世界の意思にさようなら   作:宇美築ラゲク

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第13話 真っ赤な悪魔

 僕の顔は今、気持ち悪い程、にやけているのだろう。まさかこんなイベントが人生にあるなんて驚いた。

 

 今日まで生きて来てよかったぁ! 神様ありがとうございます。

 

まさか美奈(みな)さんの方から来るとは、これって大チャンスなのでは! ここから付き合って、あんなことやこんなこと……、そんなことを考えていたが、明日の朝、離れ離れになるんだった。その事を思い出すと急に全身が重たくなった。

 

 「はぁぁぁぁ~~、人生上手くいかないなぁ」

 

僕のため息がまた夜空を埋める。ちなみに美奈(みな)さんは、あの後、倒れるようにまた寝始めた。その顔は満足そうにしていて、とてもかわいいのだ。

 

 酒臭いことを除けば完璧(パーフェクト)なのに……

 

 

 

 眠れない……心が興奮しすぎて、でも身体は疲れて……ないな!

 

今気づいたことだが、僕の身体はどうやら疲れ知らずの身体になっているようだ。

これも僕の驚異的な再生能力のおかげなのだろう。

 

 ロマンティックな夜は過ぎ去り、別れを告げる太陽がそろそろ昇りはじめる時刻、

事件は起きた。僕の隣にいたはずの美奈(みな)さんの姿が見当たらない! 寝れない寝れないと、言っておきながら、僕はいつの間にか眠ってしまったようだ。

 

 そんなことはどうでもいいい! 今は彼女を探さないと!

 

 もしかしたら化け物に……

 

僕の脳裏に嫌な不安がよぎる……。僕は近くにいる人達に声をかけたが、誰も彼女の行方を知らないらしい。寝ていた灰芽(はいのめ)を無理やり起こし、僕たちは辺りを探した。

 

「ねえ、トイレじゃない?」

「こんなに長いトイレタイムあってたまるか! それにそこも見ただろ」

「いや、道端で吐いてるとか。とりあえず二手に分かれましょう」

 

僕は茂みと瓦礫の中をかき分けながら探し続けた。

しばらく探していると、人気のない、本来なら静かな空間に、聞き覚えのある女性の声が聞こえた。

 

 美奈(みな)さんだ!

 

僕は声の聞こえた方角に足を運ぶ。

 

 まだ日が昇り始めていない時刻、静けさがあたりを包む中、瓦礫の影に彼女はいた。そしてもう一人……

 

「後藤(ごとう)さん?」

 

もう一人の人影は後藤(ごとう)さんだった。

でも、なんだか様子が変だ。よく見てみると、美奈(みな)さんは手足を縛られた状態で拘束されている。口にはガムテープで、喋られないようにべっとりと塞がれている。僕には一体、何が何だかわからなかった。が、理解するのにそう時間はかからなかった。

 

「何やっているんだ。後藤(ごとう)さん!」

「と、利賀(とが)君!? や、やだなあスキンシップだよ! スキンシップ!」

 

後藤(ごとう)の咄嗟に出た言葉はあまりにも苦しすぎた。どう見てもそんな優しいものじゃない……、脱ぎかけのズボン姿の男、涙を流す彼女……

 

 強姦だ

 

「おいお前! 美奈(みな)さんに何をした。」

「まだなにもしてないよ! そ、そうだ、利賀(とが)君も一緒に…どう? 3Pもいいと思うんだ。」

 

僕は怒りで爆発しそうになった。

 

「彼女から手を放せ!」

 

僕はそう言い放ち、後藤(ごとう)との距離をじりじりと近づける。

いつでも殴れるようにだ。不死身の身体になったんだ。怖くはない。

 

「くっ! 来るなぁぁ、どうなっても知らんぞ!」

 

後藤(ごとう)は隠し持っていたナイフを美奈(みな)さんの顔に近づける。

 

 しまった! 

 ナイフを持っていたとは……完全に人質に取られた。

 

「デュフ、なあ見逃してくれよ。利賀(とが)君、こんな壊れた世界、オンナ食っていかないとやっていけないだろ。それともなんだ、お前、この女のことが好きなのか? もう中古品なのか? どうなんだ? ん?」

 

 何かが切れたような気がした。

 怒りに任せて、僕は走り出していた。

 

だが、僕が奴に殴り掛かるよりも先に、美奈(みな)さんが殴っていた。ついさっきまで手足を縛られ、身動きが取れなかったはずなのに……、しかも、なんだか様子が変だ。全身が真っ赤に染まり不気味に微笑んでいる。殴られた後藤(ごとう)は一発KOされてのびている。その後、美奈(みな)さんは体の色が元に戻り眠るように気絶した。

 

 一体何だったんだあの姿は……

 

兎に角、僕は灰芽(はいのめ)に連絡をして事の顛末を説明した。

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