僕たちがいた区画から少し離れた距離、歩いて2,30分程くらいの所に別の区画がある。災害から無事だった小学校を中心にその区画はあった。
「ここの区画は無事の様ね!」
「ああ、もしかしたらドラゴンの化け物がこっちに来ているのじゃないかと……」
とりあえず一安心だ……
だが、区画の中はどうやら騒がしそうだ。理由はすぐに分かった。見知った顔……、僕たちがいた区画の人、つまりあの場から逃げ延びた生存者のようだ。
「よかった。ちゃんと生き延びていたんだ。」
もしかしたら、皆食べられたんじゃないか、悪い考えをしていた自分にとって、このニュースはとても嬉しい。
「おお、
向こうの方から小太りのおじさんがやってきた。同じ区画にいた
「
「うん、なんとかね! 隣にいる人は確か、世界樹対策課とかいう偉い人だったよね! すまないが、私たちと一緒に来てくれないか? 化け物の事と、今後について話さないといけないんだ。こんなに死者も出たんだ。君たち対策課が知っていること、全て話してほしい」
「ええ、説明します。ただ対策課も、まだまだ捜査中のことばかりですので……」
「わかっていることだけでいいんだ」
「申し訳ありません」
僕と
「
僕の目の前には今まで見たこともない笑顔をした天使が
「かぁぁ~~うまいですぅ~、
前言撤回、僕の目の前には両手にビールを持った堕天使の姿がそこにいた。
太陽はもう柿のような色になって一日の役目を終えようとしている。あまりにも赤く染まった一日だった。今日の出来事を嫌でも思い出してしまう。そんな時は、隣にいる
「お疲れ様、ここにいたのね。て、彼女どうしたの?! 顔真っ赤じゃない」
「ああ、彼女は天界から追放されました。」
「そ、そう……まあ、それは置いといて、今後の流れをざっと説明するわ。」
そういうと
「とりあえず今日の夜はここの区画で越すことにするわ。夜は危険だし、体も休めないといけないし! ほんで出発は早朝、目的地は世界樹対策課日本支部! 早起きしないといけないからもう寝なさい」
「お前は僕のお母さんか!」
「あと、彼女はここに残していくわ。行くのはわたしとあなた2人、ここの人たちにも話してあるわ」
「え!?
僕がそう言うと
「当たり前でしょ! 能力者でもない人を連れていけないわ」
「それもそうだけど……でも……」
「あなたの気持ちはわかるわ。ここより対策課の方が安全だろう、と思っているんでしょ。申し訳ないけどそんな余裕はないのよ」
彼女はそう言い残し、この場を去った。
静けさの中にどこかぴりついている空気感……、サバンナの様な夜に、ぼくのため息が夜空を埋める。
「
出来れば一緒に行きたい、ちょっと下心はあるがそれ以上に不安だ。なんせ一日で僕たちの区画は壊滅したんだから、まあ、武器も戦える人も全くいない状況なんだし当たり前なんだが……
ここの区画も、自衛隊数人ぐらいしかまともに戦える人がいない、いつまたあの怪物が現れてもおかしくないのに……
「眠れないんですか?」
隣で泥酔していた
「大丈夫ですよ、
「あはは、ま~かなりよくなりました。」
伝えないと……今日でお別れだということ
だめだ何故か変に考えて、思うように気持ちを伝えられない!
僕が必死に頭の中で戦っている最中、彼女は懐に隠してあった鬼殺しを手に持ち飲み始めた。
「ああ! またお酒飲んでる!」
「えへへぇ、迎え酒ですよ~」
まさかこんな酒好きの人だったとは……
僕がそう思った次の瞬間、赤い果実のような柔らかいものが僕の口に接触した。何が起きたのか一瞬わからなかったが、すぐに理解できた。
「すみません、こんな状態で……、でもどうしても、もう会えないと思って……」
これが僕のファーストキス!
ああ、なんて神秘的なんだろう
でもひとつ残念だ。アルコールの香りがキツイ……