どんな女がタイプだ?   作:ブラザー

8 / 11

なんかまた一時的に1位になってたみたいでありがとうございます!
総合や二次創作で1位になってたから気合い入れまくって毎日投稿頑張ってたけどついに無理だった……! まさかここまで伸びるとは思ってなかったから第2話の時点で元々在庫なんてなかったの() 
主人公とメインヒロインの話だけとりあえず書いて投稿しよ、としか思ってなかったんです!!

しかしA組じゃない弊害が既に出ましたね。
戦闘訓練悩んだ……!! 原作がほぼ使えない!!
批判的なものが飛んでこないか不安ですけど、頑張って書いたよ。考えるだけで泣きそう。

ところでなんでお気に入り登録者9000人近いんですか!? 評価数も500人近いんですけど!? UA20万超えてるし!!
ピェエエ……!! そんな期待されるのは怖いよぉ……。

-追伸-

感想はやっと返し終わりましたぁ……時間ある時にちょっとずつ返してたから見逃しあったらごめんね。だってこんな反響あるとは思わなかったもん!
本当にメンタル弱いですからね、私!!







戦闘訓練

 

マスコミの騒動はあったものの、だからといって授業がなくなるわけではない。

俺はあの後、職員室に向かったらブラドが居たため、俺の考えを話しておいた。

校長に話は通すとのことで感謝だけされたため、後どうするかは学校次第だ。

最悪の事態を考えて、A組が授業始まったら電話でもメッセージでもいいから飛ばすようにした方がいいとは伝えたが……。

 

それはともかく、午後の授業の時間がやって来る。

1年B組の今日の午後はヒーロー基礎学だった。昨日がA組がそうだったので、同じ内容をやるのだろう。

昨日メッセージした葉隠は瞬殺されたとか嘆いていたことから戦闘に関することというのは容易に想像出来る。

何をするまでかは流石に分からん。

 

「わーたーしーがー!! 普通にドアから来た!!」

 

そこに現れたのはNo.1ヒーロー、オールマイトだった。

どうやらオールマイトがこの授業を受け持ってくれるらしい。入学式でも先生として居たからどこかの授業を受け持つことは誰でも予想出来ただろう。

しかし流石の知名度というべきか。

 

「本当にオールマイトだ!!」

「すげえな、こうやって間近で見ると画風が違ぇ!」

「やっぱかっけぇーな!」

「フ……葵の勝ちノコ」

「ん」*1

「どんな授業をするのだろうか?」

銀時代(シルバーエイジ)のコスチュームだよね、あれ。やっぱりいいなあ」

「鳥肌が立つぜェ……!」

 

入学式は距離があったが、今は近くで見れる。

実際に俺から見てもこの人だけ別世界から来たのでは、と思うくらいに画風が違う。

それにあの筋肉。鍛えられてきたのは分かる。

努力をしてきたのだろうな。最初から最強であったわけではない。

五条悟も両面宿儺もそうだったように。

 

「早速だが今日はコレ! 戦闘訓練!!」

 

「そしてそいつに伴って……こちら! 入学前に送ってもらった『個性届』と『要望書』に沿って誂えた……戦闘服(コスチューム)!!」

 

コスチュームを着れるとあってクラスの場が盛り上がる。

コスチュームを着るということはヒーローへの実感を持つことが出来る。そしてそのコスチュームは当然自分が望む機能、望む服装を作られている。

 

「着替えたら順次グラウンドβに集まるんだ!」

 

オールマイトの指示に返事をしてから、相変わらずどんな技術をしてるのかと気になるような、壁からそれぞれのコスチュームが入ったであろうケースを抱えて各々更衣室に移動する。

 

更衣室で早速ケースを開けて中を確認すると、要望したものが入っていた。

と言っても俺の不義遊戯は特に追加する機能を取り付けられるものではない。

自分の手を切ってビブラスラップにするわけにもいかず。

せいぜい服を脱がないで済むように、体にフィットするような要望のみを出した。

紫色のシャツに京都の呪術高専の制服。

記憶にある東堂葵と一緒にしたのは、俺がこの世界において唯一の呪術師であり、この世界に存在しない彼らの存在を忘れないでいるための、俺が呪術師(ヒーロー)として居るための服。正確には呪術師は別にヒーローではないが。

