真っ黒な組織の裏切り者を片付ける的な存在にTSしてなった 作:しょうげきは
翌日。
俺はあの方のメッセージを受け、昨日の場所へ向かった。
扉を開くと、空のテーブルの中央に一人漆黒の高級そうなスーツを着て立っていた。
視線が俺へと向けられる。
「おや、来ましたか」
「はい」
あの方は不気味な微笑みを浮かべながら俺に近づいてくる。
「さて、今日は大事な会合です。護衛として付いてきてもらいますね」
目の前に立ったあの方のプレッシャーは凄い。
だが俺はそれが欲しかった。比例して気分が高鳴る。
「承知しました」
悟られないように、表情を動かさないまま返事をした。
「さて行こうか」
あの方がスーツを煌めかせながら、パチンと指を鳴らす。
次の瞬間には俺達は絨毯が敷かれた長い廊下に立っていた。
まぁ見慣れているので俺達は粛々とその廊下を進むだけだ。
やがて広い空間に出た。
そこには先ほどよりも一層大きく豪華なテーブルが中央にドンと設置されている。
幾つかの椅子には、既に座っている者がいた。
「ガハハッ!ようQさんよ!まだしぶとく生きてたんだな!」
そのうちの一人、あちこちに古傷のある半裸の大男があの方に向かって叫ぶ。
「あなたよりかは真面目に生きているのでね」
あの方が微笑みながら言うと、大男は大きく口を開けてガハハ!と豪快に笑った。
「面白れぇな!この俺にそこまで堂々と啖呵切れるやつは中々いないぜ」
「その恰好をしているのによく見つかりませんよね、やつらに」
はぁと溜息を吐きながらあの方が椅子に座ったので、他と同じようにその斜め後ろに立つ。
「それにしても、今日は部下は連れてきていないんですか?」
「ああ?あいつらか。今俺らは色々あってなぁ。余裕ねぇんだわ」
「ああ、そうでしたね。今やつらと戦っているんでしたね」
「知ってんのか。流石は情報で裏世界の頂点に立っているだけはあるな、ガハハ」
大男が不敵な笑みを浮かべる。
やつら……それは恐らく対異能組織のことだ。
異能は勿論犯罪の温床になったが、国もただ指を加えていたわけではない。
警察の中に、異能だけを持ち、異能を持つ犯罪者を取り締まる組織が作られたのだ。
「私のところまで火が飛ばないようにしてくださいね本当に」
「善処はしてやろう!ガハハハッ!」
広い空間に豪快な笑い声が響く。
すると、あの方の向かいに座っていた一人が煩わしいそうに眉を顰めた。
「五月蠅い。クマは体だけでなく五月蠅さも鬱陶しい」
黒を基調としたゴスロリの衣装を纏った少女だった。
だがその小さな体躯からは、恐ろしいほどのプレッシャーが溢れていた。
傍に立つ部下らしきメンツは、二十代くらいの澄まし顔の女性。
「きょきょきょ。元気な証拠じゃなだけじゃて。五月蠅いのは変わらんが」
ガラガラの声でそう言ったのは、不気味な真っ黒いローブを纏った老婆。
外見だけで怪しいことこの上ない。
何人かいる部下も全員ローブを纏っている。
「ガハハハッ!俺に喧嘩売ってんのか?」
瞬間、浴びるだけで失神しそうなほどのプレッシャーが周囲を襲う。
俺は雰囲気を出すために、サッとあの方の傍で戦闘態勢を取る。
……いい。粛々とやっている感がある。
そしてこの場面で次に来ると言えば……
予想通り、あの方が手で俺を制した。
「やつらといざこざになっている貴方が何を言っているんですか」
あの方が溜息を付くと、大男は笑いながらプレッシャーを引っ込めた。
「ガハハハッ!冗談だ!」
大男が腕を組みながら豪快に笑っている。
すると、コツコツと廊下から足音が聞こえてきた。
「おや、主催者が遅刻とは。マナーがなっていないですね」
やがて現れたのは、一人の男。
ピエロの仮面を付けた細い体躯だったが、その身からは圧倒的なオーラが滾っていた。
「すまないな。遅れてしまい」
「いえいえ、あなたも大変ですね。日本最大の武闘派組織、ファイティクスのリーダーのピエロさん?」
「やめてくれ。ピエロというあだ名は嫌いだ」
ピエロが低い声を出しながら、椅子に座る。
その部下らしいメイドの女性が、指を振り一枚の紙を各々のテーブルの上に出現させた。
「それでは今日はこのメンバーで会議をしようか」
「では、集まったメンバーを改めてご紹介します」
メイドの女性が声を張り上げる。
「玄理会の首領、ウォーリー様」
大男が豪快にガハハと笑う。
「フォーム首領、Q様」
俺の隣のあの方が軽く会釈する。
「ハイザー首領、イマン様」
ゴスロリの少女が鼻を鳴らす。
「公正救世会始祖、白田様」
黒ローブの老婆がキョキョと甲高い笑い声をあげる。
「そして最後に、ファイティクス首領、ピエロ様となります」
この場に、日本の裏社会を蠢く数々の黒組織が集結した。