モンド組のヘウリアの呼び方を「ハクア」で統一することにしました。アルベドがいるから地の文とかで呼ぶときややこしいことになるので。この名前はこれはこれで「神のみ」の彼女を思い出すから個人的にはあり。
前回の時点で気付けた人は多分ほとんどいなかったであろう真実が判明。楽しんでいただけたら幸いです。
「何が起きたの?ファルカの時の予言じゃ、モンドを襲う龍災はトワリンだけだったはず……なんで、レインドットの創造物が蘇ってるの、バービー!」
どこかの場所で。魔女会のコードA「アリス」は、自らの愛娘を預けている国の未曽有の危機に焦っていた。龍災と呼ばれる予言は、風魔龍を倒しモンドの英雄となる運命を有していた西風騎士団の騎士団長、ファルカを介して既に知り得ていたことだった。その予言によれば「モンドを脅かす龍災を引き起こす風魔龍は金髪の英雄と戦い鎮められる」とされていた。その英雄はファルカだと思われていたが、ファルカはその運命を知り試練の"報酬"としてもっと大きな災厄を予見した事で、より多くの者を救うため、英雄の栄光を蹴って遠き土地に遠征している。それはいい。予言は絶対だ。経緯は異なれど、必ずその結末に至るはず。問題は、予言にない二匹目の魔龍が現れたことだった。
「何言ってるんだい。よく見なよ、たしかにわしの予言じゃドゥリンが復活すると言ったが、それはこの時ではない。あれはレインドットが生み出した魔龍ドゥリンじゃあないよ。魔龍ドゥリンはトワリンとよく似た姿ではなく、赤く光る目を持つ醜く黒い骸骨の龍だったはずだろう」
「はっ!そう言えばそうだわ……じゃああれは何!?」
『少なくとも、私達の知らない何かが暗躍していることは確かね。私達の認識から外れてそんなことができる人間がいるとも思えないけど。世界樹の改変は私達には通じないし……10年前の海灯祭事変の違和感に近いわね』
コードB「アストロマンサー・バーベロス・トリスメギストス」が諭し、しかし落ち着かないアリスにコードN「ニコ・リヤン」が考察を述べる。テレパシーで話す彼女は、自分たちの知らない第三者の存在を示唆した。ニコが述べた10年前の海灯祭事変にて、認識を燃やす魔神がいることは、魔女会と言えど認識できていなかった。
「このままじゃクレーちゃんが危ないわ……今すぐにでも救援を!」
「待ちな。アンタが行ってもなんにもなりゃしないさ。モンドを救えても状況は悪化するだけさね」
『心配いらないわアリス。今モンドには、第四降臨者と盤外降臨者がいるのだもの。本当に危なくなったら救援に行きましょう、ね?』
「むうっ……私、第四降臨者はともかく彼女あんまり好きじゃないんだけど」
「おや、それはどうしてだい?」
「私のクレーちゃんが異様に懐いているんだもの!!なに!?子供に好かれるオーラでもあるの!?」
そう叫んだアリスに、バーべロスとニコは呆れた視線を向けるのだった。
西風騎士団の団長室にガイアの案内で連れていかれ、そこで待っていた代理団長らしいジンと、騎士団の図書館司書だというリサ、火花騎士だという幼い少女クレー、エウルアの部下で前進測量士なのだというミカと知り合い、事情を聞くとここ最近モンドでは風魔龍による龍災に苛まれていて、すぐにでも解決しないといけないという話で、ジンからは滞在していてくれれば騎士団が解決して私の兄探しを手伝ってくれるとのことだったが、私達も参加することにした。
「えっ、あれドゥリンじゃないんですか?」
「ええ。私の知る限り、記録に残っている魔龍ドゥリンは醜悪な骨の龍とされる怪物。間違ってもトワリンと瓜二つじゃないわ」
「……ハクア?私にあれだけ自信満々に言ってたのはなんだったわけ?」
「白いお姉ちゃん、顔がリンゴみたいに真っ赤だけどだいじょーぶ?どっかーんする?」
