覇種の使い魔~輝輝臨臨~   作:豚煮込みうどん

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新年明けましておめでとう御座います。なんか年末から投稿始めて結構勢いよくお気に入りとか増えてるしランキングにも乗ってたりで嬉しいなぁ。
よかったらポルタ餅どうぞ。(´・ω・`)つO

早い所就職せにゃならんね。それまでに完結もさせないといけないし彼女も作らなきゃ。あ、後天廊登って新しい武器や防具に秘伝珠も作らないと…忙しい忙しい。(暇人)


トリステインキャラバンの開拓遊び

~ルイズside~

 

「しかし、本当に良かったのかね?ミス・ヴァリエール」

 

「手元にあっても仕方がありませんもの。それに私はトリステインの貴族、延いては王族の従僕ですわ。それならば私の使い魔の力の一端を姫殿下に捧げるのは当然です。」

 

「うむ、立派な事じゃ。しかし些か勿体無いのぉと思うとは…わしもまだまだじゃと言う事かの?」

 

私はオールドオスマンと他数名の人間と共にシルゴルの鱗を錬成し直した大量のインゴットを積んだ馬車群が大勢の護衛と共に王都へと向かう姿を学舎から眺めていた。

 

正直、私はその光景を見送りながら清々しい気持ちだった。

あの大金は多少の苦労はあったけれどもはっきり言って湧いて来たお金だ、きっと姫様がこの国の為にお役立てくれる筈だ。

ようやく持てあましていた肩の荷が一つ下りたと実感する。

 

「あ~あ…ほんと勿体無い、あれだけのお金があればゲルマニアだったら平民だって大貴族の仲間入りよ。」

 

「キュルケ、私はそういう考えは好きじゃないわ。貴族はお金なんかで成り上がる物じゃあないの、貴族を貴族たらしめているのは、誇り高い高潔な魂と「魔法が使えるかどうかって言うならルイズはアウトじゃない。」」

 

良い事言ってた私の言葉に被せてモンモランシーが失礼な事を言ってくる。何?私が支払ったバイト代が少ないって話まだ引きずってるのかしらこのデコっぱちは?ケーキ太りそうな位の量を奢ってあげたじゃない?

 

「…仮にお金が貴族の証明の一つなら貴女の所もアウトじゃない。」

 

「グッ…言うじゃない。」

 

「そういう話だったら魔法の実力も財力もある私が最も貴族らしいって事かしらね?あら、御機嫌よう似非貴族のミス・ヴァリエールとミス・モンモランシー、オホホホホ!!」

 

『あんたには品性が無いでしょうが!!』

 

私とモンモランシーの声が重なってキュルケを批難する。最近付き合いも多くなってきてるけどキュルケにでかい顔されるのはやっぱりむかつく。

 

「ハァ…しかしこれで鱗の処理に関しても決定し、シルゴルの飼育環境も安定したと言えます。ようやく肩の荷が一つ降りたと言った所でしょうか。」

 

「そうですね、後は10日ごとにでも王城へと納めていけば…ご迷惑をお掛けします。」

 

ミス・ロングビルが随分疲れた表情で溜息を溢す。僅かにでもシルゴルを止める事を

出来るのは彼女のゴーレムだけだしインゴット倉庫の警備の調整、溶鉱炉の管理、ありとあらゆる事を秘書業の合間にこなしてくれている。

聞けばここ数日3時間寝れればマシな状態だったらしい。モンモランシーは作った元気の出るポーションが売れる売れると喜んでいるけど本当に頭が下がってしまう。

 

「取り敢えずは次は外部からの貴女への接触について警戒を強めないといけませんね。間違いなく良からぬ事を考える大人が現れるでしょうから。」

 

「君の様にかの?」

 

「フン!!」

 

「ぐおぉぉ!!」

 

何かをオールドオスマンが小さく呟いたと思ったらミス・ロングビルが思いっきりその足を踏みつけた…きっとまたセクハラを受けたんだろう。

 

「何から何まで本当にありがとうございます。」

 

「エル…いえミス・エレオノールからもくれぐれもと貴女の事を頼まれていますし。私としてもそういう心配が無くならない限り満足に睡眠がとれませんからね。」

 

事務的な冷たい言い方で私を気遣ってくれるミス・ロングビルの姿がエレオノール姉様に似ていて頼もしくありながらちょっと面白い。

 

 

 

 

「ミス・ヴァリエール!!大変ですーーーー!!」

 

そんなちょっとした時間を過ごしていた時シエスタの悲鳴の様な声が上空から聞こえてきた。

見上げればタバサのシルフィードが学院の外側からこっちに向かってきながらその背の上で立ち上がったシエスタが両手を振って此方に気づいて欲しそうにアピールしている。

 

「どうしたの?」

 

降り立ったタバサとシエスタ。焦り顔のシエスタと相変わらず無表情なタバサ、でも本を読んでない事から結構余裕が無さそうな感じがするわ。

正直予想が付くけども一応聞いておく。

 

「シルちゃんとゴルちゃんが喧嘩を始めちゃいました。」

 

それを聞いた全員が手の平で顔を覆う…あの二匹は私が叱り付ければその場は納まるけど二匹でちょくちょく大暴れをする。どうも有って無いような縄張り争いと言う名前の兄弟喧嘩をしてるらしい。

 

ミス・ロングビルのゴーレムは…そうですか。無理ですか。私が視線を動かした時には既に無言で手で×の字を作って首を横に振っている。まぁ最近大分無理して貰っているし仕方が無い。

 

取り敢えず私が行って喧嘩を止めさせないと…ストレスの発散については後で考えよう。

 

「タバサでもやっぱりどうにもならない?」

 

「無理。死ぬ。」

 

私がシエスタを下ろしてシルフィードの背中によじ登っている間に行われたキュルケの問い掛けにキッパリハッキリ即答するタバサ。と言うかキュルケも普通に同乗してるけど付いてくるのかしら。

 

「あら、モンモランシーは行かないの?」

 

「行く訳無いでしょうが!!」

 

「大暴れの後は鱗、沢山落ちてるわよ。」

 

「………行かない…」

 

おい、キュルケ勝手な事言わないで!!こら、モンモランシーその間は何よ?

