どんなことがあろうとも夜は必ずやってくる。だが、昨日と違う点がある。周りの空気感、灯りの多さ、普段と違う雰囲気が、人々の不安を表しているように感じる。
「大丈夫ですか?
「うお!
「違います。でもよかった~、元気そうで! あんなことがあった後なんで、かなりショックを受けていると……」
彼女は僕がゼノに襲われてから、何かと僕のことを気にかけてくれる。だが、そんな彼女の顔はかなりやつれているようだった。天使のような人でも、この状況は堪えるようだ。
「何が何だか、訳わかんないですよね。災害が起こって避難生活していたら、今度は化け物が現れちゃったなんて……」
そうつぶやくと、彼女は大粒の涙を落した。
今まで堪えてきた感情が、とうとうグラスからこぼれてしまったようだ。
「だ、大丈夫ですよ!」
つい咄嗟に出た言葉はすぐに消えた……
「何が大丈夫なんですか!」
ぼくは死なないらしいから
何かあった時は……
「おい、
幸か不幸か、
「ごめんなさいね、もしかして邪魔した?」
「…いや、むしろ助かったよ。雰囲気最悪だったからさ。」
「なら、いっか」
「しかし、警備しながらとはね……」
「そらそうよ、化け物が出るかもしれないんだから!」
まあ、こんな状況で警備係を名乗り出るやつは、よっぽどの馬鹿か、勇者かのどちらかだ。残念ながらもうこの区画には、その様な者はもういない……
いや、今この場に2人いるんだった……
「で、話ってなんだ?」
「ちょっと、敬語を使いなさい! 敬語を! あんたは後輩なのよ! ……まあ いいわ、本当ならすぐに対策課に戻りたいとこだけど、ひとつ問題があるの……」
「僕、入るとはいってないけど……」
「ひとつ問題があるの!」
拒否権はないようだ……
「この区画が、また化け物に襲われる可能性が非常に高い。」
「なに! また来るのか!」
つい声を荒げてしまった。
「ちょっと、声がでかい! 夜なんだから」
「だったら、上の人に伝えて応援呼んだり……」
「むりね、人手不足なのよ。それに憶測でしかない……。だから、私たちで対処する。」
「あ、僕もなのね……」
「あったり前でしょ」
夜もあと半分くらいになってきたころか……、
「そういえば、彼女に自分の身体の異変のこと、教えてないでしょうね!」
「異変? ああ、言ってないよ。」
異変というのは、この死ななくなった身体の事だ。
まあ、普通に考えたら引くからな
「このこと伝えたら流石に引かれるだろ! 化け物だーて!」
「………」
なにか気に障ることを言ってしまっただろうか?
確か
もしかして……、昔何かあったのか?
……気まずい
「さ、夜を越せば生存率がグーンと上がるハズ、頑張りましょう。」
「おいおい、本当に大丈夫なのか?」
長い夜が明け、温かい光が全身を和らげる。ようやくこの緊張感から解き放たれる。そう思えるだけで、心が軽くなった感じがした。
「ちょっと! 帰るまでが遠足ですよ!」
「はいはい、先生!」
その時だった。
「ギャァァァ」
お天道様の顔が見えてきて、闇が明けた時間帯、
本来なら希望に溢れた時のなか、その不協和音は、この区画中に響き渡った。