セクハラ提督と大淀先生のちょっとためになる話 作:同人誌は純文学
執務室には、静かな午後の空気と、妙な沈黙が漂っていた。その静寂を、提督の自信満々な声がぶち壊す。
提督は、服の中に入れた手を止めるどころか、自信満々に胸を張って言い放った。
提督「フフフ……大淀。俺のスーパージーニアスな三段論法を聞け!」
大淀「ほう……? 聞きましょうか」
(何が出てきても憲兵隊に電話する準備はできています)
提督「大前提:大淀は俺に触られるのが好き。」
大淀「…………は?」
声が出るまで、ほんの一瞬、間があった。
自分でも何を言われたのか理解するのに時間がかかった、という顔だ。
提督「小前提:本当はもっと触って欲しいけど、照れ隠しで激辛カレーにすると言ってしまう。」
大淀「………………(絶句)」
提督「結論:ゆえに、大淀をいくら触っても激辛にされることはない! むしろご褒美である!」
提督は「勝った……!」と言わんばかりのドヤ顔で大淀を見つめている。もはや論理的思考というより、ほとんど願望の押し売りだった。
大淀「……提督」
(……なっ、ななな、な……! なんですかその、救いようのない、それでいて……っ、少しだけ図星を突かれたような、いい加減な推論は……!!)
熱い。自覚できるほど熱い。大淀の顔は、先ほどまでの怒りとは別の耳まで真っ赤に染まる沸騰状態になってしまった。眼鏡が曇るほどの熱量を発し、知性の防波堤が決壊寸前だった。
大淀「……その『大前提』と『小前提』は、どのデータに基づいたものですか? 客観的な証拠、あるいはエビデンスを提示してください。……ありませんよね? ありませんね!?」
大淀は理性的に反論してくるが、最後、声が裏返った。
提督「え、だって今、大淀の心臓、ウルトラスーパージーニアスな速さでドキドキしてるし……」
大淀「それは貴方の非常識な行動による動悸です!!」
大淀はバッと提督の手を(物理的に)引き抜き、今度は逃げられないように提督の両頬をガシッと掴んだ。
大淀「いいですか、提督。論理学において、前提が間違っていれば結論も必然的に誤謬(ごびゅう)となります。つまり、貴方の導き出した結論は……大・ハ・ズ・レです」
(あぁもう!論理的には破綻しているのに、感情面では反論しきれないのが一番厄介なんですよ……)
提督「あいたた……。じゃあ、今日の晩飯は……」
大淀「ええ、『激辛』です。唐辛子の唐辛子の原産地に、ちょっと申し訳なくなるレベルで」
大淀はそう言い放ち、顔を赤らめながら少し唇を尖らせる。
大淀「……ただし。貴方が『激辛すぎて食べられない』と泣きついてきたら……」
そこで、言葉を切った。続きを決めきれないまま、視線を逸らす。
大淀「……私の甘口カレーと、半分替えてあげないこともないですが……」
提督「……あれ? それって結局、俺を甘やかしたいっていう俺の小前提、当たってない?」
大淀「黙って書類を書きなさい!!(さらに頬を引っ張る)」