次の日の朝、予定より早く起きてしまった。
早起きは三文の徳と言うが、それは何かやることがあったらの話だ。いつもと違うことをやろうにも、この被災地には、最低限の生活ができる物しかない……
散歩でもするか……
川が近くにあるので、そこをパトロール感覚で散歩する。勿論、ゼノが現れたら 僕一人では対処できないので、川から3メートルぐらい距離を取って、安全に散歩することにした。
意外と早起きも悪くない
そう思えたときだ。僕はある少年と出会った。
その少年は、川をずっと見ていた……
まるで、魂が抜けたように
「どうしたんだい君?」
「……」
返答がなかった。少年は中学生ぐらいだろうか?
背丈的に、多分にそうだろう……
「なあ、何かあったのか? どうして君はここにいて……」
僕は、彼の顔を覗き込んだ。
そこに映ったのは、この世の終わりでも見ているような顔だった。
これはただ事じゃない
僕は嫌な感じがした。
咄嗟に彼の腕を引っ張て、ここから立ち去ろうとした。が、突如、川からサメのような怪物が勢いよく跳びかかってきた。
「おいおいおい、川まで数十メートルも離れているのに!」
映画ジョーズもびっくりの襲い方だ。
こいつが、今回のゼノ、敵か……
「ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい……」
僕の横で 少年は一人小声でブツブツつぶやいている。
サメのような化け物は、猛スピードでこちらに向かってくる。まるで魚雷さながらの突撃攻撃は、僕たちを丸のみにする気満々だ。僕達2人を丸のみできるほど、こいつの身体はでかい。
逃げる余裕はない……
どうする……
僕一人なら、この数秒の時間で何とか回避できるだろう。だが、そんなことをしたらこの少年を見殺しにしてしまう。
「ええい、この!」
僕が選択した答え、それは少年を突き飛ばし助ける。
それしか僕にできることはなかった。
ん?
その後どうなったって?
もちろん、食べられた。
怪物の体内は、ねちゃねちゃとしていて気持ち悪かった。サメの見た目をしているくせに中は生暖かかった。そして血生臭い臭いがする。何より、ぶよぶよとした肉の壁が、生理的に受け付けない……
ゴツン
何か固いものがぶつかったようだ。
化け物の体内は、狭くてうまく動けない……
なんだろう? なんとか腕を伸ばして、この触感の原因を探る。
これは……毛だ……
ながいブロンドの髪の毛……
もっと奥へ腕を伸ばす。僕は固いモノの正体がわかった。
「あ、ああ、助けて、怖いの……」
「うわあああああ」
僕はおもわず声を荒げてしまった。
奥にあったのは、怪物の体内に取り込まれていく皮膚がただれた醜い女性だった。