「どっかーんします……うう、穴があったら入りたい……」
ドゥリンと呼んでた龍がドゥリンじゃないと知って仮面の上からでもわかるぐらい落ち込んでしおしおとなっているハクアに物騒な単語で心配するクレー。そんなクレーに、ジンが嗜める大人の様に告げた。
「クレー。どっかーんはお魚も他に誰もいないところでやるんだぞ。どうせハクアは死なないからな」
「もしかして、前にクレーの試作品でみんな真っ黒こげになった時、私一人だけ花弁で無事だったの根に持ってます?代理団長」
「……クレー、禁止していたロケットボンボン爆弾も使っていいぞ。お前が大好きなハクアなら耐えれるさ。私が許可する」
「え!いいの!?やったー!!」
「ジンさんもしかして私の方がクレーから好かれてるから嫉妬してたりします!?」
「さて、茶番はさておき。早急にリサが魔法で見つけた暴風の源の対処を話し合いたい」
「人の恥を茶番扱いしないでくれます!?」
ハクアが弄られているけど、どうやら日常茶飯事らしい。私も慣れておいた方がいいかもしれない。
「放棄された四風守護の神殿。そのうち三つから反応があった。みんなには手分けして対処してもらいたい」
「トワリンはそれで何とかなりそうですね。あ、私はドゥリン……じゃなかったあの偽物トワリンを調査します。ミカをお借りさせていただければ。ドラゴンスパインは視界が悪いので……。あと、クレーは神殿の対処に当たって欲しいんですけども」
「え、僕ですか?ハクアさんが必要だと言うならついていきますけど……」
「うまく逃げたな。いいだろう。ハクア。偽トワリンはそちらに任せる。無茶はするなよ」
「任されました。……アンバーがいないけどクレーがいれば仕掛けは何とかなります、かね?」
ミカを連れて去っていくハクアが去り際になんか言ってたけど聞こえなかった。まあいいか。私は神殿の方をやればいいのかな?
「エウルアは南風の獅子の神殿、ガイアは北風の狼の神殿、リサは西風の鷹の神殿を担当してほしい。そして旅人。協力してくれるというのなら、クレーを連れて遊撃を頼む」
「旅人のお姉ちゃん!よろしくね!」
「あ、うん。よろしくね?」
クレーは元気いっぱいだなあ。ほっこりする。そんな感情は、彼女と旅をする中で文字通り吹っ飛ぶのだが。それはまた別の話。
ドラゴンスパインに落ちた魔龍ドゥリン……だとヘウリアに思われていたそれが、その巨体を崩して別の姿に変わる。ゴボゴポと不気味な音を鳴らし、滴り落ちたそれが雪を溶かし、ヘウリアから受けた傷を回復せんとよたよたと歩いていく。それを、ドラゴンスパインの上空に浮かびながら見下ろしている少女もいて。
「やははっ。やっぱりヘウリアは一筋縄じゃ行かないねー……でもトワリンを焚きつけることには成功したね!王子の計画通りだあ。頑張ってね、■■■?」
魔龍ドゥリンはドゥリンじゃなかった!というわけで。ちびドゥリンで僕も最初勘違いしてたんですけど、なんか骨龍らしいですよ魔龍ドゥリン。多分ドラゴンゾンビみたいな感じだったのかな?ヘウリアも同じ間違いをしてました。
魔女会が知り得ない事態=グレメリーが関与しているのが確定事項って感じ。世界樹の改変すら効かない魔女会すら一瞥したら認識できなくなるのやはりチートである。
クレーに懐かれ、ジンには心許せる友人みたいな扱いになってるハクア。10年で色々あったみたいです。
そして最後に登場。ドゥリン改め偽トワリンの正体。男か女かもまだわかりません。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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