世界の意思にさようなら   作:宇美築ラゲク

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第14話 殺意

 事件後の早朝、僕たちの周りはかなり騒がしかった。後藤(ごとう)の強姦未遂事件の話題で持ちきりになっているからだ。被害者の美奈(みな)さんは、あの時の姿は覚えてないらしい……、後藤は今だ気絶中、しっかりと拘束されている。

 

「それでは私たちは出発します。他の方々の事、後藤(ごとう)の件よろしくお願いします。」

「こちらこそ、ありがとうございました。あと、何件か質問しても宜しいでしょうか?」

 

ここの区画を取り締まっている自衛官のひとりが、不安そうな顔をしてハイノメに問いかける。

 

「そちらの柚木(ゆずき)さんはこちらに残られると、お伺いしていたのですが?」

「事情が変わったのです。彼女は世界樹対策課が保護しますのでご安心を」

「あと、もし化け物が出た場合、何か友好的な手段はないでしょうか……。噂では銃が効かなかったとか……」

「いえ、銃は効きますよ! ただ……熊みたいにタフな奴らばかりなんです。もし出くわした場合、無理に戦わず全力で逃げてください。」

 

自衛官たちは光を失った顔をしていた。

 

 まあ、そんなことを言われてもなぁ……

 市民を守らず、逃げるわけにはいかないし……

 

「あと……」

「すいません、化け物に関してはまだわからないことだらけなので……」

 

長くなるとおもったのか、灰芽(はいのめ)は、質問を断ち切るように終わらせた。

 

「そうですか……、出来れば早くこの東京から、被災者の方々を非難させるのが一番なんですけどね……。なかなか出来ない現状、少しでも敵の情報が欲しかったのですが……」

「そうですね、この被災地に化け物が出現していることも、もう全国、いえ全世界に知れ渡ってしまっているでしょう。日本政府もすぐに対応を取ると思います」

 

灰芽(はいのめ)は少し言葉を濁し、この会話を終わらせた。

 

 

 

 青い空、白い雲、素晴らしい天気だが、どこも見渡す限り荒れた街並み……、時々生えている世界樹の根が、さらに異質さを出している。ゲームの世界に入り込んだみたいだ。

 

「うわ、こんなとこにも生えてきている」

「どうした灰芽(はいのめ)?」

「数日前まで、ここには生えてなかったんだけど、どんどん広がているようね」

「おいおい勘弁してくれよ。いずれ世界は世界樹に飲み込まれるのか?」

「そー言えば、対策課の研究員が同じことを言っていたわ」

「……」

 

 僕たち三人は他愛無い話をしながら東京から離れていく、離れるにつれ、災害の被害が落ち着いてきているような気はする。世界樹の根も現れなくなった。

 

「あ、あの翔(しょう)さん! 昨日の夜の事なんですけど……」

 

急に呼ばれてびっくりした。

昨日のこと、そう後藤の件の事か

 

「美奈(みな)さんは何も覚えてないんだよね。すごかったんだよ」

「ちがいます! そっちじゃなくてその前! わ、別れの……」

 

どうしたんだろうか凄く照れてる。

何か恥ずかしいのか?

 

「あ、け、結局、離れ離れにならずに済みましたね!」

「そういえばそうだね!」

 

僕はあの日の夜の事を思い出した。

 

 ・・・

 

急に僕も恥ずかしくなり顔を赤くしてしまう。ぼくたちがイチャイチャしているなか、先頭にいる灰芽(はいのめ)は、中指を立てていた。そのことを僕たちが知ることはなかった。

 

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