俺は記憶に存在する東堂葵ではない。しかし間違いなく俺は東堂葵でもある。であるならば同じ仲間として、魂の兄弟(ブラザー)として仲間を背負うのは当然のことと言えよう。

そこに俺は居なくても、その経験はこの身に刻まれてるのだ。

そしてあの声があったからこそ、俺という存在は現在(いま)にある。

服を着ると、なんだか妙にしっくりくる気がした。

ふむ、こればかりは記憶の定着の影響だろうか。不思議な感覚だが、悪くない。

まるで自分は1人ではないと感じられる。

 

着替えたら別に誰かを待つ理由もないため、ひとりでグラウンドへと向かうと既に何人か集まっている。まだ全員集合してないようだが、腰部に衝撃が走った。

もう幾度も受けた衝撃。B組しかいないここで今更誰かなど確認する必要性すらないが、ゆっくりと振り向く。

 

「葵。どう?」

 

そこにはキノコのようなデザインのワンピースに身を包み、ノースリーブの袖有りのデザイン。

サポートアイテムを取り付ける用のベルトと頭の帽子にはきのこの飾りがある。

そんなコスチュームに身を包んだ小森は普段とはまた違う印象を受ける。

 

「そうだな、色々と目を向けてしまうがとても魅力的だ。アイドルらしさを出しつつ、小森の魅力を上手く引き出している。つまるところ、可愛い、だな」

「えへへ、照れるノコ。葵もかっこいいよ」

「問題ないようであれば良かった」

 

はにかむように笑う小森に自然と口角は上がる。

彼女が嬉しいのであれば俺もまた嬉しいものだ。同志の顔が曇るところなど見たって何も嬉しくもなければいいことは何一つない。

 

「おっ、東堂もう来てたのか。似合ってんじゃん」

「ね」*2

 

続々と女子も集まってきてるようで、話しかけてきたのは拳藤と小大だった。

青系のノースリーブチャイナ服に目を隠すためのマスクが拳藤。

光の巨人を意識したような白いミニスカート付きの紅白色のボディスーツとトサカが付いたサンバイザーを被り、個性が個性だからか、両肩と腰回りに収納用のポーチを身につけているのが小大。

 

「俺は半裸でも構わんが、流石にな。服はそんな感じだ。そういう拳藤は可愛いと思うぞ。服装的にも動きやすそうだ。小大も似合っている」

「ありがと。真正面から言われるとなんか照れるな」

「ん」*3

「俺を無礼てもらっては困る。既に褒めている」

 

頬を赤く染め、その頬を指で掻くような仕草をする拳藤。

しかし動きやすさ重視とはいえスパッツは履いているようだが、チャイナ服なだけあって若干視線に困るような服装だ。

 

「むー……」

 

すると急に小森が腕に抱きついてきて、柔らかい感触から全力で意識を流す。

一方で小大は小森にパスしていたものの、俺は既に褒めてるため、そのことを伝えたら満足げに頷いていた。

 

「ん!」*4

「小大、お前は俺のなんなんだ……」

 

完全に視点がクラスメイトのそれではないのだが。

なんといえばいいか。

親が子を見る目? いや微笑ましいものを見る目? 見守るような目? よく分からんが、小森と既に仲良くなっているのだけは分かった。

出来るのであれば、そのまま彼女を支えてくれるような存在になって欲しいものだ。

 

「これで全員揃ったかな? いいじゃないか、皆! かっこいいぜ!」

 

それぞれの個性に合わせて誂えたコスチュームを纏う面々を見て、オールマイトは白い歯を輝かせる。

知らない間に全員集合していたようだ。

 

「早速説明していくが、今日は屋内での対人戦闘訓練をしてもらう!」

 

