どんな女がタイプだ? 作:ブラザー
日間総合ランキング、二次創作日間1位二日連続ありがとうございます。
期待が! 期待が重い!
評価人数も爆増な上、UAやお気に入り登録までたくさん……6000近く……? 感想もいっぱい……? 追いついてないけどちゃんと返させていただきます! 特に感想は評価よりも目に見えてどう読者様が感じてるのか分かるのでありがたいですが……ひえ。情報過多!!
しかもバーめっちゃ高いやん……。ほぼ9って何!?
ランキング入る前とは全然違うというか、正直な話完結までに1000人くらいが御の字と思ってました。
感謝を込めて……もありますが区切りがいまいちだったので、今回は長いです。
呪詛返しの如く、情報過多返しということで。
雄英の合格通知が来たのはいいものの、ちょうど推しのアイドルが出演する時だったのでテレビの方が大切だった。
そのため録画しながらリアタイした後、家に居た小森がキッチンで料理を作ってくれていたので冷める前に食べてから確認した。
結果は合格。
予想通り雄英はヒーローに必要な要素を見ていたらしく、レスキューポイントとやらが加算されたのあって首席らしい。
それがなくても合格範囲だったようだが。
筆記に関しては全て満点。
「心配してなかったけど、これで高校も一緒ノコ」
「そうだな、ヒーローへの第1歩だ」
そして小森も合格らしく、安堵からか膝の上に乗って背中を預けてきた。
投影機だった物体は机に置かれていて、俺の膝上で彼女はオレンジジュースをストローから飲んでいる。
「私の雄英の制服姿は葵が1番先に見てね。葵も私に先に見せてよ?」
「ん? ああ、俺は見せる相手が居ないし構わんぞ」
もうすぐ中学を卒業し、春になったら高校生になる。
雄英に行くのはその時だ。
なぜ雄英なのか。理由は簡単な話だ。
それが相応しい男になるための条件。難関校を卒業という箔がついた状態でプロヒーローになる。
それもトップ、頂点になればアイドルと付き合うことも夢のまた夢ではなくなるのだ。
何故ならばオールマイトがそうであるように、モテる。
俺は有象無象にモテたいなどとは思ってないが、その地位につけば多くの人に布教することが出来るようになるだろう。
つまり推しのファンを倍増させることが出来る。それは、未来の夫の務めなのだ。
だが、雄英は忙しいという。
推しの放送やイベントがある時は何があったとしても見なければならん。その辺はスケジュールを管理せねばならないだろう。
俺の中での優先順位は雄英の方が低い。命懸けで見なければ、な。
入学までは青春というものを楽しんでおけばいいだろう。
と言っても俺の周りには友人も親友もおらず、女子に関しても小森以外誰も居ないのだが……男子は話すことはあるといえばあるが、所詮知り合い程度。
女子に関しては用がない限りは話すことがない。
避けられてるのだろう。
慣れてるからどうでもいいが……。
自分でもこの見た目だから怖がられることが多いのは理解している。
「雄英はどんな感じかな。クラス、一緒がいいノコ」
「俺たちが決めるものではないからなんとも言えんな……もしクラスが違えたならばその時は休み時間などに合流すればいいだろう」
「うん……」
長年一緒で今まで分かれたことはない。
しかし雄英に限らず、毎年離れることは有り得るものだ。
それは小森自身も理解してるだろう。
だが1度は偶然。2度は必然。3度目以上も続くならば、それは運命なのだ。
不安そうな様子が見て取れたため、俺は彼女の頭に手を置く。
「葵?」
「一緒になれるだろう。俺と小森の縁はそう簡単に切れるものではない」
気休め程度の言葉かもしれないが、それでも放っておくことは出来まい。
俺自身の本音でもある。
ここまで繋がりが強いのであるならば、それこそイレギュラーでも起きない限りは同じになれるはずだ。
因果でも関係してるのだろうか。
「ノコ……」
「どちらにせよ、結果は行ってみなければ分からん。後のことを今考えたって意味がないだろう?」
「うん……それもそうノコね。今は考えないようにする」
「それでいい」
手を動かして頭を撫でると、リラックスしたようだった。
力を抜いて、凭れかかってくる。
小森くらいの軽さならば何の負担にもならない。
そういえばスマホの通知を放置したままだったな、とスマホを見ると、小森しかなかった連絡先に追加された人物。
あの透明人間の少女、葉隠から合格したというメッセージが来ていた。
連絡先に関しては着替えたあと、合否が気になるから連絡先を教えて欲しいと言われたから交換した。
関係としては助けたのと助けられた関係性だから、気になってしまうのだろう。
別に0Pは相手をする必要はなかったしな。小森が帰ってから返信しておくか。
もし自分が落ちてたら落ちた連絡でもしてくるつもりだったのか、と気になることはあるが……しかし葉隠からも来ていたがクラスが一緒になるかどうかに関しては俺の頭脳を持ってしても分からんぞ。
「何見てるの?」
「ちょっとしたニュースだ」
「ふ〜ん」
興味を失ったのか小森はそれ以上何も言うことはなく、ただ俺の手を掴んで動かしていた。
その意味を理解したので大人しく従うことにして、頭を撫でる手を動かしていた。
◆◆◆
実技の採点を行うモニタールーム。
雄英高校ヒーロー科の入試は毎年300倍にもなる倍率を潜り抜けなければならない。筆記試験の難しさもさることながら、実技試験の難しさにこそ、ヒーロー科最難関たる所以が隠されている。
