お嬢様狂想曲~或いは国内のこんな出来事~   作:elfte

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  この小説は拓銀お嬢様こと「現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変」の二次創作小説になります。
 尚、「内容はすべてフィクション」であり「実在の人物とは一切関係ありません」。
 ということにしておきましょう、怖いから。
(モチーフのネタはありますが、現実にはありえないので本気でお願い致します)


お嬢様狂想曲~或いは国内のこんな出来事~ 其の二

 国道16号線、首都圏の環状線の外郭に当たる主要道の一角である。

 他地域への高速道や首都圏の主要国道と接続されて巨大な流通網を支える存在ではあるが、こと春日部市街においては「生命線」である。

 何せ市の東西を繋ぐ連絡網として「確実に渡れる」存在の一角なのだから。

 駅前の主要道路は開かずの踏切だったり、自動車が通れなかったりする道が多い。

そんな中で駅の南北で「信号で渋滞すれど、まあ渡れる」と言える道路が南に2つと北に一つ。

 その北の一つが国道16号線なのだから、どれだけ効果が高いかは言うまでもない。

 そんな主要道の直下で、今地雷が壮絶に爆発した。

 

「やってくれた!そっちをまず止めるか!!」

 

 そう"先輩”が叫ぶのも無理はない。

 これで南側の東西の主要道は交通規制不可避であり、同時にそれは「市の西側にある行政施設」からの増援が不可能になったことを示すからだ。

 と同時に大手私鉄が確実に運行不可能になることも決定した。

 何せ16号線の下を使って、その鉄道会社は運行しているのだ。

 春日部以北の駅の移動、主要線路の復旧工事など課題は満席になることは想像するまでもない。

 とはいえ、「爆破」を表向き出すわけにはいかないため、事前に「近隣でガス管工事中」という「隠れ蓑」だけは用意することが出来た。

 表沙汰に出来ないのはこちらも向こうも一緒、アンダーカバーを用意してそれに乗らせることだけは早期に都合がついたのは行幸とも言える。

 ただし、ここからは時間との勝負になることは確定した。

 

「駅の西側から”地元の警備会社”の応援と称して、襲撃者が来るってのは確定で良いんだな?」

「実行犯も含めて大凡確定情報、だからお嬢様には”単身”で東側から出てもらわねぇと無理」

「すっげぇ博打だが今更感だな、・・・・・正直逃がし切れると思うか?」

「逃げるだけなら手は打てるだけ打ったんでしょ、なら大丈夫っしょ」

 

 そう、事前準備の段階で打てる手は打ち尽くしたのだ。

 見落としは多分多数あるが、それでもこの短期間で最善以外の次善手を複数用意できた。

 相手との時間差を考えると会心とも言って良い手数だが、それでもいざ実践となるとどうしても不安は残る。

 その不安をかき消すようにマスクを装着して、駅構内に突入する二人。

 いきなり全身強化服の二人組が来て駅職員が更にパニックを起こすが、連絡していた北樺警備保障の隊員一人が手を上げて通すように指示してくれる。

 向こうは西口で押し問答をしているだろうと思いながら、急いでお嬢様の確保に向かう二人。

 相手の初手を封じることが出来たことにホッとしながらも、次の一手を思い浮かべて階段を慣れない強化服で駆け上がる二人。

 そしてホームに停車中のスペーシアに駆け寄ると、事前に連絡してあった符丁を伝える。

 

「お嬢様特急」

「確認した・・・・しかし、なんでそんな符丁なんだ?」

 

 そんな北樺警備保障のまとめ役と思われる人物からの一言に、マスク内で苦笑しながら"先輩"が答える。

 

「決まっているじゃないですか、オタクだらけのこの街でそんなネタを展開できるやつは多いですが、他の都市から乱入した奴や日陰者が絶対に思いつかない符丁となるとこんなのしか残らんのですよ」

 

 伊達や酔狂で秋葉原に直行する路線の住人ではない。

 市内在住の健全な青少年の少なくない範囲がオタク文化に侵食されつつ、それを隠し通せる奴が多いからこその符丁とも言える。

 同時にその符丁を初期段階で決めていたからこそ、北樺警備保障からの引き継ぎなどという大役も任される羽目になったわけだが。

 

「ではお嬢様、少しお付き合い頂けると幸いですね」

「お願いします」

 

 そう返したお嬢様の声に"先輩"は違和感を覚えたが、あえてそれを隠しつつ、階段から東口へとお嬢様を誘導する。

 駅職員や居合わせた一般客から歓声とも困惑とも取れる声が響くが、そんなものに構っている余裕はない。

 ここから抜けたら確実に発生するであろうカーチェイスに備え、マスクを付けたまま東口のロータリーに疾走する。

 たどり着いた先に駐車していた軽自動車……巽製キャロルの後部座席にお嬢様を乗せると、"先輩"は腕部のガードごと手袋を外し、ハンドルを握る。

 

「そういえばなんでキャロルなんすか?向こうさんからパジェロやミニカ、或いはテイア傘下の車なら加工しやすいって言われてたのに」

 

 そんな疑問を"後輩”が発進間際にぶつけると、"先輩"はドライブにレバーを入れながらこう答える。

 

「郷土愛と最低限の悪目立ち狙いだ」

 

相手に確実に追ってきて貰いながら所定の位置までお嬢様を逃がすという、ある意味矛盾したカーチェイスミッションを始めるべく、アクセルを踏み込み発進し始める車。

 そして発進し終わった後のロータリーに西口から出てきたであろう連中が、携帯電話に向かい叫び始める。

 

「逃がした、追え!」

 

 その一言で連中にとっては想定外で、護衛する二人にとっては当然のカーチェイスが16号線を舞台に始まる。

 目的地はーーーーー江戸川。




キーワードの元ネタはドンびしゃで「お嬢様特急」。
この頃の電撃G's magazineは色々かっ飛んでたなぁと思い出しつつ。
ついでに軽自動車の選定は故鄕のメーカーで04年に出た車をなんとなく選んでみました。
他のメーカーも考えたんだけど、マツダ車なら走ってる台数も少ないだろうしという思惑もある。
(何せ逃走もしなくちゃいけないけど、同時に相手の追撃部隊を惹きつける必要があるので)
 で、始まってしまったカーチェイス。
 何せモデルの人物の運転が上手くないので16号線をうろちょろというルートも考えましたが、ちょっとお嬢様に習って一捻りしてみようかと。
(一人はペーパードライバー、一人は免許を持ってないという)
 ちなみに対戦車地雷はもう一つありますが、ルート外の場所なので警察が北樺警備保障に指摘されて、四苦八苦で処理に奔走する羽目になります。
 とりあえずは江戸川までどうやって逃げ延びるのか、色々と伏線を散りばめつつ次話に繋がっていきます。
 などと、Xの反応にビビりつつ次回。
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