覇種の使い魔~輝輝臨臨~   作:豚煮込みうどん

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今回は山無し落ち無しなちょっと短い日常回で御座います。

昨日は更新できなかったのはクリスマスだからお泊まり旅行してたからです。


そう、一人でね!!!


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~ルイズside~

 

春の使い魔召喚から凡そ1週間がたったその日、日の出と共にフクロウ便が私の部屋に訪れて一通の手紙を届けてくれた。

 

『ルイズへ

 

 久しぶりね、まずはおめでとう。春の使い魔召喚に成功したそうね?昔から失敗ばかりだった貴女がついに魔法を成功させたという事を家族全員とても嬉しく思うわ。

 

でも、手紙に書かれた呼び出した使い魔に関しての事だけど正直に言えばお父様お母様もとても困惑しているわ。

30メイル級の全身黄金と白銀を纏った魚が2匹。

私もこんな事は思いたくなかったけどはっきり言ってとても信じられないわ!!モモロ…いえ、カトレアは手紙の内容そのまま鵜呑みにしていたみたいだけど。

 

とにかく、実家からは私が一度アカデミーから様子を見に行って来いと言われたから近い内に魔法学院に顔を出すと思うわ。

久しぶりに会えるだろう事と遂に使える様になったという貴女の魔法を見る事が出来る事を楽しみにしているわ。

 

 

エレオノールより』

 

 

久しぶりに届いた家族からの手紙に私が思ったのはただ一つ…

 

(やばい!!)

 

 

召喚魔法の成功で魔法の才能が遂に開花したと思った私は浮かれたままに実家に送った手紙には遂に水と風の系統に目覚めた…ととれる様な文面を書いてしまった。

 

未だ、私の魔法は爆発しか起こさない…

 

_________

 

 

「何か浮かない表情ねルイズ。」

 

「そ、そんな事無いわよ。」

 

 

私が先日届いた手紙についてどうした物かと思案していると目の前でシルゴルの鱗の選別を手伝ってくれているモンモランシーの声に咄嗟に応える。

 

そう、一週間だ。一週間もあれば私の部屋に無造作に詰め込んで置いてあった鱗袋がいい加減邪魔にもなってくる。既に3袋が一杯になっている…

そんな状況がキュルケに見つかって馬鹿にするでも無く本気で怒られて、それがまたミス・ロングビルに伝わってまたしてもお叱りを受けて鱗の整頓をするはめになってしまった。

そこでミス・ロングビルには大きさ、傷の有無、形、それらをそれぞれきちんと分けて管理するようにと指導を受けた。

 

とは言え扱う物が黄金の類いである以上、平民の使用人連中だと善し悪しがよく分からないから選別が出来ない。そこでどこで聞きつけたのか…もの凄い勢いで手伝いに名乗りを上げたのがクラスメートのモンモランシーだった。

 

正直助かった。頼りのミス・ロングビルは本業が忙しく(こっちの方が稼げるのにとぼやいていたけど…)キュルケは後数日に迫った使い魔品評会に向けて使い魔の訓練で忙しいからと断られた。

タバサは数日前から使い魔共々見ていない。キュルケが言うにはあの子が突然何処かに行ってまた数日たってふらっと戻って来る事はたまにある事らしい。

その点、モンモランシーの使い魔は小さなカエルであり発表会でも大した事をするつもりが無いらしい。要は暇なのね。

 

 

「品評会の事かしら?」

 

モンモランシーがルーペで鱗を鑑定しながら私に問い掛ける。

 

「当然と言えば当然だけど前代未聞よね、学院側から発表会で極力お披露目だけに押さえて派手な事をしない様にだなんて注意されるだなんて。」

 

そうなのだ…私の使い魔に派手に芸をさせるのは危険だと先生達が判断してしまい私は訓練の必要が無くなってしまったのだ。

 

「うん、でもしょうが無いわよ。それについてはもう納得してるわ。」

 

何せ当日はアンリエッタ姫殿下も来賓としていらっしゃる事になっている…もし万が一この間の様な大暴れをあの子達がしてしまったら手に負えない。教師陣はそう判断した。

 

傷が付いてしまっている鱗を足下の木箱に放って私は一つ小さく息を吐く…

 

私が抱えて居る目下の悩みは私の実姉エレオノール姉様が近い内に私を訪ねてくる事だ。勿論大切な肉親ですもの、嫌では決して無いしむしろ私の立派な使い魔達を早く見せてあげたいくらいだ…