オールマイトの説明に皆耳を傾ける。

屋内でやる理由として屋外よりも屋内の方が凶悪なヴィランが多いという。

実際屋内であれば立て篭りや組織化されたヴィランが居たり、個性を用いる奇襲、爆弾などやれることは多い。

それどころか一等地のビルを隠れ蓑にして何食わぬ顔で雌伏の時を待ち続けている。真に賢しいヴィランは闇に潜むとはよく言ったもので、知らぬ間に悪事を働いて今も残っているヴィランは数知れないだろう。

それに屋外であれば逃走はやりやすいだろうが、屋内に比べて自由度が高い分目立ちやすいのも特徴的か。

目立つということはヒーローが駆けつけるということで、時間を掛ければ不利になりやすい。

しかし屋内であれば目立つかと言われれば目立たない。地下とからならばまず気づかないだろう。

 

「そして君らにはこれからヒーローチームとヴィランチームに分かれて2対2の屋内戦をしてもらう。今度はぶっ壊せばオッケーなロボじゃないのがミソだぜ!」

 

そこからさらに、状況設定が説明された。ヴィランがアジトに核兵器を隠していてヒーローは制限時間内にヴィランを捕まえるか核兵器を回収する事、ヴィランは制限時間まで核兵器を守るかヒーローを捕まえる事が勝利条件になる。

無駄に設定が凝っているというか、アメリカンというか、これもまたオールマイトがかつて経験したことなのだろう。

だが確かに、設定は練られて現場に忠実な方が学びにはなりやすい。

理に適っている。

 

「コンビ及び対戦相手は、くじだ!」

 

これに関してはまだ互いにクラスメイト同士あまり知らないこと、現場においては急増のチームアップで事に当たることもあることもあり、それらを考えてくじ引きにしたのだろう。

でなければ幼馴染の俺と小森はまず間違いなく組むだろう。

というわけで全員くじを引くことになり、それぞれの組み合わせはこうだ。

 

泡瀬・宍田

取蔭・鱗

塩崎・小森

回原・吹出

小大・柳

東堂・庄田

凡戸・角取

物間・骨抜

円場・鎌切

鉄哲・拳藤

 

既に組み合わせの結果がやばいチームがあるが、運なのでどうしようもないだろう。

 

「東堂くん、よろしくお願いします」

「よろしく頼む」

 

庄田が話しかけてきたので、軽く挨拶を交わす。

後で好きな女の好み(タイプ)を聞いておくとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

対戦相手が決まり、対戦者以外の者はモニタールームで観戦となる。

同ビルの地下、モニタールーム。

最初の試合は物間・骨抜VS泡瀬・宍田。

物間たちはヒーローチーム。宍田たちはヴィランチームだ。

 

「君たちも考えて見るんだぞ! 自分だったならどうするか、相手はどう動くのか。それを考えるのも授業の一環だ!」

 

準備の間、泡瀬が核を守るために擬似的なバリケードを作ってるのが見える。

個性から考えるならば、宍田は必ず迎撃に出る。

問題は物間が何をコピーしたのか。骨抜の個性範囲だろう。

先程向かったため、開始後、物間の個性発動可能時間はおおよそ4分。

ヒーロー側である以上、建物を崩す訳にはいかない。ヴィランチームならば骨抜のみでこのメンツ相手ならば勝てただろうが……。

 

「どう思うノコ?」

「難しいな。ヴィランチーム側だったならば骨抜の個性は核以外の範囲を軟化させて相手の動きを防いだら終わりだったが、ヒーローチームならばそれは使えない。範囲を絞る必要がある。かといって宍田の身体能力にこのメンツで勝てるかと言われるとまず無理だ」

「確かにヒーローが核のある建物を崩す訳にはいかないもんね」

「東堂、もうそんな分析してんの?」

「オールマイトが考えて見ろと言ってただろう?」

「いや東堂少年。私まだ始めてないからね?」

 

オールマイトが何か言っているが、実際に彼らの個性を考えるならば間違っていないだろう。

 

「泡瀬は見た限り、溶接。あれで簡易バリケードを作ったり部屋に入れないようにしている。それは骨抜なら無効化出来るが、やはり宍田が厄介だ」

「となるとヴィランチームが有利ってわけか?」

「ルール上、元々この試合はヴィランチームが有利になっているのだろう?」

「まぁね! 何においても情報は大切さ。けれどヒーローってのは基本的に後手に回るのが多いんだよ」

 

