなるにつれて、徐々に近づいてくる……!?
「あれですよ。エウルア、騎士たちに迎撃の用意を。簡単に迎撃できるとは思いませんが」
そう告げたハクアの頭上で、緑と紫の風がぶつかり合い、それは竜巻となってモンド城に吹き荒れる。エウルアも大剣を地面に刺して耐え、私とパイモンも近くの家屋に掴まる中、威風堂々と何に掴まることなく立ち続けるハクアが見上げる先、竜巻を突き破る様にして、二体の龍が姿を現した。
「風魔龍トワリン……そして、どうして復活したかはわかりませんが魔龍ドゥリンです」
「冗談じゃないわよね……?」
エウルアが戦慄しているのをよそに、空中で激突する二体の龍。正確には、緑の龍が何かに悶え苦しみながらもう一匹を追い返そうとしているのを、もう一匹の紫の龍が執拗に追い詰めて玩んでいるようにも見える。二体が暴れるたびに風が強くなる。このままだと、モンド城が危ないんじゃ……って、え?
「うわっ、旅人!?お前、浮いてるぞ!?」
「な、ん、で、えぇええぇええ!?」
気付けば、吹き荒れた突風に巻き上げられて、モンド城が遥か下に見えていた。あ、私空にいる……でももう翼はないし、このままじゃただ落ちるだけ……と思っていたら、誰かにがっしりと抱えられる。見れば、大きな目の仮面と目が合った。その背には、茶色の翼が展開されている。
「危ない危ない。アンバーから渡されてないんでしたね、忘れてました。はいこれ、風の翼です。上手く扱ってくださいね?じゃあ風神様、後はお願いします」
『もう、君は僕をなんだと思っているんだい?まあいいや、落ちないように千年の流風に助けてもらっているから安心して。雲を突き破る様に風を集中させてみて。君ならできるさ。彼女にも気に入られてるみたいだし?』
「え、貴方は誰……?」
風の翼?を私の背に装着させたハクアに応えるように謎の声が聞こえて狼狽えていると、殺気。紫の龍に追われた緑の龍がこちらに迫って来ていて、ハクアに押されると私は風圧に巻き込まれてクルクル錐揉み回転し、なんとか翼を広げて安定させた。これ、私が前に使えていた翼と同じ感じで……使いやすい!
「風を集中……こうかな?」
謎の声に言われたとおりに意識を集中、風を凝縮させた弾幕を放つことに成功。モンド城を巻き込む勢いでもみくちゃになっていた二体の龍はそれから避けるように二方に避け、私目掛けて一斉に襲い掛かってきた。
「わ、わあ!?」
「いやほんと。この空中戦どうにかならなかったんですかねえ」
真っ先に飛び込んできた紫の龍が、そんなことを言いながら飛び込んできたハクアに横っ面を蹴り飛ばされて、大きく体勢を崩して落ちていく。続けて襲い掛かってきた緑の龍の噛みつきは、吹き荒れる風に乗ることで何とか避けることができた。
「ドゥリンは私が任されました。トワリンを何とか追っ払ってください。バル……その声の主は、それが望みですので!」
そう言いながら空を舞い、翳した手から白い弾丸を飛ばして紫の龍……ドゥリンを引きつけるハクア。私は頷くことしかできず、緑の龍……トワリンに向き直って弾幕を放ち続ける。どうやらこれが苦手らしく、わかりやすく逃げ始めるトワリン。
「君か、バルバトス……!邪魔をするな、我は、奴を殺さなくてはならない……!」
「えっ……喋れるの?」
「我が身が朽ちる前に、やらねばならないのだ……!」
そう言って私の方を向いて、口から風を圧縮した弾を撃ってくるトワリン。私は翼をいったん閉じて落下することで回避、再び開いて急上昇しながら、右手に剣を取り出して構える。
「いっけえ!」
「ぐぬう!?」
上昇に合わせた一撃はトワリンの顎を打ち抜き、体勢を崩したトワリンは落下。モンド城に激突する寸前で体勢を立て直し、西へ飛び去って行った。……西に見えるのは、風の壁に囲まれた……遺跡?
「そうだ、ハクアは……」
心配して空からハクアを探してみると、上から轟音が轟いた。何事かと見てみれば、私の遥か上空でハクアがドゥリンを四方八方から滅多打ちにしていた。風の翼だけじゃない、空中に足場か何かを作って跳んでいる…?
「貴方はトワリンと違って倒しちゃならない理由*2はないんですよ!」
「グオォオオッ!!」
「成仏しなさい、私の必殺マジシリーズ……盛り塩パンチ!!」
「グオォオンッ!?」
空中を蹴って更に上空に移動したハクア。眩しく煌めく何かに包まれた拳を鼻っ面に叩き込んで、悲鳴と共にその巨体が錐揉み回転して落ちていく。その先は南に聳える雪山で。巨大な雪煙を上げて、その巨体は不時着した。……わ、わあ*3。
「これでよし。生きていたとしても大人しくしてるでしょう。さあ、帰りましょうか蛍さん」
「……えっと、蛍でいいよ?ハクアにさん付けされるのは恐れ多いっていうか……」
「おやそうですか?では遠慮なく、蛍と。呼ばせていただきますね」
そうして帰還した私達……特に私は英雄だと持て囃され……駆け付けた騎兵隊長ガイアに連れられて、騎士団本部に行くことになったのだった。その横目で、エウルアがハクアに「やりすぎよ!アレがどこから復活したのか調査しないと、でしょう!?」とあんまりハクアのやったことに驚いてなかったことにびっくりだ。どんな人なんだろう。
ヘウリアは西風騎士団の臨時団員、汐風騎士の称号と風の翼を手に入れた!!!アンバーがダウンしているので風の翼を旅人に渡すのも白亜です。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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