それでも厳しくて意地悪なエレオノール姉様に魔法が未だに使えない事を告白しなければいけないのは憂鬱だわ。

 

 

 

 

 

 

~モンモランシーside~

 

私は今いわゆるアルバイトをしている。

 

最近は誰もそう呼ばなくなっているけどゼロのルイズと呼ばれていた彼女の部屋の片付け。

そう言えばまるで使用人がする様な雑用だ。

それでもこの雑用が耳に入った時クラスで誰よりも先んじて一番に立候補したのは私だった。卑しいと思われるかも知れないけど支払われるであろう報酬を前に迷いは無かった。

 

その雑用はまさに至福の雑用だった…その筈だった…

 

ルイズの話によれば状態の悪い鱗は纏め、また火のメイジの手伝いを募り鋳造加工してインゴットにするらしい。

当然そんな事をすればこの鱗の芸術的価値なんかは失われるし手間と出費がかかるだけ、だから何故そんなわざわざ損をする様な真似をするのか訪ねたら驚くべき答えが返ってきたわ。

 

「価値が付きすぎて逆に使えないからよ。」

 

何なのよそのふざけた理由は…

 

私の家はトリステインの中でも所謂名門だった、国内の貴族にモンモランシの名を出せばどの貴族からも驚嘆が返って来たのは数年前。

今はお父様のやらかした大ポカのせいで「あぁ、あのモンモランシか…」といった感じに鼻で笑う様なリアクションすら珍しくない、落ち目の赤貧貴族…それが我がモンモランシ家だ。

 

 

彼女の使い魔で記憶に新しいのはギーシュとその他3名の起こした事件、あれと学院長からの御触れでルイズを見る周囲の目がすっかり変わってしまった…

大体が今まで散々馬鹿にしていたのに急に取り入ろうとする貴族、嫉妬と妬みからより馬鹿にして嫌悪する様になった貴族のどちらかだ。

 

情けないけどどちらかといえば私も圧倒的多数派の前者だ。

 

それについてもルイズに思い切って作業の手慰みに聞いてみたら彼女はちょっと困った様に笑ってこう言った…

 

「仕方ないわよ、それも貴族の責任だと思うもの…」

 

少なからず人付き合いって言うものにはどこかで打算はあるし大人になったら社交界での腹芸なんて出来ない方が悪い位だと彼女は続ける。

 

だからかしらね?最近になってルイズとキュルケの距離がぐっと縮まったのは…敵対する家同士、取り入るつもり無く今まで通り明け透けに接するからこそ皮肉な事にキュルケが一番ルイズの傍に近づいた…

 

今日、一緒に雑務をこなしながら彼女は私に一度も笑顔を向けてない。何かに悩んでいる様にどこか渋面のままだ…

 

「品評会の事かしら?当然と言えば当然だけど前代未聞よね、学院側から発表会で極力お披露目だけに押さえて派手な事をしない様にだなんて注意されるだなんて。」

 

 

きっと彼女の悩みは違うだろうなと思いながらわざとらしく問い掛ける私はルーペでまるで彼女から目を逸らす様に美しい白銀を覗き込む…

 

返って来たのは動揺の籠もった生返事…私はそれ以上は口を開かなかった…

 

凄まじい価値の鱗…それをルイズは憂鬱な溜息混じりでまるでその手の中から無価値なゴミの様に木箱に放る…

 

その姿を哀れむ資格は私には無い…

 

 

 

~ルイズside~

 

何とか日が暮れる前に作業が終わった私達だったけどモンモランシーが意外な事を申し出てくれた。

何と手伝いのお礼として鱗を渡そうとしたらモンモランシーはそれを拒否して今度の虚無の曜日にでもトリスタニアでデザートを奢ってくれればそれで良いと言い出した。

 

いいのかしら?

 

それにしてもちょっと金銭感覚が麻痺して来ている自分が恐ろしいわ…

これを定期的にしないといけないと思うともう纏めて全部問答無用で加工処分で良いんじゃないかしらと思えてくる…

 

まぁ、取り敢えず今日も無事に一つの問題が解決したわ。

 

 

この翌日、エレオノール姉様がこの魔法学院に到着するという事を私はまだ知らなかった…




『モモロウ』 広場にてG級クエストの受付をしている貴族っぽいお嬢さんの通称。投票の結果与えられた正式名称はカトレアと言う名前だがみんなからはモモロウと呼ばれている。おぱんちゅ天使でもある。

モンモンは迷いながらもお金より友情をとる事にしたみたいです。
ルイズの中で貨幣価値が絶賛大暴落。

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