一番星の子   作:孤独なバカ

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第14話

「凄い!!キングこんな演技できたんだ!!」

「キング!!かっこいい。ここもう1回見ようよ!!」

「……アクア」

「……諦めてくれ。母さんもルビーもこうなったら何度も繰り返し見ることはお前も知ってるだろ。」

 

……あのさ。これどんな拷問?

目でアクアに助けを求めるが視線を逸らされる。

母さんとルビーがテレビに釘付けになっている中で俺はため息をつく。

恋空は瞬く間に女子の学生層に受けることになり、平均視聴率も18%と比較的高め、テレビ離れが進んでいる中で、有馬かなの復活作品として大きく盛り上がり、有馬かな特集も組まれるほど再評価されている。

……なお、アイがいるとはいえ男性視聴率はボロボロである。確か10%とかそこら辺だったはず。最後に俺とかな先輩が歌うキセキが流れ、ドラマが終わるとアクアは呟く。

 

「……でも、感情演技相変わらず上手いよな。キング。」

「まぁな。歌に感情込めたりするし、その応用かな……特にこのシーンって原作でも俺でも理解できるくらいに力を入れてたから。合わせやすかったし。」

「…」

「アクアは真似しないほうがいいと思うよ。アクアも似たような演技するときがあるけど、俺はプロデューサー曰くかなり特別扱いしてるわけだし。何ならこの作品の台本大半ガン無視してるし。」

「……それはどうなんだよ。」

 

あきれ顔のアクアに俺は少しため息を吐く。

 

「…いやさ、元々この作品って王道の学園恋愛物だろ?……台本通りにやってたら結構ありきたりになるなぁって最初見た時から思ってたんだよ。」

「私も思ってた。マルチ主人公でありながら個々だと見たことがあるなぁって。」

「そう。それに元々これキャストの時点で俺はかな先輩の出来次第で本当に駄作になるくらいだと思ってた。」

「…は??」

「よく考えてみて、これ殆ど俺と母さんが共演したことある人だよ。……こんなんで王道なものやったら、本当に見たことがある恋愛ドラマになってしまう。俺はかなが舞役にあってるから推薦しただけで、殆ど共演経験のある人を集めたの内心は本当に焦ってた。」

 

だから殆ど家で俺は台本を離さなかったどうアレンジするか、それでいてどう尖らせるかということを考えていた。

 

「……それで完成したのが全部ギャップで出来ているドラマだったんだ。まずは当然今回の立役者でもあるかな先輩。本当に助かったんだ。ここまでやってくれたの本当に想像以上の演技してくれたし、このドラマの話題性は殆どかな先輩が作ったものだから。」

「…うん。でも母さんじゃ駄目だったの?」

 

ルビーの疑問は分かるけど、俺は頷く。

 

「正直役者していると少しだけ分かることがあるんだよ。アイドルとしての母さんは凄いけど、役者としての星野アイより可愛いと見せられることができる人はいるってこと。それに母さんは既に可愛いって世間から思われてるから可愛い演技をしてても当然と思うでしょ?」

「あぁ。そういうことか。」

「……どういうこと?」

「多分俺たちが最初に思っていたことが全部なんだ。有馬かなが泣き演技以外にもこんな演技ができるというギャップがまず1つ目のこと。そして2つ目は原作では高校編の方が多く取られているけど明らかにこのドラマでは小学校編の方が多めに構成されている。これは明らかに原作とは違うんだよ。」

「…そうだな。」

「そして、これわざと有馬かなを主演に見せるようにキングは立ち回ってたんだろ?だから途中から舞目線でストーリーが進められていた…即ちキングは男性層の受けを全て壊してまで、女子学生に特化した台本を作りあげたんだろ。」

「正解。難しかったよ。所謂原作と反対の立場で舞とヒロを表すの……かな先輩も始めて構想語ったときに、頭抱えてた。んでかな先輩、結構普通の感性持っていたから細かい動きで少しドキッととするような動作を取り入れて、最後は感情演技で締める。ついでに原作者の許可はちゃんと取ってたし、……何か俺もかな先輩もかなり気に入れられたぽい。」

 

まったく違う視点からの恋空という作品を作りだして、かなりのオリジナル展開でありつつ、キャラを保持することとかまとめることとかやることが多かった。この作品は想像以上に大変だった。

 

「でも、単行本の売り上げかなり伸びてるぽいしな。」

「そうそう。それにかなちゃんが入ってからミヤコさんもかなり仕事の依頼の質が良くなったって喜んでたよ。」

「そういや最近撮影ばっかりでミヤコさんに会ってないなぁ。今度事務所に顔だそうかな。」

「うん。ミヤコさんも心配してたからそうしてあげて。」

 

ミヤコさんには結構お世話になりぱなしだもんなぁ。

 

「……でも恋空、次、最終回かぁ。せっかく久しぶりによかったのに。続きとか製作しないの?」

「残念だけどないと思う。……てか原作者が嫌がってる。これ以上やると付き合った後の物語になってグダグダになることは分かってるぽい。正直原作者の熊子先生があまり映像化と聞いて期待してなかったらしい。名作のままで終わらせたいっていう原作者の意向だよ。」

「……名作のままで終わらせたいか。」

「ついでに原作も次最終回らしい。ドラマと完全に合わせてきた。」

 

もう一騒ぎありそうな感じだしここで終わらせる勇気は凄いと思う。

 

「…まぁ、暫くは俺とかな先輩は恋空の余韻で忙しいんだけど。俺3ヶ月ほぼ毎日収録あるし。」

「……そんなに埋まってるの?」

「ほぼかな先輩か母さんとのペアだよ。何なら母さんと番組1つ持つことになってるし。」

「…レギュラー番組やテレビ放送じゃないけどね。でもキングは何するか知ってるの?」

「知ってる。企画したの俺だし母さんには内緒だけどロケになるから冬休み数日間空けることになる。」

「……そうなの?ってアイとお泊り?」

「ズルイ!!キングいいなぁ。」

「仕事だからね。それにやってみたい企画あったんだ。」

「…どんな企画なんだろう。」

 

目茶苦茶楽しみにしている母さんには悪いけど……この企画本当にキツイんだけどなぁ。本家ほどきつくはしてないけど……皆に本当の母さんを知ってもらうためには仕方ないよね。

 

「そう言えば番組名とかあるの?」

「…うん。番組名はね。星野家どうでしょう!!」

 

さて地獄の始まりだ。

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