一番星の子   作:孤独なバカ

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第20話

「本当に個性的だな。」

「……どうしたの?」

「おっ。ルビー。おはよう。新しい台本届いたから見てたんだよ。」

 

早朝のランニングと発声練習終わり、珍しくルビーが早めに起きてきたので挨拶する。ついでに台本は虹野さんのオーディションのやつである。一応俺とかな先輩にも昨日渡され一通り目を通している。

 

「今日は学校に一緒に行こうよ!!」

「いいよ。帰りは劇場紫陽花よってくるから無理だけど。」

「……本当にキングは仕事一筋だなぁ。そういえば、曲は出さないの?」

「…あ~うん。ちょっと声変わりしてから少し音程調整難しいんだよ。」

 

恋空以降声変わりが起こり周囲からはあまり変わってないと言われるが、ちょっと高音が出しにくくなったこともあり、暫く新曲は出せていない。バラエティーとかマルチタレントとしては活躍してたけど、声や演技に関してはまだちょっと合わないんだよなぁ。

 

「えへへ。」

「ルビー近い近い!!」

「だってキングが学校行くことって少ないでしょ?成績優秀だからある程度は免除されてるって聞いたけど……学校行事も参加してないし。」

「……いや。だって友達もいないのにしんどいじゃん。」

「…ホント学校嫌いなんだね。」

 

ルビーが苦笑する。学校ホントに嫌になりつつあるんだよなぁ。友達も居ないし……ホントにかな先輩のところ行こうかなぁ。すると噂をすれば何とやらかな先輩が起きてきた。

 

「……あっ。」

「おはようかな先輩。ご飯できてるよ。」

「……ありがと。ねぇルビー。……アクアもキングも家庭力高くない?」

 

俺は前世、カフェのオーナーやっていたこともあり、モーニング系とカレーはかなり評価が高い。

 

「……そういえば、今日撮影大丈夫?」

「壱護さんに聞いたけど本当にオーディション日まで仕事が少ないから。バラエティー番組それもあんたも出る奴くらい。」

「あ~俺もそうかな。『ここ行って食べ比べ』くらいかな。」

「あの番組よく続いてるわよね。」

「ありきたりだけど、地方の食レポは人気だよ。旅行目的じゃなくて、懐かしいとか言われてるし、東京に出稼ぎに来た視聴者結構見てるらしいよ。」

 

ここ行って食べ比べは東京の名店のシェフと本場の職人が作った料理食べ比べる番組である。一応これでも審査員としては優秀で忖度なしで答えてる。……なお大抵は本当に美味しいので完食してしまうから何か毎回山盛りに積まれている。なお撮影中に食べている動画は公式番組の公式ホームページで見れることもあってただ食べているところも人気の一つだ。……ただ3本撮りだから基本的にキツイ番組の一つでもある。……なお一番辛いのはぶっちぎりで星野家どうでしょうだ。……楽しいから別にいいんだけど。

 

「……。」

「かな先輩?」

「別に。今日って帰り何時くらい?」

「暫くは仕事ないから六限まであります。……行きたくねえ。」

「あんたの学校嫌いも相当ね。私もそれくらいだから四時に駅前でいい?」

「分かりました。」

「あのキングってかな先輩と付き合ってるの?」

「……へ?」

「だってキングって普段一人で行動するじゃん!!」

「好きで一人になってるわけじゃないねぇよ!!」

 

元は結構話したがりだし、前世では休みは友達と一緒に飲みにいったり、遊びに行ったり結構アクティブに動いていた方だ。

 

「……お前ら騒がしい。」

「あれ?アクア。今日珍しいな。コーヒーいる?」

「いる。……てかキングや有馬はともかくルビーは珍しく早いな。まだ6時前だぞ。」

「台本チェックあるし。」

「私もよ。今日合わせる子打ち合わせだし、キングと価値観共有しておきたかったから。」

「私はたまたま。そういやママは?」

「撮影だって。帰ってくるの10時くらいって言ってた。」

 

だからご飯を作っているのも事実なんだよなぁ。夕方にはまた収録入ってるらしいし、俺たちが休み多い分稼働が多いのが母さんである。

 

「そういや、ドラマの撮影順調?」

「ん?そういえば監督聞いてるんだよな。姫川さんとフリルに合わせるのが大変くらいか?あの二人やりたいように演技するから。」

「今の段階であのレベルについていけてるんなら十分だって。」

「それもそうなんだが……今日も撮影だから……」

「あ~。なら今日もルビーだけか。最近ホント多くなったよなぁ。」

「うぅ。絶対にアイドルになるんだから……」

「その前に歌のレッスンくらいはしとけ。お前目茶苦茶音痴だろ?」

「ひどい!!」

 

ルビーは原作通り……まぁ下手な部類だしなぁ。

 

