上空に僕のため息が昇って行く……、女の子の前で、カッコイイ姿を見せようとしたのが運の尽きだ。今頃、布団にくるまってるはずだったのに……
「はぁぁぁぁぁ~、ああ、帰りたい……」
「
「うわ! びっくりした。急にやめてくださいよ。」
闇の世界から元気で熱い声が励ましてくれた。
今日の昼に尋問してきた軍人さんだった。
「それはすみません。もしかして、今日のお昼にお話しした、化け物のことについて考えていますか。」
「ええ、まぁ」
「でも噂なので、あまり深く考えないでください。やばくなったら、私がおとりになるので、全力で逃げて下さい。」
少し心が落ち着いた。頼もしい人だ。
ガシャン!
また、重い音が聞こえた……
今度はもっと近い……
「近いようですね」
さっきまで世間話をしていたとは思えない
彼の眼は兵士の眼に変わっていた。
グギャアァァァ
B級モンスターパニック映画でしか聞いたことのない音が響き渡った。雄叫びなのだろうか、それすらわからない……、だが、これだけは言える。
化け物がいる……
行ってはいけない……
ぼくは知っている……
「あ、あぁぁ」
震えが止まらなくなってきた。記憶がなくても、体が覚えているんだ。だんだんと思い出してきた。
「何か思い出したのですか?」
「う、うう……」
恐怖で呂律が回らない……こんなこと初めてだ。
「すみません、女性警察官の方、この人をお願いできますか!」
「はい!」
僕は女性警察官に介抱されることになってしまった。
無様だ、女の人に助けてもらって……
なんて、いつもなら頭の中で思うのだろう。
しかし、今の僕はそんな事を考える余裕なんてない。
「おい、こっちになにかいるぞ!」
一緒に来ていた男の人が、何かを発見したようだ。
「う、動いている!」
「でも、これ巨大樹の根っこじゃん」
「そうだ、おまわりさん! 一発撃ってみてよ」
「あのね、そう簡単に銃は……、まあ念のため試しに一発お見舞いするか!」
男の警官は、憂さ晴らしでもしたいのか銃を構える。
まるで、ヤンキーみたいだ。自分はこの中で特別だと思ってそうで苦手だ。
「皆さん、下がってください危険です。」
「大丈夫ですって、化け物の正体はただの巨大樹でs……」
ああ、今、完全に思い出した。
ぼくは、あの夜、死んだんだ。
怪物に噛まれて、内臓を外に出し、血で水溜まりを作り、骨を砕かれながら喰われたんだ。生きたまま喰われたんだ。そして死んだんだ。
あれ、何で、生きているんだ?
喰われた記憶はある、死んだ記憶も
けど、何で僕は生きているんだ?
僕の事を襲った化け物はどうなったんだ?