何故ならば授業で個性を扱う授業はあるが、基本的に戦闘経験など持っていない受験者が多数。
そのうえで状況をいち早く把握するための情報力。遅れて登場じゃ話にならない機動力。どんな状況でも冷静に対処出来る判断力。そして純然たる戦闘力。
プロレベルは求められてないものの、受験者の評価を見てるのはそこだった。
そして実技試験の採点を終えた雄英で教鞭を取る現役ヒーローの講師陣と校長の根津は結果を話し合っている。
「救助ポイント0で3位とはなぁ!」
「『1P』『2P』は標的を捕捉し近寄ってくる。後半他が鈍っていく中派手な個性で寄せ付け迎撃し続けた。タフネスの賜物だ」
「対照的に敵ポイント0で9位」
「アレに立ち向かったのは過去にもいたけど……ブッ飛ばしちゃったのは久しく見てないね」
「思わず
「しかし自身の衝撃で甚大な負傷……まるで発現したての幼児だ」
「妙なやつだよ。あそこ以外は典型的な不合格者だった」
「細けぇことはいんだよ! 俺はあいつ気に入ったよ!!」
暗い会議室、映像を確認しながら雄英のヒーロー科の先生たちは笑う。まるでとても面白いものを見たかのように。
1人は爆発でロボットを多く寄せ付け、1人は巨大ロボットに立ち向かって超パワーで殴り飛ばしている。直後、片腕と両脚が酷い有様になっていたが。
だが次の瞬間、真剣なものへと変わる。
「しかし1位と2位があまりに余りにも飛び抜けている」
「特にこいつ何者だよ? 学生なんだよな!? 俺、こいつが大人として紛れ込んでたって言われたって違和感ねーよ!」
「なんですか、オールマイトさんの弟子ですか? この筋肉を考えると貴方しかいないでしょう」
「いやいや、私この子知らないよ!?」
映像に出されたのは別ブロックの男女だ。
1人は小柄ではあるがグラマーな、いわゆるトランジスタグラマーな少女。対照的に大柄で筋肉質な、筋骨隆々という四字熟語はこの男のために存在してるのではと思うほどの大男。外見からは子供には思えず、かといって異形型でもない。
その場に居合わせたオールマイトに視線が集中するものの、新人で発言力が低いために黙っていたオールマイトも堪らず返答した。
“別の弟子”はいるが面識はない。
その男は、オールマイトから見てもあまりに異質だった。
――もし彼が、自分の力を、OFAを受け継いでいたのであれば、
つまりオールマイトの次の世代はOFAの出力に肉体が耐え切れる場合、オールマイト以上のスピードとパワーを発揮する。
既に見定めた存在はいるため後悔はないが、オールマイトの目から見ても“ヒーローの資質”は存在していた。
「小森希乃子……個性はキノコで一見戦闘向きには見えないが、足りない身体能力を個性を補助として使うことで上手いことカバーしている」
「さらに巨大ロボットをキノコで埋め尽くすほどの広範囲。周りに被害を出さないほどの正確な制御力。突出しているな」
映像に出された少女の姿。
菌糸の糸らしきもので怪我した人を運び、ロボットには次々とキノコを生やして機能停止。危うい者にはロボットの関節部にキノコを挟むことで動きを停止させ、サポート能力も抜群。
巨大ロボットは全身キノコまみれになり、あっさりと機能を停止させている。
「そしてこちらの……歴代最高記録を叩き出した彼ですね」
「東堂葵。個性すら使用せず素の身体能力だけでロボットを砕き、ビルを飛び越え、さらにはアレをぶっ壊すほどのパワー。それも怪我をした人を抱えてアレの攻撃を軽々と避ける戦闘能力」
「個性の虚偽申告という線は?」
「ないね、そうなると位置を入れ替える力とこの身体能力は説明がつかないのさ。彼は素でトップヒーロー並の身体能力を持ってると思っていいのさ」
「戦闘能力に目を行きがちだが、救助の方がやばいだろ。的確に優先順位が高い順に個性を発動してる」
「そうね。しかも透明の個性の娘も助けてるわ。よく分かったわね、周りは誰も気づいてないのに」
「動ケナイ怪我人ヲ抱エテモ問題ナイト自分ノ力ヲ明確ニ理解シテルガ故ニ抱エルコトデ安全性ヲ確保」
「そこからまだ避難が済んでない受験者を巻き込まないためにアレの誘導までしてる、ということですか。思考能力、判断能力、全部が他の受験生と一線を画してる」
「個性自体ハシンプル。ダガ、ソレヲ上手ク扱カエテイル」
「既にプロヒーローとしてもやっていけるだろうな」
「まだまだ余力も残してるみたいですしね」
「それだけじゃなくて、この二人は僕たちが明かしてないもうひとつのポイント、救助ポイントにも気づいた動きをしてるのさ。特に東堂くんの方は途中から戦うことを自ら辞めてるのが明白だしね。それが無ければもっと稼げたと思うのさ」
「しかもこの男、筆記試験においても全てにおいて満点を取るほどの地頭の良さも持ってるときた」
「本当にとんでもない逸材だぜ!」
「だけど……なんで上半身裸なのかしら? いい体はしてるけれど」
「あんたが言える立場ではないでしょう……」
言葉で表すととんでもないことこの上ない。
戦闘能力も頭脳も持ち合わせた人物。
まず間違いなくオールマイトの再来、とでも言えるほどの逸材。それどころか記録を塗り替えたのだ。
上位陣の総合成績が表示される中、最も評価された二人はこうだ。
小森希乃子。敵ポイント53。レスキューポイント70。計123。
