第15話
「おい!!子役が足りないと言っていたがこのレベルの子役連れてくるってどういうことだ!」
恋空の放送が無事終わり半年が経とうとしていた。
五反田監督の家に来てそうそう、開幕の一声がこれであった。
「…いや、だって足りないって言ってたでしょ。大手だし、向こうサイドも喜んでたよ。できれば映画にも出してほしいって。」
「……無理矢理じゃないんだな。お前は一言で既に現場がひっくり返るくらいに言葉に力があるんだぞ。」
「それ向こうのプロデューサーにも言われた……でも実際五反田監督の演技にぴったりだと思ってたんだけど……」
「それはそうなんだが……まさかこんなに上手い子役を連れてくるとは……」
「条件は結構緩かったんでしょ?28時間ドラマを撮るってフリルとかな先輩で飯行ったとき嬉しそうにしてたし。」
「……お前ら本当に仲いいよな。」
恋空はドラマとしては久しぶりに最高視聴率20%を超えるものになった。特に俺の見どころのギャップは上手くいったらしく瞬間視聴率21.4%を記録。その後さらに追い打ちでかな先輩と歌うキセキはかなり女性層に受けたらしい。
その時の子役グループは今でも時々飯を食べにいく仲だ。
そういう交友関係を監督は知っているらしい。隠してないが時々仕事終わりや稽古終わりに度々ご飯食べにいく仲だ。なんなら不知火さんは俺と母さんでやってるとある番組のファンらしくよく聞かれている。
「そういや有馬かなはどうした?」
「今日はバラエティー番組のレギュラーの撮影に行ってます。午後からはフリーらしいのでご飯食べに行きますけど。」
「すっかり前のように、いや前以上に売れてないか?」
「ほぼ見ない日ないですもんね。」
「いや、お前もだろ。番組いくつ持っているんだよ」
かな先輩も再ブレイクの兆しが見えており、俺との組み合わせだけではなく、単独でも仕事が増えている。
「知らないです。…一番好調なのは母さんとのネット番組ですけど。」
「あ~。あれか。企画お前が持ってきたってやつか。あれ、アイ本当に嫌らしいな。」
「でも面白かったでしょ?」
「いや、初回が北海道から東京までサイコロを振って出た目の乗り物に乗って帰ってくる企画とか人気アイドルと人気子役がやる企画じゃないだろ。」
「俺が成人すれば夜行バスとか夜行列車も使えたんですけど。」
「……お前鬼か。」
俺が企画して勝ち取ったのは前世での北海道の地方番組から全国放映権を勝ち取ったバラエティー番組のパクリである。苺プロ完全協力の元かなりの低予算でここまで出せたので、すぐに第二弾が確定した
「あれ。第二弾も好調でしたよ。」
「確かアイが都内で選んだ場所をひたすら徒歩で回る企画だよな。しかもヤラセ一切ないんだろ?SNSでその時の様子送られてたし。」
「ないですよ。撮影はビデオカメラのバッテリー複数持たないといけないしで。ミヤコさんにカメラマンしてもらっての低予算でやってましたから。流石に第三回があるんならご褒美企画にしますけど。……まぁ、運次第で地獄を見ますけど。」
なお夏休みに既に撮影が決まっている。
サイコロ次第で豪華な料理を食べれる企画とかもできるくらいには予算をもらったのだ。
「……お前。恋空から少し変わったよな。なんか、はっちゃけてるっていうか。」
「元々は一枠任せたいってプロデューサーに言われたんです。いうやつだったんですけど、せっかくだし、母さんと共演したいなぁってミヤコさんに。でも生半可な企画ってつまらないじゃないですか。」
「まぁ、そうだな。」
「だからお互いに体張ろうってことにしたら企画通るんじゃないかって。」
「だからといってこれをやりのけるお前もアイもどうかと思ったよ。何でアイは初手沖縄に飛ばされたんだって突っ込みたくなる企画だったな。」
