第8話
「そうして私は三児の母親になりました。」
事件から半年が過ぎ落ち着いたころ、子供のことを公表すると母さんは強くミヤコさんに告げたのだとか。どうやら、親権を勝ち取って、俺たちをストーカーの性的暴行によってできた子供として発表した。どうやら父親とは話を付けてきたらしい。
そういう強引なところは本当に星野アイである。ルビーが漏らさなければこのまま一生闇の中になるだろう。だから星野の性を俺たちは名乗れることになった。
その父親である神木は裁判で余罪が多くあり、また周りの証言から東京地裁にて実刑判決で無期懲役の判決が下されたらしい。再審もしないのだとか
ニノもその恋人も殺人容疑、それも複数判決だったため、実刑判決はやもなしだった。
そして苺プロは当然のごとく一からやり直しになり、違約金など大損害を被った。周囲からの評判も下がっており、一からの立て直しらしい。それでも社長がミヤコさんに変わったくらいでなんならスタッフ数は増えたのだ。
それを理由にB小町は炎上したこともあり、解散。そしてアイとB小町のメンバー数人が苺プロに残った。アイ以外はアイドルではなくタレントという扱いだが。それでも元B小町の肩書は強く、仕事はそこそこ貰える状態らしい。またタレントにならなかったメンバーもスタッフとして雇うとのこと。
アクアは原作の通りに五反田監督の元でお世話になってるらしい。暫くは専属の役者としてお世話になり、着々と経験を積むと励んでいる。
そして俺は……今は役者兼歌手として活動している。前世の曲を歌いたい気持ちもあるけど、それでも子供の時期に基礎を固めて、固定客を獲得し、オリジナルは1年に一本の間隔で出していく方針らしい。なんなら今は役者として頑張っている。なんと俺は壱護さん曰く役者向けの性格であるらしい。その壱護さんは社長だった経験を活かし、社長を辞めてすぐにちょい役であるが俺の子役としての仕事を貰ってきて即デビュー。
あんな大演技をかましたガキに演技の才能が無いわけがないと、壱護さんがその後もマネージメントしてくれている。
ついでにアカペラで歌った『生きてこそ』は音源もない中で子供が両親への感謝の歌を歌ったとして半年で200万再生を記録。作詞に自分の芸名を出していたこともあり、これもまたバズった理由であるらしい。
……子供コンテンツは伸びやすいって聞いてたけどこんなに伸びるんだ、と驚いた覚えがある。いくらなんでもバズりすぎだろ。
ただ役者向けといった通り子役のほうが上手くいき過ぎているというまさかの結果になっている。
新人賞を昔受賞してからはパッとしなかったが、3年目の夏祭りをエンディング曲に添えた映画が最優秀男優賞を受賞。またその映画が優秀作品賞を受賞して大ヒット。主人公の一人息子の役としてダブル主演を果たし、元々壱護さんのADに優しくしろの教えもあり、スタッフに内面も暴露されても人気は下がらず、一躍人気子役になった。
壱護さんを甘く見ていたが本当に俺の敏腕マネージャーとして、スケジュール調整や仕事を持ってきてくれたりと八面六臂の活躍だ。
そしてルビーはアクアがセンセであることを知ってからべったりである。……まぁ、アクアもさりなちゃんと分かってからシスコンが加速しているような気がするが。
そして2人は俺にめちゃくちゃ甘い。基本的に
まぁ、事件の後は平穏な生活とは言い難いが、ようやく家族として一段落がついたと思う。
あれから6年の日々が流れ、俺たちは小学生生活を送るはずだったんだが……。俺はずっと学校に行けない日々が続いていた。
「ねぇ。キング!!新曲ださないの!?」
「私も聞きたい!!」
「…あの、台本頭に入らないんだけど……」
俺は台本を片手にため息を吐く。
台本は全ての漢字にふりがなが振られていて正直読みづらいが、演技はある程度上手くいってると思いたい。なんなら子役としての一本の契約金が極めて高い部類らしい。……正直幾ら入ってるのかも知らない。CMやバラエティーにも時々出てることもあり、子役としては売れている扱いになっている。
売れたら売れるだけ自由の時間は減っていき、学業に割ける時間はほぼない。地方の営業とかは今のところ避けてくれているが、俺の方針で今後は増えることになるだろう。
「…アクアも役者の忙しさ分かるだろ!?」
「…ごめん。正直俺も聞きたい。」
「味方がいないの!?俺!?」
「……いや。KINGの曲ってほぼミリオンいくだろ?ハズレって曲もないし。歌えば名曲みたいなもんだから。」
「そうそう。アクア分かってる!!」
前世の記憶に頼り切りになっているが今出した曲は個人的に出した『生きてこそ』、小学1年の時は『世界で一つだけの花』を歌いこれがこちらの世界でも大ヒット。俺が歌った中でも唯一動画配信サイトで1億再生を超えている曲だった。
子供向けアニメ用に歌った、忍たま乱太郎の主題歌『100%勇気』、小3では俺が主演した映画のエンディング曲、JITTERIN'JINNの『夏祭り』、小4では元々オープニングを歌っていたアニメが映画化され挿入歌として歌った劇場版ポケットモンスターアドバイスジェネレーションの七色の願い星ジラーチより『小さきもの』である。
……正直俺の前世で好きな曲のオンパレードで歌自体は動画配信サイトでしか出してない。動画配信サイトでは今殆どミリオン再生を記録している。
なお、俺は歌手でありながら楽譜は読めないし、絶対音感もないため、作曲は元B小町に所属していた人に任せてある。
少し違和感はあれどリミックスとしてはいいアレンジ程度には収まっていて、出したらほぼ再生数が大変なことになっている。アクア曰く知識があって才能があるって本当にずるいなと言われた。
アイは子持ちアイドルとかいう絶対に1人しかいないアイドル路線を貫いている。
まぁ、男性ファン自体は少し減ったがアンチは元からいたため気にしてないらしい。何なら一人で三人育てているからママタレとしての露出も多くなっている。
家族仲もよく、親バカっぷりをテレビでまんべんなく発揮しているので去年のベストマザー賞をとっていた。
でも確実に最近ではアイドルというよりも…タレントや女優としての仕事が多くなっていた。
「そういえば何のドラマ台本?」
「ん?月9にやる『恋空』っていう少女漫画のヒロインの弟役。」
「あ~。あの漫画。またいい役持ってきたくれたね。壱護さん」
……すると母さんが驚いたようにしている。それもそのはず発表されてはないが
「そのドラマ私も主演で出る。」
「……えっ?」
「母さんの弟役っていうのも何だけど……」
月9なだけあって豪華な配役になっている。その中でも、アイと俺は髪質とか似ているらしくすぐにツモりたかったらしい。母さんは少しだけ涙を潤わせながら笑う。
「せっかくなら恋人役が良かったなぁ。先生と生徒の禁断の恋みたいな」
「いや、流石に母親とはちょっとキツイでしょ。何なら母さんが姉役も相当キツイぞ。」
「ひどくない!?私まだ26なんだよ。うぇ〜んアクア、ルビー。キングが反抗期だよ。」
ガ~ンと効果音がなりそうになるくらいショックを受けた振りをするアイ。
この恋空の俺の役、メイクヒロインのアイの弟役でありながらマルチ主演の倉敷ヒロ役になっている。そして原作同様その弟の恋愛模様もこの作品の魅力である。
その弟のヒロイン相手には俺が唯一指名した元天才子役の有馬かなの文字があった