一番星の子   作:孤独なバカ

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第11話

やっぱり凄いよ。かな先輩。

喧嘩?後のかな先輩はまさに圧巻だった。あれから数週間が経過したがその後の収録はかな先輩をメインにおいての撮影が続くとその思惑は見事に嵌まってくれた。

やっぱり努力していたところもあるだろうがお互いのオーダーに応えつつ話し合いそれを実行する。俺のオーダーはただ一つ。俺の見せ場が来るまで誰よりもここの現場で目立ってほしいっと言っただけ。

そのたった一言だけで十分だった。

恐ろしいくらいの存在感。誰にも負けないくらいにまぶしく、激しい動き。本当に躍動感が凄い。捌き切ってはいるがこれで可愛い演技で、自分も目立とうとすることが本当に難しい。

本当に羨ましい。

そんな楽しそうに演技出来るなんて。

……そんな演技ができるのに干されていたなんて

……そんな環境を作り上げていた全てに怒り、それを引き出したことによる達成感を覚える。

 

「……か、カット!!」

 

場面の転換が終わり、かな先輩が驚いたようにしている。

 

「……」

「どうしました、かな先輩。」

「なんかものすごく疲れるんだけど……あとどれくらい続くの?」

 

ぐったりしているかな先輩に俺は苦笑する。ヒロインは元々活発な皆の憧れの少女という設定があるのだ。

 

「……えっと今時系列は結構バラバラに撮ってますけど。まだ、全然半分も撮れてないと。」

「…嘘!?前に出た時、こんなに出番なかったんだけど。」

「原作者から監督に俺達の出来を見て少し増やしてほしいって言ってたらしくてかなりオリジナルストーリー組み込まれるらしいですよ。」

 

実は監督に相当怒られた。元々主役の2人の控え的な立ち位置であったが完全に食ってしまったらしい。でも嬉しそうに原作者や出版社からお礼を言われているらしく、かなり監督もディレクターも気に入っているらしい。俺もかなりお世話になっているので……有馬かなという、ブランドは大きくなるだろう。

星野アイとしての集客性やアイドル性、演技力も高い。

でも、アイドルと演者というものは全く別物である。比較的にターゲット層によって変わってくるものはあるが、それだけをずっと努力してきたかな先輩には敵わない。

ずっと停滞してきて、ずっと埋もれてきた悔しさ、誰からも認められず藻掻いてきた日々。

だからこそ星野アイという演者に立ち向かうにはかな先輩をパートナーに選んだ。誰よりも悔しく、誰よりも自分自身を見つけてほしかっただろうから。誰よりも達成感は強いはずだ。

 

「キングくん。かなちゃん。次のシーンお願いしてもいいかな?」

「……行くわよキング。」

「はい。」

 

あの時から名前で呼ばれるようになり、少しばかり距離自体が近づいたように感じる。

本当に好きで芝居をやっているのが分かる。ずっと変わらずにこれから大きくなっていくのだろう。その時俺はいられるかは分からないけど……

今この推しと共演できる時間を楽しもうと思った。

 

 

そんなわけで時は過ぎていく。演技をする上で、番宣やお互いのレギュラー番組などを撮りながらも撮影は進んでいく。

そして撮影も終了間近になった時ついに初回放送が始まる時になってくる。見出しにはアイ、キング親子初共演作ということが中心にキャストがかなり豪華など色々な賑わいを見せており、掴みは上々である。撮影を前に家族が全員集まり観ることが恒例になっていた。なお、全員が恋空を履修済みであることからある程度はその話になると思ってた。

 

「…それでね。かなちゃんとキングずっと一緒に行動してるんだよ。」

「…えっと、確か重曹を舐める天才子役だっけ?」

「それを言うなら10秒で泣ける天才子役だろ。」

「でも前からあんまり好きじゃないんだもん。それに最近見てないし。」

 

ルビーの発言に本当にかな先輩の世間一般の声なんだろう。そんなことを言いながら待っていると息遣いの声が聞こえてくる。

テレビにはアイが走ってくるシーンが映され、ドラマが放映される。

このドラマはアイが演じた倉敷ハルと、俺が演じた倉敷ヒロの二人目線によるそれぞれのラブコメになっている。まぁ、良くある設定だが事故で両親を亡くした姉弟がクラスで真反対のクラスメイトに恋をするというものである。

最初は高校生サイドの話である。……弟を遺産とバイトで養っているハルがイケメンで光本不動産の御曹司、結城さん役の光本蓮とのラブストーリーである。高校編の導入を終えるとバイトのシーン、そして家に帰ると俺との家族関係を見せることになる。ここでCMが入り、ここからは俺達小学校側の視点になる。

もう一つのストーリーとして俺とかな先輩のラブコメが見られ、こちらは少女漫画では珍しく弟目線になる。俺が演じるヒロは少し頭がいいことが取り柄の貧乏なことと家族がいないことでイジメを受けているという設定でイジメられて怪我している所をかな先輩役の明るく、誰にでも優しい朝倉舞に治療してもらった時叶わぬ片想いという設定だ。

……実はかな先輩の覚醒後もう一度撮り直したシーンでもあるため、最近撮ったのもある。導入部分でもある為嫌でもかなり人気のある女の子として先輩を目立たせたいシーンでもあったので目立たない演技をしていたこともあったのだか……小学校のところは完全にかな先輩の一人舞台だった。傷を治療してくれていて俺がかな先輩に見惚れるシーンでエンドロールが流れる。

今回選んだ曲はGreeeenの『キセキ』である。何ならストーリー台本をもらった時点でこうなるのは分かっていて、原作者やディレクターも一発で了承を貰えるほどあっていると思う。

 

「…なんか好き嫌い激しそうだな。」

「まぁ、少女漫画原作だし、キャストも女性をターゲット層にしてるから男子受けが悪いのは仕方ないとは思う。」

 

キャストが完全に女性向けなんだよなぁ。結城さんも実力ありながら顔も整ってるし。俺以外が顔が整ってるキャストが多い。

 

「そう?私はキングが可愛くて好きだけど。」

「私もどちらかといえば好きかも。でもこれ、ファンからしたら全然ありだと思う。でも、これ目立っているの小学校編の方だよ?何ならキングもそこまで大きく映ってないけど。」

 

そうなんだよなぁ。今回後半丸ごと小学校編になるほどかな先輩が乗っていたのもある。尺が増え、オリジナルストーリーも今後増えてるので撮影が延びている現状だ。

 

「有馬かなってこんな演技だったか?」

「泣き演技が多すぎるんだよ。かな先輩は。元々は様々な感情を上手く使える器用な役者なんだし。だからこそそのギャップもあると思う。」

「凄いトレンドにも上がってる。バズってるよ。」

 

俺も見ると1位恋空、2位キングくん、3位かなちゃんの文字。俺はエンディング曲が褒められているのもありバズってるかな先輩を抜いていた。その下も恋空関係で好意的な反応である。

 

「……嬉しそうだね〜。キング。」

「役者やってたらこの瞬間が一番嬉しいって。」

「…そうだな。」

 

アクアも共感できる。これ、確実に明日から忙しくなるやつだな。と思いつつエゴサを続けるのだった。

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