覇種の使い魔~輝輝臨臨~   作:豚煮込みうどん

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前回の後書きで完結完結だと言ったな。      あれは嘘だ。(筋肉)

今回から数多くの作品をエタらせる事に定評のあるフ~ケ編に入ります。

巨大ゴーレム対アルガノス&ゴルガノス!!果たして二匹に勝ち目はあるのだろうか?負けるなルイズ、そしてアルゴルよ!!トリステインの平和は君達にかかっている!!(迫真)


魚竜生態調査報告書

~ルイズside~

 

例の騒ぎの後で私は学院長室であの4バカから正式に謝罪を受けた。

彼等は恩赦を与えるという形で揃って謹慎一週間、私は今回の様な事が起きないようにと厳重注意を口頭で受けた。

まぁギーシュ以外の3人は謹慎と言っても自室と医務室のベッドで大人しくしていなければいけないんだろうけど。

 

ギーシュ達は金に目が眩んで他人の使い魔に手を出した事を心底恥じていたし二度と私をゼロとは呼ばないと誓ってくれた…何せギーシュに至っては私の魔法のお陰で命を救ったんだもの…

だから全員の頬を一発ずつ叩いた後で水に流してあげようと冗談交じりに言ってやった。

 

「次に私をゼロと呼んだらあんた達を私の使い魔の口に放り込むからね。」と…

四人のその時の表情は改めて書き綴るような物じゃあないだろう。

 

その日の夕食の時間にオールドオスマンは今回の件を重く見て食堂で全生徒に私の使い魔の事を発表した…

勿論私の使い魔の鱗、それが一枚一枚が財宝に匹敵する価値である事、つまりそれは黙って鱗を手に入れようとする事はヴァリエール家の財産に手を付ける事であると言う事だと…

また、不必要な刺激を与え、暴れさせた場合に起こりうる被害の事、そしてそれを私がきちんと管理、制御が出来ていると言う事。

異例の事態と言う事で、それはきちんと学園のルールとして広められ、私の召喚二日目は慌ただしくも騒々しく終わったのだった…

 

 

お陰でその瞬間から私を見る周囲の目は変わってしまったけれど。

_____

 

 

「おはようございます。ミスヴァリエール」

 

「えぇ、おはようシエスタ」

 

昨日と同じくヴェストリの広場で私はシエスタと合流した。目的は当然シルゴルの朝の餌やりとスキンシップだ。

 

「おはようございます、ミス・ツェルプストー、ミス・タバサ。」

 

「おはよう。」

 

「………」

 

「シエスタ、こいつ等に挨拶は良いのよ!金の匂いに釣られてやって来たおまけなんだから!!」

 

何故か付いて来たキュルケとタバサの二人、それぞれの使い魔もおまけに付いている。

それにしてもこの二人くらいだろう…私に向かって朝一番に「鱗頂戴。」なんて言ってきた奴は。思わずずっこけて壁に頭を打ち付けた…

牛からミルクを絞っているわけじゃあないのよ!!

 

無視を決め込んだ私の後ろを付いて来た二人はまるで了承を得た、と言わんばかりの雰囲気だけどまともに相手をしていたら時間の無駄だろうしキュルケはまだしもタバサに関しては追い払う自信が無い。

 

「ねぇ、ルイズあの使い魔達はどこにいるの?見当たらないじゃない。」

 

キョロキョロと周囲を見回したキュルケの質問に私はふんっと鼻を鳴らす。

 

「あんな事があったんだから用心して隠れてるのよ。見てなさい、シル、ゴルご飯の時間よ!!」

 

私は得意げに言って大きな声で二匹を呼んで手の平を打ち鳴らした。因みに隠れているのは事実だけどそれはあの子達が勝手に土に潜っているだけだったりする。

 

間を置かずに僅かに地面が揺れる。

その場の全員が驚いた様子な事に私が満足していると揺れは更に大きくなり、次の瞬間眼前に金銀財宝の山が現れた。

 

「…驚いた…魚かと思ってたけどモグラだったのね。」

 

「失礼な事言わないで、れっきとした魚よ!!」

 

「魚は…歩かない…」

 

