覇種の使い魔~輝輝臨臨~   作:豚煮込みうどん

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今回モブキャラですが初のオリキャラが出て来ます。でもあまり気にしないでもらえると嬉しいです。
それとほんSSは原作基準のバックストーリーに関しては描写をかなり省いています。手紙の件?ワルドって誰だ?ってなる様な読者様はwikiか他の作品読む事をお勧めします。

次回からアルビオン辺に突入!!しないんだなぁこれが…


飼育したモンスターと闘技場で共闘?有りましたねそんなコンテンツ

~アプリアside~

 

私の名前は『アプリア・リア・パリア』

家格としてはぎりぎり中流といった感じのパリア家の長女で上に3つ離れた兄が居る。

まぁ何処にでも居る様な平凡な外見で茶色の髪に眼鏡と基本的に地味である私だけれど魔法に関しては結構自信があったりする。

同じクラスのタバサは別として私は水のライン、これは十分優秀な方だしなんとこの春に私が呼び出したのは2メイル程のマッドリザードと呼ばれる大型の水辺に生息するつぶらな瞳の竜の様でカエルの様なトカゲで名前は『ドドンガ』。

 

そんな私の二つ名は「濁流」。

 

今日は魔法学院の春の行事の一つである使い魔品評会の日で私の使い魔は頑張れば十分賞を狙える使い魔なのだけれど…

 

「大丈夫アプリア?」

 

「…やばいかもしれないです…」

 

「ちょっと、ステージで逆流は洒落にならないわよ!!」

 

同じ水メイジで割と仲の良いモンモランシーの心配の声に私が辛うじて応えると近くに居たキュルケが慌てて失礼な事を言う…とは言っても事実洒落にならないですけど。

 

そう、私は極度のあがり症で、しかも嘔吐癖があるのだ…大勢の視線を浴びながらステージの上で華麗に振る舞わないといけない…想像しただけで…

最近だとフリッグの舞踏会で気になる男子にダンスに誘われて踊っている最中にやらかした…

 

 

そんな私のあだ名は『逆流』。そんなだから私はルイズのゼロって二つ名を笑えない。

 

 

結局、王女殿下が来賓で来られているステージの上で私の出し物は辛うじての自己紹介の後でまさしく読んで字の如くの出し物となってしまい、そのままドドンガの口に咥えられて早々の退場という人生の汚点となってしまった…

 

 

~ルイズside~

 

(アプリアェ…)

 

私は控えの隅で横になって寝かされているクラスメートに同情の視線を向ける。

アプリアと私とタバサは男子共が言うには残念美少女3人集らしい。私は魔法の腕、タバサは性格、アプリアはこれが原因で嫁にはちょっと…といった話らしい。

 

品評会は今のところ順調でタバサのシルフィードが頭一つ抜けて高評価だ。

アプリアのお陰でみんな「アレより非道い出し物は無い。」という自信から良い感じに緊張がとれてるらしい。

 

まぁ私には関係の無い話だわ…既に何をシルゴルにさせるかは決めてあるし私の大賞はもう確定している様な物だもの。これはもうクラスメート全員が認めている事…

 

(さぁ、次は私達の出番よ…)

 

私は控えエリアからカーテンを潜ると特設のステージの中心に向かって背筋を伸ばしたまま真っ直ぐに一人で歩みでた。私の隣には頼りになる可愛い使い魔の姿は無い…

 

 

 

~アンリエッタside~

 

難しく日々変化する国際情勢、その中で決定した私のゲルマニア皇帝との政略結婚、陰鬱とした日々にも私は王女として努めていたけれど今日は違った…

魔法学院への使い魔品評会の来賓としての歓待。魔法学院には私の最愛の友人ルイズが居る。

久しぶりに顔を合わせる事が出来ると想うと私の心は幼かった頃に様に純粋な喜びで満たされた。そして今、ルイズがステージに姿を現したのを私は宛がわれた席から眺める。

 

でもその自信に満ちたその表情とは裏腹に彼女の隣に使い魔の姿も影も見当たらなかった…そう言えば彼女は魔法が苦手だった…もしや使い魔の召喚に失敗してしまったのでしょうか?

