覇種の使い魔~輝輝臨臨~   作:豚煮込みうどん

24 / 29
新章始まったり続編でたら取り敢えず『G』って付けとけばいいよってミヤーシタが言ってた。(ハナホジー)
今回はルイズにとって平和?な話
ゼル編は超ウルトラゆっくり待ってて下さいね。

コブラ装備一式実装はよ。


覇種の使い魔G 

~ルイズside~

 

「虚無ですか?…私が?」

 

タルブでの闘いを終えてから数日、ようやく普段の生活(結構変化してるけど…)を取り戻した私がミスタ・コルベールとオールドオスマンからの呼び出しを受けたのはある日の突然だった。

 

「はい、私がフェニアのライブラリーで探し出した水の精霊の言った『リーヴスラシル』と『ガンダールブ』、その文献から導き出されたのは貴女の系統…もしくは潜在的な素質そういった物が虚無へと繋がっているという事です。」

 

「その文献はわしも確認したがコルベール君の考えに間違いは無かろう…君の才を今まで見いだせず辛い思いをさせてきた事を教師陣を代表してここで謝らせてくれ。ミス・ヴァリエール申し訳なかった。」

 

オールドオスマンに頭を下げられた事も驚く事だったけど、それよりも前に伝えられた私が虚無の担い手だって話…そんな馬鹿なって思うけど二人の目は冗談言ってるとは全然思えない。

 

「え?あの…」

 

「突然の話で混乱しているのはよく分かる…そしてこれからのなん話じゃが、少々不味い事になりそうなんじゃよ。」

 

頭が真っ白なままの私に構わずオールドオスマンが疲れた様子で話を進める…

 

「先日の件が無ければこの件は一先ず我々3人の内で話を納めて置いて期を見て王宮なり教会なりに伝えるべきと思っておったんじゃが…タルブ戦役のお陰で君の使い魔が始祖の御使いじゃと噂されとるんじゃよ。知っとるかね?」

 

知ってます…何せその流れで今トリステイン王城の屋根の上にはシルゴルの石像が向かい合う形で建築されてるんだから…

 

「で、じゃ…そんな君の使い魔の存在を知った教会が動かぬ訳が無い。そこで厄介なのがその噂がまさに真実である事なのじゃ、つまり君が望む望まぬ関わらず教会に祭り上げられる事になるじゃろう。」

 

「でも、あの子達が始祖の使い魔と同じルーンを持っていたからと言って私が虚無であるとは…」

「違うのかね?」

 

オールドオスマンのその返しに私は言葉を飲み込んでしまう…実際私にも分かっているのだ。

あの日以来私は何かを掴んだらしくコモンマジックが成功するようになって失敗魔法だった爆発もおぼろげではあるけれど意識的なコントロールが出来るようになってきた…

 

「…その沈黙こそが肯定じゃな。戸惑うのも分かるが我々も戸惑っておるしこの問題にどう対処すべきなのか分からんと言うのが正直な所じゃ。それでも何があろうと君がわしらにとって可愛い生徒である事には変わりは無い、いついかなる時でも君の味方であるという事だけは胸に留めておいて欲しい。」

 

そう話を締めくくったオールドオスマンとミスタ・コルベールは力になれ無い事を改めて謝ってきたけれど私は二人のその気持ちだけで十分だったし何より理解者、味方がいるという事で私の心はとても救われていた。

 

 

____________

 

「ルイズ、お久しぶりですね。」

 

今日私は王城にやって来ている…理由は言わずもながら先日の戦絡みの事である。あの時は色々ばたばたとして殆ど話が纏まらないまま私が学院に帰った事もあって今日は正式な登城要請あっての話だった。

ちなみに2匹は学院で留守番をしている…今まで一度もきちんと留守番を完遂した事が無い気がするけど今日はきっと大丈夫だろう…きっと大丈夫…

 

「お久しぶりで御座います陛下。」

 