キュルケの失礼な物言いに食って掛かった私にタバサから鋭い指摘がかかった…それは実は私も思っていた事なのよね…

 

地面からひょっこり上半身だけを覗かせた二匹は私達の姿を認めて勢いよく地面から飛び出した…

同時に起きる地響きと舞い散る鱗。

 

 

「きゃあああぁぁぁぁーーーー!!!タバサ!!今よ!!」

 

キュルケの絶叫にも似た歓声に合わせてタバサが杖を振るうと魔法で吹き抜けた風が金銀の鱗を私達の目の前にあっという間に積み上げたのだった。 

黄金の小山に目の色を輝かせるキュルケと満足そうなドヤ顔のタバサ…こいつ等は何を考えているのか…私は目を閉じてプルプルと無意識に震える拳に力を込めた。

 

「…言って置くけど…あげないからね。」

 

『えっ!?』

 

何を驚いているのかこいつ等は…私は頭痛を感じる。

 

「………」

 

私がそういうと何を思ったのか暫く思案顔だったタバサはおもむろに自分の使い魔の風龍の元に歩み寄り、そして…

 

「キュィィィィッ!」

 

おもむろにその子の鱗を無理矢理むしり取った。痛そうなその姿は可哀想を通り越して哀れだ…

 

「ちょっ、コラッーーーーー!?」

 

思わず両手を振り上げてしかりつけるように怒鳴った私にタバサは案の上そのまま無表情で青い鱗を差し出した。

 

「交換…」

 

「しないわよっ!!」

 

 

その後、全く同じ様なやり取りがキュルケとも行われ、「じゃあ…」といってまた風竜に枚数の問題じゃないというのに近づいていったタバサに根負けして(というよりはシルフィードに同情して)私は鱗を二人に一枚ずつ渡す事になってしまった…

手元に残ったのは赤と青の二色の鱗、シエスタは「私には差し出す鱗がございません…」と言っていたけどそもそも私は鱗が欲しい訳じゃ無いってーの…

 

そんないろいろ妙なやり取りがあって時間がかかってしまったけれどあれから二匹は昨日と同じ様な食事をとってゴロリと横になったので私は持ってきておいたノートとペンを鞄から取り出した。

 

「あら、それはなんですか?ミス・ヴァリエール」

 

「あの子達の生態を書き留めておこうと思ってね。ほら、なにせ解らない事ばっかりでしょう?」

 

「確かにそうですね…」

 

因みにキュルケとタバサはシルゴルに触れてみたいといってあの子達の所に行ってしまった。あ、べたべた触るな!指紋が付いちゃうでしょうが!!

 

「貴女も何かあの子達の事で気が付いた事は無いかしら?どんな事でも良いわ。」

 

「ん~…そうですね~」

 

 

結局私達二人は碌に目新しい発見も無く、うんうんと頭を暫く捻っていた。

 

 

 

 

 

~ロングビルside~

 

 

まず、私は実は怪盗だ。

 

通り名は「土くれのフーケ」この学院で秘書なんて仕事をしているけどそれは学院の宝物庫に眠るお宝「破壊の杖」を盗み出す為に潜入しているのだ。

 

毎日あのスケベじじぃのセクハラに耐えながら有能な美人秘書を演じている私だけど先日驚く事が起きた…

 

生徒の一人が呼び出した巨大な二頭の使い魔。色々常識外れではあったけど情報としてはそれはまだ可愛い物だった。

昨日起きた騒動、馬鹿馬鹿しい…世間知らずの貴族のお坊ちゃま連中らしい騒動だと思いながらその報告に私も立ち会い、その発端である例の巨大な鱗とやらをハゲから手渡されて実際に触った。

 

衝撃が走ったね…

 

魚の鱗一枚…されど魚の鱗一枚だ。

 

これを好事家に見せたらどれ程の値が付くだろうか?少なくとも学院秘書の月の給金なんて小遣いになるんじゃあないだろうか…

その話題が出た時には思わず地の部分がちょっと出そうになったけどじじいもハゲも気づかなかったようだ。

 

