塩の魔神のしょっぱい備忘録   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。今回はファルカの伝説任務を見て思い付いた話となります。タイトルはガメラです。

旅人視点でお送りします。楽しんでいただけると幸いです。


トワリンVSドゥリン・ダスタリオ 空中大決戦

 ウェンティと、協力してくれることになったディルックとジンと共に、私達はシニョーラとルネウが留守の隙を突いて*1ファデュイの隠れ家から【天空】のライアーを取り戻し、モンド各地に散らばっていたトワリンの結晶の涙を回収し、私が浄化したそれらの力でライアーに足りなかった風元素を回復。

 

 トワリンを迎えるにふさわしい海風もしくは高いところを吹く風が存在する場所……星拾いの崖に向かい、そこでトワリンを呼び寄せて私が浄化する、そう言う手はずだったのだが。

 

 

「そういえば、モンド城が騒がしかったみたいだけどどうしたんだ?祭かなんかか?」

 

「どうやら君達を逃がした泥棒が暴れてたらしい。騎士団総出で大捕り物だそうだ」

 

「え。もしかして、あの泥棒とされている犯罪者は君達の仲間だったのか!?すまない、クレーも向かわせてしまった。今すぐ撤回命令を……」

 

「いや、いいよ。長司って名乗っていたけど怪しいのは確かだし、捕まえて事情聴取しても罰は当たらないんじゃないかな。風神バルバトスが保証するよ」

 

「……あの人、なにがしたかったんだろ?」

 

 

 仮面を被ってたからファデュイの仲間かと思えば、彼等の隠れ家で問い詰めたけど違ったみたいだし。そんなことを会話していたら、星拾いの崖の頂上に着いた。何かのドラマで使われてもおかしくない切り立った崖の下は、広大な海が広がっている。

 

 

「じゃあ、そろそろ準備を始めるよ」

 

「どんな結果が待ち受けようと、少なくとも転機が見えてきたのは感謝する、バルバトス殿。ファルカ大団長がいない今、八方塞がりだったからな……ここ最近、モンドは様々な問題を背負いすぎている」

 

「その問題の一つを解決するのが、異邦の旅人と自称吟遊詩人になるとはな。ああ、騎士団も少しは役に立ったか。出身国も正体もわからない、あんな白い女を入れた甲斐はあったというものだろう」

 

「ディルックは、ハクアを知っているの?」

 

「知っているとも。【博士】を追う旅路で彼女とは何度も会った。モンドに帰国した時には騎士団に入っていて驚いたぐらいだ。善人なんだろうが、知り得もしないはずの事まで知っている得体のしれない女だ。彼女を信頼するのはやめておけ」

 

「はいはい、みんな少し離れて。この世で最も優れた吟遊詩人が琴を爪弾くよ」

 

 

 あれ。ディルックがハクアの話を始めると、誤魔化すようにウェンティが話を切り上げた。知り合いなのかな?風神バルバトスの知り合いってどんな……。そんなことを考えている間に、ウェンティが旋律を響かせる。今にも冒険が始まりそうな、しかれど心を落ち着かせるそんなメロディーが風に乗っていき、そして。崖下からトワリンがその巨体を現した。

 

 

「君か……今更、話すことはない。我に一撃を与えた者もいるな。あれはよい一撃だった。苦しみが一瞬とはいえ、和らいだよ」

 

「ど、どうも…?」

 

「僕と話すことはないって?僕の見間違いだったのかな?君の目は、この曲を懐かしんでいるように見えるよ」

 

「ふん……懐かしいのは認めよう。だが、我の苦しみが癒えることはない。我が身に流れし穢れは、奴の復活に呼応して今もなおその力を増している…!」

 

「本当に、話が……トワリン殿!あの魔龍ドゥリンは偽物だったと、我が騎士団が暴いた!暴れる必要はないのだ!」

 

「そうなんだ、トワリン!それにこの旅人は、君の涙を汚染していた穢れを浄化した。君の身に流れる毒も癒せるんだ!」

 

「むっ。危ない!」

 

 

 ジンとウェンティが説得を試みた、次の瞬間。ディルックが反応して、炎元素を纏った大剣を手に飛んできたそれを受け止める。それは、ウェンティの手にある【天空】のライアーを狙っていたようで、ジンと私も剣を抜き臨戦態勢をとる。すると、トワリンの背から現れたのは杖を手にした小柄な魔術師の様な魔物だった。

 

 

「そいつに騙されるな、憐れな龍よ……そいつはそなたを捨てた。まぎれもない事実だろう」

 

「アビス教団…!」

 

「やはり、関与していたのか…!」

 

「アビス、あれが……」

 

 

 アビスの魔術師は私に視線を向けると少し考えたようだが、トワリンの背にいるため攻撃ができないディルックとジンを杖で指し示した。

 

 

「ほら、今もそなたのことを騙して討伐しにきた」

 

「バルバトス……!本当、なのか…?」

 