「ルイズ、堅苦しいのはよして頂戴、貴女にだけは私は今まで通りに呼んで貰いたいのよ。」

 

困ったような表情で私にそう言った姫様、実際周囲から女王陛下と呼ばれ始めたのは最近だから馴れてないというのもあるんだろう。

 

「それでは失礼を致しまして、姫様の召喚により参りました。何かご用でしょうか?」

 

「えぇ、先日の件本当にありがとうございました。今日貴女を呼び出したのは貴女に恩賞をと…いえ、友人である貴女にこの様な姑息な駆け引きは逆に失礼ですね…率直に言いましょう。

貴女に確認をしておかねばならない事があります、貴女と貴女の使い魔達、彼等を今後のアルビオンに対するトリステインの戦力として捉えてもよろしいかしら?無論、財源としても武力としてもです…

あれから武官を中心とした方達やゲルマニアの方達と今後について話しましたがやはり全ての話は恥ずかしい話ですが貴方達の力ありきで進みました。」

 

姫様は王座に座ったまま顔を俯かせて杖の柄を強く握って言葉を紡ぐ…

 

「ミス・ヴァリエール、誤解をしないで頂きたいのですが陛下は貴女を戦争に巻き込むのを最後まで反対されておりました…しかし陛下お一人の意思を通し貴女を守り切るには…失礼ながら貴女はトリステインに希望を照らしすぎた。」

 

姫様を庇うような物言いでマザリーニ枢機卿も沈痛な表情を私に向けてくれる…それだけで私にはこの二人も私の事を真剣に案じているのだと感じれた。

 

「ルイズ、私を恨んでくれても構いません。しかしそれでも今トリステインには貴女の力が必要なのです。」

 

再び姫様が私を真っ直ぐに見つめる。その瞳はどこまでも強く真っ直ぐでだからこそ不安を無理矢理に押さえ込んでいるように見えた。

私自身先日オールドオスマンから話を聞いた時からこういう事になるかもと覚悟はしていた…だから私はそれを安心させられればと軽く笑って応える。

 

「勿論です姫様、ルイズ・フランソワーズは姫様の友達で王家の従僕。まして今は我がトリステインの国難、我が使い魔も虚無の系統もその為に始祖ブリミルが与え賜た物、断る理由など何処にありましょうか?」

 

「あぁ…ルイズ。貴女という人は…」

 

感極まった姫様は玉座から立ち上がると私に駆け寄って私を抱きしめる。基本的に会う度に交わされるやり取りだけどこれは私だけの役得だ。

 

「…ミス・ヴァリエール…君は今虚無の系統と言ったかね?」

 

と、そんな感動の場面に水を差したのは固まった表情で問い掛けて来たマザリーニ枢機卿。

 

「はい、つい先日発覚したのですが我が使い魔に与えられたルーンこそは始祖の使い魔の一角『リーヴスラシル』、故に私の系統も虚無、もしくはそれに連なる物であるかとオールドオスマンより伝えられました。王宮にはそのお話は…」

 

そこまで口に出して先日の学院長室での話を思い出す…この件はどちらかと言えば学院長達は隠しておこうという方針だったような…私はてっきり姫様や枢機卿辺りには話が伝わっててこういう話になってたのだと思い込んでいた。

 

「…聞いておりませんな…まぁ隠そうとするのも当然か。それよりもミス・ヴァリエールこそが本当の虚無?…そうなるとアンドバリの指輪で虚無を語るクロムウェルが…いや…しかし…それでは…だが…しかし…」

 

驚いたと思ったらなにかブツブツと呟きながら枢機卿は熟考の姿勢に入ってしまった。ミスタ・コルベール然りエレオノール姉様然りでああいう人は一度深く思考を巡らせると暫く帰って来なかったりする。

 

「陛下、申し訳御座いませんが考えを纏める為に少し執務室の方に下がらせて頂きます。」

 

「構いません、そもそも我々の友情を確かめる席に端からあなたが同席している事が無粋なのだと気が付いて欲しかったですわ。」

 

