お嬢様狂想曲~或いは国内のこんな出来事~   作:elfte

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  この小説は拓銀お嬢様こと「現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変」の二次創作小説になります。
 尚、「内容はすべてフィクション」であり「実在の人物とは一切関係ありません」。
 ということにしておきましょう、怖いから。
(モチーフのネタはありますが、現実にはありえないので本気でお願い致します)


お嬢様狂想曲~或いは国内のこんな出来事~ 其の一

「どうしてこうなった」

 

 20代ほどの男性が呟くと、もう一人が投げやり風味に言い返す。

 

「そりゃ俺らしか知り得なかったからでしょ、というか阻止しなくても良かったんじゃ」

 

 そう返された男性はこう言い返すことにした。

 

「そりゃ無関係といえば無関係だが、情報掴んだ際に警察に流せないからこそ近藤さんに報告したら、即お前が処理してくれと頼まれた上に、知り合い経由で桂華院絡みの偉い人がもう一頼みだぞ」

 

 げんなりした返答に、相方たる男性は渋面を作りながらキャッチボールする。

 

「ついでに事件の発端は俺の家の関係者がが原因だし……先輩の親父さんに泣きつけばよかったんじゃね?」

「んな理由通るか、というか諸般の事情を解明しちまったのは俺がお前と電話してたからだしな」

 

 この二人、元々はとある近隣の高校の定時制で先輩と後輩という間柄である。

 その二人が近所の鉄道の駅前で警備員の格好をして、駅前で待機する理由は本来は有りえない。

 そう、そもそもの愚痴が面倒事に直結しなければと言う形ではあるが。

 そもそもこの二人がこんな益にもならない会話をしている原因は、後輩の実家絡みのゴタゴタが今をときめく桂華院瑠奈お嬢様に届くことが確定したからである。

 

「というか、誰だよ件の振付師の遺産っていう名目が付いている代物を分捕った馬鹿は」

「あ、それ分捕ったんじゃなくて本人が予備扱いにしていた代物を処分する際に、成田の件で恨みつらみのあった連中経由でうちの関係者に流れたって話」

「尚更俺等がどうこうできる代物じゃないんだが、全容を知っているのが俺達二人だけって笑えない話だからなぁ」

 

 本当に笑えない話だが、流石に内容が内容だけに警察署に相談というわけにもいかなかった。

 何せ近隣の警察署が諸般の事情で信用できない上に、”後輩”自身が広域指定の関係者ということで上にあげるにしても横入りで混乱が確定している。

 となると不正規の連絡手段で警告をしつつ、実際に動かざる得ないというアクロバティックな手段に出ざる得なかったのだ。

 

「しかしまあ、新宿に仕掛けるはずの対戦車地雷の予備が、なんで確定しているだけで2つもあるんだか」

「ああ、どうも旧ソ連製の出物が余ったらしくって、眠り爆弾として使用する予定だったものを、わざわざ頼み込んで流してもらったらしいっす」

 

 本来余人が知り得ない情報を得ていた点は幸運だったが、それはそれとして今回の事の顛末を考えると笑えない。

 

「で、東日本帝国鉄道に喧嘩を売る気はないが、旧帝國鉄道の千葉の労組工作員が懇意に出来るうちの地元で襲撃と・・・・・・絵を描いたやつがただの馬鹿だったら楽だったのにな」

 

 そう愚痴りながら缶コーヒーを飲み干す”先輩”に対して、”後輩”は火を付けてないタバコを口に加えながらこう切り返す。

 

「まあ、お嬢様はうちのクソ親父にとっても目の上のたんこぶですし、どうします?」

「どうしますもこうしますも、もう仕掛けられた代物を解除するのは不可能だ」

 

 困ったことに状況を把握した段階で2つは仕掛け終わり、その上保守の人間まで抱え込まれている以上簡単に解除できる状況でもない。

 更に新宿での一件で遠隔爆破を前提とした改造が施されていて、近づくだけで爆破される可能性まである。

 となると、二人にできる手段はたった一つだけだった。

 

「警備員に化けて、襲撃者からお嬢様を防衛するか」

「向こうも同じような手口なんでどっちが早く信用されるかですね」

 

 無論事前に連絡を入れている以上、信用は勝ち取れる。

 だがそれでも”守りきれるか”というと、それはそれで別問題になる。

 なんせ警護どころか完全にズブの素人が、わざわざルート設定したようなものである。

 土地勘だけで勝負しているような計画に乗ってきた桂華院家と言うかお嬢様に思うところはあれど、「やれ」と言われた以上二人としても乗るしか無い。

 げんなりした顔を揃えて、駅のホームにスペーシアが入っているのを二人は見守っていた。

 

◆◆ 

 

