今更ですが、ヘウリアの原作知識はLunaⅣ後半の海灯祭「天を翔ける玉輪の軌跡」が最新です。つまりナド・クライでアイツをボコった直後ぐらいまでの知識しかありません。なのでファルカの性能を知らん状態で転生してます、とだけ覚えておいてくれたら大丈夫です。どういうことかっていうと、「もしも」の完全に堕ちたトワリンは未経験だってことですね。
今回はヘウリアVSダスタリオ。楽しんでいただけたら幸いです。
「痛い、痛いぃ……人の目に塩をぶつけるなんてひどいぃ……」
「私、弱いので許してください。むしろ擬態なのにそこがちゃんと目の役割果たしてるんですね?」
ドラゴンスパインの暴風吹き荒れる頂上にて、ダスタリオが擬態した偽トワリンと対峙する。山頂に巨体を巻き付かせて前脚で目を擦っている姿は少し愛嬌があるが、じたばた暴れた影響で下で雪崩が起きてるので全然可愛くない。
「擬態じゃなくて“変身”だもん!ちゃんと目にしないと、何も見えないでしょ!」
「それはごもっとも。なら、その身体は全部痛覚があるってことでよろしい?」
「え。そ、そうだけど……って、関係ないでしょお!」
「正直なのは美徳ですね。なら話が早い」
やっとソルトスプラッシュの痛みが薄れたのか、尻尾で薙ぎ払ってくる偽トワリン。私は宙返りして避けて岩肌を駆け上り、偽トワリンの上をとると急降下。右手に大剣を形成して、その首を断ち切ろうとして、遮るように広げられた翼の風圧を受けて上空に打ち上げられた。
「おおう!?」
「本物を見て、この体の使い方……覚えたもんね!」
そう言いながら、口から風圧弾っぽい毒を渦状にした弾を乱射し、空に舞い上がる偽トワリン。私は大剣を手放して片手剣を握り、毒の弾を斬り捨てていくもその巨体での体当たりはどうしようもなく、まともに受けて私は吹き飛ばされ、山肌を転がり落ちていった。
「さすがに痛いですね……ゲームだったら即死ですよ……ブレワイ*1だったらゴロゴロ転がりながら少しずつハートが減っていって止まることができずに死ぬ奴ですよ。あーもう」
四肢は折れなかったもののズタボロになってしまったので、器を取り出して塩を注ぎ込んで応急処置する。四肢が折れない限りはモラクスの世話にならなくなったのである。まあ継ぎ足したばかりの塩は馴染んでないから強度はそこまでなのだけど。とか考えてたら、上空から偽トワリンが飛来。その飛翔の余波により突風が叩きつけられる。
「むっ…!?」
「わたしは弱いけど、やればできる子なんだから!」
そして、目の前に着地して来たかと思えば噛みつき。それを避けると頭突き、前進して両前脚による引っ掻き、一度飛んでからの尻尾スイングと連撃を叩き込んでくる偽トワリン。私は槍を手になんとか防御し、いなしていく。戦闘自体は子供の癇癪と変わらないのに、質量が質量だからとんでもない威力だ。毒もあるから完全に受けることもできないのが本当にずるい。
「お前……!」
「あなた……!」
偽トワリンと距離を取り、私と彼女は同時に相手を爪(剣)で指した。一瞬固まるも、そのまま怒鳴り散らす。
「何が弱いだ嘘つき!わたしめちゃくちゃ頑張ってるのに、全部簡単に防いじゃって、めちゃくちゃ強いじゃないか!!」
「なにが弱いもんですか!その巨体の質量を生み出せる上に毒って!普通にゴリ押ししても戦えるってチートもいいところですよ!!」
「なんだとお!!チートってなんだあ!」
「なんですか!!不正行為って意味ですよばーか!」
「ばかとはなんだあ!ふせいってなんだあ!」
「意味が分からないんだからばかでしょう、ばーか!」
子供みたいな言い合いの末、バチバチと視線を交わして睨み合う。お前にだけは言われたくないぞ。この弱い弱い詐欺め*2。多分双方ともに理解する。目の前のこいつだけは、許してはならないと。
「殺してやる!」
「こっちの台詞ですよ!」
ゴボゴボと、恐らく本体から毒液が追加されて肥大化した右前脚が、アームハンマーの如く大地に叩きつけられる。大地が鳴動し、罅割れて衝撃波を巻き起こし、崩れた地盤ごと上空に打ち上げられる。なんてパワー…!?これで魔神戦争の敗者ってどんだけ引っ込み思案なんですか!?