「…これは失礼を…それではこの邪魔者は失礼致します。」

 

相変わらず枢機卿に対してだけは口が厳しい姫様…それを気にした様子も無く枢機卿が謁見の間から退室する…

残っているのは私と姫様。それとずっと玉座の右後方に姿勢良く無言で立ち続けている兜で顔を隠した女の近衛兵だけ…

 

「陛下、私も席を外した方がよろしいでしょうか?」

 

その女性が姫様に問い掛ける。イメージ通り格好いいという雰囲気の似合うハスキーな声…

 

「いいえ、構いませんわエミット。貴女をルイズに紹介するのも今日の用件の一つですからね。」

 

「私にですか?」

 

「えぇ、貴女の今後を思えば優秀で信頼の置ける護衛を付けようと思うのは当然、以前のワルドの件があって人選は慎重にならざるを得ませんでしたが彼女なら大丈夫だと判断しました。以降は常に貴女の傍で貴女を守り続ける騎士となるでしょう。」

 

ようやく私から離れた姫様に代わってエミットと呼ばれた女性が私の目の前にやってくるとその兜を頭からゆっくりと持ち上げて素顔を晒した。

兜から零れ落ちたのは長く固そうな艶の無い雪のような白髪、琥珀をそのまま詰め込んだ様な美しい瞳…何より目を引くのは顔に走る雷の様な火傷の痕。年はミス・ロングビルと同じ位かしら?

 

「アルビオン王国が滅びた日、私の密書を狙った裏切り者のワルドを退け最初のトリステインの危機を救い、レコンキスタの野望とジェームズ王の最後の手紙を届けてくれたのが彼女で先日も戦場に現れたワルドが率いる竜騎士隊を蹴散らし尚且つ船を1隻墜としています。

本来なら我が国の魔法衛士隊の一翼を担って貰いたかったのですが本人にその意思が無かったので貴女に付ける人材とさせて貰いました。」

 

魔法衛士隊の隊長だったワルドを少なくとも二回も倒してるって…無茶苦茶強い人なんじゃ…

 

「エミット・ジーエフ・ド・ラ・ギュロスと申します。アルビオンから亡命致しまして爵位も家名も一度失っておりますので唯のエミットとお呼び下されば結構です。一応先日のタルブ戦役の功績からシュバリエを拝命致しました。」

 

「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール…です…」

 

鷹みたいに鋭い目に気圧されて私の言葉尻がつい弱くなる…怖い。

 

「先日のタルブ戦、アルビオンの人間だった私にとってはあそここそが死に場所と強く心に決めていたのですが…何処かの誰かのお陰でトリステインが勝ち、死に場所を逃してしまいまして…そんな訳でご恩を返す意味も込めてルイズ様にお仕えさせて頂きます。」

 

「あっ、はい…よろしくお願いしますミス・エミット。」(そんな事言いながら人殺せそうな視線を向けないで!!怖い!!)

 

「ミスは必要ありません、エミットで結構です。」

 

ばっさりと強くそう言い切ったエミットに私は又しても得体の知れぬ苦手意識を抱いてしまう。

 

「それじゃあエミット、ルイズの事をよろしくね。ルイズ、エミットはアルビオンでも最高峰の風のスクウェアメイジです、上手くやって下さいね。」

 

そう言って必要以上に朗らかに微笑んだ姫様…風のスクウェアとはまた…そこまで考えて私は自分の中にある苦手意識の根幹に気が付いてしまった…雰囲気がカリンモードのお母様に似ているのだ。とっても…

この感じもしかして自分の近衛になる予定だったエミットが怖くて私に押しつけたとかじゃ…

 

「改めて、よろしくお願いしますルイズ様。」

 




ゴ~ルガ~♪フフフフーン♪
ア~ルガ~♪フフフフーン♪

  ~中略~

許される~♪筈も無い~♪ルイーズさんラーブー♪



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。