回原の疑問に対してオールマイトに流すと、彼は元々ヒーローに不利な設定であり、その理由を説明していた。

 

「つまりヒーロー側は核の場所を知らされていない。その上、核に気を遣う必要がある。逆にヴィランも自ら核は守らねばならない。勝つか負けるかは、どちらもありうる……そんだけだ」

「結局分からないってこと?」

「いや、どうかな。東堂なら分かってるだろ? この中で、唯一戦況をひっくり返せる可能性を持つやつがいる」

「拳藤は気づいてるようだな。そうだ、この試合の鍵を握るのはただ一人――」

 

整理した情報からは確かにヴィランチームが有利だ。

前持って準備が可能。

そして核の場所を捜索しながらヒーローはヴィランに対抗しなければならない。

相性的には程よくいい感じではあるが、攻撃力が足りない。

 

「物間寧人。やつが切り札(ジョーカー)になるかならないか、それによってヒーローチームの勝利と敗北は決まるだろう」

 

故に。

個性をコピー出来る物間が、戦況をひっくり返す存在になるかどうかで全てが決まる。

俺だったら、つまらん勝負にするならば不義遊戯で何の訓練にもならないような終わり方にすることが出来るのだが。

まだ卵でしかない。しかしお前ならば“現代の異能”へと進化出来るはずだ、物間寧人。

お前の可能性は俺だけは信じているぞ。

そして“成った”その時こそ、俺はお前を親友として判定出来る。

タイプは違えども、戦友としてならば、な。

少なくとも俺の()()はほんの少し、動いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

渡されたのは確保テープと建物の見取り図。

しかし個性の相性的に警戒すべきはやはり宍田だ。

 

「準備は出来たのか? 物間」

「コピーはさせてもらったよ。だけど試合開始後、4分で僕がコピーした個性は全て使えなくなる」

「つまり短期決戦だな」

「そうなるね。骨抜の個性はビルを倒壊させる危険性がある。易々とは使えない」

「そうだな……動きを止める程度ならば可能だけど、屋内ではあまり使えない。何より宍田を止めるには出力を抑えると厳しいと思う」

「だから策を講じてきた」

 

最も、東堂ならば僕と同じことを考えてるかもしれないけれどね。

僕たちの勝利条件は、宍田さえ封じたら勝てるということ。泡瀬の個性は使い勝手はいいけど、サポート向きでしかない。本人にそれほど近接能力があるようにも思えない。

僕が個性を使えなくなっても軟化させる骨抜の個性は相性が良すぎる。だから泡瀬の個性をほぼ封じられる。

仮に骨抜が現場に居なくても泡瀬は僕がコピーしてるかもしれない、と警戒を与えることが出来るだろう。

かといって、宍田を封じれなければ敗北を喫するのは僕たちだ。

 

昔から言われてきた。

僕の個性は“ひとりでは何も出来ない”。“ヒーローにはなれない”。“主役にはなれない”。“スーパーヒーローにはなれない”。

そんなこと、自分がよく分かっている。結局僕はひとりじゃ何も出来ない半端者にしかなれない。

だからこそ。

 

『……いや、お前はお前が思ってるより強い。もっと自信を持つといい。お前はいずれ立派なヒーローになれるだろう』

 

現時点で1年生の中で最強の彼にそう言われた時は、衝撃的だった。

彼は僕の個性を否定しなかった。

僕の個性を弱いと思ってるのではなく、本当に強い個性だと信じて疑わない様子だった。

主役にはなれないと言われてきた僕が、初めて主役になれると言われた気がしたんだ。スーパーヒーローになれると、肯定された気がしたんだ。

そんな彼が見てるのだから、僕は勝たなくちゃならない。認めてくれた人の言葉まで僕は無駄にはしたくないんだ。

核の場所を予想し、そこへ向かいながら宍田を止める。

15分もいらない、いや、15分では勝てない。

 

「4分の間に、宍田に勝ってみせる!!」

 