母さんと俺が交互で振り飛行機で初手沖縄を出した後、俺ですら笑顔が凍った。飛行機関空、高速バスで広島、新幹線で名古屋、新幹線博多、高速バスで鹿児島、高速バスで博多、新幹線で東京とかいう地獄スケジュールだった。冬休み期間の1週間を費やしたロケであったが放映はたったの90分も満たないがインパクトはかなり強かったらしくかなりバズった。……でも、疲れが出て乗り物に乗ってて二人寄り添って寝てしまったところがかなり評判でよくからかわれるようになった。
「…まぁ、ところで何ですか?何か相談があるって聞きましたが。」
「……あ~まぁ。アクアのことだな。今度の28時間テレビのドラマで主演をやらせてみようと思ってるんだが。」
「…おぉ。マジですか?」
「それがな。姫川もツモれそうなんだよ。知ってるか?」
「劇団ララライのですよね。あ~。まぁ姫川さんですね。」
「おい。まだ何も言ってないだろ。」
話の内容からそれは分かる。
「話の話題から誰を主演にするべきですよね。……いや、あの人って俺も演技見たことがありますけど、あの人天才の域ですよ。アクアは正直スタイル的にも受けの演技が上手いじゃないですか。それなら一度組ませた方が技術も向上するでしょうし。」
実際この仕事に入ってから演劇やドラマはなるべく見るようにしているけど、あの人は本当にヤバい。演技の質が高すぎる。
「お前本当に詳しいな。」
「いや、俺暇な時間で最近舞台も観るようにしてるんで。」
「いや、正直お前はもっと時間かかると思ってたんだけど……まさかアクアよりも役者として早くこんなに売れるとはなぁ。」
…それは俺も思ってます。いや、本当に。
「……そういえばアクアは?」
「アクアは今他のところの撮影に行ってる。今日は明日よりいい日になれっていうネットドラマの主演格だったけど聞いてないのか」
「アクア仕事のこと話さないんですよ。……そう言えばかっこいい子役がいるって話題なってました。」
「おう。実はそこそこ話題になってるんだ。ネットドラマとはいえ鏑木プロデューサーが担当らしいし。」
「おぉ。当たりの方引いたのか。」
「……お前それ鏑木が聞いたら怒られるぞ。」
「いや、俺顔そこまでよくないから呼ばれたことないですもん。」
あの人の作品、当たり外れ多いんだよなぁ。経験積ませるためにいきなり主演にしたりしてるからっていうのもあるんだけど……キャストが顔面史上主義なんだよなぁ。
「そう言えば事務所でアクアは有馬かなと会ったんだよな。どんな反応だった?」
「……無関心?かな先輩は覚えてたらしいけど、共演したのってまだ2歳くらいですよね。」
「一応アイツのデビュー作なんだけどな」
「アクアらしいですよ。本当に。」
そんなことを言っているとアラームがなる。
「…あっすいません。これからかな先輩とご飯行くので。」
「おうよ。とりあえず参考にするわ。休暇中に悪いな。」
「いえいえ。アクアやフリルの件でお世話なってるんで。それでは失礼します」
一礼して俺はテレビ局へ向かうタクシーを呼ぶのであった。
「そう言えばアクア次28時間のドラマ出るの知ってた?」
「…そうなの?」
「五反田監督がキャストで悩んでいたから少し相談乗ってたんだよ。フリルも確定らしいぞ。」
「へぇ~主演は?キング?」
「何で五反田監督は俺を使ってもちょい役だよ。主演は姫川さんツモれたらしい。」
「…劇団ララライの?」
驚きを隠せないのか少し大きな声をだす。一応母さんに教えてもらった芸能人御用達の店である為防音はしてあるので仕事の話もできるんだけど。
「……ゴメンね仕事の話ばかりで。本当にこういうの慣れてないから。」
「あ~うん。それは分かってたつもりだけど、本当に友達いないんだ。」