それでもこの様な場に堂々と姿を晒さなければならないとは何たる不幸…

 

「私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール。私が呼び出したハルケギニア全土を持っても最も美しく、最も強き、最高を自負致します我が使い魔を紹介致します。皆様、視線を後方へとお願い致します。」

 

そんな風に私が内心で嘆いているとルイズは堂々とした姿のまま、朗々と良い上げると杖を抜いて正面を指し示した。

 

「大きく出ましたな。」「ほぉ、あれがヴァリエールの…」等の声が各所から聞こえる中で釣られて会場の全員が振り返る様に視線を広場へと向ける。すると其処には二匹の豚が杭に縛り付けられていた…まさかアレがルイズの言う最高の使い魔?

 

「殿下、騒ぎとなるやも知れませんがどうかご安心下され。」

 

「騒ぎですか?」

 

隣にいらっしゃるオールドオスマン卿の言葉に私が聞き返した次の瞬間でした。

 

一瞬の地響きと共に黄金と白銀がそれぞれ豚を一飲みにしてついでとばかりに空へと舞い上がるとそのまま乱暴な着地をして地面を砕いてしまった…

 

聞こえるのはそれらの轟音と男性の驚愕の怒声と女性の絹を裂く様な悲鳴…そしてオールドオスマン卿の押し殺した愉快そうな笑い声。

 

私がその光景に驚愕したまま口元を両手で押さえていると周囲が途端に騒然とし始めると同時に私の護衛達が私の周りを囲う。

 

「どうか皆様落ち着いて下さい、アレこそが我が使い魔ゴールスとシルバで御座います。」

 

ステージから聞こえる凛としたルイズの声…私の友人は暫く見ない間になんと立派になっていた事か…

 

「要らぬ混乱をお招きして申し訳ありません。シル、ゴル、もう良いわ下がりなさい!!」

 

その一言で巨大な使い魔二匹が現れたときのように大地を砕いて地に潜る。私はその光景をまるで信じられないと見ていたし周りの衛士達も呆然と口を開いたままです…

 

周囲の混乱がある程度落ち着いた時、既にルイズは誰も見ていない中で優雅な一礼をとってステージからは退出してしまっていました…

 

 

今年の使い魔品評会の最優秀賞に彼女とその使い魔が満場一致で選ばれたのは当たり前の事でした。

 

____

 

 

~ルイズside~

 

やった…

 

自信はあったけれど実際に姫様から最優秀賞の受賞の際にお褒めの言葉を頂いた時はまさに感無量だったわ…

それに姫様の護衛としていらっしゃっていた魔法衛士隊の隊長としてワルド様からも賞賛を受けてしまった。小さな頃の約束だけど私の婚約者で憧れの人。

今夜はとっておきのワインで祝杯を挙げなくっちゃ!!

 

私が浮かれたままワインの栓を開けた時、私の部屋をノックの音が叩く…誰だろう?

キュルケならノックしないしタバサはもう寝てる時間だと思うしエレオノール姉様かミス・ロングビルかしら?と思いながら私が扉を開くと其処には黒いローブで身体を覆った学院の制服姿のアンリエッタ姫様が立っていた。

 

無言で部屋に入った姫様は杖を抜いて探知のルーンを唱えて監視の目を疑う。それだけでこの突然の訪問がお忍びなのだとはっきり分かった。

 

「ひ、姫殿下いけません斯様な下撰な場へ…」

 

「顔を上げて下さいルイズ、友人に会いに来たというのにその様な態度をとられては私は泣いてしまいます。貴女は私から最愛の友人を取り上げるつもり?」

 

慌てて跪いた私にローブを脱いだ姫様が勢いよく抱擁してくる。柔らかくて良い匂いだった。

 

「…そう仰られては仕方有りません、それにしても相変わらず無茶をなさいますね姫様。まさかその様な恰好でいらっしゃるとは…」

 

「似合っているかしら?晩餐の席でオールドオスマン卿に用立てて頂いたのよ。」

 

「まぁ、姫様ったらいけない方ですわ!」

 

はにかむ様に笑った姫様、幼い頃私も一緒に隠れたりお城の中で遊んだ物だ…

そうして私と姫様はお互い幼かった頃の思い出話に暫く華を咲かせ、話の内容は私の使い魔シルゴルの事へと移っていった。

 

「まぁ、では石像まで食べてしまいますの?」

 

