「ちょ!こいし??まってよ!」
「お姉ちゃんおそいよー!」
まったく、こいしはせっかちだ。
今私たちはダイアゴン横丁にいる。
昨日の今日で、だ。
こいしが行きたがったからなのだが……
この子ったらもう少し慎重にね…………
ダンブルドアも不親切だ。私たちの能力を試したいのだろうか、こっちは魔法使い素人なのだけど?
確かに魔法使いという存在は知っている。
私たちだって、仮にも妖怪なのだ。
……仮じゃないけど。
それは置いといて、その程度のことしか知らないのだ。
イギリスの魔法使いは三角帽子をかぶり箒に乗って飛んで杖を使って魔法を使う。
たったそれだけだ。
ダイアゴン横丁なんかきたこともない。なんなら通貨の単位すら知らない。
ガリオン?シックル?クヌート?
1ガリオンが17シックルで、1シックルが29クヌート?
誰よ考えたやつは!やる気あるの??
私たちは赤子同然の知識量で魔法界に放り出されたのだ。
確かにそういったことは道行く人を”見れば”わかる。
が、それにしてもだ。扱いの雑さには驚かされる。
ひょっとして私たちは試されているのだろうか。
「お姉ちゃん?どこ行くの!ここだよ~」
こいしの声でグリンゴッツ魔法銀行の前に来ていたことに気が付く。
『まったく、お姉ちゃんったら抜けてるんだから。私がついててあげないとだめだね!』
うるさいなあ、ちょっと考えごとしてただけだから
『言い訳?苦しいなぁ』
「もう!行くわよこいし!はぐれないようにね」
それにしても人が多すぎる。
大きな建物にたくさんの人、人、人。
大量の思考が虫の羽音のようだ。とにかく五月蠅い。
ここでこいしとはぐれたら探すのは至難の業だろう。
「何の御用でしょうか?」
受付に行くと小鬼が話しかけてくる。
なるほど、グリンゴッツには小鬼がいると聞いてはいたが実際に見ると迫力があるな。
「ホグワーツ奨学金の受け取りに来ました」
「申請はお済でしょうか?」
「ええ。ダンブルドア校長が済ませてくれてるはずです」
「承知いたしました。お名前をうかがっても?」
「古明地さとり……イギリス流にいうとサトリ・コメイジとコイシ・コメイジです」
「はい。……えー、はい、ございました。サトリ・コメイジ様とコイシ・コメイジ様ですね。魔力鑑定と登録を行うので、杖……はお持ちでないですね、利き腕を出してください」
机の下から石……?が出てくる。
これに手をかざせば魔力が登録されるらしい。人間でいう指紋のようなものかしら。
『魔法使いって意外とすごいんだね~』
こいしと揃って手をかざす。
石がぼうっと光り、何かが吸われるような?不思議な感覚になる。
魔力、ね。認識したことなかったけどやっぱり私にもあるのね。
『魔力なんか私たちにあるとおもってなかったよ~!ダンブルドア先生が言ってたこと、ほんとにほんとなんだね!』
そうね、私たちの能力ももっとちゃんと役に立てられるってのも……本当かしら。
絶対嫌われると思うけどね。
小鬼から今年分の金貨を受け取って銀行をあとにする。
金額は1人500ガリオン。
初年度は用意するものが多いからだそうだ。来年からは200ガリオンになるらしい。
もちろん、心を直接見て知ったことだが。
「お姉ちゃん、私ペットほしい!」
「あら奇遇ね、私もほしかったの。買い物の最後に見ましょうか」
そして、まとまったお金を手に入れて最初に欲しいと思っていたもの、そう、念願の……ペットだ!
私の能力は人間からは疎まれるが、動物からは好かれる。
つぶらな瞳で見上げてくるもふもふ、一目散に飛んでくる羽毛、かわいい。どんなペットにしようか……今から楽しみだ。
でもその前に学用品と杖を買わねば。待っててね、かわいいペットたち!
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