「疑問を抱くこともないだろう、龍よ。憎み、憤るといい。そなたはモンドを敵にしてしまった。もう戻れぬ。それに感じるだろう、魔龍が復活したことを。奴を放って奴らはここに来た、それが証拠だ」

 

「残念だったな、アビス教団!お前たちが差し向けた偽物のドゥリン……毒の魔神ダスタリオは、西風騎士団が討ち取った!」

 

 

 偽ドゥリンを利用して焚きつけようとしているらしいアビスの魔術師に、ジンがそう宣言する。しかしアビスの魔術師の……正確には、私達の背後を見てから余裕を取り戻したらしい焦っていた様子だった雰囲気は揺らがない。

 

 

「どうかな?龍よ、奴らはあんなことを言っているが感じるだろう。魔龍の存在を。こんな嘘つき共、信じるに値するのか?」

 

「バルバトス……そいつらは、君と共に、我を殺しに来たのか…!?」

 

「違う!」

 

「安心しろ、龍よ。真に仕えるべき主を紹介しよう。そなた達はここで、自分の無力さを嘆くがいい……ん!?」

 

 

 咆哮を上げ威嚇するトワリンの背で勝ち誇っていたアビスの魔術師の喜悦に満ちた声が、驚愕に染まる。その視線は私達の背後……ドラゴンスパインがある方角に向けられていて。私は警戒しながらも、ちらっと横目でそちらを見た。見てしまった。

 

 

「待て、ダスタリオ。段取りが違う。お前はただ嗾けるだけで、トワリンに手を出すのは違うだろおおおおおおおっ!?」

 

「なんだ?」

 

「みんな、逃げて!!」

 

 

 焦りに焦り、今までの余裕はどこへやら絶叫するアビスの魔術師にディルックが首を傾げ、私はたまらず警告の声を上げ、身体に漲る風元素を爆発。剣を振るい、背後に向けて竜巻を放つ。しかしそれは、ドラゴンスパインから一飛びで飛んできたその、トワリンの巨体を優に超える巨龍に炸裂するがびくともせず。

 

 

「ジン!」

 

「パイモン!」

 

「トワリン…!」

 

 

 私とディルックは咄嗟に私がパイモン、ディルックがジンを抱えて崖から飛び降り、ウェンティも竜巻を起こして対抗しようとしていたが対抗できなかったようで、ギリギリ自分の体を風で浮かして遅れて落下。風の翼を広げて滞空した私達が見上げるそこで、トワリンと……ドゥリンと思われる巨大ドラゴンゾンビが激突。アビスの魔術師がその余波でドゥリンの肉体に触れて、飲み込まれていくのが見えた。

 

 

「なんだ、これは…!?お、王子様ぁああぁぁぁああぁああ!?」

 

 

 断末魔を上げてドロドロと溶けて行ったアビスの魔術師は完全に取り込まれ、さらにトワリンをその両腕で掴まんとするドゥリン。トワリンは高速で飛翔して組み付かれるのを回避、風元素の槍を形成して連続で射出するも、ドゥリンは意にも介さず、星拾いの崖の上でじたばたと暴れていたが、飛べばいいと思い至ったのかトワリンを追いかけて飛翔。トワリンを狙って口から毒液の塊ノブレスを連続で発射し、トワリンは何とか回避していく。

 

 

「なんだ、あれは!?ジン、偽ドゥリンとやらは倒したんじゃなかったのか!?」

 

「ハクアが倒したはずなんだ!それに、あの時の偽物とはわけが違う……見た目も伝承に近い、本物のドゥリンだと思うしかない…!」

 

「あのままじゃトワリンが不味いぞ!」

 

「でも、風の翼は滑空しか……」

 

「みんな!」

 

 

 どうしたものかと風の翼で滞空しながら様子を窺っていると、いつの間にか下に着地していたウェンティが、【天空】のライアーに濃密な風元素を集束させているところだった。

 

 

「僕が、今持ちうる全力を以て君達を空に打ち上げる!頼む、僕の代わりに……トワリンを助けて!」

 

 

 その言葉に、私とジンとディルックは、視線を交わすと力強く頷いた。同時に、ウェンティを中心にこれまでとは比にもならない巨大な竜巻が発生。周囲の木々ごと、私達を上空に打ち上げた。

 

 

『横に吹く気流も発生させた!それを使って追いついてくれ!それから、くれぐれもドゥリンの攻撃に直接当たらない様に!前に見たやつとは何か違うけど、もし同じなら触れただけでトワリンの二の舞になる!』

 

「わかった!任せて!」

 

「頼んだぞ、旅人!みんな!」

 

蒲公英(ダンデライオン)騎士の名に懸けて、モンドを守る…!」

 

「龍退治することになるとはね…!」

 

 

 

 ウェンティの起こした気流のレールに乗り、私達は天空を突き進むと、見えてきた。ドゥリンの攻撃を受けることができないため防戦一方のトワリンと、トワリンが小さく見える巨体のドゥリンの姿が。

 

 

「でも、どうしよう!遠距離攻撃は……一応、私が風を刃にして飛ばせるけど!」

 