「…居ないよ。正直殆ど仕事だから。」
少し傷つくが多少口が悪くてもこの嘘だらけの世界で正直なことを話してくれるかな先輩の貴重さは正直ありがたい。
「貴方学校も行ってないって言ってたけど…それっていいの?」
「うちの学校は成績次第である程度優遇効かせてくれるよ。一応これでも優等生だし。」
「…そうなの?」
「意外だろ?アクアという家庭教師がいるからだけど。」
「…アクア相当優秀よね。」
実際成績が特別良くはないけど、いいくらいには調整している。アクアやルビーは気にせず解いているらしいけど……
「そういうかな先輩はどうなの?休みとれてる?」
「…取れてないわよ。一応同じ家に住んでるんだから分かるでしょ。」
恋空以降かな先輩はうちの事務所と契約を結び、中学生となったこともあり親元を離れ俺たちの家で暮らしている。まぁ、壱護さんから俺がスカウトしたんなら最後まで面倒みろ、と言われてのことだ。実際相当虐待はあったらしく、その脅しと相当の額を払いかな先輩を離れさせたらしい。
案外嫌っていたルビーが懐くくらいには一番仲が良い。喧嘩はするがいつもファッションとか漫画の話をしている
「…そう考えるとあの事務所って裏方も元B小町で固めているから、芸能界についても理解している。作曲や営業とかは強い理由が分かる。」
「でしょ。まぁ、4人で仕事回そうとしたら結構大変だから仕事回してることもあるけど。」
「…えっ?まだ余ってるの?」
「条件とか、将来のこととか考えて仕事振ってるんだって。……正直うちの事務所って、俺、母さん、かな先輩、売れている人が多いから下手な大手より確実に仕事の依頼は多いよ。」
それが苺プロの強みなんだよなぁ。かな先輩も今後移籍する可能性は捨てきれないけど。
「……でも、それじゃあタレント雇わないの?」
「……雇えなかったが正解かな。B小町の損害賠償の借金が結構残ってたから……」
「よく二人で返せたわね。」
「いや、ネット部門を苺プロは取り入れているから。」
「ネット部門?」
「配信者ってこと。一応、苺プロの配信者と今後絡むことにもなるだろうから言っておくけど、苺プロはネット部門に強いから、ある程度コラボもするようになる。俺やアイも何人かの動画に出る予定だし。」
俺のデビューでバズった時にミヤコさんがその道に活路を見出した。
「それって意味あるの?」
「ある。何ならネットが今の広告塔の一つだよ。特に若い世代に向けてならテレビよりも広告に向いてると思う。最近じゃ母さんのライブはライブハウスからやって、後はネットチケットで配信サイトから見れるようにしてるし。案外母さん以外のアイドルとかも立ち上げてもいいと思うけどなぁ。」
「キングはプロデューサーとしても生きていけるんじゃないの?」
まぁ、やってることは似たようなことだし。
「まぁ、それくらいにして、…そういえば話したいことって何ですか?」
「……それがね。私が受けるオーディションなんだけど、演出家がキングに演技審査をお願いしたいって言われたの。」
「……演技審査?オーディションの審査ってことですか?」
「えぇ。虹野さんって演出家知ってる?」
「知ってます。鬼才と呼ばれている人ですよね。」
「えぇ。それで舞台のオーディションなんだけど。キングにも決めてほしいって。」
その言葉に俺はため息を吐く。どうせ断れないし仕方ないだろうけど気が重い。もう原作が崩れ落ちていることも分かってる。でも、一つだけ言いたいことがあった。
あれは原作では2月に起こる予定だったはず。今はかな先輩は中学生となり、5月半ばでかなり時が過ぎている
……絶対なにかあるんだろうなぁと思いつつため息を吐いた。
ごめんなさい。思っていた以上にどうでしょう人気高かったので後日番外編として出します。