東堂葵。敵ポイント75。レスキューポイント70。計145。
「それじゃあ、東堂葵を首席として合格させるのさ!」
『異議なし!』
こうして二人の合格が決まり、東堂葵が首席として満場一致で決定した。
◆◆◆
季節は過ぎ去り、春。
眠りに沈んでいた俺は妙に感じられる重みと眠気と戦った結果、結局気になったので目を覚ます。
今日が入学式というのは分かっているが、セットしてない目覚まし時計が鳴ってないことからまだ登校時刻ではないのは寝起きの頭でも理解出来る。
大きく欠伸をしながら軽く目を擦って開くと、ぼんやりとした視野が少しずつ明確になっていき、情報を認識し始めた。
視線を落とす。
何か毛布が不自然に膨れ上がっている。
それどころか体の上に何かが乗ってるような感覚があり、毛布を捲るように軽く持ち上げた。
「おはよう、葵」
すると何故か小森が居た。
満面の笑みを浮かべている。
うつ伏せで中に潜り込んでいたようだ。
冷静に毛布を戻し、もう一度。
捲って再び見る。
結果は変わらない。
高速で脳が状況を把握する。
昨日の夜。
一人で睡眠。
服の乱れ、互いになし。過ちが起きたわけではない。
つまり、ただ単に起こしに来たのだと。
思わず安堵の息を吐いてしまう。
起こすのはいいのだが、もう少しどうにかならないのだろうか。
生理現象は人である限りどうすることも出来ないので、朝にこうして潜られるのは困る。
そう思っていたところで毛布が持ち上がり、落ちていく。
小森がうつ伏せから跨って座る体勢へと変わったからだ。
お陰で全体が露になる。
身を包むのは雄英指定の制服。
そこで2か月前、言っていた言葉を思い出した。
「どう?」
グレーの2つボタンのジャケットに緑無地のミドルスカート、紺のハイソックス。それと赤のネクタイ。
それが服の全体図だ。
「ああ、とっても似合ってる。主観になるが、可愛いと思うぞ」
「えへへ、ありがとう。葵も早く着替えて?」
「そうするとしよう」
照れたような笑みを浮かべる小森に朝から少し癒されたが、とりあえず腰部に跨られているため動けないので、俺は彼女の両脇に手を入れて持ち上げると、そっと降ろしてから布団を畳む。
「ご飯作ってくるね」
「ああ、すまんな」
「起こしたのは私だし、気にしないでいいノコ」
その間に、てくてくと部屋を出ていく小森を見送って、ズボンを掴んで僅かに引っ張ると生まれて以来ずっと共にいる親友を一瞥。
見なかったことにした。
性的興奮も自意識も関係ない。ほぼ一生にわたって経験することだ。
生理現象はどうにもならん。
彼女が気にしてなかったのかそれとも気づかなかったのか。
どちらかは分からないが別に恥ずかしがることでもないので俺は記憶から排除することにして、全裸になるとパンツを履いてからシャツを着て前日に掛けてあった雄英の指定服に身を包んだ。
ふむ、流石天下の雄英。予算があるだけあって、俺のサイズにもピッタリだ。
しかし戦闘時には邪魔になるな、結局服を脱ぐことになりそうだ。
動きやすさを重視するならば服はない方がいい。筋肉が多いのもあって邪魔になるからな。
流石に下は脱ぐ訳にはいかないが、上半身くらいは別に晒してもいいだろう。減るものでも無い。
用意が出来たのでカバンを持って2階から降りると、カバンを取りやすいところに置いてから洗面台で手と顔を洗い、眠気を覚ます。
リビングに入ると、小森がエプロンに身を包みながら用意しているところだった。
「葵も似合ってるノコね、かっこいい!」
「そうか、その言葉はありがたく頂いておこう」
「サイズは大丈夫?」
「問題ない。流石雄英だ」
「よかった。もう少しで出来るから待ってて!」
そうは言うものの、流石に全てを任せるのは申し訳ないので俺は状況を把握して、ひとまずやれることからやるようにした。
雄英の、初登校日。
朝の通勤ラッシュに呑まれるが俺の筋肉は偽筋ではない。
小柄な小森は人混みに潰される可能性がある。
故に壁際にすることで俺が盾になる形でガードし、目的の駅に辿り着くと降りて一緒に歩く。
春なのもあって桜が咲いており、少しずつ散り始めていくのだろう。
桜といえば花見。
特番スペシャルで推しのアイドルが出ていたのを思い出す。
元々アイドルを育成していた事務所というのもあって下積み時代がなく、デビュー当時から追っている古参だが、人気が出ていく姿を見るのもまた嬉しいものだ。
少しでも力になれてると思うと鼻が高くなる。
しばらく歩いて辿り着くと、相も変わらずでかい校舎。
マンモス校というだけあって校門の時点で巨大な敷地を持っていることが分かる。
校内の案内に従って、自分の教室に向かうが、廊下を歩くだけで分かるのが、高い。
俺の背は190あるというのに、そんな俺ですらしゃがむ必要もなく普通に歩ける。
扉も潜る必要性が感じられず、俺も快適に動けそうだった。
そして『1-B』と書かれた巨大な扉がある教室に着く。
「ここもやっぱり大きいノコ。葵でも通れるね」
「バリアフリーというやつだな」
異形型にも対応されてるのか、俺の身長ですら扉の先まで全然届きやしない。
普通の中学では一定の高さにはされてはいるものの、やはり予算の都合かここまで高くは無い。
だから何度かぶつけたことはある。
「それに一緒のクラス」
小森の声が弾んでるのが分かる。
そう、俺と小森はB組だ。
