一話飛ばしてたのでわかりにくくなってました。
高評価いただけた方。本当にありがとうございます。
嬉しいです。
ロンデニオン。
偽りの和平交渉が行われる中、俺はホビーハイザックのコックピットで、戦場の知識を総動員して「ある場所」を監視していた。
モニターに映し出されたのは、草原で馬を走らせる2人の男。
そしてそれを追うバギーに乗った3人組だ。
金色のスーツを着た男と、青いスーツに天然パーマの男。
歴史を動かす英雄たちの逃走劇――と言えば聞こえはいいが、
実際にはただの「元カレ同士の口喧嘩」だ。
「俺達と一緒に戦った男が、なんで地球潰しをする!」
「地球に残っている連中は地球を汚染しているだけの、重力に魂を縛られている人々だ」 「世界は、人間のエゴ全部は飲み込めやしない」
「人間の知恵はそんなもんだって乗り越えられる」
「…ならば、今すぐ愚民どもすべてに英知を授けてみせろ」
通信傍受を試みると、原作通りの内容が聞こえてくる。
そこへ、一人の少女が飛び込んでいく。クェス・パラヤだ。彼女がシャアに駆け寄った瞬間、アムロがシャアに掴みかかった。
「……あ、来るぞ」
俺はニヤリと笑い、録画ボタンを押した。
アムロが華麗な足さばきで、ネオ・ジオン総帥シャア・アズナブルを豪快に投げ飛ばす。伝説の「巴投げ」だ。
さらに、投げ飛ばされた勢いのまま地べたを転がり、情けなく後退りするシャア。
「ぶふぉっ……!! ははははは! 傑作だ!」
機体内で腹を抱えて笑い転げる。ネオ・ジオンの兵士が見たら卒倒するような光景だが、前世の記憶をもつガンダムオタクからすれば、人類の救世主を自称する男が、昔のライバルに投げ飛ばされて泥まみれになっている姿は、最高に滑稽なコントだった。
アムロが銃を抜く。クェスがそれを止める。
脚本通りの展開だが、クェスの瞳にある「自分を理解してくれる存在を求める必死さ」を見た時、俺の笑いは消えた。
(……さて、仕事をするか。あのアムロに、二度目は撃たせない)
俺はホビーハイザックを急降下させ、土煙を上げながら三人の間に割り込んだ。
「大佐、遊びが過ぎます。……お嬢さんも、そんな危険な奴のそばにいるもんじゃない」
ハッチを開け、驚愕するアムロを横目に、泥だらけのシャアと、呆然とするクェスを素早く回収した
レウルーラにシャアを送り届けた後
。
ホビーハイザックの狭いコックピットにクェスは飛び込んできた。
「ふぅん…ジェガンより古いのね…」
「ジェガンのシミュレータで遊んだりしたのか?
少し古い機体だが、すぐにコツを掴める。ほら、スロットルに手を置いてみろ。……そう、優しくだ。機械を動かすんじゃなくて、お前の『意識』を宇宙に広げる感覚だ」
俺は、中学生の妹に勉強を教えるような、落ち着いたトーンで話しかけた。
原作のギュネイの様にはならない様に配慮して、ただ、彼女が持つ天賦の才を、正しく伸ばしてやりたいという「大人の配慮」だ。
「……っ。あ、動いた……すごい、機体が私の体みたい……」
クェスの瞳がキラキラと輝き始める。彼女は、シャアのような「理想の大人」や、アムロのような「否定する大人」ではなく、少し年上なのに、余裕があるギュネイに関心を抱き始めたのであった。