覇種の使い魔~輝輝臨臨~   作:豚煮込みうどん

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ヒャッハーーーーーー、良い子にしてたかお前達!!うどんサンタさんからSSのプレゼントだ。このやろー!!


これは酷いフ~ケ編。

破壊の杖なんて最初からいらんかったんや!!

それとクリスマスなんて行事もいらんかったんや!!


引退する奴は何も言わずに黙って消えていく法則

~otherside~

 

 

それはルイズ達がトリスタニアに出かけていた間に起きた。時の頃は太陽が傾き始めた辺り、つまりは15時頃だろうか。

 

 

 

ここでハルケギニアに召喚されたゴルガノス、アルガノスの一日を簡単に紹介しておく。

 

朝一番に起床、朝食はその段階で既に用意されており量も十分、また周囲に危険も無い為非常に落ち着いた食事をとる事が出来る。

それと同時に好意を寄せ、また寄せられている小さな人間のご主人様と細心の注意を払ってコミュニケーションを行う。

 

それ以降は基本的に広場でゆっくりと過ごす事になる。暴れてはいけない。人と使い魔は食べてはいけない。そういう事を御主人であるルイズに命じられている以上は二匹は素直にそれに従っていた。

だから周囲から時々感じる視線や時折遠巻きながら近づいてくる人間達にも極力反応を示さない。

 

太陽が少し傾き始めた頃、朝ご飯を用意してくれるシエスタが再び二匹の元を訪ねてくる。

少し遅めの昼食と少し早めの夜ご飯の時間だ、二匹の食事は基本的に日に二回用意される。

 

そうして二度目の食事を終える頃になるとご主人様も授業が終わり、直ぐに二匹の元に走ってくる。

 

二匹はご主人様が大好きだ、理由は良く分からないが大好きなのだ。

そんな御主人と一緒に日が沈むまでの時間を過ごし、外敵のいない、危険の無い安心の環境で二匹は朝まで眠りにつく…

 

こうして二匹の日常は基本的に何も無ければ過ぎていくのである。

 

 

しかし、今日。

よりにもよってルイズ不在のタイミングで事件は起きた。

 

二匹の生活にもっとも足りていない物、それは『ストレス解消の為の運動』だった。

 

 

 

~シエスタside~

 

 

「ゴルちゃーん、シルちゃーんご飯ですよー。」

 

私は先日からミス・ヴァリエールから仰せつかっている二匹の使い魔の午後の食事を用意してカウベルを鳴らした。

間を置かずに地面が割れて二匹とも元気よく私の前にやってきてくれる。最初は恐ろしかったけどそんな気持ちは初日で無くなってしまい私達はもうお友達。

こんな事を思うのは不敬かも知れないけどあの小さなミス・ヴァリエールに良く懐き甘え、しかられて項垂れている姿はギャップもあって可愛らしかった。

 

「それでごめんね、今日のご飯なんだけど牛が一頭と豚が一頭しか貰えなかったの…」

学院には他にも沢山の使い魔もいるから与えられる食事もいくらでもって訳にはいかないし、しょうがないからお肉に関してはこれで持ってきた。

 

「しかし、改めて恐ろしい食事量ですね…これが呼び出したのが裕福なミス・ヴァリエールで無く鱗も普通の物であったなら間違いなく主人は破産ですわね。」

 

「そうですね。」

 

今日は学院側の責任者と言う事でミス・ロングビルも私と一緒にゴルちゃんシルちゃんのお世話をしてくれている。

この人も最初は怖がっていたけどもうある程度慣れたみたい。

 

荷車の食料を下ろして牛と豚を放すと私達はミス・ロングビルの発案で一応用心の為に二匹から距離をとって離れておく。今日はミス・ヴァリエールがいないから万が一があっても困るから。

実際、動物は食事中というのは気が立っていたりする事があって迂闊に刺激を与えるのは良くないことだと村でも教わった。

 

 

 

そして、ゴルちゃんが牛に齧り付こうとした瞬間…その巨体が突き飛ばされた…

 

 

「え?」

 

私の視線が横倒しになってしまったゴルちゃんから唐突なタックルを横から決めて牛を掻っ攫う様に一飲みにしてしまったシルちゃんに移動し、またゴルちゃんに向かう。

 

「これって…まさか…」

 

ミス・ロングビルは焦った様な表情で呟いた…私にもこの後何が起きるのか何となくは解る。

 

数回地面で跳ねて立ち上がったゴルちゃんはゆっくりと歩いて牛を咀嚼しているシルちゃんの脇に移動する。

 

(まさかそんな恐ろしい事…しませんよね?)