それが僕たちの勝利条件。

東堂の個性をコピー出来たら1番よかったんだけど、彼は『スカ』だった。というよりは、入れ替え能力ではなく()()()()()()()()()()ような感覚がある。恐らく彼の個性が不義遊戯とかいうよく分からない名前なのもあるのだろう。

正直、他と違って分からなすぎて今回の選択肢の対象にはならなかった。他の人ならばまだイメージ出来るんだけど……。

 

何はともあれ、窓から侵入する。

目指すのは最上階。

少なくとも1階、2階は候補から外してもいい。

制限時間が短いならまだしも、15分もあれば虱潰しで簡単に見つかる。

だからこそ、あるとすれば3階以上。

僕の個性を考えるならば最上階に置くのが定石だ。

骨抜も同様の意見で、僕たちは上を目指すと最初から決めていた。

 

そして3階に足を運んだ、その時。

 

「見つけましたぞぉおおおおお!!」

「もう仕掛けてくるか!」

 

飛び出してきた宍田。

それに反応した僕が前に出て、両拳を振り下ろしてくる宍田に合わせて腕を横にする。

個性を既に使用している、重い……!

 

「む、鉄哲氏の個性!! コピーしてきたってわけですな!?」

「――足りないフィジカルを補うにはこれがちょうどいいものでね。骨抜!」

「わかっている!」

「行かせると思いですか!?」

 

鉄哲の個性、“スティール”。

僕がコピーした個性の1つ。

肉体の一部や全身を金属化する事ができる代わりに、鉄分を消費する。鉄分量に比例するからデメリットはあるけど、長時間の使用の前に僕の個性が切れる方が早い。

やはりこれは捨てられない。宍田と戦うなら強度がなければ負ける。

しかし先に行かせようとした骨抜に対して、宍田は壁を引っこ抜いて投げていた。骨抜は避けている。

ヴィランらしい行動だね、本当に!!

 

変化させた拳を振り抜く。

反応した宍田が合わせてきたけど、パワーは向こうの方が上だ。

押し負け、()()ながら後退してしまう。

思わず舌打ちした。

そう簡単にやらせてくれないか。

だけど。

 

「宍田、まさか僕の相手をしないなんて言わないよねぇ!? それとも僕に勝てないからって骨抜を狙うつもりかな!? こうして届く距離にいるのに! 君では鉄を破れないか!? ほらほら、攻めて来ないのかい!?」

「ほう……私はヴィランですぞ? ヒーローを倒すためにここに来たということを忘れないで欲しいものですなァアアア!」

 

安い挑発だ。

宍田にこんなことは言いたいわけではないけど、僕は使える手はどんなものでも使わなければならない。

そして。

 

「君は搦手には弱いんじゃあないかッ!?」

「むっ!?」

 

第2の個性がここで活躍する!!

僕に接近してきた宍田の動きが突如止まる。

“セメダイン”。

接着剤のような液体を噴出する個性。

凡戸の個性であれば動きを少しだけ抑えることが出来る。

 

「今だ骨抜!」

「了解!」

 

ここで骨抜に先に行かせても機動力で負けてる以上、セメダインが外されれば結局僕を無視して骨抜の方に行けば終わりだ。

勝つにはここで宍田を倒す!

残り、3分――!!

 

骨抜が壁を軟化させた部分にスティールで固めた拳を全力で振り抜いて宍田を叩きつける。

そしてさらに、柔らかくなったコンクリートを引っ張るようにしながらセメダインで拘束。

 

「甘いですなぁああああ!」

 

けれど力尽くで破壊され、宍田の突進。

咄嗟に全身を金属化して受け止めようとするが、突進の勢いを止められずにそのまま壁に叩きつけられる。

金属化させてなお、このダメージ……!

