塩の魔神のしょっぱい備忘録   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。せっかくだからアンケート全部やるぜ!ってことで第一弾。ダスタリオの顛末です。

うちのヘウリアならこうする。楽しんでいただけたら幸いです。


モンド編エピローグその1:ヘウリアとダスタリオ

 

 

「わたしを、みすてないで……」

 

 

 私に絶え間なく力を与えてくれていた心臓が吹き飛ばされた。それなしで巨体を維持できるはずもなく、飛ぶこともできずに崩れて落下する。ああ、姫様には裏切られて、王子様にも見限られて、私はまた、一人寂しく死んでいくんだ……どんどん眼下に迫ってくるドラゴンスパインに、圧死する未来を幻視する。心臓の力を失ったせいで、無駄に増やし過ぎた分厚い毒膜から脱出することも叶わない。

 

 

「諦めてんじゃねえですよ!!手を、伸ばしなさい!!」

 

「……え?」

 

 

 声が聞こえて、目を開ける。私を覆う分厚い毒膜の向こうに、逆光で隠れた誰かが手を伸ばしていた。え、一緒に落ちて、え?

 

 

「ええい、邪魔ですね!!」

 

「え、ええ!?」

 

 

 ぐわし!と、毒膜を掴んだらしい誰かは、そのまま力ずくで表面を引っぺがし、毒膜でよく見えなかったその顔が見えた。狐の面だった。思い出した、私がドゥリンになった直後に海に叩き落とした人だった。顔も名前もわからない誰かが、引っぺがした毒膜を投げ捨てて私に手を伸ばしている。なんで……?

 

 

「なんで、あなたが……」

 

「え?ああ、これじゃわかりませんよね!」

 

 

 そう言って狐面を外して出てきた顔は、私と死闘を演じたヘウリアだった。私と違って、綺麗で、清純で、皆に好かれている……心底嫉妬した人。姫様の惚気話を聞けば聞く程、彼女が姫様やモラクス、民から愛された人だというのが伝わってきて……私を邪魔してきたとき、憎たらしいと思ったんだ。

 

 

「ヘウリア……私が身の程を弁えなかったせいで1人寂しく死ぬのも見届けに来たの…?」

 

「はい?そんな悪趣味な性癖ありませんよ!私が見たいのは「てえてえ」です!鬱展開なんて誰も望んじゃいないんですよ!ほら、手を掴みなさい!」

 

「なんで、私は「悪」だよ…?アビス教団で、異物で、嫌われ者で、魔龍の偽物、だよ?」

 

「貴女が言ったんでしょうが!ダスタリオ!!わたしをみすてないでって!見捨てないで来てやりましたよ文句があるか!!」

 

「……本当に?」

 

 

 そう怒りながら、何かを蹴って加速して私に飛び込んでくるヘウリア。まだ私は毒膜に覆われているから、自殺行為に等しいのに。ヘウリアは躊躇なく私に抱き着いてきた。本当に助けに来てくれたんだ、と察するには十分すぎる行動で。ヘウリアはそのまま足場でも作ったのか空中で踏ん張ろうとするも、止まらなかった。

 

 

「って、重っ!?」

 

「ひどい!?私は重くないもん!」

 

「ほとんど人型なのに質量まだ残ってるじゃないですか!捨てなさい!このままじゃ止まりませんってば!!」

 

「無理だよ!?今の私にそんな体力残ってないからあ!!」

 

「ええい、仕方ないですね!?なら、私の中に入りなさい!それぐらいはできるでしょ!」

 

 

 いきなり、猛毒でなおかつ超質量の私に体内に入れなんて言ってくるヘウリア。誇張なしに私、生物からしたら猛毒なんだけど!?それに例え体内に入ったところで、助かるとは思えないけど……。

 

 

「し、死ぬよ!?」

 

「そんなやわじゃないですよ!私が一番信頼している人が作ってくれた体ですからね!さあ、早く!!」

 

「う、うん…!」

 

 

 一切躊躇せず、口を開けて促してくるヘウリアに、私は意を決して残った死力を振り絞って、まとわりつくようにしてヘウリアの口から体内に侵入していく。気道を塞がれたヘウリアの苦しむ声が響いて思わず出ようとするも、ヘウリアはなんと私の残りをかき集めるようにして無理やり自分の体内に詰め込んでしまった。

 

 

「うぐぐぐ……」

 

 

 私を取り込んだヘウリアの視界が伝わる。私という質量を取り込んだにも関わらず、どこも膨らんでないヘウリアは、目の前に迫るドラゴンスパインの頂上に、口を押さえながら翼?を背中に展開。急ブレーキをかけるも、私を加えた重量はどうしようもなかったようで、ドラゴンスパイン頂上の柱?に顔をぶつけ、跳ねて外に投げ出され、また落下する。しかしヘウリアはなんと素手でドラゴンスパインの山肌に指を突き刺してさらに両足を踏ん張り、無理やり落下スピードを落としたままズルズルと落ちていって、最後には軽く尻もちをついてひっくり返り、私を吐き出した。