「……それならあんたが教えたら?」

「いや、俺感覚派だから音程とか気にしたことないし。」

「……あ~。ホントに歌に関してはキングは役に立たないぞ。こいつ前に教えてもらった時に楽しく歌えばいいとかしか言わないし。」

「いや、体で覚えるくらいしかなくね?」

「それで歌えれば苦労しないわよ。」

 

……そういや前世でも別に苦労はしたことないけど。いつの間にか歌えるようになったんだよなぁ。

 

「そういやアクアは目玉焼き食べる?トーストでいいよな?」

「いいよ。手伝うよ。」

 

そうして家事を進める俺とアクアに少し悔しそうなかな先輩。

これが我が家の日常である。

 

 

「すいません。苺プロ所属のキングというものですけど……」

「あら!!始めまして!!私は劇団紫陽花の岡村といいます。」

「すいません。今回はこちらの都合で劇場を貸して頂き。」

「いいのよ。あかねちゃんもキングくんのこと話してたから。」

 

といつも通りの挨拶をしながら恐る恐る聞いてみる。

 

「……あの、岡村さんお久しぶりです。もしかして覚えてないかもしれませんけど。」

「……あら、こんなおばさんのこと覚えてたんだ。」

「岡村さんまだ二十代後半ですよね?黒川さんから夢への扉って聞いた時にもしかしたらって思ってましたけど。」

 

岡村美怜さん。夢への扉で俺の母親の役をやっていた女優さんだ。

 

「ホントに大きくなって。それも色々な演技で賞をとったのでしょ?」

「いや、ホント作品に恵まれたので。」

「いえ。でも、良かったわね。下積み時代長かったって聞いてたから。」

 

少しだけ苦笑するとすると真剣な顔つきになる。

 

「それでキングくんから見てどうかな?」

「黒川さんですか?……演技の才能は正直なところ……天才に近いですね。」

「そうなのよ。やっぱり分かる。」

 

高いテンションで答える岡村さん。

 

「心理学ですか?黒川さんがやっているの?」

「…そんなところまで分かるんだ。」

「…まぁ、流石にあそこまで心理描写が詳しくされたら。俺は演出ある程度かじってるから分かりますけど流石にある程度ならともかく、あの短期間であれだけの詳細は難しいです。」

「そっか。」

「…あれ?キングか?」

「……あれ?姫川さん?」

 

岡村さんと話してると姫川さんが歩いてくる。そうすると何か察してか岡村さんは先に行ってるよと中に入っていく。

 

「もしかして練習日か?」

「いや今日は台本の中身を全員で共有し合うって感じです。オレ目線四つほど大きな演出の違いがあるので。」

「…そんなにあるのか?」

「実質的にはですよ。だからかな先輩や黒川さんに話そうと思って。そっちは黒川さんの勧誘ですか?」

「……お前な。」

 

どうしてわかったと言いたげだけど…まぁ原作を見てたから知ってるわけだし。

 

「いや、あんな演技見せられて黙っている方が難しいと思いますけど。紫陽花って児童劇団ですからララライへ進むのも可笑しくないと思いますけど。何なら俺もかな先輩で同じことしてますし。」

「……成る程な。そっちは、黒川を勧誘するつもりはあるのか?」

「当然と言いたいですけど、劇場でやりたいならそっちの方が良くないですか?こっちも役者ですけどテレビやネットの映像に強い事務所ですし。正直うちの事務所、演劇はこのオーディションが初めてなので。」

 

そこなんだよなぁ、問題は。映像をメインにおくか、演劇をメインにおくかで今後の活動方針にも関わってくる。

 

「……ならこっちが少し出そうか?」

「…えっ?」

「いや、お前にしろ、有馬かな、星野アクアにしろ面白い役者が揃ってるしな。元よりその話をそちらさんに振ろうとしてたから」

「…業務提携になりそうな感じかぁ。……確か母さんとそっちと繋がりあるし……全然やれることを増やす意味ではありかも……」

「母さんって星野アイのことか?」

「母さんそっちのワークショップに通っていた時期があって。……あ~これ言っていいんかな?」

 

少し頭をかくけど、もうここまで話したからいいや。今なら誰にも聞かれていないし。

 

「なんだよ。」

「俺と姫川さん父親同じなんですよ。母さんが言ってたので。」

「……は?」

 

これは既に母さんに確認済みである。原作知識もあり、母さんには予知夢としてごまかしている。ついでにアクアやルビーには話していない。

 

「DNA鑑定すれば事実だと分かると思いますけど、……うちの母さんその人としか関係もったことないので。」

「…それってお前もあのクソ親父の子ってことか?」

「あ~。……えっとごめんなさい。問題があったの多分姫川愛梨さんの方ですよ。」

「……母さんが?」

「何なら俺たちの父親はカミキヒカルと言います。そして、上原清十郎さん、姫川愛梨さんへの殺人教唆、うちの母さんを殺そうとして刑務所にぶち込まれてるもっとクソ野郎な奴です。」

 

その言葉に姫川さんは目を見開く。

……これ、俺が話さないといけないのかと少し苦笑いしていた。

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