 

「アホな事言ってないで!!タバサ、飛ばして頂戴。」

 

シルフィードが羽ばたいてシルゴルの元に向かって飛翔する。あの子達が今どこで何しているかなんて自慢じゃないけどちょっと視界が開ければ直ぐに解るわ。

 

だって其処でだけ明らかに雷光轟く猛吹雪の天変地異の地獄絵図になっちゃってるんだもの…

 

ほんと自慢にならない…

 

___________

 

 

「散歩ですか?」

 

二匹の大暴れを何とか止めて仲直りをさせた私はまたオールドオスマンに呼び出されていた。もうこうやって呼び出しを受けるのにすっかり慣れてしまった自分が怖い。

 

あの子達はどれだけきつく言い聞かせても三日経って私が傍に居ないとたまに喧嘩をする事がある。どっちが勝利を勝ち取るかは五分五分だけど責任は十割私に掛かってくる。

それでも可愛く思えて仕方ない私はもう駄目かも知れない…

 

「そうじゃ、普通の使い魔で例えれば君の使い魔は檻に入れっぱなしの状態みたいなものじゃから一度散歩にでも連れて行った方がええじゃろ。そうでもせにゃあミス・ヴァリエールが離れると翌日にでも暴れかねん。ミス・ロングビルにも休みを与えねばならんしの。」

 

「私としては秘書業を辞めさせて頂ければ話が早いのですが、残念ながらオールドオスマンには弱みを握られていますのでそうも行かないんですよ。」

 

今回シルゴルが出した被害は外周壁の大穴、直してくれたのは勿論ミス・ロングビルである。

 

「オールドオスマン…貴方という人は…」

 

「いやいや、そんな事実は無いぞい!!悪い冗談は勘弁しておくれミス・ロングビルや、とにかくそういう訳でな、コルベール君を付けるから友人とあの使い魔で一緒に遠乗りでもしてくると良い。」

 

本気で言ってるのかしら?

 

「とは言え、目的地と経路は此方で決めさせて貰ったがの…」

 

 

 

_____________

 

 

「それでラグドリアン湖まで遠乗りしようって話なのね、私は構わないわよ。私が居ればモンモランシ領じゃあ何も不自由無いでしょうし。」

 

「女性だけというのも何かと不便もあるだろう。僕も同行させてもらおうか。」

 

「行く行く、授業堂々と休める上面白そうじゃない。タバサも勿論行くでしょう?」

 

「………」

 

「私は遠慮させて貰います。長時間馬に乗るのも風竜に乗るのもちょっと…」

 

上から順にモンモランシー、ギーシュ、キュルケ、タバサ、アプリアの私が遠乗りの件を話した事に対しての返答だ。タバサは無言で手でエキューマークを作ったと言う事はシルフィードも出してくれると言う事だろう。

 

後は道中の私達の世話係にシエスタが、引率にミスタ・コルベールが同行してくれる事になっている。

 

「それにしてもオールドオスマンも思い切った事をするわね~、この地図だとラグドリアン湖に付くまでに獣や亜人の縄張りの森を3つも抜ける事になってるわよ?」

 

「えっ?何よそれ、危ないじゃない!!もっと安全な道行く訳にはいかない訳?」

 

キュルケが地図を眺めながら言った事に反応したのはモンモランシー、私もそう思っていた。でもそこはオールドオスマンとミス・ロングビル、抜け目が無いと言うかちゃっかりしてるというか…

 

「あの子達連れて街道進む訳には行かないし、森を抜けるのにもちゃんと理由があるのよ。」

 

「安心したまえモンモランシー、僕が一緒なんだ危険は無いよ。それでルイズ理由って何だい?」

 

「ギーシュ…」

 

バカップルめ…

 

「食料確保の為よ。シルとゴルの。」

 

全員嫌そうに顔をしかめる…良いじゃないの、誰も損はしないでしょ!!オーク鬼とか以外は…

 

「それともう一つ、あの子達が森を抜ければ上手くすればそれだけで亜人の居ない急増の街道の基礎が出来るわ。真っ直ぐ強引に進むだけで森が開拓出来れば隣領同士が潤うでしょうし誰にも文句は言われないでしょう。」

 

まぁ、私と使い魔に文句言える人が居たら逆に凄いけど。建前上は学院側の地域への貢献活動とするらしい。全く、物は言い様ね…

 

 

そういう訳で私達は翌日シルゴルを引き連れて楽しい楽しいピクニックに出かける事となったのだった。

 

 




惚れ薬でのラグドリアン湖と宝探しイベント一気に消化するわよー。

偶然一緒に居たから声をかけられたのに乗り物酔いのせいで仲間外れのアプリアェ…







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