 

私の願いは全く届く事無く、案の上ゴルちゃんのタックルが今度はシルちゃんを突き飛ばす。

 

「…逃げましょう、シエスタさん!!」

 

ミス・ロングビルが声を上げた瞬間、シルちゃんも再び立ち上がり二匹の使い魔は牙を剥いた頭を低く下げて尾を天に突き上げたポーズで向かい合う。

 

「で、でも!!」

 

何とかしなくっちゃ!!そう思う事は出来ても何も出来ない、だってそもそも世界が違うとしか言いようが無い。

私の弟たちも小さい頃に自分のお肉の方が小さいと駄々をこねて喧嘩をしていた…その時はどうしたか?その時は確か私が自分のお肉を弟たちに分けてあげてその後でお母さんが二人を叱っていたっけ…

 

この場合はお肉が足りないのか…今あるお肉と言えば…

 

 

 

(私??)

 

 

イヤイヤイヤイヤイヤ無理無理無理ーーーーーーーーっ!!!!!!!

 

 

__________

 

 

~ロングビルside~

 

不味いなんてもんじゃない事になったわ!!

 

肉の取り合いで喧嘩なんてそんなの孤児院に残してきた子供達じゃあるまいに!!全く忌々しい。

放っておく訳にも行かず隣で混乱してるシエスタの手を掴んで私は杖を抜いた。とばっちりが来る前にフライで一気に脱出だ。

 

…そう思って魔力を杖に込めていたんだけどそのとばっちりが飛んで来たのは私が思うよりも圧倒的に早かったらしくてね…

 

互いを威嚇しあった使い魔達は雷と吹雪を纏って突然絡み合う様に地面を這いずり始めた…

(何を始めたんだ?)

 

一瞬の思考の間に状況が一気に変わる。

 

勿論悪い方にだ…

 

「嘘でしょっおぉぉ!?」

「キャアッァァ!!」

 

あろう事か大回転を始めていた二匹だったがシルの方がその遠心力に耐えきれず、その場で発生していた全ての力を受けて吹っ飛んで来やがった。

 

 

あぁ、そうさ!!私達の方に向かってね!!ちくしょうっ!!!

 

 

(フライで跳ぶ?間に合わない!!錬金で穴掘って逃げる?無理だあの乱流で死ぬ!!)

一瞬の間の思考、走馬燈って言うのかしら死ぬって思った瞬間の私の精神はかつて無い程に研ぎ澄まされてそれだけの事を判断していた…と思う。

 

だったらこれしか無い!!私が最も得意で二つ名の由来!!

 

「ゴーレム!!」

 

必死に叫んだ私の目の前で地面が隆起して20メイル程の不格好な腕を生やしただけの土の山が完成した時にはシルはもう地面を抉りながら直前にまで突っ込んで来ていた。

 

全ての精神力を振り絞った私はゴーレム操作と同時に腕の強度を出来るだけ上げる事を必死でイメージする。

一瞬で作り上げたゴーレムは私の全力から比べればお粗末な物だった。この段階でもう受け止めるなんて事が不可能なのは誰が見ても明らかだっただろう…

 

「いなせっ!!」

 

だから私はゴーレムに叫び、命じた!その鉄の両腕でシルを受け流せと…

 

 

衝突…

 

 

その衝撃にゴーレムの両腕が根元からもぎ取られ吹き飛び、その半身が凍り付きながら爆散する。まるで新型の大砲の直撃でも受けた様なその衝撃は私に例えようも無い恐怖を与えた…

正直死んだと思った…

シルの突進の軌道がずれたのはほんの1メイル程でしか無く、しかしその1メイルは明らかに私とシエスタの生死を分ける1メイルだった…

 

全身に浴びる事となった冷たい土砂に震えが止まらない…だけどこれは生きている事の証明だ…

 

 

私は生き残った!!