 

 

「うえぇええええ……不ッッッ味っ!!抱き抱えたら今の方法ができなかったから飲み込むしかありませんでしたが、刺激的ですがもう勘弁ですね……」

 

「……なんで、私を助けたの。私は敵でしょ。モンドの騎士のあなたにとって、私は……」

 

 

 なんとか人型に戻って、それでも動くことができないので座り込みながらそう尋ねると、ヘウリアはよろけながら立ち上がり、私を軽く小突いた。

 

 

「じゃあかしいんですよ。そこはまずありがとうでも適当に言っておきなさい。敵とか関係ないです。いや、博士とかだったら容赦なく見捨てますけど。あなたみたいな可愛い女の子を見捨てたら夢見が悪いんですよ」

 

「か、かわいい?気持ち悪いとか、不気味とか、近づくな……とかじゃなくて?」

 

「これまで、そんな心ない言葉を受けてきたんですね……卑屈になるのも、ただグレメリーに褒められたいがためにドゥリンにまでなったのも頷けます。その形が素顔なら、間違いなく可愛いですよ。むしろ愛玩されるタイプでしょうに。まあ毒が危険だから近づける人が少ないんでしょうけど」

 

「……やっぱり、私は一人だよ」

 

「でも、私に毒は効きませんから」

 

 

 ポン、と頭に手が乗せられ、撫でられる。始めてのそれは心地よくて、思わず身を委ねてしまう。

 

 

「死ぬ前の私ならわかりませんけど、今の私は動く塩の像ですからね。毒なんか効きませんので、目一杯愛でてやります。ひんやりして気持ちいいですよ」

 

「……それは雪山だからじゃない?」

 

「シャーベットにしたら美味しいですかね?」

 

「た、食べないで!?」

 

「食べませんよ。しかしどうしますかねえ……今のあなた、騎士団からはドゥリンの件で、アビス教団からは仲間殺しで、ファデュイからは博士に研究目的で狙われそうです」

 

「……うん、どこにも居場所はないから……誰にも迷惑がかからない場所でひっそり暮らすよ……」

 

 

 淋しいけど、仕方ない。私はいるだけで迷惑だから。そう思ってしゅんとしていると、頭を乱暴に撫でられて見上げる。得意げなヘウリアの顔があった。

 

 

「一つ、素晴らしい提案をしましょう。私はこれから、前代未聞の大仕事を成し遂げないといけません。周りの人は全員関係者だから巻き込むことができず、一人でやるしか無かったんですが……あなたが良ければ、私を手伝ってくれませんか?」

 

 

 そう言って手を差し出すヘウリアに、きょとんとしてしまう。いいの、だろうか。私が、誰かの傍にいても……求められても、いいのだろうか。

 

 

「いいの……?迷惑、じゃない?」

 

「もちろんいいですよ。いいですか、生物ってのは生きてるだけで誰かに迷惑をかけるもんなんですよ。あ、でもこき使わせてもらいますよ。やることはいっぱいあるんです。そのかわり……陳腐な言葉ですが。私なりにあなたを愛します。あなたがどんな敵に襲われようが、絶対見捨てたりしません。それじゃだめですかね?」

 

 

 その言葉に、ふるふると首を横に振る。ああ、姫様。あなたがこの人のことを好きになった理由が、わかった気がする。

 

 

「毒の魔神ダスタリオ!ご主人様のために、頑張ります!」

 

「え。いや、ご主人様はちょっと……」

 

「だめ、ですか…?」

 

「うぐっ。……あなたの好きにしてください。とりあえず、ドゥリンの心臓と骨を元の位置に戻しますよ。ほい、塩の軍勢」

 

「ご主人様が増えた!?天国……?」

 

「「「あなた、もしかしてビビアン*1タイプです?」」」

 

「ご主人様のためなら、またドゥリンになるよ!」

 

「「「やめてくださいね?マジで」」」

 

 

 それから徹夜でもとに戻す作業をした。寒かったけど、楽しかった!一人じゃないって、こんなに楽しいんだね!ご主人様!!

*1
ゼンレスゾーンゼロの主人公パエトーンのガチ勢




ヘウリアガチ勢の方々(他にもいるし、十年でさらに増えてるけど代表的な人々)
・モラクス(かけがえのない友)
・仙人たち
・甘雨
・ペルクリ
・クロナヴィ
・ナヒーダとダークナヒーダ(シオンのみ)
・グレメリー(強火)

・ダスタリオ(NEW!!)

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

最終的にヘウリアの隣に立つのは……?

  • 後方腕組み師匠、モラクス
  • ヘウリア様を養います、甘雨
  • 私のお母様だから!クリーヴ
  • 彼女とクリーヴは私が守る、ペルヴェーレ
  • 一番弟子クロリンデ
  • お父様の後のパトロンは任せて ナヴィア
  • 灰なのに脳を焼かれました グレメリー
  • ご主人様のお腹の中まで ダスタリオ
  • 私は白亜を信じてるよ 蛍
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