UNKNOWNことラ・ロたんとどっちで書こうか迷いましたがこいつ等の方が気楽に書けそうだったのでこいつ等にしました。
それではよろしくお願いします。
~sideキュルケ~
「う、嘘でしょう…何よ…何なのよこいつ等は?」
私は夢でも見ているのだろうか?
たった今目の前で起きた現実の光景を見上げる私は唯々、いつものフォン・ツェルプストーとしての自分を忘れた唯の小娘と化していた…
今日、私はトリステイン魔法学園の使い魔召喚の儀式において虎の様な立派な体躯を持つサラマンダーというまさに火の系統、それもトライアングルの称号を持つ私には相応しい大当たりと言える使い魔を引き当て従わせる事に成功した。
「…………不明」
そして、同じくトライアングルクラスの私の親友でありクラスの中でも最高のメイジであるタバサなどは何と風龍の幼体を呼び出した。これはまさに他の生徒と比べれば別格と言えるだろう。
はっきり言えば彼女の呼び出した風龍、シルフィードがいなければ私のフレイムこそが最高の大当たりと自信を持って断言出来た程だ。
混乱したせいか…話が少々それたけども、私が見上げているのはまさにその使い魔召喚の儀で呼び出された2匹の怪物だ。
そう、本来1匹のはずである呼び出される使い魔…それが2匹。それが小さな小鳥やもっと大した事の無い使い魔ならばそりゃあ驚きもすれば珍しがるでしょうけども一応その事態に対しては納得も出来る。
でも冗談じゃ無い…今私達に影を落としている2つの巨体はたった一体で既に私が知り得る全ての生物を超越している様に思える。私だけじゃ無い、隣に立つタバサの珍しく強張った表情を見ればあらゆる知識に精通している彼女も知り得ぬ程の怪物なのだ。それが2体って…反則でしょう?
私がその理解不能な化け物(モンスター)に感じたのは紛れも無く『覇』であり、そして…
それらを呼び出したのは私の同級生、魔法成功率「0」落ちこぼれの大貴族、クラス一番の問題児。私のライバル…
そう、彼女の名前はルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール。その二つ名を『ゼロのルイズ』
しかし彼女の二つ名は近い内に変わるだろう…これは予想じゃあ無い、揺るぎない確信だ。
~sideルイズ~
「私ルイズ・フランソワーズは心から願う、この宇宙の何処かに居る強く、美しく、気高き我が使い魔よ!!我が声と導きに答え、私の前にその姿を現しなさい!!」
そう言って私は2度目の詠唱を唱え終えて杖に全ての魔力を込めて振り下ろした。一度目?一度目は…その…練習というか…何も起きなかったわ…
いつも起きる爆発も起きずに完全な失敗…改めて考えてみたらそんな形の失敗は初めてだったけれどもそんな事を深く考えて等居られない。何故なら使い魔召喚に失敗すればそれ即ち、前代未聞の魔法学園落第という不名誉を得る事になるのだから。
「お~い、また失敗なんじゃ無いのか~?」
それは詠唱を終えた私を呷る様なクラスメイトのヤジに悔しさを堪えていた瞬間だった。
「来たっ!!」
何かが私の琴線に触れたのか?直感がそれを告げた瞬間に目の前の芝生の広場に突然開いた3メイル程の銀の穴。
確かな手応えとクラスメートの響めき…ついつい振り返り、さぞ驚いて居るであろうあのキュルケの顔を見たくもあったがその気持ちをぐっと堪えて召喚のゲートを私は注視する。
すると突然ゲートに変化が現れた。普通ゲートは完成したならばそのまま使い魔を外に導き、消滅する物であるが私の作り出したゲートはその口径を突然10倍近くに広げ、広場の芝生を塗りつぶしたのだ。
「ぬぅっこれは?下がりなさいミスヴァリエール、恐らく使い魔はかなりの巨体であると予想されますぞ。」
「は、はいっ。」(嘘っ?この大きさもしかしてドラゴンの成体?!こんなサイズのドラゴンって言ったらエルダークラスじゃない!!やったわ私!!流石は私!!
お父様、お母様、ルイズはやりました!!ふふふふふ、まさにこの私に相応しいわ。あぁ、始祖ブリミルよ私は今日程貴方に感謝した日はございませんわ!!)
引率であるコルベール先生の注意の喚起とさらに大きくなるクラスメートの響めきに私の中に歓喜と期待が大きく膨れあがるのを感じる。
そして、遂にゲートに更なる変化が現れた。
まず感じたのは急激な肌寒さ、次いでバチリバチリと空気が弾ける様な独特な音。そしてようやく現れたのは金と銀の閃光。二色の閃光がまるで私達の目を焼かんとばかりにゲートから吹き出す様に溢れ出た瞬間、遂にゲートからそれは飛び出してきた。
勢いのまま数10メイル上空に飛び出したのはまるで絡み合っているかの様な光を反射させて輝く金色と銀色の巨体だった。
「うおおおおぉぉー、何だアレ!!?」
「でかいぞ!!」
「ミス・ヴァリエール下がりなさい。」
「2匹いるように見えるぞ!!!?」
呆然としてしまった私を他所に、私を背に庇う様に瞬時に動いたコルベール先生とクラスメートの悲鳴と歓声が周囲に響き渡る。
(コルベール先生、ありがたいですが…眩しいです!!)
上空に飛び上がった私の使い魔達の身体が反射した太陽の光がもう一つの反射を持って予想外の方向から私を襲った…だけど今はそれすらもすこし心地よく感じる程私は高揚しているのだろう…
(キタキタキタキタキタキタキターーーーーーー!!!!来たわよ私の使い魔!!)
一拍の間、猛吹雪と落雷の雨と共に、地面に叩き付けられる様に私の目の前に呼び出された私の使い魔は、とても大きな身体を持った二足歩行する2匹の巨大な魚?でありその鱗は黄金と白銀で眩い程に彩られていた。
短いか?
二匹の魚と、一人の女が、銀河の闇を星となって流れた。
一瞬のその光の中に、人々が見た物は、金、力、運命。
いま全てが終わり、駆け抜ける悲しみ。
いま全てが始まり、きらめきの中に望みが生まれる。
次回『契約』
遙かな時に全てを掛けて。