ヒーロー科はAとBで分かれており、CとDとEは普通科。FとGとHはサポート科。IとJとKは経営科となっている。
「ただ静かだし、一番乗りかな?」
「そうかもしれんな。実際、かなり早くに来てしまった」
俺は新入生代表として選ばれてるのもあり、元々早く来るつもりだった。
初めての登校で何があるか分からない以上、もし新入生代表が遅れようものなら恥でしかない。
だが早く来すぎた影響か、教室からは声が聞こえてこない。
「ひとまず入るか。出席番号順だろうが席の確認をせねばな」
「うん!」
扉を開け、いざ、と1歩を踏み出す。
教室内もこれはまた広い。
が、やはり早いのもあって誰も――
「お?」
「ん」
「ノコ?」
「む?」
上から順に、オレンジ髪のサイドテールの女。黒髪の容姿のいい女。小森。俺。
といった順番で思わず声を挙げていた。
まさか俺たちより早く来てる者がいるとは。
「あんたは……あん時の人! やっぱ合格してたんだな!」
「葵、知り合い?」
「名前は知らん。だが試験先が一緒でな、レスキューポイントを稼ぐように動いて助けた際に一言話した程度の仲だ」
「そうなんだ」
「うん、まあ間違っちゃいないけどさ。……いいか。まずは自己紹介しようか。私は拳藤一佳。で、こっちが」
「小大唯。よろしく」
オレンジ髪のサイドテールな女の名前は拳藤一佳で、もうひとりが小大唯。
二人とも早いということは真面目なのだろうな。
「小森希乃子。よろしくノコ」
「東堂葵だ」
「小森と東堂ね。せっかく一緒のクラスになれたんだ、仲良くしような」
そう言って拳藤が手を差し伸べてくる。
小森と視線が合い、全く悪意がないことを伝えるように頷くと小森が握手していた。
「にしても……やっぱデカイな、東堂。何センチ?」
「なんぼだったか、190か?」
「190.4ノコ」
「らしい」
「なんで本人が覚えてないんだよ……?」
180超えた辺りからどうでも良くなったのだから仕方がないだろう。
気にしていたって仕方がない。
むしろ俺自身も俺の身長を正確に覚えていた小森に吃驚だ。アイドルになるには記憶力も求められる。立派に成長してるようだな、同志よ。
「ん!」*1
「俺と小森の関係か?」
「ん」*2
「確かに。そこ気になるな」
「「幼馴染
「わぁーお、息ぴったり。なるほど、道理で仲良いわけね。それにしては距離感が近いような……」
「普通ノコ」
「ん」*3
「それもそうか、私には幼馴染居ないから分からないけど……関係性ってのはそれぞれ違うもんな」
別に狙って一緒のタイミングで言ったわけではない。
長らく共に居ただけあって合図すら必要ないとはな。
距離感は、どうなのだろうか。残念ながら友達が居なかった人間なので他の幼馴染がどんな距離感なのかを俺も知らない。
俺にとっては今も腕にくっついてる小森が普通なのだ。
だが葉隠も葉隠で距離感が近かったし、もしや俺が知らないだけでこれが普通なのかもしれないな。
「それはそうと……感謝したかったんだよね。東堂のお陰で私もレスキューポイントのことに気づいてさ、お陰で5位で合格したわけ」
「俺は別に答えを言っていない。ヒントだけで気づけたのは偏にお前自身の頭の回転が早く、聡いからだろう。それに元々人助けをしていたのを知っている。そういう性分なんだろう?」
「うーんまぁ、放っておけなかったというか。けど気づいてたわけじゃなかったからさ」
「そうか、であるならば素直に受け取っておこう」
「そうしておいてよ」
話が終わったからか、グイグイと小森に引っ張られる。……いや結構力強く引っ張られる。
それが席を確認したいという意図なのだと察して足を動かして席を確認すれば案の定出席番号順。
俺はた行の“と”なので13番となる。
……後で先生に言って席はあとふたつ後ろにしてもらうか。
でなければ後ろの人が見えないだろう。名前からしてひとつ後ろは女性だしな。
「遠い……」
「不満そうにするな。こればかりはどうしようもない。それに同じクラスなのだから話すチャンスはいくらでもあるだろう?」
「……うん」
小森とは話せる距離ではなく、大きく離れている。
あからさまに落ち込んでいるので頭を撫でてやると、渋々と納得してるようだった。
恐らく席替えとかもないだろう。そんな悠長なことをしてる時間はないだろうしな。
そして徐々に教室に人が増えてきて、予鈴が鳴るとそれぞれ席に戻っていた。
その直後に入ってきたのは赤いコスチュームを身に纏う男。
「ブ……ブラドキングだ……!」
「本当にプロヒーローが担任なのか」
知っている生徒が居たようで、ブラドキングというヒーローらしい。
流石プロヒーローというべきか、俺から見ても中々にやれる人物ということが分かる。
「諸君。ようこそ雄英高校ヒーロー科へ! 俺が君たちB組の担任を務めることになった管赤慈郎。ヒーロー名はブラドキングだ。これから3年間よろしく頼む。少し長いからな、気軽にブラドと呼んでくれ」
教壇に立ったブラドは入学を迎えるような言葉を告げたのち、自己紹介をしていた。
雄英は2年に上がってもクラスは同じだ。しかし担任は変わる。
3年間といったのは担任が変わったとしても雄英にいる限り必ず会うこともあるし授業で共にすることがあるからだろう。
その後、簡単にガイダンスの説明を始めるが、隣の教室から人が大勢出ていく気配がする。
式まではまだ時間がある。だが恐らく全体で移動している。何かあったのか?