幸い私は望まずとも既にあの使い魔についてヴァリエールのお嬢ちゃんと渡りが付いている。

上手く立ち回れば定期的にあの鱗を私の懐に収めるというのも不可能じゃあないはずだ。

それにいざとなれば私のゴーレムでぶちのめしてごっそり鱗を頂くという手もある。

いや、むしろそのどちらかなんて言わずにいっそ怪盗フーケの襲撃も行った上で施設管理者として合法的に鱗を頂く…と言うのもあり得なくは…

 

ククク…ハーハッハッハッ!!まさに想像するだけで笑いが止まらないわ。

そんな訳で既に今の私は破壊の杖なんて眼中に無かったりする。

 

朝一番の最低限の業務をこなし、そして今、私は意気揚々とヴェストリの広場を目指す。敵を知り、己を知れば何とやら…怪盗家業で一番大事なのは下調べだ。

 

 

 

「あら、おはようございます、ミス・ヴァリエール授業の時間に遅れてしまいますわよ。」

 

 

私はいつもの猫かぶりのロングビルとして努めてヴェストリの広場に立つヴァリエールに声をかけた。

 

 

待ってておくれ、ティファニア…

 

 

 

 

~ルイズside~

 

ミス・ロングビルが広場にいらっしゃったのは私の調査報告書の1ページ目がようやく埋まった頃だった。

 

「生態報告書ですか?」

 

「はい、私の使い魔は古今一切の情報がございません。ですので先ずは理解する事から始めるべきかと思いまして…」

 

「それは勤勉な貴女らしい素晴らしい事ですわ、ミス・ヴァリエール差し出がましいかも知れませんが私も貴女と使い魔の事について何か出来ぬかと思っておりましたので…よろしければ見せて頂いても?」

 

そう言ってきたミス・ロングビルに私は迷い無くノートを差し出した。

 

書かれている事は今の時点ではっきりしている事、思いついた事、つまり…

 

 

『使い魔との五感共有が理由は解らないが行えない。』

 

『食事は雑食、有機物でも無機物でも構わないようだけど肉が好き。』

 

『身体の構造は魚に酷似しているがヒレが変化した足で安定した陸上生活が可能、また土中に潜る事も可能でむしろ泳げるのを検証する必要がある。』

 

『鱗に関しては大きさ厚み、共に各所で異なるが材質は全て高純度で遙かに強靱な金と銀で構成されている。』

 

『基本的には大人しいが攻撃を受けた際は反撃を行う。尚戦闘能力と探知能力は非常に高い。』

 

『使い魔の刻印から二匹が個々の意思を持ちながら同一の魂を共有している可能性。』

 

『ドットのエアハンマー程度ではビクともしない強靱な防御力。』

 

 

その他にも細かい事は書いているけど主な事はそんな物だ。それを暫く読んでいたミス・ロングビルだったけど読み終えたのか、満足そうな表情でノートを返してくれた。

 

「素晴らしいですわ。ミス・ヴァリエール、この調子でよろしければ判明した事があれば随時報告して下さいね。」

 

本当に良い人だわ、ミス・ロングビル…

 

「あぁ、それと使い魔の鱗ですが…日中は貴女も傍には居れないでしょうし、私が使用人達に命じて回収してお預かりしておきましょう。勿論、高価な代物ですので帳簿もきちんと付けておきますわ。」

 

あぁ…ミス・ロングビルまじ敏腕秘書…

 

「ありがとうございます、何から何まで申し訳ありません。」

 

「いえいえ、フフフ…乗りかかった船、いえ宝船ですからね。私に出来る事であれば全力でお手伝いしますので何かあれば何でも言って下さいね。取り計らいますので。では失礼」

 

一礼して去って行くミス・ロングビルに私も一礼を返す…

そういえばもうそろそろ行かないと授業に遅れちゃうわね。

 

「シエスタ、それじゃあ後お願いね。キュルケ、タバサ、今朝取れた鱗を部屋に運ぶからちょっと手伝って頂戴。」

 

「畏まりました。」

 

「嫌よ~めんどくさい。」

 

「………」

 

「良いから手伝いなさい、今日は量が多いから大変なのよ!!」

 

 

 

 

さぁ、今日も一日の始まりね…

 




特に無いわよ(´・ω・`)

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