「僕がそれに炎を乗せて拡散させよう!あの質量だ、それで足りるとも思わないが!」

 

「私が防御を担当する!なに、死ぬ気はないさ!」

 

 

 役割を決め、散開する私達。剣先を向けて風の刃の弾幕を乱射し、そこにディルックが炎の鳥を飛ばして拡散。ドゥリンの背中で次々と爆発が起き、ドゥリンの紅い眼がぎょろりと私達に向いた。興味が私達に向けられたらしい。大きく旋回し、その巨体で体当たりを仕掛けてくるドゥリン。

 

 

「風と共に去れ…!」

 

「火炎よ、燃やし尽くせ!」

 

 

 私は咄嗟に翼を閉じて落下することで回避、すかさず翼を開いて上昇し、元素爆発で竜巻を放つのではなく、剣に纏わせることでリーチを伸ばした斬撃をドゥリンに叩きつけ、そこにディルックが炎を拡散させて巨大な火柱がドゥリンの肩に炸裂。そこに、全身に風元素を纏ったジンが弾丸の様に高速で突き進み、風の塊を纏った剣先をドゥリンの顎に繰り出した。

 

 

「風圧剣…!」

 

「グウッ…?」

 

 

 風の塊が爆発し、ジンが錐揉み回転しながら落ちるのと引き換えに空中で顎が打ち上げられ体勢が崩れるドゥリン。しかし、その巨体を回転させて長い鞭の様な尻尾を振るい、私は咄嗟に飛び込んでジンを横抱きにして下に飛翔することで回避。ディルックが振るった炎を纏った大剣を腕の一振りで振り払い、毒のブレスを乱射してこちらを狙ってくる。だめだ、今つけた肩の傷ももう治っている。あの肉体、ただの肉体じゃない。手ごたえからして不定形な何かだ。

 

 

「滅べ、ドゥリン!!」

 

 

 そこに、トワリンが口内に圧縮させた風のブレスを放ち、私達に集中していたのが災いして翼に受けてバランスが崩れ、私達の高度を抜けて落下するドゥリン。そのままチャンスだとばかりにとどめを刺さんと、私が、空中で体勢を立て直したジンが、ディルックが、トワリンが。上から追撃せんとするも、ドゥリンが笑ったような気がした。

 

 

「危ないっ!」

 

「トワリン!?」

 

 

 バサッ!と巨大な翼がまるで巨大な根の様にさらに大きく広がり、そこから毒の雨が天を昇って凄まじい速度で放たれる。避けようがない死の弾幕に、私達が覚悟したとき。私とジンとディルックを庇う様に、トワリンが私達を抱えてその背で受け止めた。炸裂するたびに何かが溶け、爆発するかのような不気味な音が轟き、そのたびにトワリンから苦悶の声が上がる。

 

 

「トワリン、なんで……」

 

「……バルバトスの友を、これ以上喪わせるわけには……」

 

 

 私の問いにそう返しながら、墜落する様によろよろと落ちていくトワリン。そして始まりの浜の傍の海に着水し、トワリンから離れて岸に上がった私とジンとディルックが見たのは、今の攻撃で体の大部分を失ったのか骨格をほとんど露出させて、恐らくドラゴンスパイン方面に飛んでいくドゥリンの姿だった。

 

 

「……トワリン」

 

「おい、しっかりしろ!トワリン!なあ、おい!」

 

 

 視線を下ろせば、海水に半ば沈んでぐったりとしている、全身に黒ずみが広がっているトワリンの姿。これから、どうしよう……。

*1
「あっはっは、笑うしかない。――――天敵だ」にてヘウリアを牽制に行ってた時




旅人の強さが、使える元素以外はナド・クライの博士初戦と同じくらいなのにこれである。風元素だけだとどうしても火力が落ちるとはいえね。

ファデュイだけでなく長司と言う謎の存在がライアーを狙っていた(と思われる)ことにより、ディルックが警戒を解かなかったためライアーの破壊は阻止できました。その代わりドゥリン・ダスタリオ襲来。アビスの魔術師は犠牲になったのだ……決して、あのトワリンとの会話でのこいつがむかついたから仕返しをしたからとかではないですよ、決して。

結末については、トワリンはバルバトスの友を知ってるからだろうからこうするだろうなと。最大戦力のファルカと騎士団の主戦力がナド・クライ遠征で不在、復活直後なため他の国からの援助は今のところ見受けられない、そもそもドゥリンは正規軍がカーンルイアに遠征していて不在なせいでモンドを壊滅に陥れている、と縛りにもほどがある状態でドゥリン・ダスタリオに勝てるのか。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

ダスタリオの末路は?(ストーリーに関わるかどうかは未定)

  • 新たな邪龍ドゥリンとして倒される
  • 倒されるも弱体化しグレメリーに回収される
  • 本音を吐露してヘウリアに同情されて救済
  • 博士に目を付けられてファデュイに鹵獲
  • アルベドが何とかする
  • グレメリーに処刑される
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