「死ねえ!」
「ぐうっ!?」
下から偽トワリンが凄まじい勢いで突っ込んできて、塩の花弁を展開するも瓦礫諸共その巨体を押し付けられて、防御が意味をなさず風圧を打ち付けられながら上昇していく。不味い、身動きが……いや、この巨体は奴と感覚を同期していると言っていた。なら……!
「塩撫…!」
「いぎいっ!?」
私を掴んでいる右腕の甲辺りにレイピア状に形成した塩の刃を差し込んで、内部で圧縮していた塩を解き放つ。簡易版「定規」による攻撃の再現だ。体内に塩を送り込まれた偽トワリンは痛みに悲鳴を上げ、私を手放した。しかし、上昇した勢いはそのまま慣性の法則で投げ出されてしまった。目の前には、氷の壁に塞がれた洞窟の入り口。前世での、目の前にあるのに取れないワープポイントにどうやっていけばいいか考えてた時を思い出す。ああ、こうすればよかったんだ。
「ぐはあ!?」
背中から氷壁に叩きつけられ、バキバキに割りながら中の洞窟に転がり落ちていく私。なんとか下り道の途中の段差に激突することで止まった。
「ぐうっ……背骨……あるのか知りませんけど、それが折れた感覚ですね……常人ならミンチですよ」
「じゃあそのまま死んでおけばいいのに……」
そこに、偽トワリンの擬態を解いて、ヘドロを両腕に纏って龍の前脚の様な形状にしているダスタリオが洞窟の入り口から私を見下ろしていた。やっぱり、擬態関係なく自由に武装できるの強すぎません?私一部に纏うか作るかぐらいしかできないんですけど。
「おやおや……龍の威をもう被らなくてもよろしいんで?*3」
「わ、わたしならやれるんだ……わた、わたしなら王子様たちの役に立てるんだぁ……取り消せ!騙されてるだなんて、取り消せえ!」
「ああもうトリップ状態ですね!?」
翼を生やし、尻尾を生やし、さらに角まで生やして龍神のような……全然似てないんだけど、未来のドゥリン*4に似てる姿になって飛び込んでくるダスタリオ。その両腕による掴みかかりを、こちらも塩でコーティングした両腕で受け止めて迎え撃ち、踏ん張りがきかずまたゴロゴロと、殴り、引っかき、蹴り、尻尾で突き、頭突きして、翼を羽ばたかせて、しっちゃかめっちゃかになりながら、転がり落ちていく。
「だーかーらー!
「お、お前に王子様と姫様の何がわかるんだあ!」
「姫の方は私の親友ですよ!覚えてないけど!」
「どういう意味だあ!お、お前なんかが姫様の親友なわけあるかあ!」
そんな言い合いをしながら、最下層の氷水の池に表面の氷を割りながら落ちてしまう私達。体の芯まで凍る冷水に、取っ組み合いを辞めて慌てて池から這い出した。どちらも荒い息だ。だがしかし、塩故に冷気に耐性がある私と違って、ダスタリオにとっては致命的だったらしい。
「さ、寒い……凍る……」
毒による武装が凍り付いて崩れ落ち、ノースリーブのワンピース姿でブルブル震えるダスタリオ。それでも私を見て、体力を消費するだろうに偽トワリンの擬態を形成し始めたので、私は三節棍を形成しながら間髪入れず懐に飛び込んだ。
「ひい!?」
「悪く思わないで下さいよ……!」
そして、一撃。そのどてっぱらに、遠心力も加えた三節棍を叩き込んだ。ダスタリオはろくなガードもできずに直撃を受け、氷壁に背中から叩きつけられて埋もれ、見えなくなる。
「……やりましたかね?」
死闘だった。少なくとも配下と武器がめんどくさいだけのシトリウスの五倍は強かった。でもこれで、やっと邪魔者は消えて原作通りにトワリンを攻略できます。
私がドラゴンスパインを去っていく中。極限状態で頭が回っていなかったため、気付かなかったことが一つだけあった。それは、ダスタリオが埋もれた先が、よりにもよって。
ドラゴンスパインで眠る、邪龍ドゥリンの心臓部の傍であったことを。
「……アハァ」
ダスタリオはヘウリアのIFみたいな存在だけあって、似た者同士です。ヘウリアが博士ほどとまではいかないけど嫌悪する存在ですね。
前回のタイトル「ドラゴンスパインの
ヘウリアと同じで自覚してない強者となります。能力の関係上、アトラス相手だったらほぼ完勝できるのよな……。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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