世界の意思にさようなら   作:宇美築ラゲク

26 / 38
第26話 初体験

 降り注ぐ照明が眩しい、その光を1つの影が侵食するのだ。

 

「じゃあ、お注射しますね~」

「わかりました……じゃないわ! え、なんなんですか?」

 

身体検査って麻酔使う? もっとこう、身長測ったりとか、レントゲン撮ったりとか、麻酔って……人体解剖する気満々じゃん!

 

「ふざけんな、こんなの聞いてないぞ」

「まあまあ、暴れない暴れない、えい!」

 

暴れる僕を押さえ、青葉紗友里(あおばさゆり)は麻酔をブスリと、殺し屋がナイフを刺すように打ってきた。段々と、意識がなくなってくる。部分麻酔じゃなくて、本気で体の隅々まで調べる気だ。

 

 ダメだ……

 目が開けて、眠たくなってきた……

 痛覚だけじゃ、ないのね……

 

 

 私の名前は青葉紗友里(あおばさゆり)! ここ世界樹対策課の能力者研究の第一人者、彼氏いない歴イコール年齢だけど、気にしない気にしない! 何故なら今、私は最高の実験体と付き合っているのだから♡ 利賀翔(とがしょう)、彼の能力は異常な再生能力。その力は、心臓が止まったり、半身が欠損したりしても再生する。能力者自体、普通の人よりも傷の治りが早いことは分かっている。けど、この子ほどじゃないわ。それに、なにかしら……なんか妙な感じが、じわじわと感じるのよね。

 

 こんな気持ち初めて♡

 

メスをとり、利賀翔(とがしょう)の上半身の上から入れていく……。意外と大きく、そして固い肉の触感を感じながら切り進めるたび、自分の中にある女の欲がどんどん高まっていく♡ こんな経験は初めてだった。今までこんなにも異性に対して感じたことはない。なにか異性を発情させる物質を出しているのだろうか? そのことも気になるが、今は能力を調べないと……

 

 ググ! 

 

急にメスが入らなくなった。それどころか

 

「押し戻されてる? 再生能力が発動したのね!」

 

意識がない状態でも発動するなんて

 

 ああ、ゾクゾクする♡

 

夏でもないのに私の下着は、ぐっしょりと濡れてしまった。

もっとメスで体を切りつけたい気持ちを押し殺し、別の方法を考える。まさか、気絶している状態でも能力が発動するとは、正直驚いた……

 

「そうだ、指を切り離そう。ノコギリ持ってきて!」

 

私は助手に医療用ノコギリを持ってこさせ、それを使い利賀翔(とがしょう)の指を切断した。切断された指がどうなるのか気になるから♡ 結果は、一分もしないうちに、切断面から新しい指が生えてきた。切り離れてしまった指のほうは、徐々に花のように萎れていき、最終的に枯れた枝のようになった。

 

「なるほどね、さすがにプラナリアみたいに、切れば切るほど増えていくわけじゃないのね。」

 

 少しがっかりした……

 もし増えるのなら実験用として、マウスのように増やせたのに……

 

「先生、倫理観忘れてないですよね」

 

助手が私の考えていることを見抜き、心配してきた。

 

「大丈夫よ。安心して! どうやら増えないらしいから」

「それって、増えるのならやるつもりだったことですよね」

「さ、時間がないわ、次行くわよ」

 

助手の質問を完全無視し

私は次に進めていこうと思ったのだが……

 

「ん、なんだ~」

 

実験体、利賀翔《とがしょう》が目覚めたのだ!

 

「起きるまでまだまだ時間があったはずなのに、ここまでか……」

 

私の至福の時間が……終りの鐘が鳴ってしまったようだ。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。