純粋にフィジカルの差がありすぎる……!! それにセメダインで拘束してもパワーで無効化してくる。

やはり宍田が厄介だ。

 

「物間!」

 

即座に金属化解除のセメダインを噴射。

薙ぐだけで無効化されたが、骨抜が地面に手を突いて宍田の足を沈めている。

その間に再び金属化させた拳を胸に叩きつけ、軽く跳びながら顎に1発。

しかしその状態でなお、頭を掴まれて投げ飛ばされる。

まずい。

個性を解除し、骨抜が僕の体を受け止めるようにキャッチした影響で共に倒れる。

宍田は既に脱出していて、天井ギリギリまで跳んでいた。

お互い、咄嗟に転がるようにして避けながら起き上がると、足場が揺れる。

ヒビが入ってる程度で穴が空いたわけではないが、十分足を取られてしまった。

 

「こちらの番ですぞ!!」

 

振り抜かれる拳。

金属化してなお、距離が引き離される一撃。すぐに駆け出し、骨抜を攻撃しようとする宍田の腕を掴む。

持ち上げられ、地面に叩きつけられた。

しかし宍田の腕からは僕の手は離れない。

 

「これは……! 予め自分の手に接着剤を!?」

 

僕の個性は同時発動出来ない。

金属化しながらセメダインを使う、は出来ない。

しかしセメダインを予め使っておけば、セメダインそのものは残る。

その状態から、金属化は使用可能だ。

ケリをつけるには、ひとつしかない。

だけどまだ条件には満たない。

 

「骨抜! 核の場所に!」

「分かった。任せた、物間!」

「逃がしは――」

「動いて大丈夫なのかなぁ!?」

 

残り2分。

骨抜が階段へ向かっていき、僕の声に反応した宍田は僕に視線を向けて、気づいたらしい。

骨抜へ向かうところには、接着剤が撒かれてることに。

まだ固まってない液体だ。

宍田のパワーならば完全に拘束は無理でも足を滑らせるかもしれないだろう?

 

「くっ、でしたら物間氏を仕留めればいいだけの話!」

 

そうするしかないだろうね。

こんな血生臭いことはしたくないのだが、今の僕が宍田に勝つには真正面からぶつかり合うしかない。

金属化した僕に叩きつけられる拳。

接着剤があっさりと外れ、柔らかくなっている壁を掴む。

東堂の言ってた通り、柔軟な考えが出来る男だ。

予め触れていてくれたらしい。

完全に吹き飛ばずに済んだ僕は着地し、接近すると叩きつけられる拳を後ろに跳んで避ける。

その一撃だけで地面が砕けているが、個性使用時の宍田の体格ならば僕を直接殴るには上から叩きつける方が効率的だ。

もしくは蹴りか、タックルか。

バックステップし、迫ってくる宍田をギリギリで横に跳ぶことで避ける。

壁が壊れ、両手を突いた状態から起き上がるとまた突っ込んできた。

 

「まるで獣じゃないかァ!!」

(ビースト)ですからなァ!!」

 

回避は間に合わないため、金属化しながらも両腕を交差する。

しかしあまりの威力に吹き飛び、壁に埋まって金属化が解除された。

痛みに顔を顰める余裕もなく、抜け出すと咄嗟に頭を下げる。

壁に大きなヒビが入り、先程あった頭の位置は軽く穴が空いていた。

 

「おいおい、もう少し手心というものをさ。僕は今、金属化してないだろ?」

「心配せずとも痛いだけですぞ!!」

「それは勘弁願いたいねッ!!」

 

蹴り。

腕だけを金属化させて防ぐが、やはり耐えきれずに転がってしまう。

そのまま敢えて転がり続けると、獣のように駆けてきた。

想定より速い!!

 

接着剤を撒く。

多めに。出来る限り全体へ。

効果なし。

金属化。

間に合わない。

 

「ガハッ……!?」

 

振り上げるような一撃。

天井に背中をぶつけ、息が一瞬出来なくなる。

1度の跳躍で跳んできた宍田が服を掴み、投げ飛ばしてきた。

金属化しながら壁に叩きつけられ、個性が強制解除されながらうつ伏せに倒れる。

体の節々が痛い。

残り、30秒といったところかな……。全く、これだからパワーのある相手は困る。

 

「私は骨抜氏の元へ向かわせてもらいますぞ。もう個性は使えないのでは?」

「ふ、ふふふ……まァ、もう戦えないのは間違いないねェ。痛すぎて立ち上がれやしない」

 