 そもそも、桂華院瑠奈嬢が日光に詣でるという話が上がってきたのは、「華族が日光詣無いのはおかしくないか」と囃し立てた連中が居たためである。

 「華族が全員幕臣だったわけじゃねぇだろゴラァ」という声を無視して煽りまくった連中は、お嬢様の「ちょうどいいわ、日光観光ついでに詣でましょ」の一言で爆死したわけだが、そのルート選定に今度は沿線の連中が色気を出した。

 何せ「お嬢様が通ればその沿線の知名度向上、何より桂華院家からの覚えも目出度くなる」とばかりに、日光線を抱える東日本帝国鉄道と日光観光で鍔迫り合いを広げた大手私鉄の一角が壮絶にアピール合戦に走った。

 その結果として「同時並行でルートを走らせて、どちらかにお嬢様が乗る」という玉虫色の計画が出来上がったわけだが、それに成田で手痛い一撃を食らった連中が、報復のチャンスとばかりに裏で飛び交っていた振付師の代理人を名乗る輩を巻き込んだ、杜撰すぎる計画をおっ立て始める。

 表向きは「何事もなかった」とされる新宿の一件も、裏社会の「噂」であればあっという間に広がってしまうというなんとも恐ろしい話ではあるのだが、成田で面子を潰された裏社会の連中やムーンライトファンドが目障りな金融業界の悪質な連中、何より桂華院という特権階級の家に嫌がらせがしたくなくって仕方ない連中が、この馬鹿げた話に呉越同舟とばかりに相乗りしてしまったのである。

 話を最初に聞いた”先輩”の一言が「馬鹿なのかそいつら」で始まったのも無理ないことであるが、困ったことに物と金は確保できた連中は旧ソ連製の対戦車地雷という特級呪物を確保するという幸運に恵まれ、しかも選定場所を確保できるというさらなる幸運が舞い降りていた。

 ただし、襲撃できる箇所は一箇所のみであり、諸々の警備の観点から大宮での襲撃が不可能である以上は「もう一つのお嬢様のルート」であり連中の末端が巣食う地、春日部で襲撃せざる得なかった。

 狙うは国道16号と電車を対戦車地雷で同時に爆破で足止めし、その隙にお嬢様に一撃を入れて入院ないし殺害という凄まじく杜撰な手段ではあるが、杜撰すぎるからこそ誰も想定しない手段であったために、成功率が珍しく跳ね上がってしまった。

 そしてそのような状況をたまたまダムの決壊を確認するが如く知り得てしまったのが、件の二人のみという笑えない有り様で、いっその事九段下に詣でるかという話もあるにはあったのだが、以前秋葉原でご迷惑を掛けた探偵兼任のタクシードライバーという知り合いができていてことが、更なる混沌を招くことになる。

 状況報告から始まった話は電話、会員制チャット、更にはICQまで駆使した報連相祭りと化した挙げ句に、結局二人が実行者として現場を務める羽目になる。

 建前上こそ北樺警備保障の応援部隊扱いではあるものの、実働は二人だけの小さな分隊にすぎない。

 身内に泣きついて増援も検討したが、”後輩”の身内は信用できなさすぎて初手から却下だし、”先輩”の伝手を頼むにしても”身体検査”が間に合わない上に社会的に隠れていないとまずい案件である。

 仕方ないので「定時制時代の恩人」に頼んでその人のみに万が一の増援を頼んだが、出来れば使いたくない切り札となっている。

 

「当日の三日前に判明してよくぞここまで出来たと自分を褒めるべきか、それとも時間が足りなすぎたと嘆くべきか」

「多分前者じゃないっすかね、何も対策してなかったらどのタイミングで爆破されるか分かったもんじゃないですし」

「だよなぁ・・・・・しかし、時間があればあれもこれも出来ただろうに」

 

 連絡と報告で二徹、準備で当日ギリギリまで掛かったがその結果として装備は充実した。

 何せニ名分の強化外骨格と壊しても問題にならない防弾装甲付き軽自動車、これらを確保できただけで素人でも警護確率は跳ね上がったわけで。

 

「まあ、外に出るときに起動して車に戻ったらハンドルを確実に切るために腕の装甲は外さんとバッテリーが持たんけどな」

「俺的にはアリっすね、これ着て終始充電しながら料理してみてぇ」

「そりゃ体への負担は減るだろうが、どうやって移動するんだよ充電しながら」

 

そんな馬鹿話をしていると駅構内が騒がしくなってきた。

 

「んじゃまぁ、やりますか!」

 

其の一言とともに笑えない狂想曲の舞台が、今幕を上げた。




とりあえず、今回はあくまでプロローグです。
件の地雷は何処に仕掛けられたのか、次話移行で明らかになっていきます。
そしてXで反応してくださる原作者先生には、毎度のことながら感謝を。
(今回の話は結構前から温めていたのですが、悪ノリで発表することに)

そしてBREAK-AGEの小説書いていた頃に比べて腕が落ちているかなとも思うしだい。
序に何処の店舗の誰ってツッコミはノーサンキューで。
(一応復帰作品ですが、評価が悪くても書き続けてみようと思います)
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