「え? まだ入学式の時間じゃ……」
「イレイザー……早速か」
「どういうことですか?」
生徒の数名が首を傾げていると、ブラドが目を細めて腕を組んで唸る。
イレイザーというのがA組の担当なのだろう。
まだクラスの自己紹介をしてないため、名の知らぬバンダナを巻いた男子生徒が声をあげていた。
「雄英は入学式やガイダンスなどは教師の判断で出る出ないが決められる。A組の担任のイレイザーヘッドは合理性の塊だからな。あいつは見込みがないと判断したやつを除籍しようとするんだ。無論嫌いだからというわけではなく、あいつなりの優しさから来るものだが……」
「ふむ……なるほどな。あの試験は力に見合っていない者が合格出来る仕様でもある。1度死を味わわせるといったところか。その後、何かしらの対応はしてるのだろう?」
「筆記試験全科目満点なだけあるな。流石だ、東堂。その通り、イレイザーは見込みなしと判断した生徒に1度除籍という死を与えて、それでもなお続ける意思があるならば復籍させる。その権限を校長からもらっているんだ」
ブラドの説明の前に全科目満点を取った俺に対して驚きと視線が集まったが、その後の説明は皆関心を示す反応をしていた。
レスキューポイントが存在してる以上、例えロボットを撃破出来なくても合格は可能だ。
それに気づいてるかはともかく。
「イレイザーは恐らく『個性』把握テストを行うつもりだな」
「『個性』把握テスト?」
俺の後ろの、何処と無く爬虫類を思わせる黒髪ロングの女子生徒が首を傾げる。
「『個性』を使用した体力テストのことだ。それで得意不得意を把握し、今後の改善点や伸ばすべきところを自身で把握することが出来る」
ブラドの説明に理解して頷く生徒達。
それに黒目が小さく灰色髪の歯がそのままむき出しになった骸骨のような見た目をした男子生徒が手を上げる。
「先生!! 俺達もすぐにやりましょう!!」
「落ち着け。確かに迅速に動くことは重要だが、焦って動くことは危険が伴う。俺はお前達には時間を有効に使い、されど堅実に成長してもらいたい」
「せ……先生……!!」
ブラドの言葉に手を上げた男子は感動して目を潤ませていた。
ここまで話を聞いていて分かったが、このブラド先生という人、恐らく情に厚い。
だがまあ、嫌いではないかもしれんな。指図してくるよりかはこういうタイプの方が俺は好みだ。
この後は入学式に出たが、予想通りA組は誰もおらず全員欠席という本来ならば見ることもない光景を目の当たりにした。
普通科やサポート科、経営科もいないA組を不思議に思っていたようだ。
入学式は至って普通の入学式。変わったところといえば、校長がネズミだったということだろう。
自由な校風がウリという説明だけでA組がいないことの説明をしていたが、流石に限度があるのではないだろうか。
教師陣の説明には多くの生徒も興奮していたが、1番盛り上がったのはオールマイトの登場だろう。
2番目はミッドナイト。
「ハーハッハッハ! 私が来た!!」
オールマイトがいつもの決め台詞と共に壇上に上がるとそれだけで歓声が上がった。
そこは流石平和の象徴と言うべきか。俺から見てもその強さはまさしく規格外。
だが何故だろうか。強者だとは分かるが昔、動画で見た時ほどの圧倒的なオーラを感じないというべきか……。やはり年齢的に全盛期を終えてしまってるのもあるのだろうか。というより
少なくとも記憶に存在する五条悟や両面宿儺よりも規格外とは感じられなかった。
結局オールマイトはすぐに何処かに行ってしまったので、忙しいのだろう。
とまあそれ以外はあまりに普通の入学式で、それが終われば教室にまた戻る。
「明日は今A組がやっている個性把握テストを行うからな、各自準備しておくように」
今後の予定をブラドキング先生の言葉を最後に、本日の予定は全て終了となった。
それからクラスで軽く自己紹介をしたのち、俺は小森と帰る。
前に。
校門にたどり着いたところで接近する気配を感じた。
「やあ、東堂。小森。ちょっといいかい?」
「構わんが……お前は物間、だったか」
「私も?」
今日は特に出演するようなものもなければ配信もないので良いが、話しかけてきたのは眠たげな眼差しにニヒルな微笑を浮かべた金髪の男だ。
外見的特徴的には、なんというか羂索を思わせるような、腹黒さを感じる。だが実際には何も悪意を感じないので、敵に回したら面倒そうだ。
「ふたりがトップの成績だと先生方に聞いてね、話を聞いてみたかったんだ。駅まで僕も一緒にしていいかな?」
「小森はどうだ?」
「なんか胡散臭そうな感じがするけど……葵がいいならいいよ」
「ならいいぞ」
「今の発言は少し気になるけど……いいか。ありがとう。改めて僕は物間寧人だ。これからはライバルではあるけど仲間だからね。よろしく頼むよ」