体を起こし、壁に背中を預ける。

個性の同時発動。

それが出来れば良かっただろう。

今の僕が扱える個性は3つ。

 

「だけど僕はまだ2()()しか使ってないだろう?」

「何を……」

「フィナーレと行こうか、宍田!!」

 

わざわざ宍田に対して得意でもない近接を挑んだのは単純だ。

3つ目の個性。

残り時間ギリギリではあるが、通路で戦闘になると予め想定していた。

だからこそ、スティールとセメダインを選んだ。

そして2つしか使わなかったのは、宍田自身の個性をコピーしたと少しでも考えさせるためだ。

自身の個性をコピーしていたならば、骨抜を追う宍田を追う僕が出来上がる。

当然宍田の方が元の身体能力が高いから有利だろう。しかし、合流は避けたいはずだ。

核に辿り着いてしまった場合、宍田一人では核を守りきれない。骨抜は推薦入学者であり、数秒程度で倒せる相手でもない。

そして辿り着いた場合。

金属化、もしくはビーストをコピーしてる僕ならばまず間違いなく作ったであろう泡瀬のバリケードを突破する可能性がある。

だから今から使うこの3つ目の個性を使うに最適なフィールドを作り出す。

それが僕の目的であり、僕らが勝利する唯一の手段。

感謝しなくちゃならないな、()()()()()()ことへ。

 

発動する、最後の、3つ目の個性。

“ポルターガイスト”。

柳から借りたポルターガイストは至って単純だ。

身近にあるものを操ることができる。ただし人間1人分の重量まで。

人間1人分というのは果たしてどれくらいかは分からないが、僕が身を呈した理由はひとつ。

僕の周囲に浮かび上がる、小さな破片の数々。

宍田に向けて次々と射出していく。

 

「柳氏の個性!? ですがこの程度――!」

 

次々と射出される石礫では大したダメージにならない。

ポルダーガイストだけあっても勝つことは出来ない。

ただしそれは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「こっ、これは……ぬぉおおお!?」

「――塵も積もれば……なんだっけ。つまりはァ、そーいうこと」

 

小さなものでも重なり、くっつけばその重量はバカに出来ない。

小さすぎて破壊するのも不可能。

そして小さいものだけではなく、少し大きめの瓦礫を混ぜてある。

結果。

ガードしていた宍田の動きを阻害し、()()()()()が巻かれる。

 

「なぁあああああ!?」

 

勝利条件は何も、()()()()だけじゃないんだよねぇ。

ま、確保テープがなくたってすぐには動けないと思いたいけれど。

 

「あ゙あ゙あ゙〜゙。痛いなァ……あとは任せたよ、骨抜。僕は動けそうにない」

 

まだまだ拙いのは自覚している。

ただまぁ、これで少しは君の言葉に自信を持って誇ってもいいだろうか、東堂。

その期待に、応えることが出来ただろうか。

 

『――ヒーローチーム、WIN!!』

 

間もなくして勝利を知らせるオールマイトの声が響き、普通に接着剤つきの瓦礫を吹き飛ばして起き上がってきた宍田に頬が引き攣った。

僕の体は動けないレベルだというのに、なんで宍田は全然平気なんだよ……。

くそっ、なんか悔しい……ッ!!

 

 

 

 

 

 

*1
何を競ってるの?

*2
今回はちゃんと着てるね。制服?

*3
ありがとう。でも私より小森を褒めて。

*4
えらいね。





ちなみに組み合わせは考えるのもなぁ、と思ったので出席番号順でWebルーレットで回しました。
何人か運命では? という組み合わせになってます。特に東堂くんと庄田ペア。能力的に呪術廻戦じゃんとは言ってはならない。
もちろん対戦相手も1発運試しのルーレット。お陰でそこからストーリー組む羽目になってます。
ただ中にはヤバいチームがあって、特に(覚醒済み)小森・(元から強い)塩崎コンビがエグいですね。
次回で訓練全部終わります。終わるかも。まだ書いてない。
執筆しなきゃ……。ここから毎日投稿はキツイかも、一から考えないと(遠い目)

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