「はい、あの時は振り返った瞬間私も驚いてしまいましたわ。」

 

と、不意に会話の最中で姫様の表情が曇る…

 

「貴女が羨ましいですわ、ルイズ…」

 

「姫様、もしや何かお悩みが?」

 

 

________

 

~アンリエッタside~

 

「姫様、もしや何かお悩みが?」

 

私の内なる悩みを察してくれたのかルイズが私に問い掛ける。やはり友情とは素晴らしい…私が結婚とウェールズ様に宛てた手紙の件をどうするべきか相談しようとした次の瞬間でした。

 

「おチビ!!おチビ~!!」

 

女性の声と共にドアに乱暴にノックが繰り返される…完全に酔っ払った誰かがルイズの部屋を訪ねて来たのね…タイミングが悪い。でも何処かで聞いた事がある声の様な…

ふと、見ればルイズの顔色が悪い…心当たりがあるのかしら?まぁお客様には悪いけど居留守を使わせて貰いましょう。

 

「ん?鍵なんかかけて…生意気な、アンロック!!」

 

「ちょっと、駄目ですってミス・エレオノール!!」

 

聞こえてきたそのやり取りに私達が驚いて居る間もなく扉を開けてやってこられたのはルイズの姉君であるエレオノール様と何故かオスマン卿の秘書の女性…

二人とも飲んでいらっしゃるのか顔が赤いけどエレオノール様に至っては完全に目が据わってる…

 

「姉様!?」

 

「すいません、ミス・ヴァリエール。貴女のお祝いを兼ねて二人で飲んでいたんですが止めたんですけどどうしても直接褒めてやるんだって言って聞かなくて…」

 

「よーしよし、今日はおめでとう良くやったわ!!流石私のルイズね~~アハハハハ。あら、良いワインあるじゃない。」

 

私の事を全く気にする事も無くルイズに抱きついた後でテーブルの上のワインをラッパ飲み…そしてまた全力のハグ。

私が知っているエレオノール様と全然違う、完全に酔っ払ってらっしゃる…

 

「…!??」

 

あ、秘書の方が私の正体に気が付いたっぽい…そりゃあ今日学院に来た時一度お会いしてますものね。

 

「ほら!!ミス・エレオノールいい加減離れて!!ミス・ヴァリエールの友人がいらしゃってるんですから部屋に帰りますよ!!」

 

どうやら私の事は気が付かなかった事にしてくれるらしい。その方が私も助かりますけども…

で、エレオノール様を羽交い締めにしてルイズから引きはがす…

でもそのせいで今度はエレオノール様が此方に気が付いたみたいで私の顔を覗き込む…お酒臭いです…

 

「あら、貴女ルイズの友達?…何か何処かで見た顔ねぇ…」

 

えぇそれは小さな頃から何度もお会いした事ありますもの…

 

「まぁ良いわ~、ほら貴女も飲みなさい!!ルイズのお祝いよ!!」

 

そう言ってグラスにワインを注いで私に押しつけるエレオノール様。溢れてます、溢れてますから!!

秘書の方は手の平で両目を押さえて天を仰いでいらっしゃる…完全に諦めてしまって…何で貴女まで新しくワイン開けてらっしゃるのかしら?やけ酒ですか…そうですか。

 

 

 

そのまま私と魂が抜けてしまった様なルイズはエレオノール様が酔い潰れてしまうまで、如何に結婚という風習が無用であるかと男性の愚かしさなどをこんこんと聞かされる羽目になりました…

 

 

 

結局もう悩みなんて相談できなかった私は半ば吹っ切れ、魔法衛士隊隊長であるワルド子爵にアルビオンの手紙の件を解決する様に命じた…

 

 

その結果が何をもたらすか何も理解しないまま…

 

ただそれについて何が悪いかと問えば私はこう断言する…

 

 

「お酒が悪い。」

 




オリジナルモブのゲロ子ちゃんのモデルは呑竜パリアプリアです。攻撃手段が主に胃液やゲロというアレなモンスターでぶっちゃけ弱種族。
それでもパリアプリアも覇種認定を受けておりましてとても愛嬌のある可愛い顔をしたモンスターでした。


姫様の恋する乙女思考がエレ姉様の生々しい話のせいで壊れちゃった…

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