人を見る目はあるからこそ、分かる。
こればかりは本気で思っているらしい。確かに俺たちはライバルだが、これから3年間苦楽を共にする存在でもある。
ならばライバルよりも仲間という意識の方が強いのだろう。
「それにしても……」
「……何?」
物間の視線が俺たちに向けられる。
小森が過去の経験もあって露骨に警戒心を露にしているが、物間はフッ、と笑って笑みを浮かべた。
「いいや、君たちは幼馴染同士なんだってね。お似合いと思っただけさ」
「物間良い奴ノコね」
「小森、評価がひっくり返ってるぞ。どうした」
警戒心が一転し、ご機嫌になっている。
物間も嘘ではなく、本気で思ったことを告げていたのはわかったが。
俺も不相応だの舐め腐ったことを言われるより全然いいので構わんが。
もしそう言おうものなら俺の拳は既にこいつの頬を捉えていただろう。
「小森、東堂! 私もいいか?」
「ん」
3人で歩いてると、朝に話した拳藤と小大も合流してきた。
B組は大半が初めてであり、だからこそ1度話したことがあると会話しやすいのもあるのだろうな。
「拳藤と小大……だったかな? 君たちは知り合いなのかい?」
「友達?」
「うん」
「え……」
「何驚いてんのさ、小森」
「……そういうものなのか?」
5人で歩きながら会話をする。
流石に横並びは邪魔すぎるので、俺と小森は後方。
しかし少し話した程度で友達判定されたのは初めてのことだ。俺も小森も友達と呼べる関係は築いたことがない。故に驚く小森の気持ちも分かる。
男が友達認定してくるなら女の
「東堂、君もかい? いや、君はもしかして友達が……」
物間が憐れむような目を向けてくる。
否定できない俺は、沈黙を貫いた。
「違う……葵は悪くないノコ。いつも私を守ってくれたから……」
「気にするな、小森。関係ない。まぁなんだ、俺のこの見た目で近づくのは中々勇気がいるだろう?」
「……何か事情があるみたいだね。すまない東堂、小森。そんなつもりはなかったんだ。話したくないことは誰にだってあるものだからね」
悪気がないのはこの場も誰も分かってるだろう。
しかし物間が悪いかと言われたら悪くはない。
「出会ったばかりの人間を知らないのは当然のことだ。気にする必要は無い。それに俺には幼馴染が、小森が居たからな」
「……えへへ。それは私も同じ。葵がいてくれたから寂しくなかった」
そう言って傍に居る小森の頭に手を置くと、彼女は口角を上げて引っ付いてくる。
俺も人間だ。
独りが続いていたならば、いずれ心が荒んでいた可能性はある。
だが彼女は俺の退屈を覆してくれた。アイドルを知ることなんて彼女が居なければなかっただろう。個性に気付けたのも彼女の存在ありきだ。
「あー……こほん。まぁ、ぶっちゃけ私らは会場が同じでさ、最初に東堂見た時は話しかける勇気はなかったかな……」
「ん」*4
「葵、脱いじゃダメって言ったのに……」
「……すまん」
空気を変えるように咳を入れて、拳藤が話を戻してくれたが隣で不満げに頬を膨らませた小森には眉を下げながら謝罪する。
動きやすさを重視したら脱ぐのが1番だったのだ。
コスチュームなら伸縮性とかもあるだろうから問題ないが……市販の服にそういう特別な加工は成されていない。
「……同じ会場だったら僕も難しいな」
「そうだろう? つまりそういうことだ」
中学生になってから特に体格が変化したため、周りがそう思っていたことは知っている。
事実、雄英の試験会場でも俺から離れる者は多かったからな。これまでの人生で離れなかったのは小森のみだ。
小学生の時は体格はここまでではなかったが、幼稚園からの付き合いのあった者たちが噂していたのと小森の悪口……だけではなく、イジメていたやつらを殴りまくってた影響もある。
「まあけどさ! これからは私たちと友達になってよ。そのためにも改めて自己紹介しようか! 私の名前は拳藤一佳。個性は『大拳』で簡単に言えば……両手を大きく出来る感じ」
「小大唯。サイズ変えられる」
「僕は物間寧人。個性は……『コピー』。触れた相手の個性を5分間だけ使える」
二度目となる自己紹介。
物間だけは個性を言う時に少し躊躇はあったようだが、話してくれた。
それに対して、俺と小森は止まって顔を見合わせる。
小森の不安が手越しに感じられる。
大丈夫だと告げるように、俺は肩を寄せた。もしもの時は今までと変わらず俺が傍に居る、とアイコンタクトを送って。
覚悟が決まったのか小森は1呼吸入れて、口を開く。
「小森希乃子。個性は『キノコ』。こんなふうに色んなキノコを生やせるノコ」
敷地内ではないため、小森はカバンに色んな種類のキノコを生やしていた。