 

 

途端に襲いかかってきた疲労に耐えながら見ればシルは平然と立ち上がり、ゴルの脇を抜けて餌の山に向かいゴルもまた何事も無かったかの様に巻き添えで既に死んでいた豚に食らいつくと残った餌に向かう…

その様子からさっきの地獄の様な光景があの二匹には遊びの様な物だったと言う事が嫌になる程伝わってきて私は本当にやるせない気持ちになった…

 

 

そして精神力を使い果たした私はそのまま意識を失ってしまったのだった…

 

 

__________

 

 

「誠に申し訳ありませんでした…」

 

医務室で目を覚ました私が最初に目にしたのは床に平伏して私に謝罪するヴァリエールのお嬢ちゃんだった…

 

話を聞けばあの後直ぐにトリスタニアから学院に到着したらしく事の顛末を聞いてせめてもの誠意を見せる為、私の看病を続けていたらしい。

同時にあの使い魔達に罰を与えようとしたらしいのだが何をしても堪える様子が無く

それについても謝られた。(食事抜きは暴れる危険があるので却下)

 

私が内心どう今回の件の報復をしてやろうかと考えているとベッドカーテンをくぐり、オールドオスマンが現れた。何しに来やがったくそじじぃ…

 

「ほっほっほ、目が覚めたかね?ミス・ロングビル、今回の事故の件本当についとらんかったのう。しかし幸いな事に君もメイドのシエスタ君も無事じゃったし学院にも大きな被害は無かった。」

 

「えぇ、全くですわ。」

(じゃねぇ!!こっちは本当に死ぬ所だったのよ!)

 

「それにしても君の咄嗟の魔法は見事じゃった。」

 

「ありがとうございます。」

(当たり前でしょうが、こっちは怪盗フーケよ。おちおち死んでたまるかってーのよ!)

 

「ラインの魔法とは思えんかったわい…トライアングルでもあれだけの御技そう出来る者はおるまいて。」

 

「ブホッ!!」

 

「おやおや、大丈夫かね?」

 

盛大にむせた私の身体に触ろうとじじいが腕を伸ばす。止めろ、セクハラで訴えるよ?

それにしても参ったわ…私は学院に入る際に土のラインだと申告していた。あの咄嗟のゴーレムの魔法はどう言いつくろってもラインじゃすまない。

 

(迂闊だった!!)

 

このじじいはもしかしたら私の正体に気が付いていて揺さぶっているんじゃないかという気分になってくる…

歯噛みしながら私は思わずこの事態の元凶、ヴァリエールのお嬢ちゃんを睨み付ける…

当の本人は私の視線の意味なんかに気づかずに小首を傾げてる、くっそーーーー!!

 

「それでじゃのうミス・ロングビル、ものは相談なんじゃが…」

 

(来たっ…さぁ何を要求してくるつもりよ?)

 

私は警戒を強める…今杖は持っていないけど隣のテーブルの上に置かれてある。それに素早くヴァリエールのお嬢ちゃんを人質に取れればまだ逃亡は出来るはずだわ!!

 

「お主、あのゴーレムで使い魔のストレス解消をしてやるつもりは無いかの?」

 

「はい?」

 

「あれだけの生き物じゃ、運動させようにもまともに運動させるのが難しい。その点、お主のゴーレムなら打って付けじゃ。わしの見立てじゃとお主のゴーレム作成の腕はかの怪盗フーケにも匹敵するじゃろう…」

 

やっぱこのじじい見抜いてやがる…くそ、くそ、くそ!!

 

「無論、ただでは無いミス・ヴァリエール。使い魔の鱗一枚にざっと1000エキューの価値が付いたそうじゃな?報酬を支払えん訳ではあるまい、どうする?」

 

(なん…だ…と…)

 

「それはこちらからお願いしたい程ですわ。勿論、今回の件でかけたご迷惑の分、色をつけさせて頂きます。」

 

 

 

 

頭を下げるヴァリエールのお嬢ちゃんとこっちを見るしてやったりというドヤ顔のじじい…

 

えっと…つまり…どういう事かしら?

 

 

 

 

_________

 

その日、怪盗フーケはこの世界から消えた…

 

全くリスク無く簡単に大金が毎日手に入るんだから怪盗なんてやっていられない。

貴族への復讐?そんな事よりがっぽり稼いでティファ達と安全な土地買って生きていく方が私は大事なんだよ!!ハッハーーーー!!

 




ちなみにフーケ姉さんとシエスタはおしっこ漏らしました。
これを描写しちゃうと文章量が倍以上になる恐れがあるのでカカカット!!

サンタさん、感想と評価が欲しいです。

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