焦りと絶望感が全身を駆け巡る。
「やばいやばいやばい!」
「
でもなんだろう……
意識はある、もうすぐ死ぬから、徐々に意識が薄れていく感じでもない、はっきりとしている。むしろ先程の焦りと絶望感がなくなって冴えている。
死んだのか?
よくわからない変な感覚だ。首は動かせないが、はっきりと目の前の映像は見えている。少し奥にいる
頭部だけになり、ごろごろと奥の方へ転がる……
ドラゴンは全部食べ終えたと思ったんだろう、大きな翼を広げこの場を去った。
「さぁ、化け物は去ったわ。ここを出るわよ。」
「ああああああ、
「しっかりして、ここにいても何も始まらない! それに
「はい?」
「まあ、後で説明するわ! とりあえず出ましょう!」
「で、でもあそこ……」
「でもここにはいられないじゃない! 私はマスクがあるから匂いは平気だけど……」
黄色く汚れ、酷いにおいを放っている天使だったはずの彼女を、
「え? ど、どうなっているんですか?」
「まあ、最初は驚くよね……」
「すごいわね……再生能力があがっているんじゃない?」
「それより、この鷲掴みしている手、放してくれるか? あとできれば、こんどから両手で持ってほしい。僕の頭は、ボールじゃない。」
「了解したわ ちなみに頭だけのときは、痛みとか意識はあるの?」
「痛みはないけど意識はあるよ。」
「ふーーん」
「なんなのですか、説明してください。もう何が何だか……」
「ええ、説明するわ 彼と私の事、今この世界で何が起きているか。
お天道様の顔が見えてきて、闇が明けた。本来なら希望に溢れた時間帯のなかそれは、天から現れた……。翼の生えたドラゴンが次々と人をとって食べ始めたのだ。凶悪な手で捕まえられた人は丸のみにされた。人が白魚の踊り食いを食べるように、ドラゴンの表情はただ食べるだけじゃなく、どこか楽しんでいる様だった。
「なるほど、だから血痕の後がなかったんだ。」
「全員が食われたわけではないでしょ」
ふたりの反応に気にせず、
逃げ遅れた彼女はこの瓦礫の場所に隠れ、何とかやり過ごせたようだ。
「なるほどなるほど、でもよかったわね。運よく瓦礫の隙間があって」
「よくないですよ、なんでこんな目に合わなきゃいけないんですか! 私が何をしたっていうんですか!」
「ご、ごめんなさい、そういう言わけじゃ……」
まさか
今は何処か安全な場所で休むべきなんだろう……
「
「そうね、やっぱりほかの区画に移動するのがいいと思うわ。そこから世界樹対策課に、今回のことも連絡できるでしょうし。」
「わたしも……早くお風呂に入りたい……」
彼女は汚れと匂いが気になっているのだろう、
いや、汚れた心を洗い流したいのが一番の理由なのかもしれない……
「僕も早く行きたい。」
「そりゃそうよね。なんせ今下半身布切れいちまいですもん」
そう言って、
仕方ないじゃないか、服までは再生しないんだから!