すぐに自らの意思で消したものの、少しの無音が生まれる。
強くしがみついてくる小森だが。
「へえ、色んな用途に使えそうでいいじゃん! サイズは変えられるの? 種類は知ってるのだけ?」
「ん」*5
「この個性でトップの成績を? ……凄いじゃないか、一体どれほどの努力をしてきたのか……僕には想像がつかないな。他の増強型や発動型、異形型よりもポイントを稼いだってことだろう?」
返ってきたのは今までと違う、好意的な言葉だった。
僅かに力が弱まるのを感じる。
恐る恐る、といった様子で小森は口を開いていた。
「……気持ち悪いとか……卑猥とか……そんなの、思わないの?」
「いや、思うか? だって中にはタコとか虫とか、そういった異形型の人もいるんだよ? それに卑猥だって言うけど、それは言ってる奴の方がそうだろ。そりゃキノコが苦手な人はいるかもしれないけどね、立派な力じゃん」
「言わせておけばいいのさ。現に小森は雄英に入学するほどの実力者。それもトップだ。雄英に入学すら出来てない人達が言ったところでそんなのただの負け犬の遠吠えだろう?」
「ん!」*6
「ノコ……葵。お願い」
「――フッ」
今まで否定され、虐げられ、悪口ばかりだった。
これほど好意的な言葉は初めてで照れているのだろう。俺の背に隠れるように後ろに逃げてしまったが、三人は不思議そうにするだけだった。
ならば、この空気を変えるのは俺の役目だな。
俺の自己紹介がまだなのもあり、小森が隠れたのもあって視線が集まる。
「東堂葵。個性は『不義遊戯』だ。詳しい説明はいずれする。それよりも俺には重要なことがある! 友達になるのはいいが、物間、聞かせろ」
「不義遊戯……? 聞かせろって僕に質問ってこと?」
「そうだ、物間。お前は――」
目を閉じ、圧を掛けるように仁王立ちで物間を見つめると、誰かが息を呑んだような気がした。
数秒後、カッ、と目を見開いた俺はついぞ口を開いた。
「自分が好きだと言えるような、女の
「は?」
俺の質問に、呆ける姿があった。
暫しの沈黙が空間を支配し、俺は変わらず物間だけを見て、眼光を強く貫いていた。
「ちょ……東堂どうした!? 急に何を聞いてんだ!?」
「ん」
「為人を見るには十分だ。答えることが出来ないということはそいつはつまらん人間でしかない。俺は退屈が嫌いだ!! さぁ、答えて見せろ物間寧人!!」
俺を友達にしたいならば、これに答えて貰わねばならん。
退屈な人間と友人関係など俺は持ちたくもない。
仲間になるくらいならばいいが。
「……ごめん、あんまり考えたことがないな」
「……そうか、お前は――」
「でも」
期待を超えてくる発言でないことに残念に思い、 断定する直前だった。
区切るような言葉に俺は開こうとした口を閉じた。
何処か悲壮感を感じられる瞳で自分の手を見ていたが、それでも前を向いている。
「――明るくていつだって手を引いてくれるような人が良いとは、思ってるよ」
「……そうか。ならば良し!!」
もし物間が求める人間性か、もしくは答えることが出来なければ退屈な人間という判定を下していたが、ちゃんと芯は持っていたようだ。
親友にはなれないが、友達になる資格は十分にある。
「良いんだ!?」
「……なんか凄い恥ずかしいんだけど。僕は何を言わされたんだ……!!」
恥ずかしいのか顔を覆う物間だが、中々話すことがないからだろう。
ここは手本というものを見せてやろう。
「ちなみに俺は
「何のカミングアウトしてんのさ!? しかも声デカっ!! 東堂、あんた変わってんね……!?」
「ん……ん?」*7
「東堂は大物だな……この数分でそれがよく分かった」
物間と違い、俺は堂々とした態度で語ると、3人とも衝撃を受けたように驚愕していた。
何を恥ずかしがることがある? 俺たちは人間だろう。
それぞれ好きなタイプが存在する。胸が大きいだの小さいだの、明るい人が好きだのネガティブな子がいいだの、なんだっていいのだ。
「物間に聞いておいて俺が語らんのは違うだろうッ!」
「……私はおっきくて筋肉質で優しくて強くてかっこいい人ノコ」
「小森まで!? というか妙に具体的……!!」
「ん」*8
「ちょっ、唯!? これ私も言う流れ!? えっ、凄い恥ずいんだけど!?」
「僕たちは皆言ったんだ。さあ拳藤!! 君だけまさか言わないとかありえないよねぇ!?」
「ね」*9
「その通りノコ。観念して、一佳ちゃん」
「俺は興味ないからどっちでもいいが」
「それはそれでなんかムカつくんだけど……。というか小森、今私の事一佳って……ああもう分かったよ! 答えたらいいんでしょ!?」
会話の流れというか空気というものはすごいようで、自分だけ言わないのはいたたまれないのだろう。
モジモジと指を動かしながら、拳藤は口を開いた。
