一番星の子   作:孤独なバカ

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第3話

ドラマ撮影から暫く経ち2歳になった俺のデビューが決まった。子役としては初めてであるため期待していないらしいが、アクアは原作の通り監督。そして俺は1年以上たった幼稚園ギリギリ入園前で歌の道だった

 

「よろしくお願いします」

 

社長である斎藤さんの奥さん、ミヤコさんが少し不安そうにしている。一応ルビーとアクアも付いてきている。母さんも付いてきたがっていたが、流石に社長が駄目だと告げた。

 

「今回はキングを起用していただきお願いします!」

「おぅ。よろしくな。キングくん。」

「よろしくお願いします。」

 

子供限定の生放送でのカラオケ大会である。そして、基本的にこういうのは基本的にヤラセが多い。裏で決められているらしい。でも唯一可能性があるのがこの大会である。

だから、もとより俳優志望がこの大会に出ることが多いとミヤコさんがいっていた。

今回もうっすらスタッフが大手プロの媚売っているのは分かっている。確か大きなプロダクションで期待が込められた子役だったはず。この場にでているってことはある程度歌えるのであろう。審査員はある程度売れているアイドルグループや歌手がいる。そういったしがらみは知っているメンバーだ。

そして最年少のことあって俺はラス前になっている。歌を決めていることもあって、練習も続けていた。今では4曲くらいなら歌えるくらいには体力もつけた。

 

「しかし、3歳ですよ。あんな曲今日歌えるの?今からなら曲変えられるけど。」

「歌えるよ。」

「本当?生放送だけど歌えるの?」

「キングは歌上手いんだよ!!」

 

ルビーがニコニコ笑顔で告げると俺は少し苦笑する。

生放送ってことも知っているから故障に見せかけてのトラブルも予想できるが流石に使ってこないだろう。

何なら俺も視聴率稼ぎに使われてるはずだ。最年少で3歳でカラオケ大会に出るなんて。

控室には他の人の映像が流れてくる。カラオケ上手に出ることもあり、かなり凄い実力を持っている。

 

「上手いな。皆。」

「まぁ、みんな子役でそこそこ出てるからね。」

「…なんか今更だけど……何歌うの?」

「えっとね。スターファクトリーさんで『ライジング・サン』」

「……幼稚園児が歌う曲じゃないわよ。」

 

それもそのはず。ライジング・サンは終盤までアップテンポの激しい曲。ラップもあり、難易度は確実に高い。なお英語表記じゃなくて分かるようにこの世界の歌である。

 

「それでも実力を認めさせるにはこれが一番早いと思う。」

「うん。優勝を狙うなら難しい曲がいい」

「アクアもルビーも、二人ともキングくんに期待しすぎじゃ。」

「うん。お兄ちゃん、お姉ちゃん期待し過ぎだよ。」

「「だってキングが優勝しないとおかしい(じゃん)」」

 

その言葉に苦笑してしまう。俺自身のあまり自分が歌っているところは聞かないからどういったふうにしているのか分からない。

 

「キングくん出番です!!」

「は~い。それじゃあ行ってきます。」

「キング!!頑張れ!!」

 

ルビーが嬉しそうに笑うと俺も頷く。アクアも頷き俺はステージへと向かうのであった。

 

 

ルビーSide

 

「……本当に大丈夫なの?あの子。」

「…キングのこと?」

 

ミヤコさんの言葉に私が聞くと頷く。

 

「そうよ。あの子が歌っているの聞いたことはあるけど、この大会では視聴者投票も兼ねてるのよ。あの子は確かに天才って呼ばれるくらいの実力はあることも分かっているつもりよ」

「認めるんだ。」

「流石に2歳児が作詞するなんて普通はないわよ。」

「そうだな」

 

お兄ちゃんが頷く。転生したことは知っていても、知識が違うキングは前世に歌っていた歌を歌うことが多い。

 

「……それに今回に関してはほぼ黒に近いわ。最年少のまだ一度も露出がないのに生放送だなんて。」

「でも、それに関しては元々キングが希望していたことだって。」

「……キングくんが?」

「うん。キング言ってたよ。例え大会で負けてもいい。それ以上にテレビの視聴者にまた見たいと思わせたら勝ちだって。」

「……」

 

多分私とアクア以上に成熟しているのはキングである。歌が上手いってより、好きなのは産まれた時から知っている。

 

「それに、あいつ本当に歌が好きなんだよ。楽曲を決めてから夜中に何度も練習してた」

「……えっ?」

 

多分お兄ちゃんも気づいている。お母さんに似ているから私たちがお母さんについて行ってるときも基本お留守番なのだ。

テレビで話す姿は本当に3歳にしか見えない。でも音楽を流れると一変する。テレビでも関係ない。そこにはとても楽しそうに歌っているキングがいる。

その雰囲気にお兄ちゃんは少しだけ驚いているが、スタッフも出演者も観客の視線がまるでお母さんを見るように集めている。そしてお世辞ではないくらいに聞いて行く人を虜にしていく。満面な笑顔と歌声はもはや言うまでもなくキングに向けられていた。私もその姿を見てきたから、お姉ちゃんでありながら一番最初の推しになっていた。

 

「ありがとうございました!!」

 

たった一曲。歌いあげたキングに今日一番の歓声が沸く。拍手や歓声が巻き起こる。生まれ変わって最初に出来た推しは大好きな弟になった。

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