世界の意思にさようなら   作:宇美築ラゲク

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第4話 巨大樹の化け物

 上空に僕のため息が昇って行く……、女の子の前で、カッコイイ姿を見せようとしたのが運の尽きだ。今頃、布団にくるまってるはずだったのに……

 

「はぁぁぁぁぁ~、ああ、帰りたい……」

「利賀(とが)さん!」

「うわ! びっくりした。急にやめてくださいよ。」

 

闇の世界から元気で熱い声が励ましてくれた。

今日の昼に尋問してきた軍人さんだった。

 

「それはすみません。もしかして、今日のお昼にお話しした、化け物のことについて考えていますか。」

「ええ、まぁ」

「でも噂なので、あまり深く考えないでください。やばくなったら、私がおとりになるので、全力で逃げて下さい。」

 

少し心が落ち着いた。頼もしい人だ。

 

  ガシャン!  

 

 また、重い音が聞こえた……

 今度はもっと近い……

 

「近いようですね」

 

さっきまで世間話をしていたとは思えない

彼の眼は兵士の眼に変わっていた。

 

 グギャアァァァ

 

B級モンスターパニック映画でしか聞いたことのない音が響き渡った。雄叫びなのだろうか、それすらわからない……、だが、これだけは言える。 

 

 化け物がいる……

 

 行ってはいけない……

 

 ぼくは知っている……

 

「あ、あぁぁ」

 

震えが止まらなくなってきた。記憶がなくても、体が覚えているんだ。だんだんと思い出してきた。

 

「何か思い出したのですか?」

「う、うう……」

 

恐怖で呂律が回らない……こんなこと初めてだ。

 

「すみません、女性警察官の方、この人をお願いできますか!」

「はい!」

 

僕は女性警察官に介抱されることになってしまった。

 

 無様だ、女の人に助けてもらって……

 

なんて、いつもなら頭の中で思うのだろう。

しかし、今の僕はそんな事を考える余裕なんてない。

 

 「おい、こっちになにかいるぞ!」

 

一緒に来ていた男の人が、何かを発見したようだ。

 

「う、動いている!」

「でも、これ巨大樹の根っこじゃん」

「そうだ、おまわりさん! 一発撃ってみてよ」

「あのね、そう簡単に銃は……、まあ念のため試しに一発お見舞いするか!」

 

男の警官は、憂さ晴らしでもしたいのか銃を構える。

まるで、ヤンキーみたいだ。自分はこの中で特別だと思ってそうで苦手だ。

 

「皆さん、下がってください危険です。」

「大丈夫ですって、化け物の正体はただの巨大樹でs……」

 

 ああ、今、完全に思い出した。

 ぼくは、あの夜、死んだんだ。

 

怪物に噛まれて、内臓を外に出し、血で水溜まりを作り、骨を砕かれながら喰われたんだ。生きたまま喰われたんだ。そして死んだんだ。

 

 あれ、何で、生きているんだ?

 

喰われた記憶はある、死んだ記憶も

けど、何で僕は生きているんだ?

僕の事を襲った化け物はどうなったんだ?

 

 

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