「わ、私はその……王子様みたいに颯爽と助けてくれる人、かな……」
「意外と乙女ノコ」
「ね」
「ふーん、意外だな。拳藤はもっと男勝りな――いたぁ!?」
発言の直後、顔を真っ赤にしていたが、物間の頭部にかなりの速度の手刀が突き刺さっていて、煙が出ていた。
あれは物間が悪いな。何も言わなかった俺を参考にするべきだろう。
――興味なかっただけだが。
「私も女だっての! これだから言いたくなかったのに!! 東堂!!」
「待て、俺はどっちでもいいと言ったはずだ! 物間に責任があるだろう」
「東堂! 僕を売るなんて酷くないかい!?」
「んー……ん」*10
「葵は悪くない」
「確かに元はと言えば物間のせいか! 物間!!」
「理不尽すぎやしないかなぁ!?」
危うくヘイトを買いそうになったから流したが、逃げる物間を追いかける拳藤を見てか小大は小さく笑いつつも、二人を追いかけるようにして小走りで走っていく。
そして小森もまた、笑ってるのが見えた。
――どうやら俺以外にも受け入れてくれる者が現れたらしいな。ならば、もう大丈夫だろう。
「……違うよ」
「……む?」
考えてることがバレたのか、小森は俺の前に来ると、正面から抱きついてきた。
「私には葵が必要。それは昔も今も、これからも変わらない。私から離れたら許さないから。葵はずっとずっと私と居ないとダメ」
強く抱きついてきてはいるものの、何処か震えている。
不安なのか、それとも別のことを思ってか。
「そんなことか。心配せずとも離れることはせん。ただ世界が広がったならば、小森はより笑顔になれるだろう? 俺はそのことが嬉しいだけだ。少なくとも……あの3人ならば心配する必要はないと思ってな」
「ならいいノコ」
ぽんぽんと、頭を軽く叩くと安心したような笑みを浮かべて、彼女は俺の手を握って、指と指を絡めてくる。
「行こ、葵。例えどんな人が居ても誰が私を受け入れてくれても、葵が居ないとダメだからね。絶対に――何があっても離さないから」
「……そうか。であるならばそうするとしよう」
身長差があるのもあって、最後辺りの声は聞こえなかった。
意図的に小さくしたのだと思われるが、聞くものでもないだろう。しかし彼女にとっては俺はどの輪にいても必要らしい。小森が望むなら構わない。
それからすぐ、3人の後を追うように小森と向かっていき、ぜえぜえと息を切らして地面に伏せている物間が見えた。
拳藤も意外だったのか、攻撃するのではなく逆に心配している。小大は物間の顔の前で手を振っている。
――フィジカル弱いな、物間。
東堂くんはB組になったです。
感想を予想して述べさせて頂くと。
B組になった理由は不義遊戯が強すぎてUSJに参加すると詰みます、相手が。
何故かと言うと黒霧さん、生徒を散らばそうとする→その前に不義遊戯→全員脱出→終わり。
もしくは仮に散らばせることに成功→オールマイト登場→教師陣駆けつける→死柄木逃走前に不義遊戯で教師陣の近くに移動させる→確保。
とまあ、東堂くんなら逃がさないしそういう判断が出来るため、こうなったわけです。脳無と戦わせても不義遊戯で翻弄出来るというか、後で来たオールマイトと一緒にサンドバックにしかねない。
そして上記のような展開にならないとこいつ急に戦闘IQ下がりすぎ問題も起きる、など。
あとは作中で考えたら、A組に戦力が偏りすぎ、問題児ではないという点。
相澤先生なら問題児の出久とレスキューポイント0の爆豪は必ずA組にする。推薦入学者の轟や八百万もいるため、A組だけに成績トップばかりが集中。(実際原作の成績だと1〜3位、6〜7位、9位と上位者ばかりがA組)
メタ的に言えば主人公のクラスに重要キャラが集まるのは物語上仕方がないけど。
少なくとも扱い切れたら間違いなく最強クラスとわかる出久のことを考えたらまぁ、せいぜい半裸になってるだけで特に問題のない東堂くんもA組に寄越せはブラド先生も納得がいかないかなと。
それに仲のいい幼馴染というのは伝わってるはずなので、わざわざ仲のいい、切磋琢磨してきた相手同士を引き離すのは非合理的と相澤先生なら判断しそうなのもあります。
レスキューポイント70点→オールマイトは不参加と言ってるため、出久の60点から計算すると見える範囲で10点が3人、他2人で7点、8点なので残り15点は恐らく根津校長10点。イレイザーヘッド5点での教師7人での査定だと思われる。そして10以上がないことから最大点数は10。そのため、70が最高。
ちなみに黒色くんはまずB組に存在してないです。中二病キャラはよく分からなくて扱えなくって……。そもそも居ても勝ち目0だし居なくても変わらないし一切目立つことなくフェードアウトするだけなので……。